2010年10月27日(水曜日)
2010年度の福井新聞文化賞にウエットランド中池見が選ばれたとの
ニュースが飛び込んできた。
今年は日本ユネスコ協会の未来遺産に登録されるなど、
中池見湿地の地道な保全活動が高く評価された記念すべき年となった。
また、名古屋で開催されているCOP10では、メダカやタガメなど
絶滅危惧種が生息する水田を保全する決議案に合意したとのこと。
中池見湿地の生物多様性はまさにこの水田耕作がつくりあげてきたものだ。
ラムサール登録地を目指す中池見湿地にまたひとつ、希望の星がふえた。
大阪ガスのガス基地建設という大きな障害に市民だけで立ち向かい、
湿地の保全に全力で取り組んできた仲間たちのラムサール登録地への夢が、
夢で終わることなく実現に向かって着実に実を結ぼうとしている。
http://www.fukuishimbun.co.jp/modules/news0/24443_5.html
荒川さんらに福井新聞文化賞 ウエットランド中池見も
2010年度の福井新聞文化賞が決まった。
先鋭的な現代詩作家で、文芸評論など幅広く活躍している
荒川洋治さん(61)=東京都=と、
福井県敦賀市樫曲の中池見湿地の保全や生物・植物調査などに取り組む
NPO法人「ウエットランド中池見」が輝いた。
贈呈式は11月5日、福井新聞社・風の森ホールで行われる。
荒川洋治さん 1949年、坂井市三国町生まれ。
日本を代表する現代詩作家の一人。
詩作はもとよりエッセー、文芸評論、放送と幅広い分野で活躍。
現代詩にとどまらず文学全般を見据えたメッセージが、
中央文壇に刺激を与え続けている。
中学時代から文学に親しみ、詩人の故則武三雄に大きな影響を受けた。
藤島高から早稲田大に進学し、卒業論文「娼婦論」(71年)を第一詩集として刊行。
74年に自ら立ち上げた詩書出版の「紫陽社」からは、
多くの若手詩人の第一詩集を送り出している。
76年に第二詩集「水駅」でH氏賞、98年には詩集「渡世」で高見順賞、
エッセーでは「忘れられる過去」(2004年)で講談社エッセイ賞、
評論集「文芸時評という感想」(06年)で小林秀雄賞など、受賞多数。
著作は50冊を数える。
1994年度から「福井ふるさと大使」として本県PRに貢献、
県内でも講演などを通じ、文学や言葉に対する思いを伝えている。
北陸現代詩人賞の審査員も務める。東京都東村山市在住、61歳。
NPO法人ウエットランド中池見
敦賀市の中池見湿地の保全、調査研究を目的に2003年に発足。
大阪ガスLNG備蓄基地建設計画に反対したグループ「中池見湿地トラスト」の
メンバーを母体に、理事長の笹木智恵子さん(64)=同市東洋町=ら
同市民をはじめ会員は全国に約130人。
湿地の自然観察会は、毎月の定例会に加え、学校や各種団体の要請を受けて開催。
年間県内外から約500人の参加があり、
湿地の貴重性や重要性を広く訴える機会となっている。
外来種の駆除や用水路の清掃など、人の営みと自然が融合した
「里地」としての保全活動にも汗を流す。
環境省や日本自然保護協会などの学術調査にも貢献。
環境省が全国1千カ所の森林や河川、干潟、里地里山の生態系などを調査する
「モニタリングサイト1000」の一つに選ばれ、
メンバーが植生などの定点観測を行っている。
全国のシンポジウムにも積極的に参加して情報発信を行っているほか、
同湿地のラムサール条約登録に向けた活動も進めている。