黄昏オーディオ

ちょっとだけオーディオ。

読了

2013-11-14 00:01:58 | 書籍・読書
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四百を超えるページをようやく読み終えました。普段の読書は集中すれば何時間もかけずに読み上げてしまうような実用書の類が多いので、正直なところ途中めげて読み終えず返すかと思ってました。まあ読まずにめくっただけのページがないわけでもないですが、なんとか読破。前の感想にも書きましたが、ピアノという楽器の発展、技術革新について重きをおいて書かれたものではありません。ピアノの原型とされるフォルテピアノを発明したクリストフォリも、ピアノにまつわる一人として、ちょいっと書かれているだけ。
あくまで印象ですが、まるで、ピアノの歴史を一本の木になぞらえ、その気に実った果実、好んで寄ってくる小鳥たち、いただきで堂々としている猛禽類。密に集まる昆虫…ピアノの歴史にまつわる人々を描いた、長編ストーリーです。図らずも、並行して読んでいた。「いつも彼らはどこかに」はストーリーのどこかに必ず、動物が絡む短編集であったので、ピアノがどこかに出てくる物語のよう思えて、全く異なる二冊が奇妙に響き合いながら私の頭を駆け抜けて行った感覚です。
ちょっと印象に残ったものをメモがてらに記しておきます。

ピアノに書かれた銘「平和な暮らしを望むらら、耳を傾け、観察し、沈黙を保つべし」
「わたしはかつて平凡な木だった。生きていた時は無言だったが、今は死んで、巧みな演奏により美音を発する」

スピーカーにもこうした銘があってもいい気がします。

キャンターノと呼ばれる鍵盤楽器。木のケースには何列も仕切りがあり、それらのなかには大きさの違う猫が入れられ頭は小窓に固定されていて、一種の鍵盤によって尻尾を操作する。その演奏では猫たちは過剰に興奮し、痛さと恐怖にキーキー、 ニャーニャー、ギャーギャー。
さすがのゲテモノ音楽も好きな私ですがこれはちょっと…。まあ、盛り時期の裏通りの賑やか版でしょうか。

自動ピアノの紙のロールについて、二十世紀の終わりには、多くのピアノメーカーが扱いにくい紙のロールを必要としない電子版、デジタル盤を発売するようになった。それでも、一九〇〇年、シカゴに設立されたQRSミュージック・テクノロジー社は二〇〇八年の大晦日までミュージックロールを提供し続けた。
つい数年前まで生産されていたなんて…家に余裕があればぜひ一台置いてコレクションにしたいのですが…。まあ、かなわぬ夢ですね。

病めるシューマンは十九歳の時、指の柔軟性を高めようと使った器具でひどい怪我をし て、指の痛みのために勧められた気味の悪い治療法は「動物浴」と呼ばれ、殺処理された動物の内臓に手を突っ込むというもの。それは更なる精神的な苦痛をもたらし、言うまでも無く、手の障害は残ったままだった。
ほとんど魔術の世界…。

ショパンはピアノが大きな音で演奏されるのに我慢ができず、吼える犬になぞらえ。また彼はこんな風に言ったこともある。「コンサートで芸術の美を聴こうなどという考えは捨てたほうがいい」このところ小音量派ですので、心強いお言葉です。

神童(prodigy)」のもともとの意味は、「アーティスト」というより、ラテン語の「異常な兆し」や「怪物」を意味するprodigiumからきていることを。
私も凡人で子供も凡人ですので神童には縁の無きこと。

グレン・グールドの椅子は彼が子供時代から使っていたもの、
それは折りたたみの椅子で、彼の父親が脚を十センチほど切って高さを調整し、床からわずか35.5センチ。グールドのピアノ椅子の「公式」なレプリカはイタリアの椅子メーカー、カッツァーロ とフランスのデザイナー、ルネ・ブシャラのコラボレーションによる「グレン・グールド・チェア・プロジェクト」を通じて販売されている。
デザインフェチですが、これはおそらくいらないかも。でも売っているというのがすごい!

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ピアノの歴史
中村 友
河出書房新社