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杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

シザーハンズ

2014年04月09日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
イオンシネマ シネパス上映作品
1991年7月13日(土)公開  アメリカ 98分

雪嵐の降る町。お祖母さんが孫娘をベッドに寝かしつけている。孫は『どうして雪が降るの?』と聞くと、祖母はその問に答えて話し始める。「あの窓から見える山の上の屋敷に老発明家(ヴィンセント・プライス)が住んでいた。彼は人間を作るのにも成功し、その人造人間はエドワードといって、両手はハサミのままだった…。小さな町に住むボッグス一家は、夫ビル(アラン・アーキン)、妻ペグ(ダイアン・ウィースト)、高校生キム(ウィノナ・ライダー)、小学生ケヴィンの4人暮らし。ペグは化粧品のセールスをしてるが、新規開拓にと山の上の屋敷を訪ね、そこで出会ったエドワード(ジョニー・デップ)を途端に気に入り、家へ連れ帰る。両手のハサミを最初は持て余していたエドワードだったが、ある時ハサミで庭木を美しく動物の形に刈り取る。続いて近所の犬の毛や、奥さん連中の髪もモダンにカット。エドワードは近所の人気者になる。一方、キャンプに行って不在だったキム(ウィノナ・ライダー)が家に帰って来るが、最初はエドワードを毛嫌いする。キムのBFジム(アンソニー・マイケル・ホール)は、エドワードを使って父親の金を盗ませようとするが、金庫の警報装置が働き、エドワードは警官に取り押えられる。彼はキムのことを気遣って一切弁明しない。この事件から周囲の人はエドワードを避けるようになった。クリスマスが近づいた夜、エドワードは氷で天使の彫刻をしていると、削った氷が雪のように舞う。その雪の中、キムは踊りを踊るが、エドワードに近づいた時にジムが声をかけ、キムは手をハサミで傷つけられる。心配するエドワードをジムは脅し、追い出してしまう。ジムが許せなくなったキムは絶交を言い渡す。町を彷徨うエドワードのせいで町は大騒ぎ。警察も出動する。再びキムの家に帰ってきた彼に、キムは「抱いて」と言うが、彼にはできない。腹いせに飲酒運転するジムの車がケヴィンを轢きそうになり、エドワードは助けようとするが、逆に傷つけてしまう。町の人々の非難の中、エドワードは山の上の屋敷に逃げ込む。心配になったキムは彼を追うが、ジムまでもが追い、いさかいの末、エドワードはジムを殺してしまう。屋敷まで押し寄せてきた人々に、キムはエトワードは死んだと告げた。実は冒頭の祖母はキムであり、数十年たった今も、エドワードはキムのために氷の雪を降らし続けているのだった。(Movie Walkerより)


ジョニー・デップを好きになってから知った作品で、これまでに何度か観ているのですが、スクリーンで観た記憶がない今回イオンシネマのシネパス上映作品の中に見つけて思わず鑑賞しちゃいました

世俗と隔絶された屋敷で世捨て人のような発明家の老人と暮らしていたエドワードを町に連れてきたペグは、彼に普通の幸せを与えようと躍起になります。それは彼女の好意から発したものでしたが、町の人たちは彼を好奇心丸出しで取り囲み、自分たちに都合の良いように扱います。しかしいったん誤解が生じると、彼らの態度は一変し殺そうとまでします。普通の人とは異なる彼を危険と見なし排除しようとするやり方は、そのまま異端を排する人間の行動に当てはめることができます。ポップでカラフルな町並みと人の心のありようの対比が物悲しく写りました。

しかしやはり、純粋なエドワードの見せる様々な表情や、氷の彫刻のシーンは、大きなスクリーンに映えますね。ティムの独特な世界観溢れる映像や音楽を楽しみ、エドワードとキムの切ないラブシーンに当時の二人の恋愛を想いました

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私は王である!

2014年04月08日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年5月11日公開 韓国 121分

1418年。国王の太宗は、王位継承者である長男・譲寧の度重なる問題行為を見かねて廃位、代わりに三男の忠寧(チュ・ジフン)を王位後継者に任命する。太宗はこの決定に強硬に反対する大臣を排除するが、あろうことか忠寧本人が自身の即位に異論を唱えていた。忠寧は毎日読書に耽り博識ではあるが、護衛たちに身の回りの世話をさせて自分一人では何も出来ない温室育ちの王子。王位に就くことなど夢にも見ていなかった忠寧は、重責に耐えかね、ある夜こっそり宮殿から逃亡する。壁を超えた瞬間、忠寧と瓜二つの若い男ドクチル(チュ・ジフン)にぶつかった忠寧だったが、彼は全く気付かない。そんな中、護衛のヘグ(イム・ウォンヒ)とファング(キム・スロ)は、道端でドクチルを発見、忠寧だと誤解して宮殿に連れ帰る。護衛たちはドクチルの体を調べて偽物だと気が付き大騒ぎになるが、ヘグは本物の忠寧を捜しに宮殿を離れ、ファングはしばらくの間ドクチルに忠寧の代役をさせることにする。一方、忠寧は訳も分からぬまま貧しい青年ドクチルに間違えられ、宮殿の外の自由を楽しむ間もなく数々の試練に遭遇する。しかしドクチルとして過ごすうちに、理不尽に家族と離れ離れにされた少女のソルビ(キム・ソヒョン)や、風変りな発明家など多くの民と出会い、大きな刺激を受けていく。忠寧は民との出会いを通し、圧政による厳しい生活や権力を貪る悪徳貴族の本性と朝廷の悪習に気付き、初めて人民のための良き国王になりたいと思うようになるのだった。だが宮殿では、ドクチルの素性に気付いた悪徳官吏の一人が、ドクチルを王位に就かせて裏で操ろうと密かに計画、本物の忠寧を秘密裏に捕え、処刑するよう臣下に命じる。臣下たちが血眼になって忠寧を捜す中、いよいよ即位式の日が近づいてきた……。(Movie Walkerより)


2013年2月に公開されたイ・ビョンホン主演の『王になった男』は本作の時代より更に200年後の話ですが、そっくりな男が身代りになるという設定はとてもよく似ています。あちらはコミカルな中にもシリアスさを含んでいましたが、こちらはよりコメディタッチで、無残な殺生シーンもほぼなくて、ハッピーエンドなので気楽に観られました。

しっかし、飛び蹴りを得意技とする国王って
世継ぎの長男は大酒のみの女好き。あまりの素行の悪さに父王の逆鱗に触れ廃嫡されます。で、何故三男にお鉢が回ってきたかといえば、次男はさっさと出家しちゃっているからなのね。末っ子で父王のお気に入りだった三男は、読書三昧で身の回りのことは家来に任せっぱなしの甘ったれです。それが突然父の後を継がなくてはならなくなって、長兄には憎まれるは、責任は重大だわで、こりゃたまらんと宮殿から逃げ出します。

一方、のドクチルは、罪人の娘として囚われてしまったお嬢様を助け出そうと宮殿に忍び込もうとして忠寧とぶつかり、酒の酔いもあって倒れてしまいます。忠寧は自分にそっくりなドクチルと着物を換えて自由の身を謳歌しようとするのですが、元々ドクチルはですからすぐに捕まってしまうのね。

身分の全く異なる二人がそれぞれの居場所と別世界に身を置くことからくる戸惑いをコミカルに描いています。『王になった男』では、卑しい身分の男が統治に目覚めていくのに対して、こちらは王子が底辺から世間を知り王としての自覚が芽生えていく点が大きく違っているかな。
ドクチル自身は王になりたいわけではなく、ただ大好きなお嬢様を救いだしたいだけなのですものね

忠寧の護衛をするヘグが武官のくせに腕はからきしで、実は賄賂で職に就いたのだったり、地方の役人が私利私欲に走っていたりで、いつの世にも腐敗は存在するのですが、貧しいもののために私財を投じて助ける元高官や、父親のために尽くす娘など儒教的善人も登場します。

初めのうちは逃げるにもヘグに背負ってもらう忠寧が、病人のためにヘグの背を貸して自分は歩くようになる姿に成長を感じることができます。ヘグにしてみれば面倒は増えたわけですが

即位式のために招いた中国の使節の横暴に耐えかねお嬢様を連れて逃げ出したドクチルと出会った忠寧は彼に詫び、悪徳官吏の企みを聞かされて宮殿に戻ります。彼の使節への啖呵に胸がす~っとします

本当なら身代りのドクチルは密かに処刑されてもおかしくない筈ですが、この物語ではお嬢様と結ばれるハッピーエンドでこれも嬉しい配慮ですね

陰謀渦巻く宮中の筈が悪大臣も長兄もなんとなく憎み切れないキャラなのも和みました。
気になったのは、音楽が『パイレーツオブカリビアン』に似ていることかな

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魔法大戦争/小さな救世主

2014年04月06日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2002年製作 南アフリカ 86分 日本未公開

14歳の少年ベンは手品が趣味。父の転職で、新天地に引っ越してきたばかり。
隣人のミルナーと知り合い、彼のちょっとしたマジックに魅せられる。
学校では早速いじめっ子に目を付けられ、叩きのめされるベン。
彼はミルナーに「魔法を教えてほしい」と頼むが、彼の態度はそっけない。実はミルナーの正体はマーリンという魔法使いで、1400年もの間、魔女モルガナと抗争を続けていた。彼女も現代に舞い降りベンの潜在的な才能に目をつけていたのだ。
マーリンの持つ、魔法の杖と水晶を手に入れ世界征服を企むモルガナの魔の手が迫っていた。
マーリンはベンを後継者にするかどうか思い悩むが…


人類の未来を託された少年が時空を超えて魔法大戦争に巻き込まれていくファンタジーアドベンチャーという触れ込みですが・・・そりゃファンタジーは好きだけど・・・これって一体何歳くらいを対象に作ったんだろ?

主人公は14歳。生意気盛りで親への反発心と甘えが同居している男の子。隣人ミルナーに興味を持つけれど、そっけなくされるとすぐに「じゃ~~いいよ!」と拗ね、かと思うとすぐにまた寄ってくるお前は猫か学校では早速女の子絡みでいじめっ子に目を付けられますが、からきし意気地がないときました。

これじゃミルナー(マーリン)も杖の後継者と認めるわけにはいかないわな。(ベンの頬の傷が、前世で賢者から杖を託された勇者の印として描かれていました)期待したり突き放したりの繰り返しはベンじゃなくてもわけわかんね~よ!と思いたくなる。このへんのマーリンの心の葛藤はお子様向けならもっとわかりやすく描くべきじゃないのかしらん?

極めつけは「魔法は心で念じる」いや、強く思うだけなら誰でも魔法使いになれそうですが
しかもベンが初めに使ったのはいじめっ子の制服のズボンを落とすこと。おいおい、これで人類救えるのか

魔女モルガナの手下はネズミとネコ。擬人化してますが、時々変わるネコの目が恐いぞしかし基本的に彼らはボケ役。それならもっとおまぬけに描けばいいのにこんなんで何百年も水晶追っかけてたなんて笑えますわ。いや、だからそれだけ長い時間がかかってるのか

肝心の対決シーンも拍子抜けするほどあっさりと終わります。CG入ってるだけ一応製作費はかけているのね

杖と水晶が合体し、それを持つ権利をベンはマーリンに返します。(勇者はマーリンに杖を届けるのが役目だからこれで任務終了なのね)父親に自分は愛されていないのではとの誤解も解け、いじめっ子も大人しくなり、GFも出来てめでたしめでたし・・・っておいっ!人類の危機はこんなんで救えたのかい!!!

突っ込みどころ満載という意味では楽しい作品です

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たぶんねこ

2014年04月05日 | 
畠中恵(著)新潮社(刊)

えっ、若だんなが大店の跡取り息子たちと稼ぎの競い合いをすることになったってぇ!? 長崎屋には超不器用な女の子が花嫁修業に来るし、幼なじみの栄吉が奉公する安野屋は生意気な新入りの小僧のおかげで大騒ぎ。おまけに幽霊が猫に化けて……。てんやわんやの第十二弾の鍵を握るのは、荼枳尼天様と「神の庭」!
(新潮社HPより)

「しゃばけ」シリーズ第・・何弾になるのだっけ
とにかくわかだんなといつもの面々が賑やかにしているだけで嬉しくなっちゃうんです

まずはプロローグ「序」
二月病気をしなかったことに喜ぶ兄や達に半ば強引に5つの約束をさせられる若だんな・・・あ、これは無理ですねとシリーズの読者なら誰でも思う筈。そして約束の半年の間に次々と事件は起こるのです

・跡取り三人
早速第一の約束(仕事せずゆっくりはなれで過ごす)がまず御破算となります。
父に連れられていった大商人たちの顔合わせの席で、若だんなを含む跡取り息子の三人が稼ぎの競争をす ることになっちゃうんです。裏には両国を仕切る親分・大貞(あれ?「まんまこと」の彼ですか?)の思 惑がありました。体の弱い若だんなは菓子売りの商いをすることにします。他の二人もそれぞれ働き出す のですが、大貞の意図を見抜いた若だんなは皆と申し合わせて・・・
 
結局縁談のために大店の跡取り息子たちの能力を試したということですね
それなら体が弱いと知れ渡っている若だんなは除外されて然るべきところと思うのだけど

・こいさがし
次の約束(恋はお預け)も怪しくなってきました。
母・おたえが知り合いから頼まれて、14歳の娘於こんの行儀見習いを引き受けますが、この娘、家事一切 が不得手そのくせ他人の色恋には口を突っ込みたくなる厄介な性格。まぁ思春期の娘なら 当然の反応ともいえますがそんな折、大貞の子分が見合斡旋の頼みごとをしてきます。更 に 河童の大親分禰々子からも見合いを頼まれ、同じ日にセッテイングしたところに思わぬトラブルが発 生するわ、物見見物気分の於こんは口を出すわでてんやわんやの大騒動が持ち上がり・・・

コメディによくある展開。しかも於こんの正体は妖狐。言われてみれば名前が物語っているじゃない振り回されたのは周囲のものたちだけで当の若だんなは泰然としているのも面白いね。

・くたびれ砂糖
三つめの約束も軽く破られてしまいましたねだって大親友の危機ですもん。
安野屋で働く栄吉と久々に会えたと思ったら、クソ生意気な後輩のせいでまたまたトラブルに巻き込まれ てしまう若だんなです。安野屋に新しく入った三人の小僧はやる気がなかったり生意気だったりと揃って ろくでもない者ばかり。主人や番頭たちが揃って病気になったのを良いことに増長しまくりの様子。でも 病気の原因は誰かが一服盛ったからとわかり・・。

犯人の推測は容易ですが、誰かということとその理由はちょっと意外でした。短絡的で自分勝手な犯人像ですが、この話は現代でも通じるね。というよりあの時代にこんな小僧がいたら一日ももたずに追い出される気がしますが中間管理職のような立場の栄吉が小僧を一喝する場面では、彼の成長を感じることができます。

・みどりのたま
四つ目の約束(妖のために外出しない)も無理でしただって約束させた当事者が原因になったん ですもの
記憶を失い困惑の中にいる男が自分を知っているという老人・古松と出会います。彼は妖狐で、昔飛び出 した神の庭に戻りたいと望んでいましたが、歳をとり病を得た今それは叶わぬ願いと悟っています。それ で必死に薬を捜し回ってくれている仲間にもう迷惑をかけたくないからと、男に神の庭に行って皆に諦め るよう神から仲間に話して欲しいと頼むのですが・・・。

普通の人には見えぬ筈の鳴家が見えたり、古松の話がすんなり理解できたり、男もまた妖であるなとわかるけれど、それでは仁吉と佐助どっちでしょ?はい、白沢さん(仁吉)ですね
そして神の庭におわすのは恋しいおぎん様。この束の間、一瞬の視線の交錯で互いの想いが伝わる場面がでした。大事大事の若だんなに会っても戻らなかった記憶がおぎん様を一目見た途端甦るんだものね

・たぶんねこ
そして最後の約束(体に触る災難に巻き込まれない)も見越しの入道が幽霊の月丸を連れてきたことで破られることに
古松とは逆に神の庭から江戸に戻りたい月丸がちゃんと適応できるか見極めのために入道が預かってきた のだけれど、鳴家がもとでまたまたトラブル発生。月丸と一緒に夜の江戸のどこかに飛ばされた若だんな は、江戸で暮らせるか何とか自分で試してみたいという月丸に付き合うことにするのですが・・・。

月丸は神の庭で狐や狸たちに教わって化ける練習をしたと言い、猫や鳥に化けて見せるのだけどどれも中途半端です。「たぶんねこ」というのは鳴家が猫に化けた月丸を称したものですが、そのまま表題になったというわけね実は彼の人生も悉く中途半端だったのね。自分は何のために生まれてきたのだろうという心残りのせいで成仏できず幽霊になってしまったようです。そんな彼に入道は黄泉の銭を渡すのですが、若だんなは広徳寺の寛朝預けにします。自分が誰かの何かの役に立っているという実感を味わわせたかったのね。

そしてエピローグ「終」
無事?5つの事件に追いかけられ休む間もなく動き回った若だんなは何度も床に伏せ、命の危機に陥り・・要はいつもの毎日が続いたわけでしたう~~ん、これってめでたくはないな

少しずつ少しずつ、若だんなも守られるだけの立場ではなくなってきているようです

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