杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

3月のライオン 後編

2017年11月28日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年4月22日公開 139分

桐山零(神木隆之介)が川本家と出会って1年が経ち、今では家族の一員のように3姉妹と自然に食卓を囲んでいる。今年も獅子王戦トーナメントの季節が始まったが、幸田柾近(豊川悦司)は引きこもってゲームばかりしている長男・歩を叱り反対に突き飛ばされてしまい、頭のケガで緊急入院して不戦敗となる。長女・香子(有村架純)は仕事も続かず、不倫相手のプロ棋士・後藤正宗(伊藤英明)への想いを持て余し、幸田家は崩壊しかかっていた。一方、後藤は入院中の妻の容体を案じていた。二海堂晴信(染谷将太)は実は難病を抱えていたが、それでも戦うことを望んでいた。初タイトルを目指す島田開(佐々木蔵之介)は故郷・山形の人々のプレッシャーに押し潰されそうになり、“将棋の神の子”と恐れられる宗谷冬司(加瀬亮)も重大な秘密を隠していた。そんななか、川本家の次女ひなた(清原果耶)のクラスでいじめが発生する。さらに3姉妹を捨てた父親(伊勢谷友介)が現れ、とんでもない要求を押し付ける。大切な人たちを守るため、零はトーナメントに挑む。(MovieWalkerより)

 

2部作の後編は18歳になった桐山零のプロ棋士としての戦いや、零を取り巻く人々とのドラマが描かれています。

伊勢谷さんってば、この作品も、今出演しているTVドラマでも「悪~~い」キャラです 狡いのに人当り良く見せてあまり憎めない人物像を演じるのが上手いです。零が身勝手な父親から姉妹を守ろうと思う気持ちが空回って逆に姉妹の心を傷つけてしまうシーンは辛いものがあります。零が父親に向けて放った言葉は、理路整然としていて的を射ているだけに辛辣さがヒリヒリと突き刺さるの。どんなにダメな人間でも父であり家族であることは消せないのです。それでも姉妹は辛い決断をします。零の言葉には動じなかった父親も姉妹から突き付けれられた決別宣言の前にはすごすごと去るしかできないのです。

飄々として浮世を超越しているように見えた宗谷名人にも人知れぬプレッシャーの重圧で体に変調を抱えているとか、妻危篤の知らせに長考時間を使って病室に飛んで行った後藤とか、人間の弱い部分もちゃんと描かれているのが良いです。

香子は零との対局に集中するため後藤に遠ざけられていよいよ将棋を恨みますが、父親から零に負けた幼い日の将棋は諦めなければ生きる道があったことを指摘されたことで、自分の不幸は自らが招いたものであることに気付きます。零との対局に負けた後藤を家の前で待ち、寄り添う彼女は、片意地張った以前の姿とは違って見えました。

ラストシーンは宗谷名人との対局に赴く零から向かい合う二人の姿までが描かれます。その勝負の決着は映画では見られません。ここまできたら勝ち負けはどうでもいい気がしてきます。一回り成長した零をもっと見ていたくなりました。


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