WE LOVEジジイ桂 望実文藝春秋このアイテムの詳細を見る |
ついに息子は帰って来なかった。
勤務表では『休み』。土曜日は合気道の練習が市内であるから、必ず帰ってくるはずだった。
予定帰宅時間の9時10分を過ぎても帰らず、寄り道かと少し待ってから
息子のため料理は冷蔵庫へ。焼くはずのサンマは冷凍庫へ仕舞って風呂に入った。
ずっとモコがくっついてくる。
風呂は風呂蓋を湯船にモコ用に少し乗せたまま入る。
『WE LOVEジジイ』もモコにジャマされつつ読みすすんだ。
ジジイとババァのネーミングに最近良く手が出る。
自分の行く先不安か?職業病か?
作者は私より10歳ばかり若い。
本当のジジババの気持ちはイマイチかもね。
映画になった県庁の星も彼女の作。
ちょっとコンセプトが似ているかな?
都会から傷心した有名コピーライターが田舎に移り住む。
田舎者に上から目線だった彼がどっぷりそこの住人になる話。
『輪投げ』という地味なゲームで村おこしと口にしただけで、
すっかり巻き込まれ、持っていた手腕発揮で大成功させて
いつの間にか、自分の心にまっずぐ向き合って素直な良き人に変貌している。
あらっ?県庁の星だわ
最初に友を売って自分の利益を得たために友を自殺に追い込んだところから
田舎暮らしが始まっている。
私はちょっと今夜帰ってこない息子に自殺願望を嗅いでいる。
息子はいじめた奴を見返すことをバネに『絶対死なない』と口に出す。
死の誘惑なくて普通『絶対死なない』とは言わない。
命とも思う合気道練習に帰って来ない…
悪い考えがチラリホラリ…
たぶん勤務が変わったんだろう。そうに違いない!
こういう気分の時にシャレにならんなぁ~と読み飛ばす。
田舎暮らしの何にもないは、どっぷり田舎暮らしだから実によく分かる。
小説に出てくるプライバシーの垣根のない密な人間関係は最近では、
一部地域に残っているだけなった。
高齢者支援の仕事をしていて、この地域力、近所力の残っている場所はとても安心出来ている。
誰もが相互扶助の気持ちで付き合っていけば、いざという時本当に助かる。
神戸の震災の時も助けはご近所相互扶助だったと聞く。
人つきあいの煩わしさを避けて、スマートな付き合いがだんだん田舎にも定着してきている。
息子のことに立ち返るが、ちょっとだけ周りがこんな奴だからと
非難やら叱責やらでなくて、
この小説みたいに個性をしっかり受け止めて良いとこで付き合ってくれたら。
息子に足らないのも人付き合い。
今も『隣は何をする人ぞ』のレオパレスに音を立てないようにして暮らして居る。
『WE LOVEジジイ』はちょっとシャイで小声しかだせない高校生が作った村の輪投げPRサイトの名。
コピーライター出身の作者はなかなか本のネーミングもうまいわ。
シャイな高校生と息子がまたオーバーラップする。
どこかに若いエネルギーを有機的に使えるところがみつからないかなぁ~
ジジイと銘打った本を読みながらずっと息子が頭を離れない。
一生、親バカ母かも
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