杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

グレイテスト・ショーマン

2018年02月19日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2018年2月16日公開 アメリカ 105分

貧しい家に生まれ育ち、幼なじみの名家の令嬢チャリティ(ミシェル・ウィリアムズ)と結婚したフィニアス(ヒュー・ジャックマン)。妻子を幸せにするため努力と挑戦を重ねるフィニアスはやがて、さまざまな個性をもちながらも日陰に生きてきた人々を集めた誰も見たことがないショーを作り上げ、大きな成功をつかむ。しかし、そんな彼の進む先には大きな波乱が待ち受けていた。(映画.comより)

 

「地上でもっとも偉大なショーマン」と呼ばれた19世紀アメリカの実在の興行師P・T・バーナムの半生を描いたミュージカルです。

バーナムは己の才覚で貧しさから這い上がってきた人物です。上昇志向の強さは彼の武器の一つでもあるのですが、妻子を幸せにするためという大前提を見失った時、進む道に陰りが生じてきます。

世界中のあらゆる奇妙なものを展示した「バーナム博物館」をオープンさせたものの客足はイマイチ。そんな時娘たちとの会話からショービジネスを思いつきます。小人症の男や髭の生えた女性などオンリーワンの個性を持つ人々を集めたショーは一躍有名になり、豪邸を買って娘にバレエを習わせる裕福な暮らしを手に入れますが、批評家や社会には認められず反対する者も少なからずいました。庶民が楽しむ見世物小屋という感覚で上流階級には相手にされなかったのですね。

バーナムはフィリップ・カーライル(ザック・エフロン)をパートナーに取り込み、彼の伝手でビクトリア女王に拝謁する機会を得ます。世間(特に上流階級)を納得させるにはまず一番上を狙えというわけ この時オペラ歌手のジェニー・リンドと出会った彼は、彼女にアメリカ公演の企画を持ち掛けます。バーナムの目的は公演の成功による自らの地位の向上でしたが、ジェニーは違ったみたいで 最初はバーナムってば浮気しちゃうの?と思って観てましたが、彼女の誘いを断ったところで彼が愛しているのは妻子なんだと気付かされるのね。好意を拒絶されたジェニーはスキャンダルの種を残して公演をキャンセルしてしまいます。女を怒らせたら恐いのよ

ジェニーにかまけている間、サーカスの仲間はフィリップに丸投げされて放って置かれたわけで、女王との謁見やジェニーの公演の際にも暗に一段下に見られ隠された彼らの心境はいかばかり?と切なくなりました。レディ(キアラ・セトル)が歌う「This is Me」が胸を打ちます。

ショー会場が反対派との争いで火事で焼失し、スキャンダル写真の載った新聞を見たチャリティが娘たちを連れて実家に帰ってしまいます。気落ちして酒浸りのバーナムを、サーカスの仲間たちが励まします。ショーに出る前は人目を避ける生活を余儀なくされていた彼らにとって、声をかけてくれたバーナムは家族同様の存在だったのです。(バーナムが彼らに向けていた眼差しには少々疑問の余地があるんですけどね)この励ましに背中を押され、妻を迎えに行くバーナム。説得の場は、子供の頃に夢を語った(歌った)あの海辺でした。こういうところがロマンチックですね。

 フィリップが自分の貯金を出資しイーブンのパートナーになって、テントで再出発の幕が開きます。(彼はアニーに一目惚れしました。身分の差に悩み、なかなか思いを遂げられなかった二人ですが、火事の際の出来事がきっかけでようやく結ばれました。)でもバーナムは途中で娘の発表会に行くんですね。彼にとって一番大切なのは家族。会場で待つ妻子の前にショーで使う像に乗って登場するあたりは最高のエンターテイメントかも。(あの像はおとなしく会場前で待っていたのかしらなんて考えるのは無粋ですかね

バーナムは確かに人を惹きつける才能のある人物ですが、個人的には妻になったチャリティの人柄の方に好意を持ちました。彼女は家柄や財産など関係なく、ただ自分を求め愛してくれるフィニアスという個人を好きになって、彼と共に築く家庭が喜びであり幸せであった女性なのですね。

チャリティの父親への敵愾心に囚われ、地位や財産で張り合おうとしていたバーナムでしたが、大切な自分の中の宝物である妻子への気持ちに改めて気付いたことで、父親として夫として成長したのかな。


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