あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

誕生日

2012-01-28 15:49:02 | Weblog
そういや、一昨日は息子、昨日は小生の誕生日でしたが、どちらも当直という悲しい人生。
まー、関係ありませんが、子供の誕生日ぐらいはね、、、いつまでこんな生活続くのでしょうか、というか続けられるのでしょうか。
出張に行っている間に、小生の患者は7人は一人帰ったのみで、満床ということもあり、上からはどんどん退院させろ命令、看護婦さんたちもピリピリしてて怖いし、ということで、この週末に3人退院、1人転院、週明けに2人退院という、チョー強引なスケジュールで、受け持ち患者ゼロへ、ベッド6つ開けました。
今月担当したAAA破裂3人も、奇跡的に無事、歩いて帰りになりました。みんな前医の先生の判断が早く、オペ室までたどり着けましたので、運が良かったです。

本日、ホームページの手術件数をリニューアルをしました。
昨年度の手術件数は細かいのも含めて、399件でありました。まー良く頑張りましたよ。
今年も今のところ、それぐらいは行きそうな勢いではあります。
今年も一例一例を大事にして、自分の担当以外の症例もエアー手術でものにするべし。
頭の中で自分ならどうするか、シュミレーションを重ねてね。

大寒

2012-01-22 10:55:03 | Weblog
昨日は大寒、さほど寒くはなかったと思いますが、夜にAAA破裂です。今年は集中してますね、今月でもう4人目でしょうか。
単純CTのみでしたが、なんか全体的に円形で壁が分厚そうで、炎症性の所見に似ているねなんて、言っていたら、ほんとに炎症性の動脈瘤破裂でした。しかも、肝硬変でいたるところの静脈が怒張しており、炎症で血管はガチガチの固まりになって、同定はできないわ、剥離は困難だわで遮断するまでも90分もかかり、しかも、どこを切っても静脈からものすごい量の出血だし、炎症で血管壁がグジュグジュで吻合できず、中枢はさらに中枢へ、末梢は左右とも外腸骨の末梢への吻合となり、遮断は120分と全部で258分と、久々に大手術となりました。途中、血圧がなくなり助手がポンピングのため一度手を降ろす場面もありましたが、それでも、大量の止血剤のおかげで出血もとまり、循環動態も安定、おしっこもまずまずで、先ほど、とりあえず人工呼吸器から離脱できました。
看護師2人以外誰も手伝いはいませんでしたが、ほんとにうちのスタッフは優秀です。麻酔管理から、セルセーバー、ポンピング、すべて一人でこなして管理してくれ、手術に集中させてくれました。
感謝感謝ですが、もう炎症性の破裂はちょっと勘弁ですね。

ERAS

2012-01-19 16:28:03 | Weblog
enhanced recovery after surgery、日本語では術後回復力強化と訳されていますが、要するに術後の回復をエビデンスにのっとり早めるプログラムです。このERASは10年ほど前に欧米で提唱されて、最近、大腸手術におけるプロトコールの検証結果が報告されだして、ちょっと話題になっています。術前の患者教育から術中、術後、退院後までカバーされており、外科医、麻酔科医、看護士、栄養士、リハビリ、ケースワーカーなど多職種のチームで包括的に治療を行っていくものです。fast trackといわれ術後の早期回復を目指すプログラムがありますが、それに近いもの、もしくはもう少し広い範囲でカバーしていくものと思われます。
日本でも消化器外科の中では、このERASを取り入れだした病院が出てきています。
いろいろと勉強になることは多く、自分で勉強していても、経験的にやはりそうかと思うこともあれば、ほんとにそんなことして大丈夫なのかと思うプログラムもありますが、なかでも面白そうなのが、術前の絶飲食を無くすことで、患者さんの口渇、空腹、不安の解消と異化亢進を減らしてインスリン抵抗性を抑えるという試みです。固形物はやはり前日の夜までですが、2時間ぐらい前までの飲水は可能ですので、炭水化物を含んだ12.5%糖液の飲料を使用するとのことで、日本で使用できるのは飲み物メーカーのネスレが販売しているアルジネードウォーターというもので、当院でも取り入れてみたいと考えています。今度、業者さんに説明会でもしてもらって、実際に味見してみようかと思っています。実際に取り入れている方に聞くと、患者さんの満足度は高いとのことでした。
やはり、前夜から水のみというのは、術前の患者さんにとって、つらいものでしょう。また、一度、低下したインスリン抵抗性は元に回復するのに数週間かかるとのことですので、理論上は術後の高血糖が押さえられ、感染の予防にもつながっていくものと思われます。
大半の報告が腹部外科の手術についてであり、心臓外科については、まだあまり報告が少ないようですので、心臓外科の中でもERASがこれから盛んになっていくと思われ楽しみであります。

見学

2012-01-18 22:46:15 | Weblog
今日は他の病院から麻酔科の先生が見学に来られていましたが、うちが自家麻酔だということをわかって来られたのかどうかわかりませんが、よその先生からみるとうちの麻酔ってどんなものなのでしょうか。おそらく大半は10年前のままですので、あまり学ぶところは無かったのかもしれません。わたしは今日はOPCABの担当でしたが、2か月ぶりのバイパスであり、かつボスも不在で、見学者ありとのことで、調子が出てくるまでは、ちょっと緊張しましたが、上手な前立ちと、優秀なスタッフのおかげで内胸2本とSVG1本で210分で無事終了。
せっかくなので、最近の心臓麻酔の動向やトピックスから、うちの麻酔の改善点など、いろいろプロの方に質問してみたかったのですが、術後は用事があられるようで、昼食もご一緒できずに、早々にお帰りになってしましました。

来週は私も休みをいただいて、3日間ほど病院の見学に行きます。
年間で200件の解離を受け入れているところで、そのうち120件程度、手術になるとのことで、3日に一度は解離が来るのではないかとふんで、3日間の見学を申し入れました。
一度、当院で講演をしていただいた先生のところなのですが、かねてから一度は見学に行きたいと思っていた病院で、2年越しの願いがようやくかないそうです。
運よく、解離の手術が見学できると良いのですが、予定の手術でも十分見学する価値はあると思いますので、しっかり勉強してきたいと思います。

寒かったー

2012-01-12 21:52:30 | Weblog
昨日の夜はかなり寒かった、前の晩は3時間ほどしか寝れなかったので、今日は早く寝ようと思って10時ごろに布団に入りましたが、5分とたたずに熟睡といければよかったのですが、5分で病院からAAA破裂の電話、いっちょう頑張るかと布団から這い出して、オペスタートへ、CTでは2Lぐらい出血しているかんじでしたが、後腹膜で止まっていて比較的安定していました。開腹歴があるようでしたが臍下だったので、大丈夫だろうとそのまま正中開腹でアプローチしたら、大網が骨盤腔にかけて小腸をすべて覆うように癒着しており、剥離は困難そうでしたので、小網腔から遮断することや、下行結腸を起こしてレトロにはいるか、考えましたが、なれない手技はやはり時間のロス、ショック状態が続いていましたので、最短距離で、結局、大網を横行結腸の下縁に沿って離断して後腹膜を出していつもの視野にもっていけました。後はいつもどおりに、中枢ネックを用手的に捕まえて、ストレートで置換してきました。5時間ほどで抜管あmでもっていけましたので大丈夫でしょう。
破裂のときは、たいがい、時間との勝負ですので、指でがーと剥離して、意外と早く終わるもので、止血剤も大量に使うので、そんでも意外と出血もせず、いつもの予定手術より早く終わってしますことも多いです。昨日は癒着で手惑いましたので150分とかかりましたが。
これまで、15例ぐらいはやらせていただいたと思うが、破裂で大事なのはやはり、ショック時間をいかに短くするかでしょうか、オペ室直入できれば最高ですが、夜間などはなかなかそうは行きませんので、とにかくオペ室準備できるまでに、ライン類はすべて確保して、オペ室では挿管するのみにしておいたほうがよいでしょうか、もちろん、それまでに挿管を余儀なくされてしまう場合も多いですが。そして血圧は高いよりは低いほうがいいですね、意識があるなら60ぐらいあれば、まず大丈夫ですね、昇圧剤など使って、あせって血圧を上げると再破裂を起こしますので、ボリュームを入れて、血圧はそこそこを保てばよしですね。
また、一番注意するのが、麻酔薬を投与して挿管のときでしょうか、麻酔によって出血により血管内脱水のうえ、末梢が広がりますし、痛みが取れるので、内因性のカテコラミンの分泌が減りますので、一気に血圧が下がります、そのまま心停止や、挿管の刺激で血圧が上がって再破裂してしまい、ばたばたになるという、お粗末な管理を何度か見ています。
なので、私のときは麻酔の導入はなるべくぎりぎりまで待ってもらい、ボリュームラインを確保して、アルブミンなどを落としながら、なるべくドレープして準備してからにするようにしています。始まってしまえば、だいたい10分ぐらいでネックはつかまりますので、血圧が少しあれば、助かることが多いです。なので、当たり前といえば当たり前ですが、破裂というのはオペが始まるまでが勝負かなと、これまでの色々な経験から感じます。

予定スタート

2012-01-10 19:03:43 | Weblog
本日から予定手術の開始です、初日ということで、本日はTAAの一例のみ
私が外勤先から紹介した方ではありますが、ボスがやるのかと思いきや、結局、外から見てアドバイスをしていっただけで、外来やムンテラと忙しいようでしたので、なんだか、結局、部長を前立ちに最後までやらせていただきました。
本日のTAAはchronic dissecsion のdistal arch 60mmでしたので、中枢側は循環停止でとのことで、左開胸の循環停止などは年に一例あるかないかですので、貴重な症例を勉強させていただきました。
普通に大腿でポンプのせて、PAからももう1本脱血管いれて、左心耳からむりやりLVにベント入れて、咽頭23度まで持っていき、下半身はちょろちょろ流して、上半身の循環停止のopen proximalで吻合、復温しながら末梢吻合して終わりです。
メインは何のことない60分ぐらいの手技ですが、吻合部からの出血もなかったのに、全部で270分かかりました。
なれない準備と冷却と復温に時間がかかりますね。
なんか、もっといい方法ないものだろうかと思いますが、循環停止するからにはこんなものなのでしょうか。
でも、大変、良い勉強になりました、下行の瘤は大かたはFFの部分体外循環のみで済むことが多いですが、循環停止の経験があれば、いざという時になんとでも対応できそうです。左開胸での心膜切開ラインや、PAや左心耳などへの脱血管挿入、横隔膜神経や反回神経の同定から剥離などなど、初めての経験がたくさんありました。ボスからは、あと特別なことといえば、左心耳からベントが入らなかったときに心尖部から入れるのを知っておくことと言われた。

年明け一発目

2012-01-02 13:22:49 | Weblog
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。

ここ数年は大晦日と元旦の緊急は運よくでしょうか、のがれていたのですが、今年はどちらも来ましたよ。ただ、どちらも昼でしたので、そんなに遅くならずに解散できて、何より。
大晦日はCABG、これは私は遠方にいたので、参加せず、23時ごろに解散したとのことで、みんななんとか年越しは家に帰れた模様。
元旦は内腸骨の破裂、しかも昔にAAAのオペやってて、オペ記事もなくよくわからんまま、オペ突入。結果的には、腔置された内腸骨の破裂だったようで、あるんですね。内腸骨はなかなか手の出しにくいところですので、腔置していること多いですが、うーん考えさせられます。とりあえずは、尿もよく出るし、翌朝には抜管して、元気ですので良かったです。
ということで、今年の1例目の執刀は破裂で始まりまして、波乱の予感?

昨年はCABGが独り立ちというか、半立ちか?、弁置換はもう少し経験必要かな。

今年の目標としては、弁形成の症例を回していただきたいところで。あとは基部再建が未経験ですので、なんとか症例をいただきたいところであります。