杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

藁の楯

2014年04月12日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2013年4月26日公開 124分

少女が惨殺される事件が起き、殺人事件の懲役を終えたばかりの清丸(藤原竜也)が指名手配される中、孫娘を殺害された政財界の大物・蜷川(山崎努)が、新聞に「この男を殺してください。清丸国秀。御礼として10億円お支払いします」と犯人殺害を依頼する全面広告を掲載した。日本中がにわかに殺気立ち、身の危険を感じた犯人の清丸国秀(藤原竜也)は福岡県警に自首する。警察は警視庁警備部SPの銘苅一基(大沢たかお)、白岩篤子(松嶋菜々子)、警視庁の奥村(岸谷五朗)神箸(永山絢斗)、福岡県警の関屋(伊武雅刀)ら精鋭5人を派遣し、清丸を福岡から警視庁まで移送させるが、清丸への憎悪と賞金への欲望にかられ、一般市民や警護に当たる警察官までもが5人の行く手を阻む。


残酷な性的倒錯者の清丸には同情の余地はありません。一瞬見せた母親に対する彼の感謝の気持ちだけが唯一の救いですが、それすらも彼の白岩への仕打ちで消し飛んでしまいました。

そんな憎き犯人を護送することになった5人の心理も複雑です。仲間の警官すら信じられない極限状況の中、清丸を体を張って守ることを強いられるストレスは想像を絶します。
シングルマザーの白岩、事件を担当し被害者の惨たらしい死体を目にした神箸の清丸への憎しみと職務遂行の間で揺れる葛藤と、死にゆく彼らの悔しさが伝わってきてやりきれない思いになります。

被害者と同じ年頃の孫を持つ関屋は賞金目当ての男から人質にされた子供を救うため男を射殺します。急所を狙うだけで良かっただろうにとも思うけれど、咄嗟で余裕がなかったのか、狙いが外れたのか・・・ 奥村に至っては警察上層部からの指示を受けた裏切り行為(腕にマイクロチップを埋め込み居場所を特定させていた)が発覚します。

仲間が次々倒れ、裏切る中でただ一人満身創痍で清丸を連行した銘苅もまた妻子をひき逃げされた過去を背負っていました。上司である大木係長(本田博太郎)が彼らを護送役に選んだのは、私憤から任務を投げ出すことを狙ったからです。銘苅は清丸の数々の挑発に「5人の中で一番お前を殺したかったのは俺だ!」と叫びますが結局彼を守り通しました。白岩も同じです。それは彼らなりの矜持と正義だったのでしょう。

死刑を言い渡された清丸が「どうせ死刑になるならもっとやっておけばよかった」とほざくラスト。クズは最後までクズだったというオチは救いがないなぁそんな男に10億の懸賞金をかけて殺人を依頼した蜷川もある意味クズだわ彼のとんでもない依頼のせいで、死ぬ必要もない人間が複数亡くなって、大混乱を巻き起こしたその責任はどうなるの?大金持ってても死んじゃったら意味ないんで個人的な復讐に走りますってのも狂気の沙汰だと思うけどそんな老人に踊らされる警察上部の姿に、日本大丈夫か?と思ってしまったぞ

そんな中で、次々と清丸を狙って襲ってくる人たちとは別に、タクシー運転手(余貴美子)が一行を助けるエピソードは良かったな。国中が賞金目当てに清丸を狙う中で、彼女は冷静にその異常さを感じ取り、自分の出来ることをしようとしていたもの。

それにしても色々突っ込みどころも多かったなぁ~。あんな状況なら全員が防弾服着てて当然だし、そもそもSPなのに犯人に背中見せることはありえないでしょ前の被害者遺族が彼らの居場所を突き止め先回りしてるのも変。それならもっと大勢の人間が待ち伏せしててもおかしくないでしょ。
まぁ、懸賞金自体が荒唐無稽なんだからいちいち突っ込んでたら物語として成立しないけど。
結局何が言いたいのかいまいちわからなかったぞ。後味も悪いし、もう観ることはないな。


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