杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

走馬灯株式会社 vol.1

2016年04月03日 | ドラマ
2012年7月16日~9月17日 TBSドラマ

菅原敬太の漫画のドラマ化で、1話完結のオムニバス形式で描くサイコスリラー作品です。
これも窪田君の過去作追っかけで発掘
ミステリアスな案内人役は香椎由宇。その第一話の主演が窪田君です。
走馬灯株式会社に迷い込んだ人は、自分の産まれてから現在に至るまでの人生が収録されたDVDを観ることができます。

DISC1 2012年7月16日 関隆広(23)
恋人の結子(梶原ひかり)を母(横山めぐみ)に紹介しに実家に帰った関隆広。母一人子一人で育った彼は少々マザコン気味です。
その夜、幼馴染の圭介(千代将太)の誘いで飲んだ帰りに迷い込んだ「走馬灯株式会社」で神沼(香椎由宇)から渡されたDVDには驚愕の事実が映っていました!赤ん坊の自分をあやしていたのは見知らぬ女性で、しかも呼ばれている名前も違う。「母」は本当の母親ではなく、実母から自分を奪い、自分の子として育ててきたのです。そして両親を殺したのも今の「母」父から子供が産めないことを理由に棄てられた「母」による狂気の犯行だったというわけです。

事実を知って吐き気を催す演技がリアルでその動揺が伝わってくるようでした。家に帰り「母」と向かい合った彼は、今まで育ててくれた感謝からか、何も知らない振りをしようとしましたが、待っている筈の恋人の姿がない
仏壇には死んだ人に捧げるという紙人形がまた一つ増えていた・・・

母親役の横山さんの熱演でさらに恐さが倍増しています。
いや~こんな事実、知らない方が幸せよ。このあと、隆広君は絶望して死を選んじゃうのですから。
優しい彼は、真実と「母」への愛情の相克に耐えられなかったのですね


DISC2 堤友樹
妻(臨月)を愛していながら一夜の過ちからストーカー行為を受けた知樹は、その相手が高校時代に一方的に熱を上げてきた女ではないかと疑いを持つが、実はその女こそが妻だった。全身整形してたのね(走馬灯株式会社は自分と関わった相手の過去も観られるらしい)もちろん生まれた子供(女の子)は整形前の妻にそっくり。さらにストーカー女からも妊娠したとのメールが届き八方塞がりな知樹ですが、なんか同情できなかったな~

DISC3 多岐川理央
一年前に父親が事故死して以来元気のない理央のため、彼氏と親友が旅行に誘ってくれたのは、理央が生まれた村だった。その村の婆様の予言は絶対で、もし外れるようなことがあれば村に災いが起きるという。そして理央の死も予言されていて・・・。
彼氏も親友も全員この村出身で、理央を連れて村を逃げ出した父も村人に殺されたという真実が恐い!予言された時刻が過ぎたことで落胆する村人を振り切り逃げ出した理央は、東京でこの村が土砂災害で全滅したというニュースを目にするのでした。
いっそ全員で村を捨てたら良かったのにね~

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鹿の王 生き残った者

2016年04月03日 | 
上橋 菜穂子(著) 角川書店

強大な帝国・東乎瑠にのまれていく故郷を守るため、絶望的な戦いを繰り広げた戦士団“独角”。その頭であったヴァンは奴隷に落とされ、岩塩鉱に囚われていた。ある夜、一群れの不思議な犬たちが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生する。その隙に逃げ出したヴァンは幼子を拾い、ユナと名付け、育てるが―!?厳しい世界の中で未曾有の危機に立ち向かう、父と子の物語が、いまはじまる―。 (「BOOK」データベースより)


下巻の還って行く者を読んでから5か月。やっと上巻の順番が回ってきたぞ。
まぁ、上巻のおおざっぱなあらすじは下巻で想像ついてましたので、手元に来てもなかなかページを開く時間を取る気になれず、返却日間際に慌てて読んだ・・・もはや宿題状態。やっぱり順番って大切かも

下巻同様、火馬の民のヴァンとオタワルの医術師のホッサルそれぞれの目線で物語が進んでいきます。
ある晩、ヴァンが奴隷として働かされていた岩塩鉱を謎の獣が襲い、人々を次々と噛んでいきます。その後、謎の病が流行しヴァンと幼い女の子だけが生き残ったのです。彼はその子をユナと名付け、岩塩鉱から逃亡しますが、以後不思議な感覚に襲われることになります。

ホッサルは東乎瑠帝国の医術師として、この病の原因を究明しようとします。岩塩鉱で奴隷の一人が脱走したことを知り、噛まれても病にかからなかったヴァンの捜索を従者のマコウカンに命じるのです。マコウカンは跡追いのサエと共にヴァンの足跡を追いますが、山犬の襲撃に遭いサエを見失ってしまいます。

ヴァンはユナを連れ国を出ようとする途中で怪我をしたトマと出会い、彼の故郷(オキ地方)でしばしの平穏な日々を過ごすのですが、再度山犬と対峙したことで、自分が二つに別れた感覚を味わいます。
それをきっかけに谺主(こだまぬし)に呼ばれてヨミダの森へ赴いたヴァンは、その感覚が「裏返し」というものだと知るのでした。ヴァンはここで怪我を追い湯治していたサエと出会います。今度は岩屋を襲撃してきた山犬を何とか追い払うのですが、その間にユナを攫われてしまい、矢毒に倒れたところをサエに救われ・・・下巻に続く、という展開でした。

ホッサルは、この病がかつてオタワル王国を滅ぼした黒狼熱(ミツツアル)ではないかと疑っています。もしそうなら医術者の彼にとって、未知の病を研究する千載一遇のチャンスです。もちろん病に倒れた人の命を救うことが最優先ではあるけれど、一方で新しい治療法を試すまたとない機会に研究心を押さえられない自分にも気付いています。ミラルは優秀な助手であり、彼の良き理解者として描かれています。オタワル人は国を持たぬ民となることで逆に強者(国)の懐に入り込んで生き延びる道を選んだ民であり、ホッサルも祖父と同じくオタワル医術を東乎瑠帝国に広めることを望んでいるんですね。

上巻では、なぜ黒狼熱が再び広がってきたのか、その理由についてはまだ伏せられていますがきっかけとなった事件は明かされています。
支配者である東乎瑠が移住民を従属したアカファ王国に送り込み、彼らが持ち込んだ黒麦と火馬の民が栽培していたアカファ麦が掛け合わされたことで生じた毒麦により火馬が死んだことから火馬の民との諍いが起こった結果、火馬の民は滅ぼされてしまったのです。
この毒麦を食べて死んだ火馬を食べた犬が毒素を体に保有することになるわけね。
また、トナカイの乳を含む乳製品を常食にするアカファの民と口にしない東乎瑠の民という食生活の違いが、病への抵抗力に関係していることもさりげなく提示されていました。

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