細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

膨張コンクリートの研究

2008-12-19 08:18:20 | 研究のこと
 今回の新潟出張も非常に実りの多いものでした。いつものことですが、事前の想像を相当に超えて充実したものになりました。

 温度ひび割れ試験の試験体の製作も、修士2年の石渡君が段取りを頑張り、うまくできました。現在、高温履歴が与えられている最中です。

 それだけでもOKですが、膨張コンクリートについて将来ビジョンがかなり開けたのは大きいと思います。勇み足かもしれませんが、速報です。来年度、膨張コンクリートの委員会が立ち上がる可能性が大です。ひび割れ制御にこれだけ注目が集まり、技術が進歩してきた現在、強力メンバーで膨張コンクリートの委員会を立ち上げる時期にある、と判断しました。前回のJCIの膨張コンクリートの委員会では、私は最年少、平の委員でした。もちろん貢献はしたつもりですが。今回は、やるとすれば、間違いなく中心的な立場で切り盛りすることになると思います。

 非常に楽しみで、やりがいのある委員会だと思います。

 さらに、それ以外にも、海外へのひび割れ制御技術の展開についても、夜まで熱い議論が繰り広げられ、夢を描きました。おそらく、一つずつ実行していくのでしょう。

 また、世の中へ技術を送り出していく、裏の仕組みについても、いろいろと教えて?いただき、私自身、非常に勉強になりました。

 日曜日は今度は徳島へ出張です。純粋にAE法についてご指導を受けに行ってきます。こちらもまた楽しみ。今日の新潟からの帰りは、AE法についてお勉強です。

研究に対する考え方

2008-12-19 08:14:43 | 教育のこと
以下、先ほど研究室の学生にメールで送ったアドバイスです。
ご参考にしたい方はどうぞ。

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研究室の日本人学生の皆さん

細田です。

昨日は新潟で石渡君と実験をしました。今朝、石渡君と話しながら、少し思うことがあったので、皆さんに伝えます。26日の夜に研究室内で忘年会をやることにしたので、そのときにいる人には直接話します。

皆さんがそれぞれテーマを抱えて実行している研究とは、何のためにやっているかというと、いろいろ意味はありますが、まず第一義には、君たちのプロジェクト遂行能力の向上のためです。要は、君たち自身がプロジェクトのマネージャーなのです。そこが根本です。私がプロジェクトの管理者ではないのです。

君たち自身がプロジェクトマネージャーであり、一人では遂行する能力が足りないので、アドバイザーがいるわけです。なので、研究を着実に進行させるための段取りや、情報収集、実行、取りまとめ、すべて君たちが主役です。アドバイザーにはいい結果であろうが、期待通りでなかった結果であろうが、報告して、アドバイスをもらう、というのは君たちの義務でしょう。

おそらく勘違いしている人がいて、期待通りの結果が出なかったら細田先生に報告してはいけない、と思っている人いませんか?論外です。期待通りでないところにもいろんなヒントがあり、私は「失敗」という考え方をしませんので、それこそ報告してもらいたいのです。そうすれば、改善するアドバイスをいくらでもできます。アドバイザーを徹底して活用しなさい。

自分自身があちこち飛び回っていて、十分な指導時間を取れていないのは申し訳ないです。メールでも携帯電話でも遠慮なく報告してください。

そのようなプロジェクト管理能力は、社会に出るとすぐには身に付きません。なぜなら、プロジェクトを任されるのはかなり先だからです。研究室を卒業するまでに、十分ではないかもしれないけどプロジェクト管理能力を付けて巣立った人は、必ず活躍できると思います。逆に、遠慮して、結局ほとんとプロジェクト管理能力を身につけられずに出て行けば、おそらく次にプロジェクト管理の立場になるのは30代、40代。そのころには吸収能力も落ちていて、凡人のまま終わるでしょう。目に見えています。

よく例え話で使いますが、野球のイチローを見て「すごい」と思っても、見ているだけでは絶対にイチローにはなれません。皆さんがどう思っているか知りませんが、たとえば研究室の生活で、細田のことを見てすごいなー、と思っていたとしても、思っているだけでは絶対に近づくことはできません。私は教育が仕事なので、どのようにすれば、私のようなやり方が身につくか、具体的な考え方、方法も教えているつもりです。それを少しでも身に付けて出て行けば、一歩ずつではあるでしょうが、近づいてくることが絶対にできます。

以上、アドバイスです。活用したい人は、有効に活用してください。