東京さまよい記

東京をあちこち彷徨う日々を、読書によるこころの彷徨いとともにつづります

荷風住居跡巡り2013(6)

2013年01月19日 | 坂道

自証院坂上まで牛込台地であるが、ここから坂を下り、谷道である靖国通りを横断し、南へ向かえば四ッ谷・麹町台地である。ここを通って最終目的地の六本木一丁目の偏奇館跡を目指す。

暗闇坂下 暗闇坂中腹 浄運寺から西側遠景 駄ヶ谷鮫ヶ橋四ッ谷絵図(元治元年(1864)) 自証院坂下を左折し、靖国通りの歩道を東へ歩くと、次の信号で向こう側に暗闇坂の階段が見えてくる。一枚目の写真は横断し、坂下から撮ったものである(現代地図)。短いがちょっと急な階段となっているので、そのむかしはかなり急な坂であったのであろう。

階段を上ると、左からの道と合流して緩やかに南へ上っている。二枚目はそのちょっと上から坂上側を撮ったもので、現在は、明るい坂道となっている。

坂上からまっすぐに南へ細い道が延びている。この途中、浄運寺のところで右手を見ると、西の方の眺望がよい。三枚目の写真はそこから西側を撮ったもので、途中の服部坂上でもそうだったが、これだけ見えれば立派なものである。ただ、落葉樹が落葉したこの季節ならではの風景であろう。

四枚目の尾張屋板江戸切絵図 駄ヶ谷鮫ヶ橋四ッ谷絵図(元治元年(1864))の部分図を見ると、左下に自證院があり、そのわきの道が自証院坂と思われ、坂下を左折すると、自證院門前町の前を通りすぎてから右折すると、クラヤミサカがある。ここから現在と同じように南へまっすぐに道が延びているが、この道に浄ウン寺ヨコ丁、とある。

女夫坂上 女夫坂下 女夫坂上 駄ヶ谷鮫ヶ橋四ッ谷絵図(元治元年(1864)) 暗闇坂上を南へ歩くとやがて新宿通りに出るが、左折し横断し、外苑東通りを越えて東へ進み、次を右折すると、女夫坂の坂上である(現代地図)。一枚目の写真のように、狭い坂道が南へ緩やかに下っている。新宿通りはこの台地の尾根で、南北の分水嶺のような位置にある。この坂の一本東隣りは円通寺坂で、同じように南へ下っている。

坂を下ると、坂下からさらに南へ緩やかに上っている。二枚目はその上り坂を、三枚目は上ってから坂下を撮ったものである。

上の江戸切絵図の部分図で、暗闇坂上から延びる浄運寺横丁から左折すると、その上(東)に忍原ヨコ丁という道が見えるが、ここがこの坂で、その上が円通寺坂である。

四枚目は尾張屋板江戸切絵図 駄ヶ谷鮫ヶ橋四ッ谷絵図(元治元年(1864))の部分図で、上記の部分図の東南側であるが、忍原横丁が下に見える。

闇坂上 戒行寺坂上 戒行寺坂中腹 戒行寺坂下 女夫坂上を南へまっすぐに歩くと、やがて突き当たるが、ここを左折し東へ進むとまもなく、右手に一枚目の写真のように闇坂の標柱が見える(現代地図)。ここをもう少し入ると急な下り坂となる。

そこからさらに東へ歩くと、二枚目の写真のように戒行寺坂の坂上である。二枚目はちょっと下って坂下を、三枚目は坂下から坂上を撮ったものであるが、この坂は独特の曲がりをしていることがわかる。このため、まっすぐなようでいて坂上と坂下が互いに見えない。

上四枚目の江戸切絵図を見ると、下の忍原横丁から左折し上(東)へ進み、次の一本目を右折した道が闇坂で、さらに上へ進むと、戒行寺があるが、そのあたりが戒行寺坂上である。

鉄砲坂下 出羽坂下 鮫河橋坂下 鮫河橋坂上 戒行寺坂下が若葉通りで、ここを右折し、南へちょっと歩くと、左手が一枚目の写真のように鉄炮坂下である(現代地図)。さらに進むと、中央線のガードにいたるが、その手前右手を撮ったのが二枚目の写真である。出羽坂が西へ上っている(現代地図)。

ガードをくぐり、直進すると、南元町のT字路の交差点にいたるが、ここを左折すると、鮫河橋坂の坂下である(現代地図)。途中、ガードのちょっと先に小祠があるが、ここに鮫河橋地名発祥の石碑が立っている。

三枚目の写真は、坂下から坂上を、四枚目は坂上から坂下を撮ったものである。戒行寺坂でいったん旧鮫河橋町の低地に下ったが、この坂で四ッ谷台地にふたたび上ることになる。

上四枚目の江戸切絵図を見ると、鮫河橋町の低地の南側に鮫ヶ橋坂がある。坂の東側は広い紀伊屋敷である。
(続く)

参考文献
横関英一「江戸の坂 東京の坂(全)」(ちくま学芸文庫)
山野勝「江戸の坂 東京・歴史散歩ガイド」(朝日新聞社)
岡崎清記「今昔 東京の坂」(日本交通公社)
石川悌二「江戸東京坂道辞典」(新人物往来社)
「嘉永・慶応 江戸切絵図(尾張屋清七板)」(人文社)
市古夏生 鈴木健一 編「江戸切絵図集 新訂 江戸名所図会 別巻1」(ちくま学芸文庫)
デジタル古地図シリーズ第一集【復刻】江戸切絵図(人文社)
デジタル古地図シリーズ第二集【復刻】三都 江戸・京・大坂(人文社)
「古地図・現代図で歩く明治大正東京散歩」(人文社)
「江戸から東京へ 明治の東京」(人文社)
「東京人 特集 東京は坂の町」④april 2007 no.238(都市出版)
「東京人 特集 東京地形散歩」⑧august 2012 no.314(都市出版)

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