雲ひとつない、星と満月が見える空で、深夜、突如
月が消えはじめる天体ショーがはじまった。
寒いので、
家から出てちょっと見ては家にもどったりしながら、観察した。
月の位置が、ほぼ真上だったので、
少し体が外に出なければよく見えなかった。
月食の様子は肉眼でも見えるけれど、
望遠鏡で見るとよく見えた。
こうこうと光を放っていた満月の月が、
突如、次第に細くなっていく。
明るい月の光はどんどん細くなり、
月の光で、影ができるほどだったその光は消え、
やがて、 模様が見える、うっすらとした丸い赤い月になっていく。 それまで、月が光を隠した夜空では、 オリオン座をはじめとする冬の星座たちがより光を増しながら、輝いていた。
星たちを見ていたら、
ああ、自分も、大きな自然という時間の流れの中で、
生きているって思った。
こんな自然現象見られて、
生きている幸せもちょっぴり感じた。
日づけがかわって11日になっていく、
震災で亡くなった人たちの月命日11日になっていく。
何があっても、
自然の時間は止まらない。
ただひたすら時間は流れていく。
月も太陽も動き続ける。
今、この瞬間も、
つらい思いで生きている人たちも、
がんばりすぎず、
自然の流れに身をまかせつつ、力を抜いて、
とりあえず生き続けてほしいと願う。
やがて、また、月は夜空に現れはじめ、
細い光から、太い光へと元にもどっていく。
そしてまた、
月光で地面に影ができるほどの光を放ちはじめた。
ふと思った。
今の私たちにとって、
なんら恐れることのない、この月食も、
この現象の意味がわからなかった大昔の人たちは、
さぞかし驚き、恐れおののいた事でしょうと。
いけにえを捧げ、寒い夜空の下、
皆で一晩中、災いが起こりませんようにと、
祈っていたかもしれません。
今なら、月食の理由は世界中に知られているから、
誰も恐れる人はいないでしょう?。
消える月を見ながら、
私はまた、思いました。
脳脊髄液減少症も同じじゃないかと。
知識が普及していないから、人々が恐れるのではないかと。
今はまだ、脳脊髄液減少症の研究ははじまったばかりだし、
世界中の人たちに、
脳脊髄液減少症の正しい知識が普及していないから、
人は「恐ろしさ」や悪い情報ばかりに気をとられ、
検査や治療さえ、躊躇してしまうのではないかと。
これから、世界中の医師たちが、研究に取り組みはじめ、
さらに研究が進んで、いろいろなことがわかりはじめ、
正しい知識が世界中に普及すれば、
恐れるに値しない病になるんじゃないかと。
そうなれば、
脳脊髄液減少症は、いつでもどこでも早期発見、早期治療でき、
すぐ診断がついて、見逃されることなどなくなり、
充分な補償と、充分な治療が、誰でも受けられるようになり、
多くの人たちが、
早期に元気に社会復帰していけるようなるでしょう。
治らない人たちの情報ばかりではなく、
治った人たちも、もっともっと声を上げはじめ、その情報も広がっていくことでしょう。
さまざまな分野の医師が研究に取り組み、
さまざまな診療科からのこの病に対してアプローチがはじまり、
治療法ももっと早くもっと確実になり、
治療成績もあがり、
なんら恐れるに値しない病になることでしょう。
脳脊髄液減少症は、
きっと、
近い将来、
かつて死病と恐れられつつも、
今は何ら恐れるに値しない病となった、「脚気」みたいな道を
たどることになると思います。
そうなるまでの時間をいかに縮めるかが、
今後の私たちの課題だと思います。
そのためにも、
患者たちが、黙っていてはだめ。
勇気を持って、
私たちが、語り続けましょう。
恥ずかしいことじゃないんだから。
隠すようなことじゃないんだから。
誤解や偏見なんて恐れないで、
語り続けましょう。
うそじゃないんだから。
本当のことなんだから。
さあ、勇気をだして。