あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

送別会

2006-06-13 22:52:54 | Weblog
昨日は外科で送別会をしていただいた。やはり飲みすぎて夕方ぐらいまでつらかった。
早いもので、今週でこの病院ともおさらばなのであります。
来週からは、2週間休みをいただいて引越しと、卒業旅行とだいしてトルコへ行ってきます。ついでにトルコのカラゴッツ先生に会ってこようと思っている。

このブログ見てくれていた皆さんありがとう、新天地では仕事場ですぐにインターネットが使えるとは思えないので、しばらくはお休みすることとなるかもしれません。
またいつの日か必ず復活しますので、遊びに来てください。

自分なりの Philosophy をもて

2006-06-10 22:55:49 | スーパースターども
今日は次の勤務先である川崎へいって、新しいボスにチャレンジャーズライブのことを報告し決勝に出させてもらえるようお願いに行った、スケジュールの都合さえつければOKであり、人脈を広げてきなさいとのこと。ついでにボスの夢や野望や思想、人生観といったものをトクトクと聞かされ、もうすぐで洗脳されそうになった。アブねー、でもこの人に人生預けてみようと思った。

その内容、忘れないうちにかいつまんでメモしておく。

手術は手先でするものではなく頭でするものである、でも誰でもトレーニングすれば遅かれ早かれ手技的なことはできるようになると。診断から術式の選択、術後までトータル的なマネージメントができて初めて自分で手術ができると言えるのだと。
そして何より大事なのは、手術に対する自分なりのフィロソフィを持つこと、←ところでフィロソフィって何だっけ
このボスはテキサスのコセリのところへ留学して、毎日50cmの距離から見学して一挙手一投足すべてを頭に叩き込んできたのだと、そして、毎日コセリと会話して彼の大動脈外科に対する哲学をたたきこまれたこと。日本に帰る直前にコセリは手洗いしながらこう言ったらしい「君には何もさせなかったけど、日本に帰ったら君はきっと大動脈の手術ができるようになっているよ」
それまで日本では下行置換1例ぐらいしかやったことなかったらしいのだが、日本に帰って新しい病院へ挨拶に行ったらその日に解離が来て、まだ就職してもいないのに内科部長からやってみなさいといわれ、やったら第一例目1人でできてしまったという伝説を話してくれた。
それから、手術、術後管理はできて当たり前であり、惰性でもできると、多少寝不足でもできると、でもそういった日々の忙しい生活の中で、データを整理して発表して論文にまとめるのは、惰性ではできない。つまり、いくら手術や術後管理ができても、それは評価の対象にはならないと、その先、もう一分張りして論文にしなさいとのこと、うるさいことはあまりいわないようにするが、努力しているかどうか、しっかりと個人評価するのでそのつもりでやりなさいと言われた。
あと365日24時間携帯電話に出れる状態にしておきなさいと、電話に出なかったら次からはかかってこないと思いなさいと。

そして、外勤として行く病院から根こそぎ大動脈症例を集めてきなさいと、ただ○淵先生とこの近くであり、これまですべて○淵先生のところに症例を流していた病院なので、けんかしないようにうまく症例を選んでシェアしなさいと。
なんとも恐ろしい、しょっぱなから大きな課題である、でもやるしかねー。

ついでに新しい住まいを今日決めてきた、病院に一番近い部屋をお願いしたところ、2箇所ほど候補が上がり本日内見して、駐車場つき40平米、病院の隣が公園であるが、その公園をはさんだ向かい側で、徒歩1分、毎朝公園を通ってすがすがしく通勤?できるというのがポイントである。でも後から思ったが夏とか虫とかが多そう、まー寝るだけだろう。

NHK

2006-06-10 10:49:26 | テレビ
先日の予選会の模様は
7月1日(土)NHK「サイエンスゼロ」で放映の予定です。
通常午後7時からの放映で、再放送を次週の火曜日にもしているそうなので、みんな見てください。
先方の話だと、予選通過者で最初から最後まで撮影できたのは私だけとのことで、たぶん出れるはず。


僕の財産

2006-06-08 07:44:06 | スーパースターども
ここの施設で僕がいただいたものは、いくつかあるが、一番大事にしているのが、ボスの名を通じて知り合った、同世代のライバル達、そしてトップサージャンといわれる方々である。
外科の研修をしている頃、メスを輝けという漫画があって、その著者である高山路爛(本名、大鐘稔彦)氏にあこがれていた。
大鐘先生は当時としては珍しく医局を離れアウトローの道を進み、臨床を支えてきた方の1人である。彼の著書に「私の出合った外科医たち」という本があるのだが、30年間の外科道とその中で彼が関わった外科医を紹介しており、僕がアウトローの道で生きていこうと決心したきっかけの1つである。もう1人は南淵先生であるが、、、。

「僕の出合った心臓外科医たち」ってタイトルで出版社つかないかなー、なんか書けそうな気がする。なんて。

必勝法

2006-06-07 08:04:18 | チャレンジャーズライブ
もうすぐ、この施設ともお別れになる。最後に、これまでのこの施設で学んだことから、チャレンジャーズライブ予選通過の必勝法を含め自分なりのうんちくを述べたいと思う。
手術はテクニック---イメージの連動、メンタル面の制御から成り立つ

【テクニック】
これは学生時代の部活の練習と一緒で、ひたすら練習あるのみ。
少なくとも外科医であれば研修医の頃、暇さえあればそこらじゅうの机や椅子に糸結びの練習をした覚えがあるはず。これは子供の習い事と一緒で脳神経細胞が死んでいく前に、できるだけ若いうちから手先を動かすのが理想。
バイパスであれば、豚の心臓買ってきてひたすら練習するのである。
自分の場合は
以前このブログにも書いたが、ラッキーなことに僕の地域のスーパーでは、豚のハツを一個200円で売ってくれる。手術のない土日にしこたま買い込んできてこっそり手術室に持ち込み、有線をがんがんにかけて練習する。そして可能であればビデオに録画して、一吻合ごとにレビューしておかしなところを直していく。ポイントはたくさんあるのだろうが、僕が意識していたのはスムーズな針の持ち替え、つまり針のキャッチボールである。僕のは半分はボス、半分は渡邊剛先生がやっている運針を盗んだ。これは机の上でも絵を書いてできるし、日々の手術で皮膚を埋没連続で縫う際にも意識していれば練習になると南淵先生は言っていた。何ならマイクロのセッシと持針器で皮膚を縫わせてもらえばなお良い。

【イメージ】
一流のF1レーサーはコースの隅々まで頭の中にインプットされており、レース前のイメージトレーニングでは、本番さながらのように汗をかき、疲労感を覚え、そして驚くことに自分のラップタイムと寸分狂わぬタイムでゴールするという。
要するに頭の中にしっかりとしたイメージもち、それをいかにして自分の手で再現するかである。
僕は12針で吻合するが、その12針すべて、一針一針必ずうんちくがある、いつもボスが言っていたうんちくが自然と頭に入っていた。

川副先生も言っていたが、手術はイメージである。良いイメージを持つためには良い手術をしこたま見なくてはならない、まずは良い外科医に出会うことである。

【メンタル】
一番重要であり難しいのが自分の精神面のコントロールである。
スターウォーズでアナキンやその息子のルークがダークの道へ引きずり込まれそうになる、アナキンは負けてしまうがルークはフォースの力を信じ見事に悪に打ち勝つ。
チャレンジャーズライブ予選では、みんなテクニックとイメージはある程度できて挑んでくるのだろうが、緊張のあまりそれが100%発揮することができないのだと思う。
自分のリズムを持って、そこに自分の世界をつくりあげ、周りを巻き込み全員見方にして自分に有利な環境にしてしまうことだと思った。
そのためにはまず
敵を知ること、豚さんと仲良くすることである。豚さんで10匹20匹とやっているうちに、だんだん豚の冠動脈の走行とか特性とかもわかってくる、本番でもあせらずすぐにLADが見つけられる。
機会があれば学会でやっているウェットラボに参加したり、またテルモかエチコンの動物ラボでOFF-CABGを体験してくる。
そして、もちろん豚さんだけでなく審査員の先生方とも仲良くすることである、ラッキーなことに審査委員の方の半分以上は知りあいであり、本番中も冗談言いながら自分のペースでやらせてもらうことができた。
僕の場合一針一針吻合のポイントをずーとしゃべりながら吻合していた。これは自分のリズムを取るためであるが、結果的に審査員の先生方に対するアピールとなったと思う。途中、審査員の先生からはしゃべりすぎで減点項目は無いからいいよといわれたが、終わった後もずーとしゃべり続け、しまいには南淵先生からうるさいと怒られた。

当たり前のことばかり書いたが、それが日々の忙しい生活の中ではなかなかできない。ストイックな方なら良いが自分に甘い人間にはなかなか難しい。
どうするかといえば、ゆるぎない信念を持つこと、近場の目標を持ち、そして自分を自ら谷底に落として窮地に追い込む、そういう環境に自分をおくことでしょうか。

予選通過

2006-06-04 22:18:10 | チャレンジャーズライブ
今日は豚のCABGコンテストであるチャレンジャーズライブの西日本予選があって大阪まで行ってきた。今回の出場者は西日本ブロックで30人、そのうち決勝に行けるのは2人だけ、まー、倍率としては15倍であるので、医学部受験のときよりはいいか。
今回は、2回目ということもあり、あんまり勝ち負け考えずに、気楽な気持ちで挑んだのが良かったのか、さっき審査員の先生から電話きて、なんと予選で優勝してしまった。
この施設に2年いたおかげか、審査員の先生方みんなうちにライブやりに来ている先生たちなので、気さくに冗談言いながら楽しくできた、あんまり手も震えず、ボスのやり方をそのまま真似したら、一番に吻合終わってた、吻合部もコブラヘッドみたいになってた。
決勝は来月、病院移ってすぐなので、なかなか立場上出させてもらえるか、びみょー、なんとか、出させてもらえるといいのだが。
やはり手術というのは、いかに上手な手術を見ているかと、それを頭の中でイメージして、いかに自分の手で再現できるかなのかもしれない。自分で術者やっていなくても、なんか、うまい人のそのまんまコピーできればできてしまうのではないかと、今日あらためて思ったのである。

ちなみに今日はNHKが取材に来ていたので、みんな見てね、7月1日放送です。
ただ、先日ちょっと悪さをしてしまい、現在、丸坊主頭なのでテレビ映りは、ちと悪いかもしんないが、、、

卒業試験

2006-06-02 23:58:17 | 術者、勉強になった症例
今週は月曜日から緊急が入ったのを始まりにメチャ忙しかった、昨日はいつものごとくM病院で麻酔、でも何故か最初に気切を頼まれ、手術は午後から、その上、MVPでRe-pumpとなり、その日は終電間に合わず、今朝6時半の電車で帰って来る羽目に。
病院に帰ってきてオペ室直行、なんとか今日の症例の入室に間に合いAAAの麻酔導入していたら、他の上の先生が休んでいることもあり突然今日の術者が回ってきた、しかも、これがお前の卒業試験だといわれた。
これまで、AAAは4例やらせてもらってはいるが最後にやったのはもう去年の11月で半年以上も前であり、いきなり言われてイメージトレーニングする時間も無かったが、簡単な症例で前立ちの先生が最高の演出をしてくれたこともあり、何とか3時間チョイで終了。なんか半年以上もやってなかったが、いつも前立ちやっていると手順は自然と体が覚えているもので、あまり手を止めることも無くなんとなった。
細かい吻合のテクニックとかはやはり、経験が必要だと思った、今日の血管もガチガチであったがガチガチのときにどう逃げるか、縫えるか縫えないか、そういうのはある程度経験が必要だと思った。
最後の術者、気持ちよくやらせてもらえて、外科チームの皆さんに感謝いたします。
これまで、2年間ありがとうございました。