あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

なかなか厳しいのー

2011-09-29 20:39:42 | Weblog
今週は緊急が一つ入りまして6件となっています。
緊急で来た解離の方は、部長らがまだCABGやってましたので、私がMTして、CCUで挿管しラインもすべていれて、後はオペ室があくのを待つという状態まで持っていきまして、上行置換のみで済みそうでしたので、当然ながら、担当させてもらえるものとばかり思い、手術室入室したら、部長が何も言わず、ヘッドカメラして手洗いし始めて、、、、。
自分で受けてMTし、すべて段取りした症例ぐらい担当させてほしかった。自分でできない手術であれば、当然、上のものに、そのまま譲りますが、最初に担当させてくださいと言えば、そうなったのかどうかわかりませんが、何も言われなかったので、手術中に個人的な感情は持ち込んではいけませんが、ちょっと納得いかないまま前立ちを勤めました。
止血にやや難渋しましたが、無事終了したからいいものの、MTした手前、なにかあったら辛いものです。
個人プレーではやっていけない仕事ですので、あまり、ハングリーを出してはいけないものですし、私も上司がMTした手術を担当させてもらっているので、お互い様といえばお互い様ですが、ちょっと勝手に期待していただけに残念です。そうそう甘くはないですね、これからは先に申し出るだけ申しでてみようと思います。
私も自分の人生考えないと、このままでは独り立ちできないまま、タイムリミットの40代に手が届いてしまいますので。
まー、済んだことはとっとと忘れて、次のチャンスを待ちます。
今の私にできることは、一度経験した症例は、2度目は一人でできるように1例1例大切に、他人に流されないよう、自分のスタイルは貫き通して、消化していきます。

よーくわかった。

2011-09-28 06:18:29 | 術者、勉強になった症例
バルサルバ動脈瘤の破裂とVSDの方の担当をさせていただきました。
あまりお目見えするものではありませんが、準緊急に近い疾患であります。
30代に多く、1型のVSDやARの合併することもあります。
前日にボスと術式について話していたら、突然、んーなら、やってみるかと一言。
いつもながら、もうちょっと早く言ってほしいと思いましたが、途中でお取り上げにならないよう、しっかり糧にしなくてはいけません。
これまで恥ずかしながら、バルサルバの破裂も、VSDも手術に参加したことがなく、解剖学的位置関係がいまいちピンと来ず、一晩、解剖書と手術書とビデオを穴があくほど眺めてきました。
手術としてはPAを開けて穴を閉じるだけですので、それほど難しい手技ではありませんが、イメージができてないと、わけわからなくなります。
実際は解剖書や手術書通りであり、問題なく、4時間弱で無事終了、すぐに抜管できて一安心です。
もちろん雑音は消えました。
実際に自分の目で見て、はっきりとわかりました。
バルサルバの破裂、1型のVSDとともに初めての経験でしたが、一度に2つ経験させていただき、ありがたいことです。
今の私としては、CABG3-4例経験させてもらうより、ある意味では勉強になるかもしれません。
同じ症例であれば次は一人でも行けそうですが、ただ、先天性というのは術前の画像診断と違ったり、開けてみないとわからないこともあったりするので、そのつもりで臨まないといけないと思います。
今回の教訓としては
1.遮断の前にPA切開しておかないと、当然、心臓がパンパンになる。
2.PAの切開は意外とバルサルバが高めなので、思ったより高めで切開するのがよい。
3.心筋保護はAR無ければ、破裂部位をセッシでつまんでおけば入る。
4.サックと大動脈弁輪をしっかり見極めて、サックのみを切開し、弁を切り取らないよにする。
5.パッチは大きめにしないと、弁がひきつる。
6.破裂部位を閉じてしまえば、解剖学的には1型VSDとなり、修復したバルサルバをLV側に押し込んで、何もなかったかのように1型VSDのパッチ閉鎖をそのまま行えばいい。
まだまだいろいろとありますが、忘れぬうちに、、、、。

透析

2011-09-26 18:38:32 | Weblog
ここのところ、また透析患者さんが増えています、先週は4例が透析であり、外科入院の半分近くが透析患者さんという、まるで透析病院にでもなったかのようでした。透析というだけでリスクが上がりますので、慎重に管理していかなければいけませんね。
そいでも最近は筋弛緩剤を変えたのもあり、透析患者さんでも当日に抜管できるようになってきましたし、離床も早くなってきましたので、非透析患者さんと同等の入院で済むようにはなってきましたが、気を緩めるときっと痛い目を見ますね。
先週から少し手術も減ってきまして、少しゆっくりできそうな気配がありますが、どうでしょうね。
また、今週もチャンスいただけるよう、活かせるよう頑張ります。

やはりcarpentierさんかな

2011-09-16 02:32:14 | Weblog
今週は1年ぶりにMVPを担当させていただきました。ボスにはお願いしていたのですが、現実はなかなか回って来ませんので、自分の外来でMTしたのでお願いしました。
TTEでも後尖の逸脱でしたので、これならいけると思いました。
TEEでもやはりP2の1/3を超える、弁高20mm強の逸脱でしたので、澤崎先生の提唱している砂時計型切除で弁の高さを合わせるようにして形成し、決まりました。やや弁を切り過ぎたのかカーテン現象気味になったのですが、リングで弁輪が多少縫縮されてテンションも取れて、ちょうど良い形になりました。
carpentierのreconstructive valve surgeryという大御所のテキストがあり、また、今、読み返していますが、非常にわかりやすくてよいテキストですね。以前、関連施設の先生から教えていただき、私も購入しました。
英語ですのでとっつきにくいかと思いましたが、イラストがふんだんに使用されており、私でも理解できます。
このテキストを読むまでは弁形成については、いまいちコンセプトを理解していませんでしたが、今はだいぶわかりました。
今回は砂時計で行きましたが、やはり後尖の基本は四角切除で弁輪を締めるのが良いのかなという気がします。
なんていったって世界で一番形成やってる先生が提唱しているのですからね。
また、後尖の症例がありましたら担当させてもらいたいものです。

悪い子はいねえかー

2011-09-12 15:04:56 | Weblog
ふと医局の壁を見たら、来年の心血管のポスター貼ってあったけど、秋田だってmmm。
でも演題締め切り今月だった、何にしようか迷ったが、考えていたネタはいくつかあるが、400-500のデータなので、もうデータを集めている暇はなし。ちょうど先ほどATSにsubmitしたHOW TOものがありますので、そのまんまビデオ演題で出しちゃいました。
秋田といえば、研修医のころ、7-8人で秋田の脳研に研修に行って、遊んできた覚えあり
なまはげ博物館で、悪い子はいねえかーと迫力あるなまはげみたなー、結構、まじで怖かったよ。ありゃ、悪ガキも言うこと利くようになるわ。あとは畑のキャビアといわれるとんぶり、じゅんさい、きりたんぽ鍋、それに地鶏、、、、。食べるものばっかですね。あとは男鹿半島にもいきましたし、ウニも取って食ったな。
来月は血管外科の締め切り、そして今年のウインターセミナーは山形・蔵王です。昔、ジョンジョンのラボの帰りに樹氷を見に行きましたよ。温泉はPH2でタオルがぼろぼろになるぐらいでしたが、肌はつるつる、というか溶けてるだけ?
気持ちよかったなー、演題締め切り11/30です。やはりウインターセミナーあたりは、苦労した症例ややってしまった症例をだして、みんなで本音であーだこーだ言うような症例報告がいいですね。普通の演題ではつまらんでしょ。

ちょんぎれてた

2011-09-12 01:22:05 | Weblog
先日は夜間に解離が来まして、ボスや部長が来れないとのことで、わたくしが担当させていただきましたがなんとかなりました。
もともとRCAのAMIを伴っていまして、前医でPCIを試みましたがカテが解離腔に入ってしまうとのことで、手術となりました。開けてみたらRCAの入口部がちょん切れていました。AMIでしたので冷やしている間にRCAにはバイパスを置いていたので、心筋保護はよいのですが、これまで、離断してしまっている症例は見たことがありませんでしたので、はてどうしたもんかと、、、、。ボスなら迷わず、ベントールへ行くのでしょうが、私はいまだベントールは未経験ですので、とりあえず、修復しかないと。苦肉の策でパッチで内膜の入口部は閉じて、バイオグルーでがっちり固めて、#1はフェルトでつぶして閉鎖することとしました。これでだめならベントールしかないなと思いつつ、上行置換とA弁釣り上げにSVG-#2として、なんとかなりました。6時間と時間はかかってしまいましたが、ポンプ離脱後の止血にもさほど苦労せずに終了。恵まれていることに、これまでOPCABをそこそこさせてもらってきたおかげで、バイパスに対する抵抗感がありませんので、おかしければ即、バイパスを置くことができます。しかもon-pumpですので、かなり楽に感じます。しかし、AMI合併の解離の成績はやはり厳しいもので、目は覚めたので頭はよいのですが、まだLOSが続いており、CVP高くて完全な右室梗塞といった感じです。どこまで心臓が回復してくれるかによりますが、なんとかしたいものです。バイオグルーは初めて使いましたが、10秒程度でガチガチに固まりますので解離腔の閉鎖には安心感があり最高ーですが、吻合部に外から塗布するのは、よし悪し、今回も末梢側は丁寧に縫いましたので、運よくか、バイオグルーのおかげかわかりませんが、針穴からも出血はなかったのですが、中枢側がね、へたくそな吻合でしたので、やや出血してしまい、バイオグルーのおかげで、周りの脂肪ともくっついちゃって、どっから吹いているかよくわからず、、、、おまけにガチガチに固まってしまっているので、追加吻合がやりにくい、、、。
そもそも出血させるのがいけないのだが、やはり、針穴程度の出血にはよいのであろうが、へたくそな吻合の外科的出血には、さすがのバイオグルーも歯が立ちませんね。当り前か、、、バイオグルー塗布する前に、怪しいところは追加しておいたほうがよかったかな、、、ちょっと反省、でも血流再開の前にドライな状態で塗布しないと意味ないしね、、、うーん、まー、そもそも、こんなのに頼っていてはいけないのだな、きれいに吻合することですね。大体において、末梢側はえらい丁寧に吻合するからよい出のあるが、中枢側はどうしても末梢側が固定されているし、気が抜けてしますのでしょうか、吻合の精度がおちると思われる。吻合の方法も、少し検討してみたいと思う。あともう一つ、私は大血管のグラフトはいつもかなりツンツンにするのが好きなのだが、今回もツンツンにしたら、SVGの中枢吻合を置くスペースがあまりにも無くて苦労した。これも反省点、、、バイパスを追加するときは、もう少しグラフトに余裕を持たせるか、もしくは血管径にもよるがややべべリング状にというか、斜めにカットして人工血管の全面だけを広くとるようにすべきと思った。いろいろと自分でやってみると反省点が出てきます。前回の解離のときも両側のAMIを伴っていた症例であり、両側にステント3本入れてもらっていたけど、結果的にポンプ離脱後に、あとからバイパスが必要となり、その反省を踏まえ今回は先にバイパスを置いたのですが、前回はポンプ離脱後ということもあり、パーシャルかんだらえらいことになり、人工血管のパーシャルはかめないということが判明したのでした。
なかなかシンプルな解離に当たらないのですが、今回もいろいろと反省点がありまして、結果的に救命できましたのでよかったですが、また次につなげたいと思います。