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進化する魂

フリートーク
AKB48が中心。
気の赴くままに妄想をフル活用して語ります。

AKB48も踊る

2013-02-25 23:40:36 | AKB48_その他
前回の『AKB48はビジョナリーカンパニーになれるか?!』の補足みたいな感じで小話。

これは論者によって基準が変わるから一概には言えないのだが、一度瀕死状態になった企業がその後不死鳥のごとく復活した例というのは少ない。
(ここでの「復活」とは短期的な「あたり」ではなく、持続的な成長力や収益力を取り戻したという意味。)

多くの場合、復活はない。

だからこそ「復活劇」は注目され、語り継がれ、時に感動を呼ぶ。
(映画やドラマになったりさえする。)

その復活劇の中でも最も有名な話といえば「IBM」の復活劇である。

その立役者はCEOルイス・ガースナーで、前のエントリ『ビジョナリー・カンパニー』に反して彼は雇われCEOであった。
(当Blogの論にバランスを与えるのにもいい話だ。)

今日は、彼の著書『巨象も踊る』の雑感を書き残しておこうと思う。
(昔違うところで書いた)





この本は「古くて新しい本」だと思う。

私自身多くのことを知っているわけではないが、ビジネスの世界ではトレンドの移り変わりが激しく、数年前のことが大昔のように感じることさえある。

多くの人は、インターネットの時代に電話時代の事を語られても読む気になれないだろう。

だから、たいていビジネス書は10年も経つと陳腐化して、読む価値がほとんどなくなる。

特に成功者と呼ばれる人々が書く「私はこれで成功しました」的な書籍がその代表だ。

偶然的に手にした個別的な成功を一般化しても時代とともに廃れるだけだ。

しかし、中には時代を経ても燦然と輝くものがある。

数学や物理の定理が時代を経ても色褪せないように、ビジネスの世界で見出される普遍的な知見や法則もまた色褪せない。

そういったものはClassics(古典)と分類される。
(いわゆる☆5つというやつだ)

この本もまた、古典の入り口に立つ価値のある書籍であろう。


この本が書かれたのはガースナーがIBMのCEOを退任した2002年。

AMEXのCEOであったガースナーがIBMにやってきた1993年であるから、今から10年前に書かれた「今から20年前から10年前の出来事」なわけだ。

当然ながら、10年前から今(つまり未来)を展望している点には幾つかの見立て違いはある(しかし、10年前に現在の状況を予測できた人などあろうか)。

しかし、その他の多くの点においてガースナーは時代の流れを掴んでいる。

いや、正確に言えば、本文中でガースナーが再三書いているように「IBMが時代の流れを作るのだ」という意思に基づいて「時代の流れを作った」と言うべきだろう。


また、私は、この本を読んで1つの驚きと、1つの納得を感じた。

驚きのほうを先に述べる。

ガースナーはIBMの置かれた状況と、そしてその原因を「イノベーションのジレンマ」として実に正確に理解していたという点だ。

この本を書いた2002年には既にクレイトン・クリステンセン著『イノベーションのジレンマ』は出版されていたので、執筆時にその影響を受けていないとは言えない。

後から記憶が再構成された可能性は否定できないだろう。

しかし、少なくてもガースナーがCEOとして振舞った数々の行動が、イノベーションのジレンマと同様の認識に基づいていたことはいえる。

つまり、ガースナーは、クリステンセンよりも早くバリューネットワークによる資源配分プロセスの硬直化の問題に気づいていたことになる。

彼が世界屈指の経営者と言われる由縁であろう。

彼は、これをダーウィンの「適者生存の法則」をもじって「肥満者生存の法則」と言っている。

企業の中では、もっとも肥満したものが生き残ることが少なくなく、資源配分を新しい成長分野や事業に傾けることは経営者の難しい仕事なのである。


納得の方を述べたい。

私にとっての納得は「第3部 企業文化」である。

内容はジェームス・コリンズ著『ビジョナリー・カンパニー』の主張とほぼ同じである。

ガスナーは企業文化こそが最も重要だと述べる。


私は3つの企業で合計25年以上、経営に携わってきた。
それ以前にコンサルタントとして、多数の企業の経営を見てきた。
IBMに来る以前に聞かれればたぶん、企業文化は企業を成り立たせ成功に導く要因の一つだと答えただろう。
ビジョン、戦略、マーケティング、財務など、いくつもある重要な要因の一つだと。
自分が関与してきた企業の文化のうち、良い面と悪い面を挙げていったかもしれない。

 (中略)

IBMでの約10年間に、私は企業文化が経営のひとつの側面などではないことを理解するようになった。
ひとつの側面ではなく、経営そのものなのだ。
組織の価値は要するに、それを構成する人々が全体として、どこまで価値を見出せるかで決まる。

 (中略)

どんな分野の組織であろうと、これらの正しさがDNAの一部になっていなければ、長期にわたって成功を続けることはできない。

 (中略)

これは、国の文化がそうであるように、ほんとうに重要なルールはどこにも書かれていないからだ。


最後に、題名となった『巨象も踊る』について述べたい。

この書籍の最初から最後までを貫く1つのテーマは、題名の通り『巨象も踊る』だと思う。

おそらく、いまいちピンとこない人が多いのではないかと思うので、原著の題名である『Who Says Elephants Can't Dance?』を持ち出そう。

『巨象が踊れないなんて誰が言った?』の方がしっくりくる。

ビジネス史やイノベーションについて語る時、必ずといってIBMは登場する。

その役割は巨大で強靭ではあったが、環境の変化に耐えられず絶滅した「恐竜」だ。

ガースナーがCEOになった時も、世間ではIBMを「大きくて動きの遅い巨象」に例えて、主な関心事は巨大なIBMの解体・分社化だった。

彼自身ハーバードのビジネススクールでMBAを取得し、マッキンゼーでのコンサルタント経験があったため「企業の権限分散」に関する効用は熟知していた。

教科書はこう教える。

「小さいものは美しく、大きいものは醜い。小企業は俊敏で、企業化精神に富み、反応が早く効率的だ。ひるがえって大企業は鈍重で、官僚的で、反応が鈍く、効率が低い。」これが常識だと。

彼はこれを「まったくの戯言だ。」

と言って切って捨てる。

ガースナーが何度も繰り返した言葉が「インテグレーション(統合)」「サービス」の2つであった。


象がアリより強いかどうかの問題ではない。

その象がうまく踊れるかどうかの問題である。

見事なステップを踏んで踊れるのであれば、アリはダンス・フロアから逃げ出すしかない。


AKB48は見事なステップを踏んで踊れるだろうか。

AKB48はビジョナリーカンパニーになれるか?!

2013-02-25 16:13:21 | AKB48_軽ネタ
いい加減しつこいと言われそうだが、何度も繰り返してきたことを、再度ここでも繰り返したい。

危惧していたことが今起きている。

AKB48はこれからゆっくりと縮小均衡していく。


チーム4こそが次世代のAKB48 できなければAKB48はゆっくりと消滅するだけ
http://blog.goo.ne.jp/advanced_future/e/112e9a62a9970d0be6f2d6734cdbafb6


AKB48が今後も持続的に内生的な成長をすることができるか否か、その鍵を握っているのはチーム4だ。

たしかに地方戦略にせよアジア戦略にせよ、同業・異業種コラボレーションの促進にせよ、拡大路線をとれば、その最中には全体として成長しているように見えるだろう。

しかし、それとAKB48自体が質的な成長を遂げることができているかは、別の話だ。

俄かな成長のためではなく、AKB48が永続的に存続する組織に成り得るかどうかを考える時、考えなければならないことは変わってくる。

その観点で述べるが、チーム4がブレイクできなければ、それはAKB48がゆっくりと消滅していくことを意味している。
(ブレイクの定義はめんどくさいから読み手に任せます)

AKB48に、組織として持続的な学習能力とそれを基にした成長力があるのか、ないのか、それを見分ける最もわかりやすい指標がチーム4だからだ。

チーム4は、9期以降のメンバーで構成され、AKB48に新しい物語を創るためのチームだ。

高まらないメンバーの新陳代謝(入れ替え)の妥協の産物でもなければ、研究生のガス抜きのためでもない。

新しいAKB48を創るためだ。

長期的な視野に立ったとき、チームA/K/Bとチーム4との間にある物語の深い断絶をあえて受け入れる意味が理解できるだろう。

チーム4がブレイクできないということは、AKB48は内に新たな成長エンジンを創り出す能力がないということを示している。

パイの拡大が止まれば、次に起きるのは大収縮だろう。

つまり、AKB48には組織として永続的に存続できる能力はなく、長い歴史を俯瞰してみれば一時代の一発屋だったということになる。

上記を理解していれば、組閣などの小手先の方法は、短期的な利益を追求する問題を隠すだけの方策だと言うことがわかる。

ブレイクするためのチーム4でブレイクしても意味が無い。

「チーム4」がブレイクすることができるか、これがAKB48の未来にとって決定的に重要だ。

AKB48が真正面から取り組むべき課題の一つは、チーム4をブレイクさせることができるか否かなのだ。

逆説的に言えば、もしAKB48運営が小手先の手段でチーム4をテコ入れするなどした時は、「AKB48の終わりの始まり」がはじまったのだと思ってほぼ間違いない。

その意味でも、チーム4はAKB48の未来を占うメルクマールになる。


AKB48の「終わりのはじまり」のタイミング
http://blog.goo.ne.jp/advanced_future/e/8130b48bbaf43934cc3536e207b1a3f2


上のエントリでチーム4にこだわった理由は「チーム4が素晴らしいチームだから」ではない。
(チーム4は素晴らしいチームだが)

何よりも重要なことは「AKB48に良い多様性が存在するか?」という点である。

誰かがスキャンダルに沈む時は、他の誰かが出てくる。

理念が失われAKB48への信頼が疑われる時には、誰かがそうではない!と言う。

何かのイベントが失敗に終わっても、他のイベントで取り返す。

AKB48が落ち込むときは、他のグループが盛り上げる。

「諸行無常の響きあり」という言葉があるように、何事も、どのような組織も永続的であり得ないのであるから、

盛者必衰の理
http://blog.goo.ne.jp/advanced_future/e/0a34386b6e6fe15f39300b46d1527f60

一発屋ではなく、持続的に利益を維持できる卓越した組織とは「自己革新することのできる組織」なのである。

全てのことが変わるのだとしても、自らがそれと同等かそれ以上のスピードで変わる(自己革新)ことができればよい。

自らが変化するためには「良い多様性」が非常に重要だ。

(組織が外部要因(環境多様性)に合わせて適応するためには、組織はそれと同等の多様性「最小有効多様性」を持っていなければならない。)

多様性を養うには、「生産力」が必要だ。

多様性とは、単なるカオスのことではなく「秩序ある混沌」のことであり、それは生産力によってできた余剰に生まれる。

その余剰がバラバラに分散し雲集霧散を繰り返すだけにならず、自己組織化され散逸構造を構築するためには、各要素に共通する「理念」や「意図」「ビジョン」「目的」などと呼ばれるものが必要だ。

AKB48はどのアイドルグループよりも多様性のある組織である。

その多様性を支えるズバ抜けた「生産力」(生産性ではない)を持っており、共通の理念と目標があった。

だが、それも「第1章」までの話だ。

「理念」と「目標」を失った以上、高速回転していた組織は安定性を失い、バラバラになってそれぞれある水準に縮小均衡するだろう。

自転車は動いている時には安定しているが、停止すると不安定になり横に倒れてしまう。

前に進んでいる時は自然と安定する(規律が保たれる)から、安定性について考える必要がほとんどない。

だが、速度が落ち停止するとどうなるだろうか。

運転手は何も変わっていなくても、速度が落ちるだけで転倒する可能性が高くなる。

その時、目に見えない力に支えられていたことに気づく。


AKB48は半年経った今もまだ1830m地点に留まっている
http://blog.goo.ne.jp/advanced_future/e/f24dca476878b47f513981f328b66f84


日産スタジアム公演をやめて、チーム単独での東京ドーム公演を次の目標に掲げてみたらどうか?
http://blog.goo.ne.jp/advanced_future/e/cf2020ee5fd5c5d646166d2342cdf914


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暗い話になってしまったので、最後に趣味の話をしよう。


ジェームズ・C・コリンズ著『ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則』




時を告げるのではなく、時計をつくる
http://blog.goo.ne.jp/advanced_future/e/91429274914372eb7fc7865aac457f6d


昔は正確に時を告げる能力は貴重なものであった。
その才能のある人が才能を生かして、生涯、正確な時を告げる役を負うか、そうではなく、正確に時を告げることのできるシステムとしての「時計」を創るのか、は大きく役割が違う。



世界は変化している。
この難題に組織が対応するには、企業として前進しながら、その基礎となる信念以外の組織のすべてを変える覚悟で望まなければならない。
組織にとっての聖域は、その基礎となる経営理念だけだと考えるべきである。

基本理念を、文化、戦略、戦術、計画、方針などの基本理念ではない慣行と混同しないことが、何より重要である。
時間の経過とともに、文化の規範は変わる。
戦略は変わる。
製品ラインは変わる目標は変わる。
能力は変わる。
業務方針は変わる。
組織構造は変わる。
報酬体系は変わる。
あらゆるものが変わらなければならない。
その中でただひとつ、変えてはならないものがある。
それが基本理念である。
少なくとも、ビジョナリー・カンパニーになりたいのであれば、基本理念だけは変えてはならない。

この点から、本書の中心になっている概念が導き出される。
概念とは「基本理念を維持しながら、進歩を促す」であり、これこそ、ビジョナリー・カンパニーの真髄である。

組織を築き、経営している読書に向けた本書の主張のなかで、何よりも重要な点をひとつあげるなら、それは、基本理念を維持し、進歩を促す具体的な仕組みを整えることの大切さだ。
これが時計をつくる考え方の真髄である。

会社を究極の作品と見るのは、極めて大きな発想の転換である。
会社を築き、経営してるのであれば、この発想の転換によって、時間の使い方が大きく変わる。
製品ラインや市場戦略について考える時間を減らし、組織の設計について考える時間を増やすべきなのだ。

ビジョナリー・カンパニーが素晴らしい製品やサービスを次々に生み出しているのは、こうした会社が組織として卓越しているからに他ならず、素晴らしい製品やサービスを生み出しているから素晴らしい組織になったのではないと思われる。

ビジョナリー・カンパニーは「ORの抑圧」に屈することなく、「ANDの才能」によって、自由にものごとを考える。
「ANDの才能」とは、様々な側面の両極にあるものを同時に追求する能力である。
AかBかどちらかを選ぶのではなく、AとBの両方を手にいれる方法を見つけ出すのだ。



ウルトラC的なものを狙ってサプライズ人事でこの状況を打破しようとすることは避けたい。

何にも解決にならないからだ。


チーム4のメンバーを入れ替えたところで、問題は何も変わらない
http://blog.goo.ne.jp/advanced_future/e/bf007919e6f741b14ea38f27b5e1fb68


明日のAKB48を創れるのは、AKB48を愛してやまない者だけだ。

AKB48を愛している者なら誰でも、この機会に参加して、明日のAKB48を語るべきである。

プロデューサーであれ研究生であれ、ライトファンであれ誰であっても構わないはずだ。

プロデューサーが落ち込んだら誰かが代わりに叫べばいいのだ。