細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・教育者のブログです。

馴染む

2014-06-24 16:17:40 | フランスのこと

土木チャンネルでの藤井聡先生と浜崎洋介先生の対談で、馴染むこと、待つことの重要性が語られていました。

私は、パリでの通勤では、メトロとRERのA線を乗り継いでいますが、特にメトロの中の時間を気に入っています。それが、「馴染む」ということととても深く関連していることに気付いたのでまとめておきます。

メトロの6号線で、おそらく車両はメトロの中でも最も古いと思います。ドアの開閉は、手でレバーを回転させる必要があるし、座席もオンボロ、おそらく扇風機以外の冷房もありません。 乗り心地も異常に悪く、PCでの仕事は絶対にできません。ですが、このメトロの中での朝の時間が、私にとっては思考のためには最適の時間なのです。なぜなのか、今朝の通勤でじっくり考えていました。

まず、乗っている時間が長い。始発は凱旋門のあるEtoile駅ですが、5駅目のBir Hakeimから乗車します。長女を通学バスに送った場合は、隣駅のDupleixから乗車します。そして、終点のNationまで乗ります。Bir Hakeimからだと22駅。乗車時間にすると30分程度だと思いますが、長い。もちろん座れる。狭いですがボックス席で窓側に座るのが好きです。これが第一点。

そして、メトロなのですが、この区間は地上区間が多い。景色が次々と入れ替わり、朝の人の生活の営みも見える。 駅間が非常に短いので、テンポが良い。リズムは大事です。ずっと高速で走り続ける列車よりも、頻繁にテンポよく止まる列車の方が、長く乗る場合には思考には適しているようです。さらに、終点まで行くので乗り過ごすなどの余計な心配をしなくてよい。どっぷりと思考に浸れる。もちろん、ほとんどの場合、好きな音楽を聴いています。



写真1 私の好きなオンボロのメトロ6号線のボックス席。窓の外に、高架橋の鋼アーチ橋も見えています。



写真2 Bercy駅に到着する直前のセーヌ川。斬新なデザインの歩道橋も見えます。

それから、列車や線路システムがボロいこと。メトロの6号線の構造物(鋼アーチ等)はしょっちゅうメインテナンスをしています。しかも、6月末からは何と2ヶ月間も、私の最寄駅を含むある区間が運行停止になり、集中メインテナンスをするそうです。このように、古いシステムを手をかけながら使いこなしている状況をいろんな角度から知っています。だから、オンボロの列車で乗り心地は悪いのですが、何か落ち着くのです。

そして、もちろんメトロの中は様々な人種がいる空間ですが、私自身がすでにパリの都会での生活に馴染んでいることももちろん大きいです。

最後に、朝のそれなりに慌ただしい家庭の準備を終えて(これはこれでクリエイティブな仕事)、メトロに乗って一息付いている、という心の余裕もあると思います。RERは職場の最寄駅に着くので気が引き締まるのですが、メトロでは次に乗り換えもあるので、より解放感があるのかなと思います。

まだ要因はあるかと思いますが、これらの結果、メトロの中では他の場所よりも格段に思考をすることができます。

藤井先生、浜崎先生の対談でも、現代人は「待つ」という時間を持てなくなってきている、と憂いておられます。私もそう思います。とにかく時間の浪費をしないように社会があくせくしている。特に、インターネット社会となってからさらにスピード感を増し、スマホが出現してからは、特に日本では私のメトロでの時間のような過ごし方をしている人は激減し、メール、Web、ゲームなどに興じる方がほとんど。異様な光景です。LINEとやらは使う気が全くしませんが、さらに悪い方向に加速させるツールでしょう。そんなにあくせくして何をどうしたいのか、明確に語れる方はいるのでしょうか。

また、「馴染む」ということが重要。現代社会はとんでもない社会だと思いますが、それでも馴染むことはできる。日本は、古くなったら捨てる、古くなったら造りかえる、という良くない文化?が蔓延しており、メトロ6号線のように、使いこなしていくということがやはり重要なのだと思います。そうすることで、一見汚い都市であっても、何らかの愛着なり、先人への感謝の意、子どもたちを守る覚悟、将来への希望などを持つことができるのだと思います。馴染むためには、どうしても時間が必要です。待つことが必要です。

フランスでは、私はスマホでのインターネットを使っていません。それもあって、メトロでの有意義な時間を発見することになりました。

日本では、私も相当なタフスケジュールの中で生きていますので、どうしても効率を求めてしまいがちなのですが、それにより失うことがとても大きいであろうことに、気づかせてもらいました。

もう一点、今朝、RERに乗り換えた後の時間で思ったことは、「実践」を信条とする私ですが、人から教わった概念、考え方などを、必ず自分の生活、プロジェクトの中で実践して、真髄を体得しようとするのが、やはり私の特長なのだということです。 実践することで血肉となり、自分の言葉で語ることができる、ということです。今後も貪欲に勉強し、実践していきたいと思いました。

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6 コメント

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Unknown (同級生主婦)
2014-06-25 03:00:12
細田くんは、どんな音楽を聴くんですか?
私は結局幼い頃から習っていたピアノがずっと続き、音大へ進みました。
もちろんクラシックですが、個人的にはレゲエが好きでよく聴きます。
細田くんが音楽聴くとか余り想像できない(笑)
音楽 (細田)
2014-06-25 20:09:18
音大に行かれたのですね。誰なんだろう。。。

私もごく普通の人間ですので、音楽も大好きですし、私の母親が自宅でピアノの先生をしていたこともあり、私もピアノもやっていました。クラシックも好きだし、中学生になるくらいからは洋楽にもはまり、今でも当時にはまった洋楽は好きです。ミーハーと言われようが、マイケル・ジャクソンの楽曲の完成度の高さには毎日しびれています。

日本人だとサザンオールスターズ、桑田佳祐の曲が大好きで、やはり完成度の高さを感じます。

カラオケでは大抵、大暴れします。。。
Unknown (同級生主婦)
2014-06-25 20:38:31
カラオケで大暴れする姿は、めちゃくちゃ想像出来ます(笑)
本当にゴンタさんだったもんね

私のこと、誰だか分かってくれてると思ってました、小学校も塾も同じといえば、私しか居ないのにーー
ゴンタ (細田)
2014-06-25 22:45:35
読者はそれなりにいるのですが、コメントの非常に少ないブログですので(みなさん遠慮されてる???)、同窓会のようになっておりましてすいません。

小学校の同窓会があるのかすら知りませんが、参加したことがなく、同窓生たちを懐かしく思っています。Facebookでは、飛田君、岡崎君らとつながっており、情報交換しています。

母校の小学校が講演にでも呼んでくれれば、喜んで行きますけどねー。

N.S.さんかな、とは思っていましたが、音大のイメージとは違いましたもので。。。みんな、子どものころのイメージとは違う人生を歩むのでしょうか。そもそも、あのゴンタが大学教員ですから。。。
Unknown (同級生主婦)
2014-06-26 02:07:19
またまた返信ごめんなさい…
正解です(^^)

飛田くん、岡崎くん、懐かしいお名前です
私の息子は、母校の錦が丘小学校に通っています
細田くんは、ゴンタさんでしたが
東大に行くんだろーなと思ってました
大学教授は意外ではないですが、YouTubeで見た現在の人前でお話する姿は、小学校の頃のイメージと全然違っています
良い意味で(笑)

Facebookで友達申請させて頂きましたが、まだ承認もらえてないんですよ…
お弁当の写真に興味があって、是非参考に拝見したいのですが(^^)
またよろしくデス
facebook (細田(錦が丘小学校OB))
2014-06-26 04:15:53
facebookの友達申請者リスト?には見当たらないので、もう一度リクエストお願いしますね。怪しいリクエストは却下してますので、もしかすると却下してしまったかもしれません。。。

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