陽だまりのねごと

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ただいま故障中―わたしの晩年学   上野 瞭著

2012-03-20 20:01:35 | 
ただいま故障中―わたしの晩年学
クリエーター情報なし
晶文社


図書館のリサイクル除籍本。
ただ題のネーミングに惹かれて持ち帰ったもの。
晩年にしかも故障中に惹かれる^^;
読みだしてから著者はNHKであった人形劇ひげよさらばの作者で児童文学者だと知る。


ひげよさらば 1話


1984年4月2日から1985年3月18日にかけて全213話とのことだから、毎日、子供と一緒に観たっぽい。
題名以外にあまり記憶がなかったのは、おそらく家事にいそしんで合い間、合い間に観た所為でもあるらしい。
ネット検索は便利。
ユーチューブで拾って来た画像を観て、
この晩年学エッセイに書かれていたような思考ベースはちゃんと人形劇に盛り込まれていると分かる。
こんなもの3~4歳児に分からなかっただろう。
ただ猫ちゃんが可愛い程度だったろうけれど
テレビ前で大人しくしてくれてラッキーとしか思わなかった愚か母だったらしい。


まず自分自身をくまのプーさんに登場する灰色ろばから取ってイーヨーと名乗る。
物語の中で唯一ネクラな登場人物であるからという。
ネアカばかりが尊ばれる昨今、ネクラ、悲観的、調子の良さに乗れない人物に価値を見出している。
誰もが持つ二面性。
誰にもあるこの二面性の割合の差があるだけのこと、
ネクラ部分があって当然、悪いことではない言う主張に思わず拍手。

このエッセイの中にはいろんな本感想など盛り込まれていて、興味を覚える。

 『AV女優』(永沢光雄 ビレッジセンター)
 芦原すなお『官能記』

内容はポルノっぽくなく人の本質に迫る『生』について書かれてあると読んだ。
『男ども』の性の対象としみられないAV嬢は若くして人の2倍も3倍も厳しく生きた女性であると。
官能記もまた自己肯定を貫くことが描かれていると。
性的な本は少々苦手。
まず、これを読まなければ題名からして手にしないだろうと思われる。

それから、田中澄江の『夫の始末』
女流文学賞で一時期、話題になったか?
人であることの業の強さを読み取ったとある。

ここにひとつの戯れごとも書かれていた。
医療介護が財政を圧迫している解決策に『60歳になったら青酸カリを支給する』法案が通った。
自分が分からなくなったり、寝たきりになりそうな時、自ら命を絶つ選択を自身でしてもらおうと言う。
当然ながら、死にたい人に転売する人が出るとか、うっかり飲んでしまう事故とか、
面白いのは、いつでも死ねると思ったら老人に元気が出たという、著者の夢物語。

これが書かれたのは1998年。
まだまだ年金医療介護の財政圧迫が今ほどの深刻さを持って語られていない、
介護保険すらない時代。

幸、不幸についても書かれていた。
『しあわせ』最中にしあわせに気づかず、欠けて不幸になって気づく。
『幸福』も『不幸』も自分と対象の『充ち欠け』の関係を表しているそうな。

たまたま拾った廃棄本ながら、なかなか深い味わいがあった。
萩往還の道々、同行の友に内容を語ったら貸して欲しいとのこと。
廃棄前に読み手が増えた。








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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おはようございます (dorucasu)
2012-03-21 07:16:05
誰もが持つ二面性。
誰にもあるこの二面性の割合の差があるだけのこと、
ネクラ部分があって当然、悪いことではない言う主張に思わず拍手。

 本当にそうですね。この問題に悩んだこともありました。「私は嘘つきなのでは・・」とね!!
返信する
Unknown (かをる)
2012-03-21 08:37:57
おはようございます。

なかなか、興味深く面白い本でしたね。
それを簡単にまとめて
分かりやすく書かれている
いつも、ふんふんと納得
みかんさんの分析には、いつも感心です。
読解力があるから~~
返信する
ただいま (みかん)
2012-03-21 19:21:09
☆dorucasuさん

正直な方ですね(*^_^*)
ジギルとハイド、割合の問題かもしれません^^;

☆かをるさん

面白いですよ。
こういうちょっと真正面でないところから物を考えるの、スキです~♪
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