第九話 水の聲 (こえ)
宮女・安蕙蘭(あんけいらん)が頼み事にやってくる。蕙蘭は水の中から死んだはずの妃の声が聞こえると訴える。炎帝が統治していた時代、鵲妃として迎えられた西婉琳(さいえんりん)は、帝のお渡りがある日、池に飛び込み亡くなった。水の中からする声はその妃のものだという。蕙蘭は婉琳を救ってほしいと頼み込むが、寿雪はその訴えの裏にある蕙蘭の真意を見抜いていた。
第十話 仮面の男
高峻が珍しく寂しそうな顔をみせた。そのことがどうも気にかかるが、寿雪はその理由を問うことができない。数日後、高峻が幽鬼の取り憑いた面を持って夜明宮に顔を出す。幽鬼は異国渡りの琵琶の音に反応するらしい。その琵琶を高峻が用意することで話がまとまる。話を終えた高峻は帰ろうとするが、寿雪はつい引き止めてしまう。
今回はどちらも妄執やプライドが招いた悲劇で後味は良くないものの、そのどちらにも誠実に向かい合う寿雪の姿が描かれます。衣斯哈の無邪気な愛らしさに癒されるなぁ😊
水の中から自死した主・婉琳の声がすると訴えてきた蕙蘭に、寿雪は、それは己の声だと言います。蕙蘭にとっては、婉琳が帝の寵妃として後宮で権力を得ることが全てで、主は彼女の自尊心を満足させるための道具でしかなかったということですね。主を楽土にというのは口実で、自分が救われたかった・・・幽鬼となった蕙蘭を寿雪は池に封じます。
琵琶に執着するあまりに常軌を逸し幽鬼となった男の魂を送るために寿雪は宝物庫の5弦の琵琶を男の同僚だった者に弾かせます。男の身を案じて琵琶を取り上げたことが彼の死に繋がったと話す同僚は、彼の才能を妬んでいたことを吐露しますが、寿雪は「人」として死なせることが救いになっただろうと言います。
冬官の薛魚泳は高峻の命で寿雪に会います。彼は先代烏妃・麗娘 の戒めを破っていることを非難しますが、同時に彼と麗娘 との関係も示唆されます。
皇太子時代から支えてくれている側近で外戚の雲永徳(花娘の祖父 )との政治的バランスの配慮に神経を使う高峻の憂慮も垣間見られます。
封宵月が 鵲妃に近づくエピソードも盛り込まれています。