細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

サイエンスフェア

2016-07-18 14:38:24 | 職場のこと

7月16日(土)に横浜そごう9Fの新都市ホールで開催された、サイエンスフェアに横浜国立大学を代表して研究ブースを出展し、10:00~17:30の間、中高生やそのご家族を中心とする来場者に研究の説明をしました。

私にとっても初めての経験でしたが、事前に予想していたよりも負荷もはるかに大きく、しかしその分、手伝ってくれた研究室のスタッフや学生たちにとっても得るものの大きい機会であったように思います。

最初にこの話を受けたのは2015年度の終盤で、理工学部長の福富先生からの依頼であったようです。福富先生にはこれまで私もいろいろとお世話になりましたので、二つ返事で承諾しました。そのときは、何とでもなるとは思ってましたが、これほど負荷が大きいとは思いませんでした。

他の大学や企業と一緒に、サイエンスに関する研究ブースを運営するわけです。土木のコンクリート、ですが、4月に大学で発明表彰もいただいたSWAT等を保有する研究室なので、自分たちにできるベストを尽くして臨むつもりではいました。コンクリートとは何か?なぜこれだけ利用され、どのように現代文明を支えているのか?地震や津波によりどのような被害を受け、何が課題なのか?環境作用による劣化のメカニズムと、そのような劣化をしないための方策はどのようなものがあるのか?非破壊試験技術の最新動向は?

結果的に、 4つの動画を画面4分割表示で常時流すようにし、7つのポスターを貼り、SWAT・トレント試験・硬化コンクリート気泡計測装置・鉄筋の非破壊探査試験のデモを行い、凍害で劣化したコンクリートを展示し、7月上旬のJCI年次大会のキング・オブ・コンクリートコンテストで3位に入賞したコンクリートコマを自由に回してもらう、準備をして臨みました。研究室のTシャツを4年生の上原さんにデザインしてもらい、皆がお揃いのTシャツを着て臨みました。



私自身はこれらの展示に対してどのような説明もできますが、手伝ってくれた学生たちは必ずしもそうではありません。最初は私が説明をし、その中の情報やスキルも盗んでもらって全体チームのレベルアップができればと思っていました。

しかし、10時にサイエンスフェアが始まった直後に、一気にお客さんが来て私の構想は崩壊。研究ブースの各所で、チームのメンバーそれぞれが対応に追われる状況になりました。これが結果的にチームのメンバーの当事者意識を活性化させ、能力の向上につながったようです。やはり人間は追い込まれてからが成長のチャンスです。

 
中高生やそのご家族等の一般の方々に、土木、コンクリート、コンクリートに関する研究を魅力的に伝えるのは容易なことではありません。でも、魅力的に伝える努力を重ねる過程で、伝える対象のことをより深く知ることになるし、伝える側も魅力に気付くことになります。また、他大学や企業がたくさんブースを出展する中で、お揃いのTシャツを着ていることもあってか、横浜国立大学に対する自校愛や、自分たちの研究室に対する愛着も湧いてきたように思います。



JCI年次大会(博多)のキング・オブ・コンクリートのコマ大会のために作製したコンクリートコマも大活躍してくれました。ただ単に回すだけで来場者は喜びますが、どんな形でも造れるコンクリートの魅力も教えられるし、重いという短所が大きな慣性力につながる「長所と短所は表裏一体」の本質を説明することもできるし、コンクリートコマをきっかけにコンクリートの研究の説明に導かれる方々も多かったです。使えるものは手段を選ばず使う、という私のいつものやり方が今回のサイエンスフェアで本領発揮したかと思います。



終盤近くの17:00前に、会場全体の客数も減ったこともあるのか、私たちのチームの疲労も大きくなったのか、客足がパタッと止まりました。他のブースは基本的には実演の時間を決めて、整理券も配るなどして、メリハリをつけて対応しているようでした。私たちのブースはそのようなやり方でなく、「四六時中やってます」方式で行きました。この立て看板の内容も、当日の朝、4年生の上原さんに指示をして描いてもらいました。この看板を見て吹き出しているいる人が老若男女問わず多くいました。

このまま尻すぼみで終わってはつまらない、ということで急遽、SWATの実演をすることにし、子どもたちのコマ回し大会(時間を競う)も急遽行うことにし、皆で最後の力を振り絞ってお客さんたちに接しました。最後、もう一盛り上がりして終わることができ、研究室のメンバーも充実感を味わい、大変であった片付けも連携して一気に行い、大学での機材の荷卸しも終えて、大学に近いお好み焼き屋さんで打上げをしました。

どうせやるなら、一所懸命やる。やっている姿はいろいろな人に見られている。一つ一つを一所懸命やることで、次の何かにつながっていく。

研究活動を通じてこそ、教員の本質的な考え方は学生たちに具体的に伝わると思っていますし、そう言ってきましたが、今回のサイエンスフェアはそのような意味でもとても良い機会になったと思います。手伝ってくれたスタッフや学生の皆さんに感謝します。

今年度はいろいろな取組みがプラスに連鎖するようになってきたと感じますが、今後のコンクリートカヌー大会、研究室夏合宿、そして各メンバーの研究活動へと勢いが連鎖していくことを願っています。


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