あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

ごちそうさま

2011-11-29 18:45:47 | Weblog
今日は今年来たレジデント(4年目)もそろそろ3カ月を過ぎましたので、私と同様、外科的センスは感じられませんが、そろそろAAAでもと思い、今週は3例AAAがありますので、いちばん簡単そうなのを担当してもらいました。事前に言っておいたのでそれなりに勉強はしてきたのかもしれませんが、やはり吻合の運針ではかなり苦労していました。まー仕方ない、なんだかんだ時間はかかりせっかちな私としてはイライラさせられましたが、10cmの傷で150分とまずまずではないでしょうか、さすがにしょっぱなから2時間以内で終わらされてしまっては、こっちの立場がないというもので。
エルステということで恒例の寿司ではなく、午後にステントグラフトが入っていましたので、昼休みにラーメンを食べに行って、スクラブナースともども、みんなレジデントにごちそうになりました。
しかし、去年のレジデントのときもそうでしたが、人に教えるって難しいものです。
いきなり自分と同じようにはできるわけはないのはわかっているのですが、ついつい同じものを求めてしまう。
ほんとに我慢の世界ですね。
その点、うちの部長はえらい。いつでもこちらのペースに合わせてくれる。わざと失敗をさせて学ばせるという美学?
ボスにはいつも俺のいつもやっている通りに何でやらないんだ、、、と怒られている私ですが、今日は私が、なんでいつも俺がやっているようにやってくれないんだ、はー、と心の中で思ってしまった。
いかんね、自分にもレジデント時代はあったし、もっとでき悪かったね。誰にでもそういう時代はあるし、教えることでこちらも別の視野から成長できるしね。
教育と割り切ればよし、でも、合併症だけは起こさないようにしなければいけません、それだけは。

膝窩動脈瘤

2011-11-23 05:23:28 | Weblog
先週、専門医試験があり、ちょうど膝窩動脈の病変について勉強しており、捕捉症候群や外膜嚢腫やら、動脈瘤など頭に叩き込んでいましたが、試験の2日前に足の詰まった方が運ばれて来まして、動脈瘤による急性閉塞と診断し、緊急手術となりました。昔、同じような症例を見たことがあり、急性閉塞を繰り返して、毎回血栓除去のみで対応していたが、最終的にアンプタとなってしまった経験がありましたので、今回も、血栓除去のみでは、再発の可能性が高いと考えられ、動脈瘤の腔置とSVGによるバイパスも追加して行いました。以前にフットケアを専門とする先生をお呼びして、ひざ下のバイパスを教えていただき、それ以来、ひざ下のバイパスがレパートリーに加わりました。さすがに、その末梢の足関節付近のバイパスとなるとまだ、その適応が難しく、フットケアについての専門知識や整形外科的なアンプタの技術などが、必要になってきますので、腰が引けてしまいますが。

感染が流行ってる

2011-11-22 22:58:45 | Weblog
ここのところ感染がやってきます。
今週は月曜日から緊急が2例転院してきまして、大腿動脈の感染性動脈瘤、ペースメーカーリードによる三尖弁のIE
2例とも同日に緊急でやりました。
動脈瘤のほうは血管が溶けてまして、半分ありませんでしたので、そこは閉じて、別ルートで静脈でバイパスしましたが、外来や外勤で誰も助手がおらず、NSと二人でやりましたが、標準的なきまりきった手術よりも、やはりこういったゲリラ的な手術が好きですね。
IEの方は部長が担当しましたが、ポンプのせて、リード4本とも引っこ抜いて、、、、4本も良く入れるわ。三尖弁のゆうぜいをデブリしたら、後尖がなくなってしまい、Kayみたいにして形成し、最後に心外膜にリードで腹部に入れ直して終了。
これも、なかなか経験できない手術ですので、前立ちしていて、いろいろと勉強になりました。

と、身内からの発生ではないのが救いであり、気分的に楽ではあるが、感染症例の手術や処置がここのところ増えているのです。

今日はAVRが2件で、一例を担当、210分とまずまずで終了、もう一例は何とも珍しい、完全型内臓逆位のARで、わたしは外からみていましたが、大動脈を開けてしまえばなんのそのですが、ポンプの乗せ降ろしがややこしく、術者と前立ちとほぼ半分ずつ執刀していたような風景でした。内蔵逆位の方はたまにお見かけはしますが、開心術となるのは当院でも初めてで、やはり何千例に一人とかなのでしょうか、勉強不足でわかりません。ただ、これも勉強になりました。

このペースで行くと年末も忙しそうで、今年はもしや全身麻酔症例300ぐらい行きそうな勢いです。

終わった

2011-11-18 17:01:31 | Weblog
先ほど専門医試験が終了しました、手応えはまずまず、今年は時計を持って行きましたので、落ち着いて出来ました。解答数も何度も数えましたので大丈夫、あとは結果をまつのみ。
今夜はこのまま関連病院のみんなと温泉でリクリエーションの予定ですが、昨日の緊急で手術ずれ込んで、本日二件となり、当院は終わってからの参加になりそうです。まー、泊まり込みですのでいいですが、明日はみなで船釣りの予定ですが天気悪そうな、、、私は内科のライブのお手伝いと外来がありますので、いずれにせよ行けませんが。
早く温泉浸かって一杯やりてー

美しい

2011-11-10 17:43:08 | 術者、勉強になった症例
いろいろと感染対策をこうじて、しばらくの間調子良かったのですが、一年半ぶりに縦隔洞炎が出てしまいました。
長らく感染がなかったという気の緩みもあるのでしょうが、この症例は緊急手術の方で術前の入院中から熱が出て、カテーテル先端の培養から菌が出ておりましたので、仕方がないといえば仕方がないのですが。
ちょうど院内で既製品のVACの説明会などを始めた時期でもありましたので、さっそく導入しましたが、かなり好印象ですね。
以前、5-6年前も自作VACで挑戦したこともありましたが、エアータイトにするのがなかなか難しかったり、離床ができなかったり、当時はVACという概念自体にスタッフの理解が得られなかったりと、色々問題があり、なかなか受け入れられませんでした。
やはり企業が介入すると、しっかりとした製品とデータとそろっておりますので、急速に浸透しますね。
私の印象としては、以前の自前のものと比べて、何よりも見た目が美しいということと、そして患者さんの負担がかなり軽減されるということですかね。
保険的には最大で4週間とのことですが、ただ、なかなかどの時点から開始して、どの時点で終了にすればよいのか、まだ、はっきりとした判断が難しそうです。
やってみると細かい問題は、ちょこちょこあるもので、振動音がうるさく夜間に迷惑になることや、スポンジの加減や皮膚のトラブルなどなど、これから色々と学んで生きたいと思います。
まー、感染を起こさないことが一番ですがね。

チャンスとは、、、

2011-11-09 17:54:11 | Weblog
ここのところ、いくつか声を変えてくれる方がおりますが、現在、今の施設で執刀のチャンスをいただいているので、よっぽどの好条件でない限り、施設を変わる気にはなれないが、この施設も私の前後にオペレーターがいますので、厳しいこと言えば、いつかは誰かが出ていかなくてはならなくなるのかもしれない。みんなで仲良く症例を分けていければ良いが、そこまで症例も多くもなく、下は増えていくでしょうし、そういうことを考えていかなくてはいけないのでしょう。
これは大学にいようが、どこにいようが、一緒のことだろうけど、大学ならおそらく、生きていけるだけのポジションは与えてくれるのだろうが、他人に決められたレールで満足するかどうかということでしょう。
私のような、無所属のアウトローは誰も保障してくれませんね。

ある方の言葉で
「チャンスに前髪はあるけど、後ろ髪はない」というのを最近耳にした。
つまりはチャンスはやってきたときにつかまないと、通りすぎて、あとから追っかけても、もうつかむものはないということ。
なかなか面白い話だ。

器用な手術

2011-11-09 17:29:27 | Weblog
今日はボスの弁置換+CABGの前立ちをさせていただきました。ボス自体が執刀する機会が最近は少なくなってきたので、貴重な経験です。
ボスの手術はきれいというよりは器用といったほうがいいのでしょうか、どんな状況でも、何があっても柔軟に対応していく姿をこれまでも何度となく見てきましたが、さすがです。おそらくこれまで3000例以上は執刀しているのだと思いましたが、そこまで来ると何があっても、なんとでもできてしまうのでしょうね。
私もどこまでいけるのか、ボスと同じ年までに、あと16年、何例ぐらい経験できるのでしょうか。
まー、単純に考えて、年間200ぐらいやらんと、追いつけないな。
数こなせば良いというものでもなく、良い手術を心がけていけばよいのであるが、やるに越したことない。
数こなさないと、経験できないこともたくさんある。特にトラブルシューティングや予期せぬことは、知ってないと、なかなか普通は冷静に対応できるものではない。

今週も充実

2011-11-09 10:45:28 | 術者、勉強になった症例
今週もバラエティにとんだ症例が7例入っています。うち3例は、これまた透析ということで、外科だけで透析入院が6人となりMEさんも大変です。私の担当は透析のCABGとDVT合併した腸骨動脈瘤となりそうです。今日は久しぶりにボスが執刀するとのことで、勉強させていただきます。先日のCABGは術前のCAGでもLADが心尖部までずーと石灰化してまして、ここしかないという隙間を見つけて、冠動脈を開けてみたはいいものの、壁厚が全周性に分厚くておそらく2mmぐらいでしょうか、切開してもなかなか血が出てこず、サイドを切ってしまったのかと、一瞬、あせりましたが、分厚いだけでした。左右の側面のどちら側かだけ分厚い症例というのはときどき遭遇しますが、全周にわたって分厚い方は、初めて遭遇しました。
前後は石灰化が強くてあまり大きく開けられませんので、余計、開かず、内腔は見にくかった。
分厚いぶん、かなりダイナミックに吻合することになったので、まるで膝下の末梢血管の吻合のようで、ある意味、楽ではありました。まー、ボスが麻酔側から見ててくれて、いろいろとアドバイスしてくれたので、助かりました。ほんとに一人だったら、どうしたかな。まー、やるしかないんだろうけど。
また、ダイヤモンド吻合について、あまり好きでないのでなるべくやらないようにしていたのだが、先日はやらざるを得ないので、やりましたが、一応、理論上はグラフトの直径ぐらいまでは切開してよいということになっていますので、思い切って大きく切って見たら、意外と難しくありませんでした。視野もいいし、8針の運針部位が決まっていますので、わかりやすかった。
これからも自信もってやれそうです。

2本バイパス

2011-11-04 06:37:16 | 術者、勉強になった症例
今週は前半にA型がきてオペとなり、6件の手術となりました。私は2枝のバイパスと傍腎動脈AAAの担当となりました。
CABGはボスも部長も忙しく、手術に入れないとのことで下々でやりましたが、吻合は12分、14分でトラブルなく3時間ぐらいで終了、術後の経過もよさそうです。上司に指導されながら胸を借りて手術するのも勉強になりますが、こういう状況も別の意味で勉強になります。何もトラブルなければ、かえって緊張せずにリラックスしてできるということもありますが、調子に乗ってはいけません。AAAは最近はEVAR症例が増えて、外科に回ってくるのは、こうした腎動脈がらみやASO、血管の正常の悪い症例に限られてきて、難易度は急激に上がってきています。なかなかレジデントに回せる症例も少なくなってきました。時代の流れですので仕方ありませんが、本当に何でもかんでもEVARがベストかどうかはわかりません。確かに侵襲は少ないので開腹術が不可能な症例には良い選択ですが、根治という点では疑問が残りますので。現在、開腹術の成績もけして悪くはありませんので、おそらく、いずれは冠動脈の領域と同じようなところに落ち着くのではないかと思います。

B型の恐ろしさ

2011-11-04 06:14:18 | 術者、勉強になった症例
先週末の足のバイパスをしたB型解離の方はイレウスとなり、AMIとなり、冠動脈のPCIと解離した腹腔動脈と上腸間膜動脈にステントを留置する羽目となり、大変な経過となりました。解離というのはホントに経過中に何が起こるかわからないもので、合併症の玉手箱のような疾患であります。
腸管の虚血に対しては外科的には、虚血に陥った腸管の切除、開窓術を行い、それでだめならバイパスというのが、現在のところやれる手段と考えますが、広範囲に腸管の壊死が始まっているケースでは、腸管切除しても厳しい成績のようです。また、私もB型は何があっても保存的に見ることが多く、開窓術やバイパス、腸管切除といった経験が少ないので、なかなか積極的に手術に踏み切れないこともあります。ただ、やはり、怪しいときは積極的に開腹することが必要だと今回思いました。