杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

長い廊下がある家

2016年04月05日 | 
有栖川有栖(著) 光文社(発行)

廃村に踏み迷った大学生の青年は、夜も更けて、ようやく明かりのついた家に辿り着く。そこもやはり廃屋だったが、三人の雑誌取材チームが訪れていた。この家には幽霊が出るというのだ―。思い違い、錯誤、言い逃れに悪巧み。それぞれに歪んだ手掛かりから、臨床犯罪学者・火村英生が導き出す真相とは!?悪意ある者の奸計に、火村英生の怜悧な頭脳が挑む。切れ味抜群の本格ミステリ傑作集。 (「BOOK」データベースより)

短編集で、ドラマの最終回の原作にもなっている『ロジカル・デスゲーム』が入っているため読んでみました。ドラマの方は番外編がHuluに移行しちゃって見られない。最近の傾向ですが、地上波で始めたなら最後までちゃんと見せて欲しいのもです。

『長い廊下がある家』
火村の教え子が巻き込まれた事件。
アリスの推理はほんとしょうもないけど、いつものようにその推理の骨格は真実を示しているのが面白いです。長すぎる廊下、見てみたいぞ
犯人が複数ならそのトリックも成立するよね

『雪と金婚式』
金婚式を迎えた老夫婦の美しい思い出(階段で転倒し脳震盪を起こして逆行性健忘症になった夫が、妻に贈った思い出の雪)が事件の鍵を握っていました。
雪を作る装置が殺害時刻を混乱させ真犯人のアリバイ作りに加担してしまっていたのね。
火村の推理で夫の記憶が蘇る展開はあまりにも劇画的ですが

『天空の眼』
マンションの隣人(女子高の英語教師)に頼まれて、彼女の元教え子の心霊写真騒動にアドバイスをしたアリスが、その後に起きた殺人事件解決にも一役買います。いつもはどうしようもない推理を連発して火村や警察関係者に引かれるアリスですが、今作では珍しく彼の推理が的を突くのです。
青森で道に迷った女子学生が撮った写真に写っていた背の高い草は自生する大麻でした。現場に行って初めてわかる真実です。無意識の行為が後の犯罪と殺人を生むとはまさに不条理。実際に起きた事件は小説のネタにしないアリスにとって、事件解決は嬉しくも哀しい気持ちですね。珍しく火村不在のまま終わります。
これ、ドラマでやって欲しかったな~~

『ロジカル・デスゲーム』
ドラマでは長谷川京子が演じていましたが、原作は千舟という狂信的なファン?からの挑戦状だったのですね。ドラマの中でモンティ・ホール問題といわれてもなんのこっちゃな数学音痴ですが、小説としてじっくり読んだら何となくわかったような気になったぞ
それにしてもホイホイと危ない輩に誘い出されてしまうあたり、火村先生も脇が甘いな

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