あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

ふっくら、すそ広がり吻合

2011-03-30 16:10:52 | Weblog
今週もoffCABGの担当をさせていただきましたが、5枝でまずまず満足、前は3本もつなぐと途中で集中力が切れかかってきましたが、なんとか集中して最後まで完遂。
いつも退院前のCAGで吻合形態をボスに怒られてばかりです。
一昔前までは、CABGはグラフトが開存していれば合格だったのでしょうが、カテーテルインターベンショニストが手術適応を決めているわが国では、長期の開存率も含め、CAGでの吻合部の印象は、外科医の評価と信頼、それによって、手術に回ってくる件数を大きく左右する時代であります。
IMAの吻合は現在、基本的にside to sideで行うようにしていますが、ボスの要求はレベルが高い、side to sideでは吻合部がふっくらとなるようにとのことで、最近ではグラフトとネイティブの切開長を2:1ぐらいのつもりで切開しろとのことで、本当にそこまでやるとタッシェだらけになり出血だらけになるので、実際は3:2ぐらいになるのだが、それでもかなり、あの細い血管を手繰り手繰りして径を合わせていくのは、かなり至難の業である。普通に縫っていると、でかいタッシェが残ってしまいアンバランスな吻合になってしまう。でもきれいに決まると確かに、術後のCAGでボワッと広がった吻合になり、内科医の印象は良いはずである。静脈についてはシークエンシャルを多用している、先端はend to sideで、あいだはdiamondとする。先端のend to sideもすそ広がりになるような吻合にしろといつも言われるが、そのためにはIMAと逆で2:3ぐらいにして静脈を引っ張りながら吻合するのであるが、静脈の径が大きいときなどは、ネイティブをかなり切らなければならず、血管によってはピンポイントということもあり、必ずしもそうとはもいかない。途中のdiamondは切開長が血管径を超えてしまうと、いわゆる天井がくぼんだガルウイング状態になってしまうので、2mmぐらいの吻合口となりますので結構神経使います、でも6針なので順調にいけばすぐに終わるけど。また、グラフトの走行に合わせて、1針吻合をずらすという、これまたややこしい要求も多くなってきた。あたまが、混乱するのである。あるセミナーで、弁形成の権威であるおえらい元教授が、CABGなんてのは単なる末梢血管だと言って、弁形成こそが心臓外科の真髄みたいなこと言われたけど。開存率と遠隔期成績はどんなものなのだろうか。確かにバイパスは心臓外科にとって基本の基であることは確かである。あの先生は、神様レベルなのかもしれない。
まー、バイパスサージャンにとっては、こんなテクニックは考えずに自然と感覚でやってしまうものかもしれない。ボス曰く、そんなことは考えるものではない、言われなくてもできるのが、デリカシーというもんやと怒られていますが。
私にはとてもとても、言われてもなかなか思うようにできません。
J大のA教授は吻合に関してはかなりうるさい、一針ずらすとか、コブラヘッドとかこだわっていました。
今度、A教授に、また来ていただくことになったようなので、吻合のサイエンスについていろいろと議論をしてみたいと思います、楽しみです。

坐骨神経痛

2011-03-27 23:22:34 | Weblog
なんだか、先週からおそらく坐骨神経痛らしきものに、なってしまって、小生やや苦しんでおります。日頃の不精がついに体に出てしましました。昨年ぎっくり腰を2度ほどやりましたので、そのころから始まっていたのでしょう。
暖かくなって来ましたし、ガソリンはハイオク160円超えましたし、震災の影響でガソリン不足ですし、足腰を鍛える意味で、また、歩きか自転車で通勤しようかと思っております。部長が4月からは集合時間少し遅くするようなこと言ってたし。
ゆっくり歩いて40分、自転車では15分(車と変わんない)てとこですので。
ただ、夜がねきつい、2件終わって遅くに歩くのは、正直しんどい、バスの時間を調べたら最終が21:30であった。2件の日はまず無理かな。メイン終わったら、手術入ってない人は帰っていいというような交代制になればいいんだけど、以前、関連病院立ち上げの前に、医者と看護師と研修に来ている時は、人がたくさんいたので、そういうこともできたのだが、いまは、看護師が2人しかいないので、術中も人手がいるし、術後もできるだけ片付け手伝わないといけない、、、のか。こっちの身が持たんという考えもあるが、看護師さんあっての外科なので、、、。
まーとにかく、少し下半身を鍛えよう。あと来週末にカイロプラティックスなるものを予約してみた。

今週の予定は、今のところ5件、CABG*2、AVR、SAMによるMVR、CABG+MVP(+Dor)、あとは昨日FPが詰まった方が入院されたので、どっかでやるかも。CABGかAVRを担当させてもらいたいものです。
来週は4月ですが、入学式などなどのシーズンです、うちは子持ちの看護師さんも多いので、手術なども当然、入れちゃダメと言われ、何も入っていません。
このすきに、遊びに行くか、いや、ペーパーかき上げなくてはいけないが、でも、やっぱり遊び行きたいなー。

年度末

2011-03-25 01:48:34 | Weblog
今年度も終わりに近づいてきました、当院も内科の先生が3人辞められ、変わりに3人入職されるようです。外科もレジデントが7月から抜けてしまいますので、次のレジデントがいつ来るのかは、まだ不明、しばらく忙しくなりそうです。
看護婦さんがどれだけ入職してくれるかに、うちの病院の存続がかかっているかな、というよりどれだけ残るかかな。
忙しいの仕方ないが、それに対する評価というか、なんというか、使い捨てにしか考えてないのが悲しい。
理事としてはそれでいいのかもしれないが、この10年で70-80人ぐらいは新人NSいたと思うが、9割は、いじめか、燃えつきか、過労を理由に1年以内にやめていったな。気持ちよくやめていく人を見たことがない。まー、院長が没しないかぎり、変わりはしないので、あきらめており、私は口を出さないことにしていますが。
来年度は、看護婦さんが辞めずに、少しでも働きやすくなることを祈っておきます。毎年同じこと祈っているが。

今週は内科のライブが予定されていたので、外科は入院制限あり、手術は一日一件、今日は急性のMRが2例目に追加で入ったようですが。
今週は私は久しぶりにASを担当しました。これでAVRは10例ぐらいになるでしょうか、ようやく、弁を切除するのを少し楽しくできるようになってきました。CPは2発で遮断75分とまずまず、うちの施設の標準に近づいたかな。
来週は何だろう、何か担当させてもらえるといいのですが。

論文がたまっている

2011-03-18 01:21:10 | Weblog
現在進行形の論文が3つほどあります。一つは先日、ようやく最終原稿が来まして、5月ぐらいに世に出ることになりそうです。もう一つは、投稿したら、いきなりけちつけられまくって、採用不可でつっかえされました。私の勉強不足なのですが、しかし、せっかく書いたので、手直しして、別の雑誌へ出そうと思って、はや何ヶ月?。どこか審査がゆるいところはありませんですかね。もう一編は現在書いているところですが、8割がた完成、これは何とか英語にしたいと思っていますが、書き方がわからん。いつになってしまうことやら。でも、なんとか誰かに先を越される前に世に出したいものです。
最近、学会活動に頑張りすぎかもしれませんが、いつ、資金が出なくなるかわかりませんので、今のうちかもしれません。
来月は沖縄、次はタイ、その次は香川、次は長野ととりあえず、手当たりしだい演題出しました。
給料に反映されない分、病院もちでドンドン行かせてもらいます。

OPCABGのラーニングカーブ

2011-03-17 22:17:44 | Weblog
手術にはラーニングカーブがあります。もちろん、いきなり初めての手術から、ボスと同じようにできてしまう天才も世の中にはいますが、私のような凡人にはそうは行きません。
現在、欧米でのoff-pumpの割合は2割程度でしょうか、それに対して日本の約6割のCABGが拍動下で行われ、まさに日本で確立されていった手術といってもいいかもしれません。それは日本人が故の繊細で器用な面が大きく関係しているのだと思いますが。
当然、うちのボスも先駆者の一人でありますので、ほぼ全例off-pumpで行いますが、若手のトレーニングとしてはいかなるものか。手術が学会などで講演を聴いていても、off-pump派の先生方は、当然ですが、ほぼ100%off-pumpで行っており、あたかもoff-pumpは完璧、どんな症例でもできる、成績も開存率も良いと言っておりますが、どうなのでしょうか?、日本でoff-pumpが始まってから、14-15年でしょうか、現在off-pumpを専門としている先生方で、最初の1例目からoff-pumpでやった先生は、あまりいないのでは、、、。うちのボスも、最初の何百例かは当然ですが、on-pumpで止まっている心臓で行っていたわけで。off-pump施設における、われわれ若手?(もう若手でないかも)はどうなるのでしょうか、手術は半分、いやそれ以上が生まれ持ったセンスによるところが大きいと思いますが、off-pumpのラーニングカーブとはどんなものなのでしょうか、何を持って上達したかにもよりますが、onよりは時間がかかるのは想像つきますが。
先日、千葉の学会で他大学の同級生に会いましたが、彼の施設はほぼon-pumpで、彼もそれでトレーニングを受けていると、目先のことを考えてしますと、ついうらやましいと思ってしましますが、考えてみれば、へたくそな私のoff-pumpにいつも我慢して付き合って教育してくれるボスに感謝せにゃいけませんね。ということで、その彼と話していたのですが、いつかoff-pump世代における若手心臓外科医のトレーニング:同世代のonとoffのラーニングカーブという感じで、on-pumpからトレーニングした彼とoff-pumpからの私とで経歴や成績など比べて発表しようかなんて話がでました。100例ぐらいは必要でしょうかね、そうなると私の場合あと2-3年は先になるかな。ちょうどいいかも。

祈るばかり

2011-03-17 21:46:35 | Weblog
まだまだ、余震が続きます。原発の問題もなかなか解決しないようで、しかし、みんなテレビでは決して現場に行かないような人たちが、責任者や政府を責めるような発言をしており、残念です。誰かのせいにしたい気持ちはわからなくはないですが、人を攻めるのは一番簡単です、でも今そんなことしても、何にも解決にはならないと思います。総理にはとにかく頑張ってほしいです。

私にも何かできることはないかと、考えていますが、いまのところ募金ぐらいのものです。被災地も大変ですが、私の病院にも1ヶ月先まで手術を待っている患者さんがいますので、とにかく今は自分のやることをやるまでであります。

今週も一例、CABGを担当させていただきました。CABGを担当させてもらうようになり、約1年半、ちょうど25例で、70本ほどつないだことになります。恥ずかしい話、これだけ経験させてもらっておきながら、あまり、自分では成長したように思えません。今までの少ない経験からして、おおよそ手術というものは30例が一つの区切りだと思っています。このころから指導医なしでできるようになるのが理想です。最近、ちらほらとSVGの吻合前や、中枢の吻合前にボスが手を下ろすようになって来ました。しっかりとやっていかなければいけません。

実家からSOS

2011-03-16 19:02:01 | Weblog
震災から5日たちましたが、まだまだ、その後の2次的な災害は続いています。
私たちのところは、震度4程度で被害はほとんどありませんでしたが、やはり、ものが無くなりつつあります。
周りのスーパーでも、水や米といったものが売り切れ状態で、おそらく、被災地へ優先的に回していることや、個人的に送っている方もいるでしょうし、東海地震に備えてなどいろいろあると思います。
実家の東京でも、当日は電話がつながらずに、家族の安否がわからず、心配しましたが、無事で何よりでした。
しかしながら、東京では食糧調達が大変らしく、うちの実家はコンビニですので、食料の心配はないと思っていましたら、昨日電話があり、店の商品はほぼ空っぽ、自分たちの食べるものも、底を尽きかけていると。
とにかく、一番ほしいものはと聞くと、お米がどこにも売ってないとのことでしたので、すぐにスーパーをめぐり40kg手に入れることができましたので、宅急便で送りました。無事届くとよいのですが、昨日、静岡でも地震がありましたので、どうなる事やら。
病院でも、いろいろと物品が届かずに、治療が制限されてきています。
透析関係や、手術の糸など、もろもろ、東北地方に工場があるものなどは、しばらくは目処がつかないようです。
やれる範囲で、手術も続けていきますが、まさか、被災地でない、こんなところまで地震の影響が及ぶとは思ってみませんでした。
また、当院にも医師会より被災地への医師の応援要請がありましたので、何ができるわけではありませんが、仕事の都合がつくようなら1-2週間でも行こうと思います。

エルステMVR

2011-03-04 17:51:51 | Weblog
今週はMVR+TAP+MAZEを担当させていただきました。左房はでかく、視野は比較的良かったのですが、それでもやはり、自分でやってみると、見ているのとは雲泥の差でありまして、ここほれワンワンと吠えまくりながら、遮断116分、手術300分とやはり平均より60分ぐらいはオーバーでした。やはり、ボスからは術後に、丁寧だが、遅すぎるーとおしかりを受けましたが、術後は問題ありませんので、まー、よいでしょう。最近ではMVRなどは月に1例あるかないかになってしまいましたので、貴重な症例です。
エルステということもあり、2例目の途中でお寿司15人前買いに行きました。
最近ではあまり、こういった習慣もなくなったのかもしれませんが、スタッフに感謝の気持ちを忘れてはなりませぬ。
大学の頃はよく、初めての手術のときは、オーベンが、今日は○○のおごりで、寿司が出るぞーなんて、看護婦さん達に言いふらされたりしたものですが。
うちも今は忙しい時期になりましたので、2例目が終わるのが12時近くとなってしますと、なかなかみんなで夕食とはいきません。
部長も、オペ室2つにしてくれるように院長にお願いはしているみたいですが、なかなかね、くさい、汚い、赤字で、外科はどこへ行ってもお荷物ですからね。カテ室4つもあるのだから、一つ恵んでくれ、ぷんぷん。
先週のCABGの方も4本ともpatentでつながってまして、何とか、私の首もつながりました。
カテ室でドキドキしながら、見ていましたが、グラフトが写るまでは、気が気ではありません。
これでまた、次につながります、あまり、追い込んだり、極度のプレッシャーをかけられるのも、いいことではありませんが。
J天のA先生は、グラフトフェラーがあったら、もう二度と、そいつにはCABGさせないなんて言ってましたから、あそこは厳しいのでしょうね。わたしもCABG担当から外されないように頑張るしかありません。
来週もCABG2件含め、6件ほど予定が入っていましたので、また、仕事をもらえるとよいいのですが。
しかし、オペ室NSついに1人倒れ、本日は外回り一人のみ、久しぶりにレジデントの器械だしとなりましたが、レジデントにもいい勉強でしょう。手術がわかっていないと、ものは出せませんからね。