杏子の映画生活

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ゴジラ-1.0 ネタバレあり

2023年11月08日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2023年11月3日公開 125分 G

舞台は戦後の日本。戦争によって焦土と化し、なにもかもを失い文字通り「無(ゼロ)」になったこの国に、追い打ちをかけるように突如ゴジラが出現する。ゴジラはその圧倒的な力で日本を「負(マイナス)」へと叩き落とす。戦争を生き延びた名もなき人々は、ゴジラに対して生きて抗う術を探っていく。タイトルの「−1.0」の読みは「マイナスワン」。(映画.comより)

「ゴジラ」生誕70周年記念作品で、日本製作実写版通算30作目。監督は「ALWAYS 三丁目の夕日」「永遠の0」の山崎貴。
ゴジラという人間が作り出した怪獣との戦いがメインではありますが、同時に敷島という青年の心の再生の話にもなっています。

特攻隊員の敷島浩一(神木隆之介)は零戦の故障を理由に大戸島の守備隊基地に着陸します。整備班リーダーの橘宗作(青木崇高)は、荒れた滑走路に着陸できる操縦能力を認めながらも、機体に故障個所がないことから彼に疑いを持ちます。(でもこの時点では敷島の行動を非難はしていません。橘は既にこの戦争の行く末が見えていたのね。)

その夜。海面に深海魚が浮かび上がり(圧力差で内臓が膨れ上がって風船状態でグロテスク)基地はゴジラに襲撃される。橘は零戦の20mm機銃でゴジラを撃つよう敷島に頼みますが、彼は恐怖で引き金を引けず、その間に整備班は全滅します。生き残った橘は「みんな死んだぞ」と敷島を責め、引き揚げ船の中で班員が所持していた家族の写真を押し付けます。(意気地なしの卑怯者のレッテルを貼られたわけです。)

焦土と化した東京に帰還した敷島は、隣人の太田澄子(安藤サクラ)から、空襲で両親が死亡したことを知らされます。(母の手紙の「生きて帰って来なさい」の言葉に従って彼は特攻から逃げたんですね。)3人の子供を亡くした澄子は、敷島たち軍人のせいで皆死んだと責めます。やり場のない怒りを無傷で復員した彼にぶつけたんですね。

逃げたことで生き残ってしまった罪悪感を抱える敷島は、何度も島での出来事を夢に見てうなされ続けます。

ある日、闇市で彼は赤ん坊の明子を抱えた大石典子(い浜辺美波)と出会います。
典子は空襲で両親を失い、赤ん坊は空襲から逃げる際に見知らぬ母親から託されていました。赤ん坊を育てる余裕なんてないだろうと言う彼に典子は「パンパンにでもなれというのか」と怒ります。澄子も二人に呆れながらも明子のためになけなしの白米を分けてくれました。
強引に居ついた彼女と暮らすうちに、敷島は自分は生きていて良いのか、もしかしたら自分は島で死んでいて亡骸が見ている夢ではないのかという思いから少しずつ抜け出していきます。

敷島は二人を養うため、復員省の紹介で磁気式機雷撤去の仕事を受ます。心配する典子に危険だが(戦争のように)必ず死ぬわけではないと敷島は説得しました。
木製のボロい船「新生丸」に驚く敷島に、元技術士官の野田健治(吉岡秀隆)は理由(木は磁気式機雷に反応しない)を説明します。乗組員は野田の他に船長の秋津淸治(佐々木蔵之介)と軍国少年だった水島四郎(山田裕)です。
徐々に仕事に慣れ、貯めた賃金で家を改築して典子と明子と家族のように暮らす中で、敷島はもう一度生きることを許されたのではと思うようになります。やがて復興が始まり、典子も銀座で事務員の職を得て働き出します。この時点ではまだ敷島の「戦争」は終わってはいません。生き残った罪悪感から典子を妻に望むことを躊躇う気持ちが強いのです。

アメリカによるビキニ諸島での核実験の映像が流れます。被爆したゴジラは50.1mの巨体となります。駆逐艦ランカスターと潜水艦レッドフィッシュの被害によりゴジラの存在を知ったアメリカは、日本へ針路をとるゴジラを軍事行動で阻止することはソ連との関係が悪化している現状ではできないため、日本で対処するよう連絡してきます。

「新生丸」は重巡洋艦「高雄」の到着まで掃海で回収した機雷を用いて時間稼ぎをするよう命じられます。ゴジラには機雷も30mm機銃も通じませんでしたが、野田の発案でゴジラの口の中に機雷を入れて爆破することで頭半分を吹き飛ばすことに成功します。しかしみるまにゴジラの顔面は再生され、駆け付けた「高雄」の攻撃にも動じず放射熱線を吐いて沈めると海中に消えていきます。
(「新生丸」が無事だった理由は後で野田の解説で明らかになるのですが、熱線を連射できないのは再生能力が追い付かないからとされています。)

政府は「高雄」の沈没を国民に隠します。戦中の大本営発表の姿勢は変わっていないのね。😩 遂にゴジラが品川に上陸し銀座を蹂躙する様は圧巻です。(アナウンサー、実況中継してる場合じゃないぞ😥 )番宣で言っていた持ち上げられた車両に必死に掴まるシーンも緊迫感がありました。典子と逃げる敷島が、彼女に庇われて助かるエピソードではまたしても一人生き残ったことへの彼の絶望が伝わってきました。

「巨大生物對策説明会」に集められた戦争帰りの民間人たちに野田はフロンガスを使った「海神(わだつみ)作戦」(急速な水圧変化によるダメージで殺す)を説明します。
典子を喪った敷島は、別働作戦を考えます。ゴジラが上陸した場合に海中に誘導し、ゴジラ口内に戦闘機で特攻する作戦です。彼を追い立てるのは自暴自棄というより自分は死ななければ許されないという強迫観念のようなものかな。

局地戦闘機「震電」の整備を敷島は橘に頼みます。橘を探すために使った手段は褒められたものではありませんが、敷島の覚悟を知った橘は仲間を連れて作業に加わります。

ゴジラが再び現れたそのスピードに対応できず上陸を許してしまうのですが、敷島の巧みな誘導で再び相模湾沖に。「海神作戦」第一弾では効果が現れず第二弾で浮上させる際にバルーンをゴジラが食い破り、このままでは失敗かという場面で、水島(未来を託して敢えて作戦から外されていた)が多くの民間船を引き連れて現れて(このシーンで涙腺が緩みました)2隻の駆逐艦を引っ張ることでゴジラを海上へ引き上げることに成功します。

急激な水圧の変化で弱ってはいるものの、再び放射熱線を吐く気配のゴジラに特攻していく「震電」。その直前に彼が弾いたレバーは・・・。出撃直前の敷島と橘の短い会話に伏線がありました。死への恐怖を語る敷島に橘は生きて帰って来いといって脱出のための装置をつけたことを告げていたのです。
爆発と放射熱線の誘爆により瓦解していくゴジラの姿に思わず敬礼する乗組員たち。(この場面、特攻した敷島に対しての敬礼なのかよくわからなかったです)

帰港した敷島に明子を託した澄子が駆け寄って電報を渡します。典子は重傷を負って入院していたのです。(あの状況で生存というのは突っ込みたいところではありますが、逆に「だよな~」と予想はしてたりして😁 だって、ヒロインだもの)
病室で典子から「浩さんの戦争は終わりましたか」と訊ねられるシーンは思わずもらい泣きしそうになりました。敷島の戦争はようやく終わったのですね。

ラストは海中に沈んだゴジラの肉片が再生していく場面です。シリーズになっているのだからこのまま死んじゃうことはないのよね~😱 

本作とは関係ないのですが、もしゴジラが陸で死んだなら「大怪獣の後始末」的展開になっていくのだろうなぁとつい連想しちゃいました。😁 
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