細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

伸びる、伸びないこと

2013-02-04 13:46:53 | 人生論

2/2(土)の午後は、世界一の化学会社BASFと東大コンクリ研系研究者の技術交流会。昨年に始まって、2回目でした。

前川宏一先生の冒頭のご挨拶。「大学の研究者は、30代中盤くらいまでは学生との研究で伸びていくが、それ以降は学生とだけやっていても伸びなくなる。外部のトップレベルの人や、自分と同レベル以上の研究者、技術者と議論を重ねないと伸びていかない。」

これはいつもお聞きしているし、私もほぼそう思います。

その続き。

「東大でも、退官する先生たちの話を聞くと、がっくりすることが多い。それに比べると若手の先生方の話を聞いていると、すごいと感じることが多い。」

それらのご退官前の先生方は、途中から伸びなくなったのでしょう。前川先生がそうおっしゃってました。

ただし、「それらの先生方も若いころはすごかったはずだ。」とおっしゃっていました。

伸びなくなる理由ですが、それらの一つとして「飽きること」を前川先生が指摘しておられました。どんな人間でも15年も同じことを続けると、飽きてくる。心から面白いと思えないことに情熱は注げません。

以上のような情報を踏まえて、今の私はとても幸せな環境にあることを改めて認識しました。

JR東日本に置いていただいたこともあって、普通の大学の同年代の研究者よりははるかに人脈も多いし、濃いと思います。さらに、4年くらい前から山口県のシステムにどっぷりつかるようになり、実構造物や実務と研究が真につながるようになり、今年度は東北の復興道路の話や、鞆の浦の防災などにも活動領域と人脈が広がってきました。

この状態で伸びなければ、大学にいる価値は全くありませんので、すぐに辞職すべきでしょう。

問題は、この後ですね。体力は放っておけば落ちていく一方だとは思いますが,今と同じような情熱を燃やし続けることができるか。

今年度は、私自身がマネジメントの研究に本格的に着手した年だと思っています。昨年度までは、どちらかと言うと、学生と一緒に研究し、学生が手足を動かしている研究が多かった。山口県の構造物の調査などを始めてから、私も最前線で研究を行う感覚が戻ってきましたが、今年度は、実際の現場で私自身が品質確保や人材育成のためのマネジメントの研究を行っている感覚が非常に強くなってきています。

目視評価にしても、施工の基本事項を遵守するための施工状況把握、にしても、やはり研究を自分自身でやることは本当に刺激的で楽しい。

マネジメントの分野で、自分自身が研究のプレーヤーとして動き回ることで、しばらくは情熱を燃やして精力的に活動して、伸びていくことができるかと思います。明確な形にしていくには10年くらいはかかるのではないでしょうか。

本当に深刻になるのは、その先でしょうか。情熱が無くなったらすぐに辞職します。