2010年5月13日(木曜日)
もんじゅの運転再開から今日で1週間。
3台のうち2台が故障したという燃料破損検出器のことや
制御棒の操作ミスについて、
市民の方や県外からもいろんな声が相次いでいます。
故障した系統の検出器が、1台しか動いていなくても
ホントに大丈夫なの?
これも故障しないとは限らないのに・・・
14年間、いったい何してたの?
体質は動燃のときとまったく変わっとらんやないの・・・
今日で1週間!のニュースも各報道機関がいっせいに
取り上げていました。
【読売】
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20100513-OYO1T00276.htm?from=top
「もんじゅ」再開1週間、トラブル連鎖…長期停止の〈ツケ〉
警報75件、すべて発表し混乱
日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」
(福井県敦賀市)が、ナトリウム漏れ事故以来、
14年5か月ぶりに運転を再開して13日で1週間となる。
原子炉内の放射性物質検出器の誤警報や
核分裂反応をコントロールする制御棒の操作ミス、
地元自治体へのトラブルの通報遅れなど、
再開直後から問題が相次いでいる。
長期の運転停止の〈ツケ〉がハード、ソフト両面で出ている。
■運転体制
運転再開後の6日から7日にかけて放射性物質検出器の
誤警報が6回続いたのを始め、
原子力機構はトラブル処理に追われている。
10日夜の制御棒の操作ミスでは、
機構の運転員に対する訓練不足など
運転体制の問題が浮き彫りになった。
機構によると、もんじゅには運転員が計40人おり、
中央制御室で1班8人の5班体制で、24時間監視している。
このうち、ナトリウム漏れ事故以前に
運転経験があるのは8人だけ。
操作ミスをした運転員は、電力会社からの出向で、
軽水炉原発の運転経験しかなかった。
制御棒の操作で、ボタンの長押しが必要なことを知らずに
「故障かもしれない」と思って作業を中断したという。
機構は14年余の停止中、中央制御室を再現した
シミュレーターで、様々な訓練を繰り返してきたが、
制御棒のボタンを長押しする操作は訓練に反映せず、
手順書にもなかった。
川端文部科学相は11日の閣議後の記者会見で、
「訓練していたはずの根幹の部分。
どうしてできないのか」と苦言を呈した。
福井大国際原子力工学研究所の望月弘保教授は
「停止期間が長かっただけに、世代を超えた技術継承が
うまくいかなかった面はあるだろう。
動かしていく中で経験を蓄積していくしかない」という。
■情報公開
9日から10日にかけ、安全上問題のない個所での
警報が75件も鳴り、機構はすべてを発表したが、混乱を招いた。
このため、公表基準を見直し、
重要度に応じた発表方法を検討している。
原発では、事故やトラブル後の情報公開のあり方で、
過去に同様の問題が起きている。
2002年、東京電力の福島原発などで自主点検記録の
改ざん問題が発覚した直後、同社は「信頼回復のため」として、
軽微なトラブルも含めてすべての不適合事例を
1日3~4回、地元自治体やマスコミに連絡した。
しかし、自治体などから「危険事例とそうではない事例が
一緒に公表されても判断できない」と指摘され、
03年11月、重要度を四つのランクに分けた公表基準を作成した。
福島原発のある福島県原子力安全対策課は
「公表基準ができてからは問題は出ていない」という。
石川迪夫(みちお)・元日本原子力技術協会理事長は
「問題の軽重を判断して示さないと不要な混乱を招く。
安全や運転に影響しない部分は原子力機構が
常識を持って判断すべきだ」と話している。
【毎日】
http://mainichi.jp/kansai/news/20100513k0000m040124000c.html
もんじゅ:再開1週間 トラブル続出
高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)が14年5カ月ぶりに
運転を再開して13日で丸1週間となる。
この間、装置故障やトラブルの公表遅れ、
原子炉の制御棒操作ミスなどが頻発し、国が注意、指導したり、
検証を指示する事態になっている。
95年のナトリウム漏れ事故で情報隠しを繰り返し、
「動燃体質」と批判された日本原子力研究開発機構
(原子力機構、当時は動力炉・核燃料開発事業団)。
再開直後の不手際に国や地元から注がれる視線は厳しい。
【酒造唯、安藤大介、関東晋慈、山田大輔】
運転再開初日の6日夜、原子炉容器内の燃料破損の
検知装置が警報を出し、同じ装置が7日午前10時過ぎから
さらに5回鳴動した。
3台ある同タイプのうち2台目も調子が悪くなり停止した。
再開前、原子力政策を安全面で監視する
経済産業省原子力安全・保安院は、最初のトラブルは
事の大小を問わず迅速に公表するよう
原子力機構に念押ししていたが、
警報後の7日午前10時の定例会見でも公表されなかった。
運転試験に立ち会っていた保安院は
「速やかに公表すべきだ」として独自に記者発表。
原子力機構が福井県と敦賀市に連絡したのは
同午前11時半ごろだった。
トラブルをいつどのように公表するのか、
原子力機構内で意思統一されていなかったのが背景にあった。
もんじゅの向和夫所長は「公表すべき事象ではないと考えた」、
広報担当の瀬戸口啓一・もんじゅ運営管理室長は
「後の会見で知らせようと思った」と異なる見解を示した。
10日夜には制御棒操作でミスが発生。
電力会社からの出向で、もんじゅの制御棒を初めて動かした
運転員が方法を熟知していなかった。
制御棒は3種類あり、操作方法も異なる。
ミスのあった制御棒は全挿入の4ミリ手前からゆっくり落ちるため、
最後にボタンを長押しする必要がある。
だが操作マニュアルにその記載はなく、運転員は知らなかった。
もんじゅを運転する発電課員は70人。
うち、ナトリウム事故前の経験者は14人にとどまる。
原子力機構は制御棒のシミュレーターを使った訓練を未経験者にさせ、
「経験は十分積ませた」と自信をみせていた。
しかし実際の動き方は違った。
◇国・地元、不信感募らせ
運転再開した6日の会見で、原子力機構の岡崎俊雄理事長は
「透明性を確保し、地元の信頼をいただける
運営を目指したい」と述べた。
その言葉とは裏腹のドタバタに、
国や地元自治体は不信感を募らせている。
7日午後4時ごろ、東京・霞が関の経産省別館にある
原子力安全・保安院長室を、岡崎理事長が訪ねた。
再開を感謝する岡崎理事長を、寺坂信昭院長は
「しっかりやらないと、これまでのことが台無しになりますよ」
と厳しくいさめた。
保安院幹部も「お礼を言っている場合か、
と返り討ちにした形だ」と振り返る。
原子力機構を所管し、もんじゅ計画を推進する立場の文部科学省。
8日の臨界に現地で立ち会った中川正春副文科相は12日会見し、
「構造的欠陥も含め、徹底的な原因究明が必要だ」と述べた。
地元からも厳しい注文がついた。
敦賀市の河瀬一治市長は7日の定例会見で
「ささいな情報でも出すことが情報公開の基本。
(原子力機構は)地に足がついていない」と指摘する。
【福井】
http://www.fukuishimbun.co.jp/modules/news0/index.php?page=article&storyid=21409&storytopic=34
もんじゅ再開1週間、課題表面化 情報公開や技術継承改善を
1995年12月のナトリウム漏れ事故で停止していた
高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)が
6日に運転再開してから、13日で1週間となる。
起動や臨界などの操作自体は順調に進んだが、
燃料破損検出器故障の公表遅れや制御棒の操作ミスなどが相次いだ。
情報公開や技術継承は、再開前から大きな課題として
指摘されていただけに、一つ一つの事案を教訓にして
改善につなげられるかが問われている。(政治部・西脇和宏記者)
日本原子力研究開発機構は運転再開後、
性能試験の第1段階に当たる炉心確認試験の20項目のうち、
制御棒の効き具合や中性子計測機器の機能、
放射線量など6項目の試験を進めている。
最初の計画停止を予定する15日まで試験を繰り返す。
原子力機構は「これまでのところ問題になるデータはない」とし、
順調な進ちょくを強調する。
一方で、事故から14年5カ月ぶりに原子炉を
起動した直後の6日深夜、燃料破損検出器が誤作動し警報が鳴った。
7日午前にかけて誤作動が続発し、
原子力機構は検出器の故障と判断した。
報道機関への公表が遅れ、立ち入り検査を行っている
経済産業省原子力安全・保安院が原子力機構に対して、
情報公開に万全を期すようあらためて求める事態となった。
原子力機構の情報公開の姿勢に対しては、
事故後の「ビデオ隠し」以来批判され続けてきただけに、
住民からは「組織の体質が本当に改善されたのか不安」
という声も出た。
保安院の根井寿規審議官は
「原子力機構の対応は十分とは言い難い。
報道機関を通じて国民や地元住民にいかに理解してもらうかを
工夫しなければならない」と苦言を呈した。
10日深夜には、制御棒の挿入作業が
運転員の操作ミスで一時中断した。
この運転員は、ミスのあった制御棒の挿入作業に当たるのは初めて。
制御棒が完全に挿入される直前には挿入速度が遅くなると知らず、
炉心確認試験のための手順書にもこのことは記載されていなかった。
もんじゅの運転に当たる発電課で運転員の資格を持つ職員
約50人のうち、事故前の運転経験があるのは今は14人しかいない。
中央制御室を模擬したシミュレーターで訓練を積んできたとはいえ、
実際に商業炉の運転経験がある電力関係者は
「実機を操作する緊張感はシミュレーターとまったく違う。
その緊張感の中でスイッチを操作する感覚は
やってみなければ分からない」と話す。
試験に関する手順書や要領書がきちんと整備されているかは
保安院が再開前に確認しており、問題ないと判断していた。
森下泰・地域原子力安全統括管理官は
「手順書に(制御棒の動きの)記載がないことは問題ではない。
運転員が基礎的な知識を把握していないとは思わなかった。
教育内容の再検討を求めた」と説明する。
事故後14年以上の長期停止による人材育成や技術継承の
「空白」を問題視する声は根強い。
京都大原子炉実験所助教の小出裕章さんは
「長期停止で技術を伝えることができなかった。
再開後のトラブルは起こるべくして起こったもの」と指摘。
「もんじゅは特殊な原子炉だが、
設計段階から携わった技術者はほとんどいない。
操作する機器を理解しているかどうかが重要で、
マニュアルだけでは解決できない」と言い切った。
炉心確認試験は7月下旬まで続く。
福井大附属国際原子力工学研究所の竹田敏一所長は
「高速増殖炉の実用化に向けた課題や問題点を出していくことも
もんじゅの役割で、今後もトラブルはあるだろう。
起きたことはすぐにオープンにして、
解決の見通しを示すことが大切だ」と話した。
【J-cast】
http://www.j-cast.com/2010/05/13066459.html
「もんじゅ」驚くべき作業ミス 制御棒の操作方法知らなかった
ナトリウム漏れ事故が原因で運転を停止していた
高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)が運転を再開して、
2010年5月13日で丸1週間を迎えた。
14年5か月ぶりの運転再開だが、警報機の誤作動や、
制御棒の作業ミスなどのトラブルが続出している。
その中でも、作業ミスの原因は
「増殖炉の根幹部分に当たる制御棒の挙動を作業員が
十分理解できていなかった」という驚くべき
ヒューマンエラーによるものだ。
トラブルは運転再開初日の5月6日から起きた。
同日夜から翌5月7日にかけ、3台ある放射性物質検知器のうち
1台が計6回にわたって、誤作動して警報を出した。
ところが、もんじゅを管理する日本原子力研究開発機構は、
5月7日午前10時の定例会見で発表せず、
周辺自治体などから批判をあびた。
ボタン「長押し」の必要性を作業員知らず
さらに、5月10日夜には、出力を下げるための
制御棒の操作でミスが発生した。
「微調整棒」と呼ばれる制御棒を一番下まで挿入する手順では、
残り6ミリの位置でいったん挿入を止めることになっている。
その後はボタンを小刻みに押して慎重に降ろす手順になっているが、
残り3ミリの時点で、計器の値に変化がなくなったことから、
作業員は異常が発生したと判断。作業を中断した。
本来ならば、この時点で、ボタンを「長押し」する
必要があったのだが、その作業手順を作業員が
把握していなかったことが作業中断の理由だ。
実際には、機器に特に異常がある訳ではなく、
作業中断から1時間40分後に作業が完了した。
訓練用シミュレーターから「微調整棒」挙動抜け落ちる
だが、驚くべきは、このトラブルが発生した背景だ。
運転員は電力会社から出向しており、
「もんじゅ」の運転は初めてだが、事前に
「シミュレーター」と呼ばれる模擬運転装置で運転の練習をしていた。
今回操作ミスが起きた「微調整棒」は、他の制御棒とは違って、
最後の3ミリについては速度が4分の1に落ちるのだが、
この挙動がシミュレーターには反映されていなかった。
そのため、作業員は「最後は長押しする」という作業が
必要だとは分からなかった。
さらに、作業手順書にも問題があった。
元々の作業手順書は「最後の3ミリは、制御棒が動くスピードが
4分の1になる」という趣旨の記述があったが、
今回行われている試験運転用に必要な手順だけを抜き出して
作成した手順書には、この記述が抜け落ちていた。
シミュレーターのみならず手順書でも、
本物の「もんじゅ」の挙動を事前に知ることができなかったことが、
トラブルにつながった形だ。
原子力機構によると、現在60人いる運転員のうち、
1995年のナトリウム事故の段階で運転経験があるのは8人のみ。
いわば、「もんじゅ」の実際の挙動を知っている人が
それだけ少ないということで、
作業スキルの伝承に不安を残す状況だ。
川端文部科学相も、5月11日の定例会見で、
「訓練・トレーニングしていたはずの根幹の部分で、
どういうことで長押しできなかったのか」
「制御棒の操作は根幹に関わる部分。
どうしてそうなったのか、検証するように指示してある」
と、苦言を呈している。