あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

連日連夜

2012-10-21 07:04:35 | Weblog
学会では連日連夜、夜中まで飲み明かしました。
古巣の方々初め、初めての方々まで
屋台では夜中の一時に、いまや神の手となった先生に遭遇し、声をかけていただき、久しぶりにお元気なお姿を拝見しました。向こうも2次会3次会と思われ、大変陽気で、いつもの厳しさはなく、地雷を踏んではいけないなと思いながらも、つい、酔った行きよいに任せて、誰か若い人いませんかとお願いしてみましたが、見事に撃沈、頑張れよーとの一言をいただき、勇気がわきました。

昼間も、会場にいながら、いつもながら講演は聞かずに、情報交換にいそしんでしまいました。

帰ってからすぐにできそうな小技をいくつか見てきましたが、一つはドーナッツ先生の発表していた2mmの吸引管を使ってIMAを剥離するというお話、これはよさそうだと思い、早速帰ってきて、オペ室の中をあさってもらったら、2mmの吸引管転がってました。早速、ドーナッツ先生にメールしてビデオを送っていただこうかと思っています。

あとは、10mmの脳ベラを丸くして、マリアブルリングとして、大血管の吻合のときに使うというお話。これも、オペ室に転がってた。

それと、自衛隊中央病院の先生で弓部置換のときにのステップワイズで東急ハンズで売っているシリコンチューブを使うことで、人工血管人工血管吻合が必要なくなるというお話。しかし、この辺、東急ハンズ無いんだよな。ホームページで探してみたけどそれらしき商品見つからず、確か、この前どっかで発表したとき、自衛隊中央病院の先生から質問されて、名刺もらった気がするので、連絡してみるべし。

あとは、結構、解離のときの心尖部送血や上行送血がやられだしており、まー、確かに順行性送血は大事だが、前に教えていただいた千葉西の方法でもいいかなと。

ASVについては、しっかりとランチョンをきいてきました。うちでも試験的に全症例に使用しているけど、あまり前例がなく、評価項目をどうしようか悩んでいましたが、講義を聞いて、プロトコールのヒントになりました。

この学会のもう一つの目的としては、誰か若い先生に来てもらえないかということで、いろいろな先生にお願いしてみましたが、地方のアウトローの民間病院に来ていただくのはなかなか難しいかなと。そこで、思いついたのが、チャレンジャーライブ、かつて私も決勝まで進ませていただき、楽しませていただいたあの企画です。
あそこに這い上がってくるやつは、みんなそれなりのモチベーションと技術を持ったつわものです。そこに忍ばせてもらって、あわよくばスカウトするということを思いついた。かつて、あの場でスカウトされて、ウン千万で買われていった先生もおった、、、。
そこで、よこしまな考えではあるが、座長を終えたオーガナイザーの先生を待ち構えて、お願いしました。いちおう、若い人をつかまえたいと理由を伝え、ちょっと渋い顔をされていたが、なんとか、決勝会場で雑用をさせていただくことになりました。
まー、そー簡単には行きませんが、私もお世話になった企画です。いまさらながらですが、お礼奉公の意味も含めお手伝いかねて、のぞきに行こうと思います。

学会から帰ってきた日は、夕方はそのまま医師会の講演に行ってきました。いつも患者さんを送ってくださる先生がたにお集まりいただき、少し手術のビデオなんかを流しながら、お話をさせていただきました。
近隣の先生方は就任した当時に50件ほどあいさつ回りをしましたが、今回は車で1時間近くかかる地域の先生がたなので、あいさつ回りはしていたかった地域です。それでもちょくちょく患者さんの紹介をいただくので、顔を合わせて、少しアルコールも入りましたが、ご挨拶ができて良かったです。顔も知らない先生方といつも手紙の文面だけで患者さんのやり取りするというのは、お互いになんとも、もう一歩、踏み込めないところや遠慮が生じてしまうものです。顔が分かれば、多少、無理なことも、頼みづらいことも、お互い頼みやすいというものです。
かなり緊張しましたが、行ってきて良かったです。

来週は末梢血管、MICS-AVR、MIDCAB後の再CABGの3つです。最後のCABGは、LITA-LADが開存しており、この場合、普通はRCAとCXにはPCIが適していますが、造影剤ショックを繰り返しており、CABGとなりました。なかなか大変な手術になりそうです。

一安心

2012-10-16 21:03:19 | Weblog
昨日の解離の方は今朝になり無事目が覚めてきました、まだ少しボーとしていますが、単純循環停止ですのである程度は仕方ないかと思います。
先週のMICS-AVRの方のエコーも問題なく退院が決まりました。また、DCMの方も結局、翌日に抜管、IABPもウイニングできて3日目で抜去でき、カテコラミンとハンプがくっついてはいますが、今日は離床してくれて、こちらも一安心です。

これで安心して学会へ行けるかな。

4-0SH1のおかげか?

2012-10-15 17:42:29 | Weblog
今日の解離は内膜の亀裂が上行だけでしたので、上行置換のみで、220分で終了、やはり針と糸が同サイズという4-0SH1という針を試しに使って、それが良かったのか、なんなのか、吻合部からは針穴の出血すらなく、循環停止30分、遮断時間80分、人工心肺130分ということで、ちょっとした弁置換並みの時間で終わりました。
スタッフもみな、夜までを覚悟していたようですが、私も普通に家で夕飯食べれます。
これまでとはいっても、3例ほどしか経験はありませんが、どれもこれも6時間近くかかっていたことを考えると、今日はかなりの進歩?というか、ラッキーなだけだとは思うが、なんとかなるものである。
しかし、LIQRの2時間と比べると、これでもまだ、半分近くは無駄があるのか、んー、きりがないです。
私はこれで十分です、手順や手技はこれ以上はないかなろ、後は、兎に角、出血しない吻合、それと、手洗いNSをもっと鍛えないといけないかなと。
とにかく、今日はやったーという気分です。

あとは、目が覚めてくれれば、学会もいけるかな。

ULP

2012-10-15 07:29:09 | Weblog
今週は水曜日から学会参加ということもあり、手術は入れていませんでしたが、週末に解離が来ました。血栓閉塞でしたので、保存的にと思っていましたがULPがあって、こまめにCT取ったら、開通してしまったので、これからやることになりました。
たぶん学会いけないかも、仕方ないけどね。

サルコイドーシス?

2012-10-13 05:37:47 | Weblog
先日の症例はDCM likeとのことでEFが20%程度で心不全入院を繰り返しているMRの方です。DCMという割にはDdは40mm程度しかなく、壁もペラペラなわけではない、全体に動いていないが、特に中隔が全く動いておらず、サルコイドーシス?を疑うところであります。
4年前にtetheringによるMRでring plastyが行われており、今回はカテコラミンが外せない状態とのことで、まだお若い方ですので、一応、移植の登録についての話も説明しながら、再手術となりました。
今回もご指導いただいた先生に、新しいことをたくさん教わりました。
安全な再開胸の方法、ハーモニックによる癒着の剥がし方、癒着の強いとこ弱いとこ、心膜を残したアプローチ、山を越えないタバコ縫合、再手術のときの遮断の部位、経中隔アプローチによるMVR、前回の弁やリングのきれいなはずし方、心膜斜洞について

単純にMVRとTAPだけでしたので、遮断は70分程度で終了し、IABPを入れてポンプはすんなり降りられましたが、勝負はこれからですかね、遮断は短いので、そんなに心筋ダメージはないと思いますが、しばらくIABPサポートしたほうがいいのか、覚醒はしているので、もうウイニングしてしまったほうがよいのか、やや迷うところであります。


単結節

2012-10-13 05:11:08 | Weblog
今週の1例は、また鏡視下のMICS-AVRを行いましたが、やはり私も含めスタッフ全員がまだまだ慣れないため、セットアップ含め、遮断時間もいつもの倍かかってしまします。遮断までに90分、遮断が150分、止血で60分、閉胸だけは20分ぐらいで終わるのですが、特にトラブルなくてもこの時間です。この術式の考案者であられる今の指導の先生は、やはり3-4時間程度で終わらせており、通常の正中切開とさほど変わらない時間でやってのけます。この切開では何かトラブルがあったら、トラブルシューティング自体が大変な視野ですので、時間がかかれど、トラブルなく完遂することが大事です。
この視野でのAVRはいろいろなトラブルを想定してやらなくてはいけません。人工弁はノットプッシャーで糸を結ぶので、可能な限り視野の良いものということで、ストラッドの折りたたまれたmosaicがやはり良いようです。また、ノットプッシャーによる糸切れに対して、簡単に追加の糸がかけられるように、最初から単結節でかけるようにしていますが、先日は21mmの弁で25針とややかけすぎました。結局終わってみれば、前回同様、手術時間330分と時間がかかってしまいまして、はたして低侵襲といえるのかどうか、まだまだ私の腕では疑問が残るところではありますが、ただ、驚いたのは、翌日、バルーンも抜かれ、自分でトイレまで歩かれており、動いても傷の痛みもほとんどないとのことで、やはり回復の早さではすごい差がでると思いました。

整体

2012-10-06 13:07:30 | Weblog
今週のもう一例は、透析90歳の両側FPで、昨日やりまして、2人でよーいどんで吻合して150分で終了、やはり透析というのは言い訳で、下手くそなだけですが、針穴からの血が止まらずに、30分ぐらい押さえてたかな。しかし、さすがに90歳台の方はこれまでほとんど経験ありませんが、透析といえども、かなりお元気な方で、80歳ぐらいにしか見えない、どっちも変わらないかもしれませんが、まー、90まで生きるということ自体が、ものすごい生命力で元気なのであります。
本日、飯食って、もう離床していました。
しかし、透析、高齢です、術後、何が起こるかわかりません。特に感染だけは注意しないといけません。

最近、肩から首にかけて張ってしまって、今日は整体に行ってきて、少しすっきり。どうも背骨が変な方に沿っているらしい、OPCABの時の体勢がいかんね、きっと、やはりこれは外科医の職業病かと思われる。なので、しばらく定期的に通うことにしました。

来週はまた、VA-MICS-AVRと、カテコラミンが切れないDCMの再手術の2症例です、二人目の方は、ちょっとICUが長くなりそうです。IABPと両室ペーシングぐらいでなんとかポンプ降りれるといいのですが、PCPSとなるとつらいですから。

では、肩も軽くなったことだし、ゴルフの練習に行ってきます。
手術でなくてゴルフが肩こりの原因か?


堅いものめがけて掘れ

2012-10-03 17:21:49 | Weblog
先日、弁輪拡大まで行った方ですが、LITA-LADもじつは心筋内走行で、ちょっと自分では探せなかった。ひよって末梢の方から追っかけようと思ったら、怒られた。
これまで、OPCABで埋没しているLADは時々遭遇して、それなりに見つけられてきたが、心停止での埋没LADは、正直、拍動がないので見当がつかず。
そしたら指導の先生にメスを取り上げられ、あれよあれよという間に血管を出されてしまいました。見事に心筋の中に埋まっていました。
心停止の時の埋没LADを探す時は、OPCABとは全然違うと、時にちんたらやってると、すぐに20-30分は過ぎてしまい、プレジャーの時間になってしまうので、とっとと見つけなくてはいけないのだとのこと。しかし、そうはいっても、いつもの動いている心臓とは勝手が違い、なかなか思い切ってはいけないものです。
教えていただいた方法としては、堅い索状物をメスの先で感じて撫でるように、探していくとのこと、ほんとに、さっさっさー、という感じで。
今度、あったら試してみたいと思うが、複合手術でもない限り、止めてバイパスってないからな。あんまりチャンスはないかもしれないが、忘れないようにしたいです。

病院にも優しい

2012-10-01 22:20:56 | Weblog
先日は病院の催し物の企画で、医療講演なるものをやらせられましたが、40分という未知の時間を与えられ、これまで人前でそんなにしゃべったことがないので、どうしたもんかと思いましたが、とりあえず半分は手術ビデオを流してごまかしました。「患者さんにも病院にも優しい?手術」なんていうお題でお話しさせていただきましたが、なかなか40分というのはリズムをとるのが難しいですね、だんだん疲れてくると、声が小さくなるのでしょう、事務の方がマイクのボリュームを上げてくれたりなんかして、急に音が大きくなるもんだでびっくりしてしまします。しかし終わってみれば40分ピッタリで、10分前までスライドを作っていた割には、内容はどうあれ、われながらなかなか上手な時間配分だなーと感心しました。

弁輪拡大

2012-10-01 21:45:18 | Weblog
本日は先週生まれたLMTのUAPのOPCABでした。検査のために血管拡張剤の点滴をはずしたら、見事にST下がって胸痛でてしまいましたが、なんとか本日まで持ってくれました。
右の鎖骨か75%狭窄で、血圧に左右差があったので、左内胸とSVGで3本つないで200分で終了、さすがに二人でやると、ちょっと足の傷を閉じたりするのに、手が足りなくて、閉胸はスクラブナースを前立ちに一緒に楽しくやりました。今日は外科の先生も忙しく、もう一人いると、もう20-30分ぐらい短縮できるはずなのだが。まー、1時間で抜管できましたので、とりあえず良かった。

先週はAVR+CABGの方がいまして、やや弁輪が小さめだとは思っていましたが、magna ease19mm,mosaic 19mmすら通過せず、私ひとりなら迷わず、機械弁の一番小さいやつで頑張ってみるところですが、生体弁希望であり、前立ちの先生から、弁輪拡大しようとのことで、恥ずかしながら、弁輪拡大は自分でやったことはおろか、交連部まで切り込む手技を大昔に1例見たことがある程度でして、今回も指導の先生のいうがまま、ここほれワンワンで、LCCとNCCの交連部まで切り込んでみたものの、これでもサイザーが通過せず、結局のところ、もうひと切りとのことで、思い切って、交連を超えて、いわゆるintervalvular fibrous trigon通称IVFTまで切り込んでいきました。左房は開いていないのでManougianまでは行かずNicksどまりなのかもしれませんが、どうなってしまうものかと思いましたが、2重の牛心膜パッチで形成して、幸いなことに出血もなく、LITA-LADも忘れずにやって、遮断時間140分、手術は320分とやや長くなってしまいましたが、3時間後に抜管となり、やれやれでした。大変でしたけど、ここまでやらせてもらうと、交連部まで多少切り込むぐらいは、もう怖くなくなります←うそ。
思ったのは、やはりあのあたりの線維骨格を含めた解剖はやはり大事だなと、そして自分で一度なり経験しないと、やはりなかなか手は出せない手技でもあります。