2011年5月4日(水曜日)
杉原千畝さん関連のニュース・・・
東京新聞から
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011050401000389.html
リトアニアに「人道の桜」 故杉原氏たたえ植樹
【ビリニュス共同】
第2次大戦中、ナチス・ドイツの迫害から逃れようとする
ユダヤ人に日本への査証(ビザ)を発給して
数千人の命を救った元駐リトアニア領事代理の
故杉原千畝さんの功績をたたえ、杉原さんの名前を冠した
同国首都ビリニュスの公園で3日、
「人道の桜」の植樹式が行われた。
杉原さんは岐阜県出身。
植樹を通じて国際交流を推進する「岐阜さくらの会」が、
今年は日本とリトアニアが外交関係を樹立して20年を
迎えることから記念植樹を計画。
ビリニュス市が協力した。
式典には約500人が参加し、岐阜さくらの会の川島和男会長ら
両国の関係者が植樹。
中心部を流れるネリス川近くの公園に、
寒冷に強い品種の桜計50本が並んだ。
冒頭、東日本大震災の犠牲者を悼み、全員が黙とう。
ゾオカス・ビリニュス市長は
「植樹にあたっては両国の友好と平和の願いと共に、
震災被害者への追悼の意も込めたい」とあいさつ。
川島会長は
「被災地は桜が満開になっている時期。
現在、日本は復興に向け一丸となって頑張っている」と語った。
この後、日本からの参加者ら約50人が、笛の音に合わせた
郡上おどりなどを披露。
ビリニュスの子どもたちは見事な空手の演技で応じた。
式典には明石美代子駐リトアニア日本大使や
岐阜さくらの会の杉山幹夫顧問(岐阜新聞・岐阜放送会長)も参加した。
こちらは、朝日新聞のBOOK 書評から
http://book.asahi.com/review/TKY201104260127.html
諜報の天才 杉原千畝 [著]白石仁章[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2011年4月24日
著者:白石 仁章 出版社:新潮社 価格:¥ 1,155
■情報収集と分析に優れた才能
1990年代のある時期、第2次大戦中に
ユダヤ人を救ったことで知られる、外交官の
杉原千畝にまつわる本が、続々と刊行された。
その数の多さに、いささか辟易(へきえき)した覚えがある。
すべてを読んだわけではないが、必要以上に杉原の業績を持ち上げたり、
逆に過小評価したりする傾向があり、それが不満だった。
情緒的な取り上げ方が多く、本来必要な学術的なアプローチが、
おろそかになっていた。
その点、本書の著者はきわめて客観的な分析を行っており、
等身大の杉原像を描き出すことに成功した。
ユダヤ人へのビザ発給問題もさることながら、杉原が携わった
諜報活動に論点を絞り、その業績を具体的に明らかにしたのは、
従来欠けていた部分を補う意味で評価できる仕事である。
ここでいう諜報は、地道な情報収集・分析活動を意味している。
それこそ、海外駐在の外交官の主たる仕事といってよい。
杉原はその方面で優れた才能を発揮し、やがて〈諜報の杉原〉として、
省内に知られる存在になる。
たとえば、満州国外交部に在籍した34年前後に、
北満鉄道譲渡に関して諜報活動を展開し、
交渉相手のソ連をうろたえさせたという。
おそらくそのために、のちにソ連勤務を発令された杉原を、
ソ連側は〈好ましからざる人物〉として、受け入れを拒否する
異例の措置に出た。
そのおり、杉原から事情聴取した外務省の記録
「杉原通訳官ノ白系露人接触事情」が、外交史料館に残っている。
著者は杉原研究の過程で、70年近く眠っていたこの史料を発見し、
本書を書くきっかけをつかんだという。
杉原幸子夫人をはじめ、関係者への取材も精力的に行い、
わずかに残された外交電信にも、目配りをきかせている。
純粋の学術書ではないが、従来のやや偏った杉原像を
正したところに、本書の価値があるだろう。
◇
しらいし・まさあき 63年生まれ。
外務省外交史料館に勤務。
外交史などが専門。