粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

川内原発と姶良カルデラ

2014-10-01 09:11:55 | 反原発反日メディア

御嶽山の噴火を機に、鹿児島の川内原発が火山の爆発で深刻な影響を及ぼすのではないかという論議が盛んになされている。桜島を含む錦江湾全体が巨大な姶良カルデラを形成しており、広い海底が大爆発してその火砕流が川内原発にまで及ぶというシュミレーションである。自分はこの問題に全くの素人でしかないが、あまりに問題を深刻視するマスコミの論調には違和感を覚える。

火山学者の多くが噴火による危険性を警告しているようだ。およそ3万年前に大爆発をして、南九州全体がその火砕流や火山灰で被われ生物が死に絶えたという。原発稼動期間50年というが、その期間中に姶良カルデラが巨大爆発する危険性を「否定できない」というのが火山学者の多くが抱く懸念だという。

それは当然かもしれない。御嶽山の突然の噴火も火山学者は誰一人予知できなかったのだから。火山学での噴火の予知というのもまだそのレベルであり、学者の多くが姶良カルデラが50年以内に巨大爆発する可能性を「否定できない」と答えるのは単なる正直な感想の域を出ないのでないか。それを「予見できない」tことをマスコミがさも「科学的知見」のように評価して鬼の首を取ったように騒ぐのはおかしい。

また、素人として素朴に疑問に思うのは、直径20キロにも及ぶ巨大カルデラなのだが、海底からマグマが吹き出て南九州にまで流れ込むような大爆発ならば、その予兆は相当前から現れるのではないか。海温変化や湾内生物の異変など観測する材料には事欠かないし、それは最低でも数年単位それ以上といってよいのではないかと思う。

原子力規制委員会の田中委員長が「最近の研究によりますと、カルデラ噴火の場合には噴火の数十年前くらいからマグマの大量の蓄積がこるということです。当然地殻変動とか何かっていうことが察知できるというふうに判断されています」と語っている。数十年といわないまでも、原発稼動を止め燃料棒を取り出し、安全な場所に移動する時間的な余裕はあるのではないか。

また約3万年前の大爆発でも実際は火砕流が川内原発手前で留まっている。九州電力はあくまでも火砕流が原発に届いた場合という仮定の想定をしているに過ぎない。だから必ず、火砕流が原発を及ぶという前提で議論するのもおかしい。

そして、マスコミの報道で一番疑問に思うのは危険を訴えているのは火山学者ばかりということだ。原子力関係の学者の意見が全く反映されていない。正直いって火山学者は原子力に関しては素人同然である。火砕流による原子炉の被害など説明できない。しかし、前述したように対策をとる時間的猶予がありそうだし、この対策に関しては原子力学者の専門分野である。しかし、全くマスコミが原子力学者の側を取材しないのは不思議というほかない。

最後に南九州全体が火砕流や火山灰で被い尽くされるのなら、その地域自体が壊滅的な被害にあうことになる。古代ローマのポンペイのような惨事である。川内原発に火砕流が届くかどうかもわからない危険を心配する前に、まず地域に及ぼす壊滅的な影響について対策を考える方が先決ではないか。火山学者が50年以内の巨大噴火も否定できないと警告するなら。