経済産業省は2年前に始まった再生可能エネルギーの固定価格買取制度を抜本的に見直すことを決めた。昨年の時点で全発電量のうち再生可能エネルギーの割合が2.2%であるが、そのうち太陽光発電が大半を占める。電力全体の比率は低いが太陽光発電は制度発足時(それ以前から太陽光発電は普及してきている)と比べると新規増加は50%も増えていてその急成長ぶりが窺える。
これも市場電力価格の2倍ともいわれる高価格の買取優遇制度が大きく影響したものといえる。しかも発電事業を申請した時点での買い取り価格が10年間(最大20年)も維持できるのだからこれほど好都合の話はない。
しかし、太陽光発電の欠点がここへきて露呈してきた。昼夜、気候によって出力が大きく変動する致命的欠陥である。太陽光発電を全量受け入れる電力会社は、不安定な電力に対応するためにぶれの調整に注視せざれるを得ない。そしてその調整が限界に達してきて、最近国内の電力会社がこぞって、再生可能エネルギー事業の新規電力受け入れを中断するという事態となった。
なんと操業はしていないが、政府に申請を済ませた再生可能エネルギー業者の総発電量は現在の国内の総量電力の2割に及んでいるいるというから驚きだ。政府では2030年の時点で9.4%になることを目標していたからだ。これも固定価格買取制度の構造的不備の結果だ。
たとえ、電力受入容量を増やして送電線網を新規整備して、再生可能エネルギー特に太陽光の発電量を増やしても根本的問題は解消はしない。結局、一段と余剰のエネルギーが増える可能性がある。これが脱原発先進国ドイツであれば、隣国に輸出したり、逆に不足分があれば輸入することもできる。しかし、島国日本ではこれがほぼ不可能である。
再生可能エネルギーでも地熱発電やバイオマス発電なら電力が安定しているから期待はもてる。しかし、風力や太陽光は不安定要素が強く蓄電の技術が飛躍的に進むならともかく、補助電源の宿命から逃れられない。もちろんその可能性を否定してはいけないが、原子力発電は当分基幹電源として当面存続せざるを得ない。川内原発再稼動で騒いでいる暇はない。
追記:この問題に関連し川口マーン恵美氏がドイツの最新事情をふまえて日本のエネルギー政策に警告を鳴らしている。
【川口マーン恵美】日本の発電所事情とドイツの最新エネルギー事情