あるく あかるく

健康長寿 めざしましょう

タヌキvsクスサン、一瞬の戦い

2017-02-15 06:25:39 | 日記
意外な使い道

 雪の中に立っている丈の高い枯れた草。
そこにクスサンの繭がありました。
茶褐色の繭は網目が荒いので中が透けて見えます。
 何だかうらぶれた感じがしますが、この繭の主は波乱に満ちた
結構力強い一生を送っています。

 クスサンの幼虫は8cmにもなる巨大な毛虫です。
クヌギやイチョウやサクラなど、多くの葉を好き嫌い無く貪り食って
成長します。
 7月に繭を作って蛹になり、秋になると孵化します。
成虫は羽を広げると女性の掌程もある大きな蛾です。
幼虫時代はあれ程食欲が旺盛だったのに、成虫になると口吻が退化
してしまってエサも水も採れません。
 オスはひたすら羽状の大きな触角を働かせて、遠くのメスが
発するフェロモンを感知して交尾の相手を探し求めます。

 釣り糸に使われるテグスが手に入らなかった頃、クスサンが代用
されたと言います。
幼虫を酢の入った湯に浸し、中から糸を引っ張り出してテグスの
代わりに使いました。
 誰が何時頃にどんな切っ掛けで酢に浸したのか、先人の豊かな発想
には驚かされます。
その頃はクスサンの一番の天敵は人間だったのでしょう。

天敵対策

 クスサンの幼虫は白くて長い毛を持っています。
触れるとチクンとしますが毒はありません。
この毛は天敵のヤドリバチが近づくのを防いでいます。 
 成虫も天敵対策の道具を身に着けています。
昆虫をエサにする野鳥が近づくと、普段は隠している後羽をいきなり
広げます。
するとそこに大きな目玉模様が現れます。
 大抵の鳥は眼玉の模様に驚くので、その隙にクスサンは難を逃れます。
鳥が目玉模様を恐れるのは、天敵のハヤブサの眼を連想するからと
言われています。
ハヤブサの眼は際立ってぱっちりとしているので、それがきっと
ハヤブサの象徴として認識されているのでしょう。

 クスサンには何とも手ごわいもうひとつの敵がいます。
それはタヌキ。
ガタイのデカいクスサンは、タヌキにとっては食べごたえのある
タンパク源です。
 秘密兵器の目玉模様も、ハヤブサなんてちっとも怖くないタヌキには
全然効き目がありません。
「ドウダ!」と威嚇している間に、胴体を咥え込まれてしまいます。
タヌキは器用に羽をもぎ取ってむしゃむしゃと呑み込みます。
 目の有るクスサンに、目が無いのです、タヌキは。 
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 菅笠被ってウォーキング | トップ | 鳥の脳は人間の脳より重かった »

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事