日々是好舌

青柳新太郎のブログです。
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働いて日々安穏の飯を喰う

2011年10月07日 15時48分08秒 | 日記
今回の応募者「ご飯ススム君」は28歳の若者である。妻あり。子供ありの所帯持ちである。

ハローワークの紹介で営業職の募集に応募してきたのであるが、実は「ご飯ススム君」には前歴があるのだ。その前歴というのは丁度2年ほど前にトビ職見習いの募集に応募してきて採用が決定したのに”しょんべん”したのである。

当時26歳の彼「ご飯ススム君」は、現在は妻となっている同い年の彼女と同棲し始めたばかりで1円でも多くのお金が欲しかったそうである。私どもの会社の次に面接を受けた運送会社で運転手として採用が決まり、条件も少し良かったそうである。それで、トビ職見習いの方は”しょんべん”を決め込んで、運送会社へ就職したそうである。その運送会社は数ヶ月で辞めて、派遣会社に入社したのだがその派遣会社も9月一杯でお払い箱にされ、キャバクラの送迎をアルバイトでしているという。
妻も介護の仕事を辞めてスナックでアルバイトをしているのだが、2歳の子供がいるのでどちらかが子供の面倒をみないといけないらしい。

その「ご飯ススム君」が何で再び我社の募集へ応募したのか、と、いうと本人はまさか憶えてはいまいと思っていたようだ。
冗談ではない。こちらではちゃんと”しょんべん小僧”の「ご飯ススム君」の名前を憶えていたのである。

傑作なのは「ご飯ススム君」の履歴書である。前回応募時の履歴書と今回提出の履歴書とでは、学歴、職歴はもとより運転免許の取得日までが見事に違うのである。おまけに履歴書の筆跡までが違うのだ。

氏名、生年月日、現住所は前回と同じである。「ご飯ススム君」は我社の事務所から徒歩で数分の県営団地に住んでいる。
学歴は前回は県立高校定時制を数ヶ月で中退したことになっていたが、今回は卒業したことになっていた。前回はトビ職見習いだから学歴はどうでもよかったが、今回は営業職だから学歴もあったほうがよいと考えたようだ。

職歴は前回は2社くらいだったが、今回の履歴書には7~8社が書いてあった。免許証の取得日は単純な勘違いだそうだ。

筆跡は前回の履歴書の方が上手に書かれていたが、これは当時、同棲中だった妻が書いたそうである。その妻が職歴もわざと少なく書いたのが前回の履歴書で、今回の下手な字で書いたのが本当の履歴だと本人が言っている。

学歴、前歴は不問だから、嘘まで書いてもらう必要はないのだが、親子三人の生活費にも事欠く事態になって「ご飯ススム君」の顔には明らかに焦りの色が読めてとれた。

その「ご飯ススム君」は余程懲りない性格とみえて、今回も複数の面接を掛け持ちしていたようである。そこで、午後4時にもう一度出直してくるように言うと、約束の時刻にまた事務所へ来た。別の面接先では採用してもらえなかったということである。

営業というのは取り扱う業務や商品の知識がないと出来ない仕事である。「ご飯ススム君」の職歴には我社で求められる経歴はないのでトビ職見習いとして少し現場の修業をして、その間に仕事を覚えてから営業になったらどうかということにして採用することにしたのだが、とりあえずは真面目に働いているようである。
コメント
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