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●(こちら特報部)《核使用の懸念が消えない。日本は被爆国なのに煮え切らず、原子力の平和利用の名目で原発稼働に前のめりになる。うんざりする》

2024年03月23日 00時00分56秒 | Weblog

(20240310[])
中島京子さん《杉並区は「原水爆禁止署名運動発祥の地」だし…さまざまな活動をしている区民が多いんです》。

   『●岸本聡子杉並区長「日本の政治を変えていくには、やっぱり地方、地域
     から変えていくことが大切で、そこにこそ大きな可能性があると感じた」
    「中島:私が素晴らしいな、と思ったのは、杉並で長く運動をして
        きた、いろいろな人たちがウワーッと集まって、みんなで
        選挙を作っていくのを目の当たりにできたことです。杉並区
        は「原水爆禁止署名運動発祥の地」だし、お母さんたちが
        学校給食の自校調理方式を守ったり、さまざまな活動をして
        いる区民が多いんです。
     岸本:私がレジェンドと呼んでいる方々です。」

   『●《杉並から世界に拡散した「原水爆禁止」運動...「市民の戦い」…70年前、
      先人は声を上げ、局面を動かした…やすやすと諦めている場合ではない》

 再度引用。東京新聞の記事【こちら特報部/杉並から世界に拡散した「原水爆禁止運動 声を上げた一軒の魚屋、公民館を拠点にした「市民の戦い」】、《◆デスクメモ 不安定な世界情勢。核使用の懸念が消えない。日本は被爆国なのに煮え切らず、原子力の平和利用の名目で原発稼働に前のめりになるうんざりする。でも、と思う。70年前、先人は声を上げ、局面を動かした。それも東京からだ。見習うべき姿勢やすやすと諦めている場合ではない。(榊)》。

 「核の平和利用」などと云う甘言に騙され…被爆国があまりに愚かな選択をしてしまった。(烏賀陽弘道さん)《兵器としてアメリカで生まれ、ヒロシマに落とされた「核」。その双子の兄弟「原発」……》。そう両者は双子の兄弟。《アメリカは、臨界状態をつくり出して自然の中に眠っていた核エネルギーを引っ張りだすところから始まって、原爆をつくり、爆発させ、原子炉に閉じ込め、それを発電所に設置しそれが全国や世界に普及していくところまで、全部ひとつながり》。核分裂のエネルギーを放出させるか、原子炉の中に閉じ込めるかの違いであり、原理的には全く同じ。
 《核兵器をタブーの領域に押し込めた。双子の兄弟の一人をいないこと」にしてしまった。原発と核兵器の血のつながりを論ずることはタブーになった》。

   『●烏賀陽弘道さん『ヒロシマからフクシマへ原発をめぐる不思議な旅』読了
   『●NUMO「文献調査」の巨額な《原発マネー》に蝟集しても、空虚な《地域
      振興》に終わるだけで、何の解決策にもならずに地域が分断されるだけ

 《日本は被爆国なのに煮え切らず、原子力の平和利用の名目で原発稼働に前のめりになる》。
 琉球新報の記事【<社説>ビキニ被ばく70年 日本主導で核兵器廃絶を】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-2856236.html)、《同時に第五福竜丸以外の被ばくした日本全国の漁船の検証も必要である》、《現在、ウクライナに侵攻したロシアが核兵器使用をちらつかせるなど核戦争の危機が続いている。原発に関してはスリーマイル島チェルノブイリ福島第1原発の重大事故にみるように「原子力の平和利用」は曲がり角にある。日本の原子力政策も3原則に忠実だったとは言いがたい。核は人類の幸福につながるのかという根源的な問いに向き合わなければならない。その上で核兵器の廃絶を主導し、脱原発のエネルギー政策を目指すのが日本の役目だ》。

   『●鎌田慧さんらの「脱原発」署名呼びかけ
   『●社説:核廃絶と脱原発
    《しかし、本をただせば同じ核燃料と技術である。これまで分けて
     いたことが異常だったのかもしれない。そのことは安全神話が
     まかり通っていた原発が事故を起こし、思い知らされることになる
      田中氏は言う。「核と原発はつながっているが、背中合わせ
     
だからお互いが見えなかった」と。》

   『●東京電力原発人災から『X年後』……
       取り返しのつかないことが現実化してはいまいか?
    《これは高知の高校教師・山下正寿とその教え子たちの
     ゼミナールが、地道な聞き取り調査で掘り起こしたものだ。
     今年8月には、続編とも言うべき30分TV番組
     『続・放射線を浴びたX年後~日本に降り注いだ雨は今』が
     放映された。この作品も伊東 ・山下のコンビだが、今度は福島の
     原発事故をきっかけに、60年前の大地に降った雨の行方を
     追いかけたものだ。ここでは特に沖縄に焦点を当てている。
     当時、沖縄は米軍の統治下にあり、マグロの被曝で大騒ぎして
     いた本土とは違って、同じ汚染海域のマグロを獲っても、
     米軍が測定して安全を宣言していた。伊東・山下は元漁船員を
     訪ね歩き、それが米軍による完全なごまかしだった
     と明らかにしていく。驚くのは、沖縄の古書店にあった
     『気象要覧』になんと17万カウント(3万7000ベクレル)
     もの雨が降っていたと記載されていたこと。また、沖縄などの
     住居を訪ね、床下の土壌を採集して調べる徹底ぶり。
     埋もれた歴史が顔をのぞかせる》

   『●呼び掛けに応じて ~原発なんて要らない~
   『●あれから3年半、広島市長までが、
     原発は「安全性を確保できれば再稼働するという方向が出ている」と
    《「核と人類は共存できない」という思想を75年に打ち出した
     哲学者・森滝市郎(1901~94)の次女だ。
      原爆で右目を失った父は戦後、原水爆禁止運動の先頭に立った。
     豪州のウラン鉱山で働く同胞の被曝(ひばく)の危険性を訴えた
     先住民の女性との出会いが、核の絶対否定」を確信させた》

   『●人類は核と共存できるのか?
      『放射線を浴びたX年後』とパグウォッシュ会議
    《これがきっかけで、原水爆禁止運動が国民的な広がりを持った。
     翌年八月六日、広島で開かれた「第一回原水爆禁止世界大会」には
     三千万を超える署名が集まった。展示館にはその署名簿の一部も
     展示されている。
      影響は海外にも広がった。哲学者バートランド・ラッセル
     物理学者アルバート・アインシュタインは「核兵器の廃絶と
     戦争の廃絶」を訴えたラッセル・アインシュタイン宣言を発表した。
     宣言を出す理由として、水爆実験で日本の漁船員が被ばくしたこと
     に触れている。宣言には、湯川秀樹博士も署名した。
      二年後の五七年、カナダの漁村パグウォッシュに、米、旧ソ連、
     西欧、東欧、中国などの物理学者ら二十二人が集まり、核兵器の
     危険性、放射線の危害、科学者の社会的責任について討議した。
     この後、パグウォッシュ会議のグループ名で毎年、開催されている》

   『●「マンハッタン計画」の核開発拠点となったハンフォードと
           東京電力核発電人災、それぞれの『X年後』…
   『●核発電「麻薬」中毒患者の覚めぬ悪夢…《安全神話、
      経済神話、クリーン神話-三つの神話》を脱却できず
    《原水爆禁止運動に生涯を捧(ささ)げた哲学者の故森滝市郎さん
     さえも「軍事利用はいけないが、平和利用だったらいいのじゃないか
     と考えたのです」…と、一時は評価に傾きました。
      五七年には茨城県東海村の実験炉に初の原子の火がともり、
     十年後には福島第一原発の建設が始まった》
    《◆夢はずっと夢のまま こうして被爆国日本は五十四基の原子炉を
     有する世界三位の原発大国になったのです。ところが、
     しょせん夢は夢。原子力の飛行機も鉄道も、超小型原子炉で
     十万馬力の鉄腕アトムも、使えば使うほど燃料を増やす夢の原子炉も、
     実現を見ることはありますまい
      核兵器の実相を糊塗(こと)するために陳列された空虚な夢は、
     安全神話経済神話クリーン神話三つの神話の温床には
     なりました》

   『●「ビキニ事件は遠い過去に終わったことではなく、未来の命にかかわる」
       ――― マグロ漁船「第五福竜丸」の船員・大石又七さんが亡くなる
    《ビキニ事件は原水爆禁止の国内世論を高めた一方で、日米両政府の
     政治決着により、翌年に米側の見舞金7億円余で「完全解決」とされた
      同じ海域で影響を受けた日本の漁船は約1千隻とされるが、
     公式の健康影響調査はされていない。80年代以降、船の約3割は
     高知県から出ていたことが地元の地道な調査で浮かんだ》

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https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-2856236.html

<社説>ビキニ被ばく70年 日本主導で核兵器廃絶を
公開日時 2024年03月01日 05:00

 核の恐怖を歴史に刻み、今もその恐怖と向き合っている国だからこそ、なすべきことがある。そのことを再確認する日としたい。


 太平洋のビキニ環礁で米国が実施した水爆実験で静岡県のマグロ漁船「第五福竜丸」の乗組員23人が被ばくし、無線長の久保山愛吉さんが亡くなった第五福竜丸事件から、きょうで70年となった。

 広島、長崎への原爆投下とともに私たちは第五福竜丸事件を語り継ぎながら、核兵器廃絶を訴え続けなければならない。被爆国であり、核実験による深刻な被ばく被害を知る日本は、核廃絶の役割を積極的に果たすべきである

 忘れてはならないのが、沖縄もビキニ核実験とは無関係ではないということである。1988年の沖縄県原水協・平和委員会の調査で沖縄の漁船2隻の乗組員68人が被ばくした可能性があることが分かっている。放射性物質を含む雨が沖縄にも降った可能性も指摘されている。米統治下にあった沖縄で十分な調査はなされなかった。改めて検証が求められる。

 同時に第五福竜丸以外の被ばくした日本全国の漁船の検証も必要である

 厚生労働省は事件から60年後の2014年、ようやく周辺海域で操業していた延べ556隻の被ばく状況の検査結果などを公表した。翌年には被ばく状況を評価する研究班を設置した。船員や遺族らが国家賠償や船員保険適用を求める訴訟も起きている。

 第五福竜丸に関しても、乗組員の生殖機能の一時的な低下について日米両国の関係機関が「機密扱い」とし、乗組員にも伝えていなかったことが分かっている。国民の反核感情や米国の軍事政策への影響を避けたとみられる

 これらの経緯を見ても、ビキニ実験と第五福竜丸など日本漁船の被ばくは過去の事件として済ませることができないこれからも検証と事実関係の公開が求められている

 日本の原子力政策も再検討の時期に来ている。

 事件前年の1953年、アイゼンハワー米大統領は核開発競争激化を背景に「原子力の平和利用」に関する宣言を打ち出し、発電など原子力の活用が進んだ。日本学術会議は54年、核の軍事利用を拒否するとともに原子力研究における「公開・民主・自主」を打ち出した。この3原則は原子力基本法に反映された。

 現在、ウクライナに侵攻したロシアが核兵器使用をちらつかせるなど核戦争の危機が続いている。原発に関してはスリーマイル島チェルノブイリ福島第1原発の重大事故にみるように「原子力の平和利用」は曲がり角にある。日本の原子力政策も3原則に忠実だったとは言いがたい。

 核は人類の幸福につながるのかという根源的な問いに向き合わなければならない。その上で核兵器の廃絶を主導し、脱原発のエネルギー政策を目指すのが日本の役目だ。
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●本当に賢明な判断だった…珠洲核発電所《建設を阻止したのは、住民らの長年にわたる根強い反対運動だった…無言電話や不買運動に耐えた阻止活動》

2024年02月14日 00時00分17秒 | Weblog

[↑ ※「地震列島の原発安全性に警告」(週刊金曜日 1457号、2024年01月26日号)]


/ (2024年02月03日[土])
(長周新聞)《能登町や珠洲市は30㌔圏外だが、半島の先端にあるため、原発災害のさいは原発に向かって逃げることをよぎなくされる》、《さらに地震直後、珠洲市長は「市内の6000世帯のうち9割が全壊またはほぼ全壊だ」と災害対策本部会議で窮状を訴えた。この時点で防災指針にある「屋内退避は机上の空論であり、このような原発事故の防災指針・「避難計画」は現実とかけ離れていることが浮き彫りになっている。自治体が膨大な時間と労力をかける計画策定や避難訓練などもアリバイに過ぎず、「安全神話」醸成のためのパフォーマンスに過ぎなかった》。
 核発電「麻薬中毒」患者・「原発ゾンビ」の皆さん、「想定外」と言う勿れ…能登半島地震珠洲核発電所建設計画凍結断層の上に建つ志賀核発電所。これまでの教訓は何処に? 今回も、志賀原発が再稼働していなかったという幸運が重なったに過ぎない。大島堅一さん《「日本は世界にも稀(まれ)な地震、自然災害大国現行の規制基準に重大な欠陥があり、避難態勢にも実効性がない現在稼働する全ての原発をただちに停止させるべきだ」と語った》…この常識が、3.11東京電力福島核発電所人災、そして、2024年1月1日以降も根付かない、狂気なニッポン。次も幸運に恵まれるとは思えないのだが…。

 そして、珠洲核発電所建設計画の凍結、本当に賢明な判断だった…珠洲核発電所《建設を阻止したのは、住民らの長年にわたる根強い反対運動だった…無言電話や不買運動に耐えた阻止活動28年》。本当に頭の下がる思いだ。《今回の能登半島地震で珠洲原発の予定地だった高屋地区の海岸線は数メートル隆起した。もし原発があったら大打撃を受けた可能性もあった。前出の井上さんは「原発事故が起きたら、能登はなくなっとったかもしれんね」。塚本さんは淡々と語る。「言葉を尽くすより、あの様子を見て想像がつくでしょうやっぱり日本に原発を造れるところなんてどこにもないね、と」》(こちら特報部)。
 岸本拓也記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/珠洲原発を止めて「本当によかった」 無言電話や不買運動に耐えた阻止活動28年の感慨】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/304462?rct=tokuhou)。《能登半島地震の震源地近くに建設が計画されていた「珠洲(すず)原発」。建設予定地だった石川県珠洲市高屋町は、今回の地震で住宅の大半が壊れ、陸路も海路も閉ざされて孤立状態に陥った。もし原発が実現していたら、重大事故が起きて住民の避難がより困難になった可能性もあった建設を阻止したのは、住民らの長年にわたる根強い反対運動だった。どのような思いで止めたのか。(岸本拓也)》。

   『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
      …「悪夢のような民主党政権」と比較して、今のキシダメ政権の無残さ
   『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
      …それでも再稼働・新規建設したいという核発電〝麻薬〟中毒患者ら
   『●【能登を襲った巨大地震/狙撃兵】《役立たずかと思うほど鈍くさい動き
     に、思わずこの連中に「人の心」は宿っているのだろうかと思うほどである》
   『●「想定外」!? 【震度5強の志賀原発で「想定外」続々…なのに規制委は
     動かない 「安全上影響ない」「一定の時間かかる」とは?】(東京新聞)
   『●斎藤貴男さん《日本列島は地震の巣なのに、原子力の利用を「国の責務」と
     うたうGX(グリーントランスフォーメーション)法案にかまけて》いた…
   『●これまでの教訓は何処に? 決して「想定外」と言う勿れ…能登半島地震
      と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ北陸電力志賀核発電所

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/304462?rct=tokuhou

こちら特報部
珠洲原発を止めて「本当によかった」 無言電話や不買運動に耐えた阻止活動28年の感慨
2024年1月23日 12時00分

 能登半島地震の震源地近くに建設が計画されていた「珠洲(すず)原発」。建設予定地だった石川県珠洲市高屋町は、今回の地震で住宅の大半が壊れ、陸路も海路も閉ざされて孤立状態に陥った。もし原発が実現していたら、重大事故が起きて住民の避難がより困難になった可能性もあった建設を阻止したのは、住民らの長年にわたる根強い反対運動だった。どのような思いで止めたのか。(岸本拓也


◆あと1年続いてたら僕らがつぶれていた

 「どこで何があるか分からん。本当に珠洲原発を止めて良かった

     (珠洲原発の反対運動のリーダー的な存在だった
      塚本真如さん=17日、石川県加賀市で)

 今回の地震で被災した高屋地区にある円龍寺の住職・塚本真如さん(78)は今月中旬、同県加賀市にある2次避難先のホテルで「こちら特報部」の取材にほっとした様子で語った。

 珠洲原発計画の反対運動で中心的な存在だった塚本さん。1975年に持ち上がった計画は、住民の反対運動と、それを切り崩す電力会社側との28年に及ぶ「闘争」の末、2003年12月に凍結された。塚本さんは「あと1年粘られたら、つぶれとったのは僕らの方やった」とかつての日々を振り返る。


◆関電は飲食や視察旅行で懐柔を図る

 関西、中部、北陸の3電力は1976年に正式に原発計画を公表した。しかし、関電が建設計画を進めた高屋地区では当初、住民のほとんどが反対していたという。そこへ関電側が住民の懐柔に動いた。「タダで飲み食いさせたり、原発視察名目の接待旅行に何度も招いたり芸能人を呼んだ住民向けのコンサートも開かれた。僕は一度も行かなかったけど、最後は住民が飽きて視察に参加しなくなるほどだった」

     (かつて珠洲原発反対派の拠点となった円龍寺も、地震で
      大きな被害を受けた=石川県珠洲市で(塚本さん提供))

 関電から、地域の祭りで使う奉灯「キリコ」の収納庫や農作物の保冷庫などを建てるための多額の寄付もあった。原発予定地の土地を貸して、億単位の賃貸料を得た住民もいたという。「カネ力の前に、一人また一人と賛成に回り地域は分断されていった


◆「安全はウソ」 学ぶほど疑念は確信に

 計画が持ち上がった当初、塚本さんは原発に賛成でも反対でもなかった。しかし、「推進、反対の本を100冊は読んだ。学ぶほど、安全はウソで固められていると疑うようになった。放射能と人間は共存できんなと」。米スリーマイル島旧ソ連チェルノブイリでの原発事故もあり、疑念は確信に。反対運動へ深く関与していった。

     (珠洲市役所で座り込みをした反対住民らの動きを
      報じる1989年5月23日付の北陸中日新聞記事)

 転機となったのが、関電が高屋地区での原発建設に向けた現地調査に乗り出した89年5月。塚本さんを含めた住民たちは調査に入ろうとする関電の車列を阻止し、市役所で約40日間にわたる座り込み抗議を始めた。円龍寺は反対運動の拠点となった。

 「それまで表に出ないようにしていたが、このときは大声を上げた。行動しないと何もならんと。知らん間にリーダー的な存在に祭り上げられていた」と塚本さん。住民らは念仏を唱えて道路に座り込んだ。調査を中断に追い込んだ


◆「絶対に推進派の個人攻撃だけはするな」

 この頃から原発を巡る対立は激しくなっていく。高屋地区では住民の賛否が分かれる中で、毎年秋の住民運動会が中止された。生活雑貨店を営み、原発に反対した井上伸造さん(76)は「『反対派の店で物を買うな不買運動も起きた」と明かす。

 塚本さんへの圧力も強まった。自宅では連日、無言電話が鳴り、電話が盗聴されたとしか思えない内容が書かれた手紙などが届いた嫌がらせは、計画が凍結されるまで10年以上続いた推進派に包丁を突きつけられたこともあった。しかし、「絶対に推進派の個人攻撃だけはするなと周囲に何度も言い続けた


◆住民のわだかまりは「もう過去のこと」

 反対派で建設予定地の土地を共有化したり、関電株を買って計画撤回の株主提案をするなどして手を尽くした。原発に反対する政治家を増やそうと、県議選や市長選などにも関わった。「強い者の味方をしたら坊主じゃない」という父の教えが行動を後押しした。

     (珠洲原発反対派の会合で、「凍結」に涙を浮かべる
      女性たち=2003年12月5日、石川県珠洲市で)

 塚本さんらの反対もあり、3電力側は2003年12月ついに計画凍結を発表した。11年の東京電力福島第1原発事故の後には「珠洲に原発はなくて良かったと、推進派だった住民が塚本さんに話しかけてきたことも。だが、今では原発が住民の話題に上ることもない。住民同士のわだかまりは「もう過去のこと」だという。

 今回の能登半島地震で珠洲原発の予定地だった高屋地区の海岸線は数メートル隆起した。もし原発があったら大打撃を受けた可能性もあった。前出の井上さんは「原発事故が起きたら、能登はなくなっとったかもしれんね」。塚本さんは淡々と語る。「言葉を尽くすより、あの様子を見て想像がつくでしょうやっぱり日本に原発を造れるところなんてどこにもないね、と」


   


◆事業者による活断層評価は「明らかに過小」

     (高屋地区につながる峠道は激しく損傷し、車の通行が
      困難になった=石川県珠洲市で(吉田華子さん提供))

 東京電力福島第1原発事故後、市民の立場で脱原発を求める発信・提言を続けている「原子力市民委員会」は、今回の能登半島地震で、地震や津波が頻発する日本の原発の危険性があらためて浮き彫りになったとして、18日にオンラインシンポジウムを開いた。

 「事業者による活断層評価は明らかに過小評価だった。数メートルに及ぶ地盤の隆起や変異原発の安全設計に組み込むことはできない」「社会インフラが機能不全に陥った原発事故発生時に避難や機材、人員の増強は不可能だと分かった」

 座長を務める龍谷大の大島堅一教授(環境経済学)が、今回の震災で浮き彫りになった、志賀原発の問題点を列挙した。


◆地割れが隆起が起きたら、原発は持たない

 「原発にとって脅威なのは、想定していない揺れが起こること」と「想定外」の地震の怖さをあらためて訴えたのは、元東芝原発設計技術者の後藤政志氏。志賀原発1号機の直下には活断層が走っていると一時は評価されたが昨年、覆った。「この断層を元に地震が起きると強く主張するわけではない。他で大きな地震が起きた時に連動して揺れ、原発に影響を与えるんじゃないか、という心配をしている」。その上で、「地割れや隆起が起きれば、原発は持たない。原発を断層のない安定した地盤の上に設置することは最低限必要能登半島地震は原発の危険性を突きつけている」と訴えた。

 原子力資料情報室松久保肇事務局長は使用済み核燃料(SF)について言及した。北陸電は仮に全電源が喪失した場合、SF冷却プールが100度に達するのは1号機で17日間、2号機で29日間と推定している。だが、松久保氏は「志賀原発は長時間停止しており、SFの発熱量がかなり下がっているからこれだけ時間がかかる。停止直後ならこんなに余裕はなかった、ということになるだろう」と話す。津波についても「今回は原発に3メートルの津波が来たとされているが、3メートル以上来たらどうなるか海水ポンプも壊れていたのではないか」と危惧する。


◆徒歩も自動車も、屋内退避もままならない

     (地盤の隆起で海底がむき出しになった
      珠洲市の沿岸=9日)

 一方、環境経済研究所の上岡直見代表は、石川県が策定した避難計画で指定する道路の多くが寸断されたとし、「原発避難は30キロ、数十キロ移動する。徒歩は考えられない。自動車で移動するのかといったら駄目ということ」と断じた。

 今回は、多くの家屋が倒壊しており、屋内退避もままならない。上岡氏は「仮に倒壊しなくても、ライフラインが途絶すれば屋内退避はできない」とする。さらに、避難時に放射性物質が衣服や体に付着していないか調べる場所「スクリーニングポイントの開設や、ヨウ素剤の配布も困難だと指摘した。

 大島氏は「日本は世界にも稀(まれ)な地震、自然災害大国現行の規制基準に重大な欠陥があり、避難態勢にも実効性がない現在稼働する全ての原発をただちに停止させるべきだ」と語った。(宮畑譲


◆デスクメモ

 10年前、大飯原発の運転差し止め命令を出した樋口英明元福井地裁裁判長は13日、「当時の人たちのおかげと、珠洲原発を止めた塚本さんらに感謝した(16日東京新聞茨城版)。その感謝の輪に、関電も加わるべきだ。珠洲原発が実現していたら、何が起きたか想像もつかないのだから。(歩)


【関連記事】「珠洲原発があったら…もっと悲惨だった」 能登半島地震で孤立した集落、原発反対を訴えた僧侶の実感
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【関連記事】石川県「能登でM8.1」試算を知りながら防災計画は「M7.0」想定 知事は「震災少ない」と企業誘致に熱
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●《原発再稼働や増設を唱える連中の頭の中を掻っ捌いて、中身を見てみたい》(鈴木耕さん)――― なぜ今直ぐ「原状回復」しないの?

2021年08月20日 00時00分57秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


(2021年07月18日[日])
マガジン9のコラム【言葉の海へ 第170回:原発の今(鈴木耕)】(https://maga9.jp/210630-5/)。

 《処理汚染水海洋放出決定 …しかし、それらは安全基準以下に海水で薄めてから「海へ流す」ので環境汚染にはならないと東電も政府も言う。何度もぼくは書いたり話したりしているが、こんなおかしな話もない。「海水で薄めて海へ流す」? 海の水を海水という。海から採取した水で薄めて海へ還す。普通のリクツとはとても思えん! これをマジな顔で議論している政府や東電、そして御用学者や官僚たち。正気なのだろうか?

 反核発電に、高度な工学的知識は不要である。

   『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
       電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》
   『●2014年5月大飯原発運転差し止め判決…樋口英明さんは《基準地震動を
           超える地震が来ないと言えるかどうか…他の原発と共通の問題》
   『●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、
       北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》
   『●反核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)《原発の
     《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから


 1兆3700億円!? デブリの一欠片をほんの少し摘み上げてバカ騒ぎ…デブリがどんな状態で何トンあるのかも不明、どこで隔離・管理するのかも不明、かつ、《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》。後藤さんらは持ち出せないし、持ち出すべきではない、という主張。いわゆる石棺方式で、その場で隔離・管理すべきだ、と。
 デモクラシータイムスの【【原発耕論 No16】福島第一のデブリ取出しを断念せよ 20210701】(https://www.youtube.com/watch?v=gN4sTsNn0vQ)によると:
《デモクラシータイムス 
 希望的観測のデブリ取り出し計画
 不透明な計画に、増え続ける汚染水と撤去費用
 仮にデブリを取り出せても、資材等と絡み合った核廃棄物の処理方法や
 管理場所すら何も決まっていない

 デブリ取り出しの難しさ、空冷化による管理を筒井さんが解説
 なし崩しの原子力政策はもういらない

 ゲスト:筒井哲郎(プラント技術者の会)
     後藤政志(元東芝 原発設計技術者)
     菅波完(高木仁三郎市民科学基金 事務局長)
 司会:鈴木 耕(デモクラシータイムス)
 収録は、2021年7月1日》


https://www.youtube.com/watch?v=gN4sTsNn0vQ

   『●《廃炉の時代》、そして、核燃料サイクルという閉じない「環」
              …未来無き核発電に邁進するアベ様独裁政権
   『●東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も
      3基で計約880トン》…1個のデブリを僅かに持ち上げた?
   『●東電核発電人災から10年: あの人災から何の教訓を得ることもなく、
      何も変わらないニッポン…核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないまま
   『●《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》―――
      《ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそう》
   『●自公お維や寄生委、東京電力の皆さん、《どんな状態が“福島第一の
     廃炉完了”》の定義なの? 《ゴールわからず走り続ける「廃炉」》?

 《ゴールわからず走り続ける「廃炉」》。
 同じ週のマガジン9の記事【福島第一原発の「廃炉」を考える――廃炉制度研究会レポート 第2回:「事故炉廃炉」と住民参画――スリーマイルではどう決めたか⑴――①「処理水」処分決定プロセスの日米比較】(https://maga9.jp/210630-4/)によると、《作家の尾松亮さんは、法規制や政策決定プロセスなどをテーマに、東京電力福島第一原発を含む世界中の原発の廃炉について調査しています。その尾松さんが、ジャーナリストや研究者らと立ち上げた「廃炉制度研究会」の第2回オンライン報告会が5月31日に実施されました。意思決定プロセスにおける民主性の担保という観点から、福島第一原発とアメリカのスリーマイル島原発の事故後対応を比較する尾松さんのお話の内容を、2回にわけて紹介します。1回目は、処理水処分決定にいたるまでの意思決定プロセスの違いについてのお話をまとめました。(田上了子)》。

   『●「国際的に一番厳しい基準を設けている」し、
      そして「原状回復」したのならば、「そこ」に住んでみては?
   『●東京電力原発人災、支援の幕引き:
     「区域外避難」者も含めて「“棄民”政策だというそしりは免れない」
   『●今村雅弘復興相、「本人の責任」
     「裁判でも何でもやればいい」と…「死の町」にした者こそ糾弾されるべき
   『●今村雅弘復興相「問題は激高よりも「自主避難は自己責任」発言」
                …ココで「自己責任」論に出くわすとは…
    「それにしてもこんなところで「自己責任」論が出てくるとは、
     唖然としました。《誰が好き好んで自主避難などするだろうか》!」

   『●東京電力原発人災、支援の幕引き: 
      「区域外避難」者も含めて「“棄民”政策だというそしりは免れない」
   『●東京電力に核発電所を再稼働させる資格はあるのか?
           無条件で即時に全ての廃炉作業に入るべき
   『●アベ様による「棄民」政策をも追認…東電旧経営陣の
     刑事裁判で永渕健一裁判長は「無罪」という「政治判断」を下した
   『●やはり核発電は「金のなる巨大木」だった…
     高浜「原発マネー」が八木誠会長ら関西電力経営陣個人に見事に《還流》
   『●東電旧経営陣に無罪判決…《誰も事故の責任を取らなければ
        企業に無責任体質がはびこり、また同じことが起きる》
   『●東京電力核発電人災、決して自主避難者の《自己責任》ではない
           …「原発事故がなければ福島を出た人は誰もいない」
    「《住宅無償提供打ち切りで、避難を続けるか、福島に帰るか選択に
     迫られた。家賃の支払いをめぐり被告となる人たちも出ている》…
     何という無慈悲。自主避難者を《被告》にする? デタラメ」

   『●《「知っている町はどこかに行ってしまいました。返してください!
     10年前を!」。故郷をめちゃくちゃにされたことへの怒りは深かった》
   『●武藤類子さん《本来ならその人たちにとってもこの10年、まったく
      違った時間があったはず…原発事故は、その時間を奪ってしまった》

 さらに、〝自主避難者〟という区別・差別…区域外避難者に、どこまでこの国は冷酷なの?
 これもマガジン9のコラム【一枝通信 第7回:「原発避難者住宅追い出し裁判」傍聴記 「『戻る権利』があるように『戻らない権利もあって然るべき」(渡辺一枝)】(https://maga9.jp/210623-1/)。《5月14日、福島地方裁判所で開廷された「原発避難者住宅追い出し裁判」の傍聴に行ってきました。2011年3月11日の東日本大震災と原発事故によって、多くの人が居住地を離れて避難しました。避難者は災害救助法によって避難先で仮の住居を得ましたが、自然災害と違って原発事故による被害は、災害救助法では救済しきれない問題が多々あります被害も長期に亘ります。それなのに、福島県はたった6年で住宅支援を打ち切り、行き場がなくそのまま居住する人に対しては2倍の家賃を請求、更に裁判に訴えてまで追い出そうとしています県民を守ろうとしないばかりか、逆にいたぶっているのです。どうぞ、この裁判にご注目を。》
 東京電力や政府、福島県は、なぜ「原状回復」してくれないんですか? 10年も経ちましたけど? 「原状回復」してくれれば、区域外避難者のみなさんも喜んで古里、故郷にお戻りになるはずです。なぜ「原状回復」しないのですか? 《「知っている町はどこかに行ってしまいました。返してください!10年前を!」。故郷をめちゃくちゃにされたことへの怒りは深かった》。

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https://maga9.jp/210630-5/

言葉の海へ
第170回:原発の今鈴木耕
By 鈴木耕 2021年6月30日

ぼくの「原発ファイル」

 コロナとオリンピックに頭を汚染されて、しばらくこのコラムでも「原発」に触れていなかった。むろん、原発を忘れていたわけじゃない。ぼくの切り抜き「原発ファイル」は、もう47冊目に入っている。

 新聞記事を主体に、週刊誌月刊誌などの雑誌記事、ネット情報のプリントアウト、官報からのデータや、信頼できる筋から入手した文書など、その時々の情報をピックアップして集めているものだ。今も毎朝、新聞4紙(朝日、毎日、東京、沖縄タイムス=電子配信)を読んで、目についたものは切り抜きプリントアウトする。

 原発のほかに、沖縄や憲法、その他の重要な記事は「沖縄・憲法・その他」というファイルを作っていて、こちらはもう62冊目になっている。

 自分でも、これらはかなり貴重な資料集だと思っている。なにしろ、2011年3月から始めたファイルだから、最初のころの紙面はもう茶色く褪せている。そう、あれから10年以上も過ぎたんだな。

 今めくってみると、例えば「原子力安全・保安院の人員構成」「原子力安全委員会役員名簿」「原子力発電所の災害評価」「東京電力本店会議録」「放射能を正しく理解するために・文部科学省パンフ」「第23回原子力安全委員会速記録」などなど、どこから入手したかも憶えていないものも目につく。あの頃、福島事故から1年ほど、ぼくが必死になって集めていたものだ。だから第1冊目は、こんなに分厚い。

 ファイルが47冊ということは、1年に4冊以上のファイルを作成しているということだ。その時々の、ぼくの関心のありようが伝わってくる。

 ぼくの本棚は雑多な本で溢れ返っているが、いずれぼくが死んだら、これらの本はあっさりと処分されるだろう。どう処分してもいいよ、とカミさんには伝えてある(ま、ぼくのほうがカミさんより先に逝くのは確かだと思うから)。

 しかし、このファイルだけはどこかに寄付したいなあ。きっと、それなりの資料的な価値はあると思うのだ。

 昔話はさておき、最近、まるで「コロナ禍」をチャンスとばかり、原発ムラの妖怪たちの動きが激しい。みんなの目がコロナやオリンピックに向いているのを勿怪(もっけ)の幸い、不審な動きが激しさを増している。

 目についたものを順不同でピックアップしてみよう。


処理汚染水海洋放出決定

 これは菅政権の原発に対する考え方を、そのまんま表したような決定である。

 汚染水は溜まりにたまって、貯蔵タンクは2023年には満杯になるとされる。もはや貯蔵しておくのが限界だとして、海へ流すというのだ。

 ALPSという放射性物質除去装置で、多くの放射性物質は取り除かれているという。だが、放射性物質であるトリチウムは除去できないし、他も完全処理には程遠く、多くの放射性物質の取り残しがあるとされる。しかし、それらは安全基準以下に海水で薄めてから「海へ流す」ので環境汚染にはならないと東電も政府も言う。

 何度もぼくは書いたり話したりしているが、こんなおかしな話もない。「海水で薄めて海へ流す」? 海の水を海水という。海から採取した水で薄めて海へ還す。普通のリクツとはとても思えん! これをマジな顔で議論している政府や東電、そして御用学者や官僚たち。正気なのだろうか?

 むろん、地元のみならず科学者や漁業関係者からは絶対反対の声が上がっている。さらには、国連の独立特別報告者(3名)が「放出は太平洋地域の何百万もの命や暮らしに大きな影響を与えかねない」として深い遺憾の意を表明している(4月15日)。国際的にも強い批判を浴びているのだ。


事故処理費の試算21.5兆円

 福島第一原発事故処理費は、2016年時の試算では21.5兆円になったという。費用の内訳は、廃炉=8兆円、賠償=7.9兆円、除染=4兆円、汚染土等保管費=1.6兆円。これは2016年の試算だ。政府による試算は、年が経つたびにどんどん増えていく。多分、もうじき政府が「もっと増えました」と言いだすに決まっている。

 例えば、沖縄辺野古米軍基地の建設費用は、当初(2013年)の防衛省計画では2310億円とされていた。だが沖縄県による現時点での試算では2兆5千億円ほぼ10倍に増え、工期も13年以上かかるとされている。それだって無理だとぼくは思うけれど。

 原発事故処理費はまだまだ増えるだろうし、期間も100年単位になるのは必至だ。それでもなお、原発再稼働や増設を唱える連中の頭の中を掻っ捌いて、中身を見てみたい。多分、連中はオレの生きているうちには終わらないし、死んだ後のことなど知らねえよ。それまでは税金でいい目を見せてもらうぜとせせら笑っているのだろう。


自民原発推進派の動き

 国の基本的なエネルギー政策をまとめる「エネルギー基本計画」は、この夏に改定される予定。それに影響を及ぼそうとして自民党内に「最新型原子力リプレース推進議員連盟」なる組織が動きを活発化させている。

 要するに、「脱炭素社会(カーボンニュートラル)の実現」という菅首相の空疎なスローガンに乗っかって、「原発は脱炭素だから、新増設や建て替え(リプレース)を推進する」というヘリクツ集団である。稲田朋美会長に安倍晋三最高顧問という布陣の、政治的思惑だらけの組織だ。他に「電力安定供給推進議連(細田博之会長)」という議連も原発推進の動きを活発化させている。これらの「議連」というのは、それなりのスローガンは掲げるが、結局は、派閥絡みの利権集団なのだ。

 最近突然旗揚げした「『自由で開かれたインド太平洋』推進議連」というわけの分からない議連は二階俊博会長だが、安倍晋三と伊吹文明の両氏を最高顧問に祭り上げて発足。もはやこうなると、不仲を噂される二階と安倍のパフォーマンス。まるで抗争中のヤクザの組同士の手打ち式だ。でもまあ、そんなのはほっとけばいい。

 だが、「女性初の首相」を狙うという稲田朋美が動き出し、後ろ盾に安倍がつくとなると「原発推進議連」はかなり胡散臭いし、危険な臭いがするのだ。


原発事故の真相

 旧ソ連(現ウクライナ)のチェルノブイリ原発事故から、今年の4月26日で丸35年が過ぎた。その事故に関する機密文書の一部をウクライナ保安庁(情報組織)が公開した。ソ連の情報機関の国家保安委員会(KGB)などの報告書だ。

 同原発は事故前からトラブルが相次ぎ、かなり危険視されていたが住民に知られることを恐れて、すべて隠蔽されていたという。事故後も隠蔽が続き、放出された放射性物質の量や構成、被害者や傷病者、死者などの詳細は隠されたままだった。今回公開されたのは、残念ながら、そのほんの一部に過ぎないけれど。

 原発に関しては、どこの国もやることは同じだ。最近、中国広東省台山原発1号機で放射能漏れ事故があったのではないかとの報道があり、事実、かなりの放射性ガスが放出されていたことが判明した。だが建設に携わったフランス電力は、例によって「多少のガス漏れはあったが環境に影響はない」とコメントしただけだった。

 日本列島は最近、やたらと地震が多い。その度に原発会社は「原発に影響はありません」と発表する。だが今年の2月13日の震度6の地震では、福島第一原発では格納容器内のデブリ冷却水の水位低下が起きていた。しかも、ここでは地震計が壊れたまま放置されていたことも判明。東電の体質は事故後も変わっていない

 電力会社の「原発に支障はない。環境に影響はない」を信じちゃいけない


40年超老朽原発、再稼働

 もう腹立たしいのも通り越して、バカ野郎!と叫びたい。

 あの「40年ルール」ってのは、いったい誰が何のために作ったのだ!

 40年間も運転し続ければ、脆性劣化と呼ばれる金属疲労が起きて危険性が増す、というのは2011年3月の福島第一原発事故の大爆発以前から、ずっと言われてきたことではなかったか。そのために、何度も過酷事故(シビアアクシデント)の瀬戸際まで行ったことがあったではないか。

 美浜原発3号機(関西電力、福井県)では、2004年8月9日に配管破断という大事故を起こし、11名が被災、うち5名が死亡している。その美浜3号機がこの6月23日に再稼働したのだ。もう一度事故を起こさないと懲りないのか!

 関西電力は、福島事故以前は発電量の約5割を7基の原発に頼っていた。しかし関電の原発は老朽化が進み、2025年には5基が40年超となる。だから是が非でも再稼働したいのだ。電源のシフトチェンジを怠ってきたツケを、原発再稼働で補おうというのだから虫が良すぎる。というより、いったいこの10年間、何をやって来たのだ!

 こんな原発に、新規制基準適合というお墨付きを与える「原子力規制委員会」にも、ぼくは不信感いっぱいである。なお、この美浜3号機再稼働に関しては、住民たちが「運転差し止め仮処分」を大阪地裁に申し立てている。地裁では勝つ可能性もあるが、日本の司法は、上級審になるにしたがって「政権忖度判決」に堕ちていく


福島第二原発、廃炉開始

 東京電力は、福島第二原発(4基)の廃炉作業を開始した。廃炉終了までには44年間かかると見積もっているという。これで、第一(6基)と併せて、東電は全10基の廃炉作業を同時並行で行うことになる。

 だが、燃料デブリ(溶融核燃料等の融合物)は致死に至る放射能を帯びており、近づくことさえできず状況すら把握できていない。第一原発は廃炉工程さえ作れない状況にあり、それと同時並行の第二廃炉など、絵に描いた餅以上だ44年どころか、100年後の日本をも汚し続けているだろう

 しかも、取り出した放射性廃棄物の行き先は決められないままだ

 よく「原発はトイレなきマンション」と譬えられるが、この強烈な「排泄物」を、東電(すべての電力会社や自民党政府)は、いったいどうしようというのだろうか。再稼働など、デブリや使用済み核燃料の廃棄処分が終わってから言え

 なお、伊方3号機(愛媛)はこの10月に再稼働、また島根2号機には規制委が新規制基準適合を与えた。もはや、原発は規制を失ったかに見える


核燃料再処理工場の闇

 みなさん、核燃料再処理工場って知っていますか? そして、この事業にいったいいくらの金が注ぎ込まれているか知っていますか?

 青森県六ケ所村にある日本原燃の「六ケ所再処理工場」のこと。要するに、使用済み核燃料を各電力会社がここへ持ち込んでガラス固化体にして処理するという触れ込みで、1993年に建設が開始された。だが、固化体は何度試みても成功しない。したがって、工場そのものも完工には程遠い。

 これまで28年間で、すでに25回も稼働延期が繰り返され、費用も当初は7600億円だったものが、いまや総事業費14兆4千億円に膨れ上がっているなんと20倍だぜ。こんなデタラメな会社が存続しているのがニッポンだ。一般の会社ならとっくに倒産、社長らは責任取って腹切りものだろう。しかも、これで収まるという可能性はほぼゼロだ。これもまた、あの辺野古基地と同じ構造である。

 また、使用済み核燃料を加工してMOX燃料(抽出プルトニウムとウランの混合燃料)にする工場の総事業費も2兆4千億円と増え続けている。まるで金をドブに捨てるようなものだが、それでも止めようとしない。いったいどこからそんな金が出てくるのか。

 とにかく、最初は低い見積もりで、完成するかどうかわからないものに予算をつける。それが何度も延期を繰り返し、工期も費用も膨大にかさんでいく日本政府や官僚の、これがやり口なのだ。一度決めたことは何があっても引き返さない。誰も責任を取らない。そのうち、立案者や実行者たちは消えていく

 日本的無責任体系の典型的な例がここにある。そう、東京オリンピックの惨状を見ていれば、これが「ニッポン病」だということがよく分かる。


その他の諸問題

 とりあえずここまで書き進めてきたが、まだ原発に関する問題は山積みだ。

 例えば、事故による障害、白血病やその他の癌の発生、原発作業員の労災の問題、子どもたちの甲状腺検査縮小への批判、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)の報告書、避難者たちへの補償の問題、同じく住宅補助の打ち切り、再生エネルギー問題、九州電力による出力制御、風評被害……などなど、触れなければならない問題は限りがない。

 しかし、今回はここまでにしておこう。原発問題となると、ぼくの文はどうしても長くなってしまうのだ。

 とくに、原発事故による放射性物質の拡散の影響、それによる疾病の増大、小児甲状腺癌の発生と検査体制の問題については、とても数十行の文章では意を尽くせない。それについては稿を改めようと思う。


鈴木耕 すずき こう: 1945年、秋田県生まれ。早稲田大学文学部文芸科卒業後、集英社に入社。「月刊明星」「月刊PLAYBOY」を経て、「週刊プレイボーイ」「集英社文庫」「イミダス」などの編集長。1999年「集英社新書」の創刊に参加、新書編集部長を最後に退社、フリー編集者・ライターに。著書に『スクール・クライシス 少年Xたちの反乱』(角川文庫)、『目覚めたら、戦争』(コモンズ)、『沖縄へ 歩く、訊く、創る』(リベルタ出版)、『反原発日記 原子炉に、風よ吹くな雨よ降るな 2011年3月11日〜5月11日』(マガジン9 ブックレット)、『原発から見えたこの国のかたち』(リベルタ出版)、最新刊に『私説 集英社放浪記』(河出書房新社)など。マガジン9では「言葉の海へ」を連載中。ツイッター@kou_1970でも日々発信中。
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コメント
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●自公お維や寄生委、東京電力の皆さん、《どんな状態が“福島第一の廃炉完了”》の定義なの? 《ゴールわからず走り続ける「廃炉」》?

2021年06月19日 00時00分40秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


(2021年06月12日[土])
マガジン9の記事【こちら編集部/福島第一原発にも「廃炉法」を――廃炉制度研究会 第1回オンライン研究報告会(田上了子)】(https://maga9.jp/210602-5/)。

 《作家の尾松亮さんは、東日本大震災と福島第一原発事故以降、チェルノブイリ原発事故後の現地政府の対応などを研究してきました。近年は、世界の原発の廃炉事例の調査・研究にも力を注いでいます。2018年にジャーナリストや研究者らと共同で「廃炉制度研究会」を立ち上げ、21年4月26日、第1回「オンライン研究報告会」が開催されました。「福島第一原発にも『廃炉法』を─TMI、チェルノブイリに学ぶ『事故炉廃炉』の法的定義─」と題された報告会での、尾松さんのお話の内容を紹介します。…しかし、どんな状態が“福島第一の廃炉完了”にあたるのかは決まっていませんにも拘わらず、遅くとも2051年までに作業を終了させるという期限だけが決められています》。

   『●《廃炉の時代》、そして、核燃料サイクルという閉じない「環」
              …未来無き核発電に邁進するアベ様独裁政権
   『●東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も
      3基で計約880トン》…1個のデブリを僅かに持ち上げた?
   『●東電核発電人災から10年: あの人災から何の教訓を得ることもなく、
      何も変わらないニッポン…核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないまま
   『●《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》―――
      《ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそう》

 《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》《ゴールわからず走り続ける「廃炉」》――― 自公お維や寄生委、東京電力の皆さん、その定義を教えて下さい? 《そもそも「福島第一原発の廃炉完了」とはどういう状態かが定められていない》。定義も無く、どうして、完了の期間を決めれるの? 《51年になった時点で、原発がどんな状態であれ、東電や政府が作業を放棄する可能性があることです。完了要件が定められていない以上、東電や政府には、作業継続の法的義務がありません》。廃炉作業のスペース確保という名の、〝汚染水〟の海洋放出という愚行。なにが〝風評被害〟だ。実害が出ます。
 そもそも、(地球上の誰にもできる訳がないのですが)「原状回復」することも出来ないくせに、核発電所再稼働なんてやっている場合なのか? それでも、ニッポンでは核発電「麻薬」中毒者は核発電所を再稼働したいそうだ、正気じゃぁないね。

 そんなに再稼働したけりゃぁ、まず、東電や国は、早く「原状回復」して見せてくれ。
 以下二つの記事を再度引用。
 AERAの記事【ゴールわからず走り続ける「廃炉」 法的義務なく…現状のまま“終了宣言”も】(https://dot.asahi.com/aera/2021030900015.html)によると、《未曽有の原発事故から10年。今も続く廃炉の現場は、課題山積。しかも東電は、「廃炉終了の定義を明確にしないまま廃炉を進める。残された年月は20~30年。》
 日刊ゲンダイの記事【注目の人 直撃インタビュー/福島原発「30~40年で廃炉完了」に根拠なし 1F廃炉の先研究会代表が喝破】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/286323)によると、《■松岡俊二(早大大学院アジア太平洋研究科・1F廃炉の先研究会代表)… ――最近になって2、3号機の原子炉格納容器の上ぶたに、2京(兆の1万倍)~4京ベクレルもの放射性セシウムが付着していることも判明しました》《現状では、ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそうです》。

 (リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた“最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」だというのに、のほほんと《とにかく嘘とインチキだらけのひどいシロモノ》を吐き続けている醜悪な図。

   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」

 利権漁りカースーオジサンも、「脱炭素」「地球温暖化対策」を言い訳に、核発電に回帰。

   『●「狂ったゴジラ」「老朽原発」「寿命核発電所」…40年超核発電所の
         稼働という「麻薬」に手を出す核発電「麻薬」中毒者らの暴走

 《日本という国の変わらぬ悪しき体質》。
 【西谷文和「路上のラジオ」 Vol.29 コロナ禍と原発 ~この国の悪しき体質から抜け出し、持続可能な社会を目指すには?~】(https://www.radiostreet.net/radio/499/)によると、《2020/07/10 ゲスト:小出裕章さん(元京都大学原子炉実験所) 全世界で新型コロナウイルスが蔓延し、誰もが暮らしの先行きが全く見えない中、これまでの価値観は、短い間に次々と崩れていきます。今こそ私たちが考えておくべきことは一体何なのか?その答えを求めて、今回の「路上のラジオ」は長野県松本市に、小出裕章さんを訪ねました。もうすぐ東日本大震災による東京電力福島第一原発事故から10年。コロナ禍においても、原発事故と全く同じ構造の中で、私たちの命は危険にさらされ続けていますこの緊急事態にあっても、欲にまみれた為政者とそれを取り巻く大企業とメディアが、私たち生活者の苦難を横目に利権獲得に暇がないようにも見えます。そこで今回は、3.11以前からずっと日本の原子力政策に警鐘を鳴らし続けて来た小出裕章さんに、諸外国を含む原子力開発の歴史を紐解く中で、日本という国の変わらぬ悪しき体質を検証していただきました。そして番組最後には、退官後は松本に移住してできるだけ自然エネルギーを使いながら暮らし農業を通して土に親しむ小出さんに、過酷な未来をも乗り切ることができでそうな快適な暮らし方の提案をにいただきました。気づきと希望の60分、どうぞごゆっくりお楽しみください》



西谷文和「路上のラジオ」 Vol.29 コロナ禍と原発 ~この国の悪しき体質から抜け出し、持続可能な社会を目指すには?~】
 (https://www.radiostreet.net/radio/499/

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https://maga9.jp/210602-5/

こちら編集部
福島第一原発にも「廃炉法」を――廃炉制度研究会 第1回オンライン研究報告会(田上了子)
By マガジン9編集部 2021年6月2日

     (福島第一原発3号機原子炉建屋前
      (出典:東京電力ホールディングス))

 作家の尾松亮さんは、東日本大震災と福島第一原発事故以降、チェルノブイリ原発事故後の現地政府の対応などを研究してきました。近年は、世界の原発の廃炉事例の調査・研究にも力を注いでいます。2018年にジャーナリストや研究者らと共同で「廃炉制度研究会」を立ち上げ、21年4月26日、第1回「オンライン研究報告会」が開催されました。「福島第一原発にも『廃炉法』を─TMI、チェルノブイリに学ぶ『事故炉廃炉』の法的定義─」と題された報告会での、尾松さんのお話の内容を紹介します。(田上了子)

***


“廃炉”を法で縛ることの大切さ

 最初に、福島第一原発の現状についてお話ししましょう。現在、東京電力が定めた「廃炉に向けたロードマップ」に沿って、使用済核燃料取り出しなどの「廃止措置にむけた作業」が行われています。このロードマップの目標は、野田首相(当時)が事故の収束宣言を出した2011年12月から30~40年後(2041~2051年)までに工程を終了させることです。

 しかし、どんな状態が“福島第一の廃炉完了”にあたるのかは決まっていませんにも拘わらず、遅くとも2051年までに作業を終了させるという期限だけが決められています。51年までに作業を終了させるため、来年にはデブリ(原子格納容器の底に溶け落ちて固まった核燃料)の取り出し開始が予定されています。そして、デブリ取り出しに必要な施設を敷地内につくるために、タンクに貯蔵している処理水を海洋放出して、スペースを確保しようとしているのです。

 なぜこんなことが起きるのでしょうか。事故後、福島第一原発は原子炉等規制法に基づき、災害時の応急措置を講じた後も特別な管理が必要な「特定原子力施設」と位置付けられました。ところが現在の日本には、「特定原子力施設」の廃炉の完了要件を定めた法律がありません。現在、福島第一原発で行われている作業は、原子炉等規制法を根拠とする保安・防護措置であり、法的には「原子炉の廃止措置」ではないのです。

 今年4月、菅首相は「廃炉を前に進めるために」汚染水の海洋放出を決定したと発表しました。しかし、そもそも「福島第一原発の廃炉完了」とはどういう状態かが定められていないのですから、首相の発言は筋が通りません。日本の法律家は、こうした矛盾を指摘すべきです。

 廃炉の完了要件や、そのプロセスを定めた法制度がないことの問題点は、大きく2つあります。1つは、51年になった時点で、原発がどんな状態であれ、東電や政府が作業を放棄する可能性があることです。完了要件が定められていない以上、東電や政府には、作業継続の法的義務がありません。現状の制度では、国民が作業放棄の法的責任を問うことも難しいでしょう。2つめの問題点は、廃炉プロセスが法で縛られていないために、作業員にたいへんな被ばくを強いる工程が採用されるかもしれないことです。環境汚染への影響も、十分考慮されない可能性があります。


極端な二者択一論から脱するために

 では、深刻な事故を起こした原発の廃炉に関して、他国ではどのような法的規定が適用されているのでしょうか。

 チェルノブイリでは、原発事故から12年後の1998年、ウクライナ議会で「チェルノブイリ廃炉法(通称)」が成立しました。この法律によって、廃炉の完了要件は「デブリを取り出して敷地を環境上安全な状態にする」ことと定められました。作業の実施は国営事業者に、予算措置は国に義務付けられています。2008年には、廃炉の工程や年数などを詳細に定めた「チェルノブイリ廃炉プログラム法(通称)」が成立。この法律の前文には、工程全体には約100年を要すると明記され、デブリの取り出し開始は、「プログラム法」の成立時点から30~50年後を見込むという目安が示されています。国や事業者が作業を急ごうとしても、法律を改正しない限り認められません。

 よく、「チェルノブイリは石棺で原発を封じ込めてしまい、デブリ取り出しは断念した」といわれますが、それは誤解です。2016年に石棺の上から設置された新シェルターは、「廃炉法」で「崩壊した4号炉から核燃料を含む物質(訳注:デブリ)を取り出すための設備」と定義されています。事故から35年が経った現在も、シェルター内部ではクレーンの試験運転などが続けられ、デブリ取り出しの準備が進められているのです。

 アメリカ・スリーマイル島原発事故の場合はどうでしょうか。スリーマイル島では、事故から11年後の1990年には、デブリの取り出しが完了しました。しかし、すぐには原子炉解体に着手せず、取り出したデブリを敷地外に搬出した後で、1993年に、NRC(アメリカ合衆国原子力規制員会)が原子炉を無期限に監視貯蔵するためのライセンス変更を行いました。事故から42年経った現在に至るまで監視貯蔵は続けられ、原子炉解体は未着手のまま作業員の被ばく量を低減させるため、解体を先延ばしにしているのです。

 現在、廃炉工程に入るための計画が審議されていますが、実は、スリーマイル島原発の廃炉作業について定めた特別な法律はありません。ただし、NRC規則によって、スリーマイル島原発の廃炉の完了要件は、アメリカの通常原発と同様の基準が適用されます。そのため、スリーマイル島原発の運営事業者は、原子炉施設の解体や敷地の更地化を達成した上で、空間線量0.25ミリシーベルト/年といった基準をクリアする法的責任を負っています。

 廃炉に関する他国の法規制や立法プロセスは、日本ではこれまで、あまり紹介されてきませんでした。日本で展開される廃炉についての議論は、技術的な困難さに焦点をあてたものが多く、その結果、国民は、極端な二者択一論に陥っているように感じます。一方の人は、「デブリ取り出しは技術的なハードルが高すぎるから、石棺方式を採用した方がよい」と主張し、もう一方の人は「石棺方式なんてとんでもない。とにかく早期にデブリ取り出しに着手しなければ」と主張する。本当はこの両極端の間に、いくつもの選択肢があるはずです。

 チェルノブイリは、新シェルターで原子炉を覆って周辺住民や環境の安全を確保しながら、時間をかけてデブリ取り出しの準備をしています。スリーマイルは、原子炉の線量が十分に下がるのを待ってから廃炉に着手することにしています。いずれも、議会での審議や市民を交えた議論を経て成立した法的規定に則って、廃炉に向けた作業や手続きを進めているのです。

 日本にも、廃炉の完了要件や、国や事業者への達成義務、さらには廃炉プロセスにおけるルールを定めた法的規制が必要なはずです。廃炉法制がないことによる課題を多くの人と共有し、廃炉法制成立に向けた議論を活発化させていきたいと思います。


尾松亮(おまつ りょう) 1978年生まれ。東京大学大学院人文社会研究科修士課程修了。文部科学省派遣留学生として、モスクワ大学文学部大学院に留学。その後、民間シンクタンクでロシア・北東アジアのエネルギー問題を中心に調査。2018年以降、民間の専門家・ジャーナリストによる「廃炉制度研究会」を主宰。『科学』(岩波書店)、『政経東北』、『聖教新聞』で「廃炉と社会制度」をテーマに連載中。編著に『原発「廃炉」地域ハンドブック』(東洋書店新社 2021年)。
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●海洋放出という愚行に《X年後》を恐れる…《取り除くべきは放射性物質に加えて、地元の心配であり、悩みである。簡単には水に流せぬ》

2021年04月23日 00時00分17秒 | Weblog

[※↑ 双葉町での聖火リレーに際しての大沼勇治さん(報道特集 2021年03月27日[土])]


(2021年04月11日[日])
片山夏子保坂千裕の両記者による、東京新聞の記事【「政府は押し切るのか」原発汚染処理水の海洋放出に福島の漁業関係者が憤慨】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/96490)。

 《東京電力福島第一原発で保管が続く汚染水を浄化処理した後の処理水を巡り、菅義偉首相は7日夜、近く処分方法の方針を決めると明言した。政府が念頭に置く海洋放出処分となれば、漁業関係者への打撃は必至で、福島県や隣接する茨城県からは強い反対の声が上がった。(片山夏子)》。

   『●《子どもたちに、原発が安全なエネルギーと思ってほしくない。同じ
      過ちを繰り返さないため、声を上げられなかった人たちの分まで…》

 東電核発電人災汚染水放流に反対…(筆洗)《取り除くべきは放射性物質に加えて、地元の心配であり、悩みである簡単には水に流せぬ》。
 正に《簡単には水に流せぬ》し、流してはいけない。愚行。アベ様曰く《アンダーコントロール》なんでしょ? 元・最低の官房長官=現首相も「汚染水の『影響』は完全にブロック」と仰っているのでしょ? では、東電と国の方で、そのまま制御し続けてください。それを公約に、金(カネ)色の五つの輪を東京に招致したのですから、復興五輪と嘯いて。いまさら〝処理〟水を、なんで《海洋放出》《海に放出》する必要があるの? ブログ主は実害が出ると思いますが、風評だと仰るのなら、東京湾や(お維もお望みのようですから)大阪湾に放流すればいい。自民党や公明党の本部にでも降り掛けてみたら? ブログ主は《X年後》を恐れます。
 利権漁りカースーオジサンは、4月13日にも、それを決める模様だ。愚かすぎるし、世界中の顰蹙を買うことになる。

   『●東京電力原発人災、
     今頃公開されたわずかな捏造・改竄映像からでも分かったこと
   『●東京電力原発人災、汚染水問題は続く
    「しかし、海に放出を検討なんて、無責任にもほどがある。
     今も地下水を汚染し続けていると思うけれども、「ほとんどの種類の
     放射性物質を法定濃度未満になるまで除去」するなんて本当にできる
     のかどうか眉唾であり、それを海に放出するなんて許されるのか?」

   『●トリチウム、使用済み吸着剤の処理・処分、…
         再稼働や輸出なんてやっている場合か?
   『●屁理屈にもなっていない…
     菅義偉官房長官「汚染水の『影響』は完全にブロック」
   『●「暴走するゾウ、ゴジラを解き放とうという「愚」」な
           東電をどのように「信頼」すればよいのか?
    《原子力規制委員会は二〇一七年以降に海洋へ放出すべきだとして
     いるが、全国漁業協同組合連合会(全漁連)は反発を強めている。
     水産関係者にとっては死活問題だけに、当然だ。
     米スリーマイル島原発事故の際にも、約六千トンのトリチウム汚染水が
     残された。米原子力規制委は、河川への放出など九通りの選択肢を
     地元住民に提示した。そうして選ばれたのが、ボイラーで少しずつ
     大気中に蒸発させるという方法で、処理には十年をかけた。福島とは
     量が違う。廃炉は早く進めたい。
     しかし、トップダウンで決めるべきではない》

   『●東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も
     3基で計約880トン》…1個のデブリを僅かに持ち上げた?
    《汚染水を浄化した後に残る放射性物質トリチウムを含んだ水の扱いも
     異なる。TMIでは近くの川への放出が検討されたが、下流域の住民が
     反発。91年から93年に約9000トンを蒸発させ大気中に放出処分
     した。一方、第一原発では貯蔵量が既に100万トンを超えて増え続け、
     政府が海洋放出などの処分方法を検討しているが、結論は出ていない》

   『●《安倍晋三首相は…「まったく問題はない。
     汚染水の影響は、港湾内で完全にブロックされている」と強調した》
    《交代直前に、薄めに薄めた“希釈した”表現で次の内閣に宿題を
     言い放った環境相・原田義昭の発言の重みと衝撃をどうとらえるかは
     内閣の大きなテーマとなる。 ★それは10日の閣議後の記者会見で、
     東京電力福島第1原発から出る放射性物質を含んだ汚染水
     「思い切って(海に)放出して希釈するしか方法がない」という発言だ。
     「海に放出する」となれば、ストロンチウムなどの放射性物質の
     基準値を超えた汚染水を海に垂れ流すことになり、
     「アンダーコントロール」発言を世界が蒸し返すだろう。ことに
     韓国や中国などは強い反応を示す可能性があり、新環境大臣となる
     小泉進次郎の発言が極めて重要となる》

   『●むき出しの「言論弾圧政党」は《人材の宝庫》…
     《この内閣の水準の低さ…自民党は…国民の気持ちを第一に考えな》い
    《経産の決定を環境相として真っ向から挑んでいくのが仕事ではないのか
     政治家としても閣僚としても2人の発言は憲政史上まれに見るお粗末さだ
     閣僚の発言は官房長官や首相の責任でもあることを付記しておく》

   『●三浦英之記者の質問「今でも『アンダーコントロール』だとお考えで
     しょうか」? アベ様のお答え「…その中で正確な発信をした…」!?
    《元東京都小金井市長の佐藤和雄事務局長は会見で「国が進める
     核燃料サイクルは、既に破綻している」と述べた。佐藤事務局長らは、
     運転開始から四十年を超えた原発は再稼働するべきではないとも指摘。
     東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ
     水を、海洋放出の方が確実に処理できると強調した提言案を
     政府小委員会が一月に大筋で了承したことを受け、
     放出せずに長期保管するよう求めた

   『●東電核発電人災汚染水放流に反対…(筆洗)《取り除くべきは放射性
     物質に加えて、地元の心配であり、悩みである。簡単には水に流せぬ》
   『●東京電力核発電人災から10年経って、この有様…アンダーコントロール
        どころか人災は継続中、しかも、まだ核発電を続けたいという…
   『●武藤類子さん《本来ならその人たちにとってもこの10年、まったく
     違った時間があったはず…原発事故は、その時間を奪ってしまった》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/96490

「政府は押し切るのか」原発汚染処理水の海洋放出に福島の漁業関係者が憤慨
2021年4月8日 06時00分

 東京電力福島第一原発で保管が続く汚染水を浄化処理した後の処理水を巡り、菅義偉首相は7日夜、近く処分方法の方針を決めると明言した。政府が念頭に置く海洋放出処分となれば、漁業関係者への打撃は必至で、福島県や隣接する茨城県からは強い反対の声が上がった。(片山夏子

【関連記事】原発汚染処理水の海洋放出へ最終調整 地元の理解得られぬまま

 福島県北部の新地町の漁師小野春雄さん(69)は「全国漁業協同組合連合会(全漁連)も福島県漁連も絶対反対という中、政府は押し切るのか。原発事故の被害を受けた地元や漁業者への説明も足りない。十分に声も聞かず、話し合いもせず決めるのか」と憤慨した。

 2011年3月の原発事故後、福島の漁業は窮地に陥った。漁獲量を制限した試験操業は8年9カ月続き、今年3月に終了。4月からは本格操業に向けて、水揚げ量を増やすことになったばかり。小野さんは「我慢を重ねようやくだとほっとしたのに、風評被害の具体策も示されていない。われわれには死活問題。今このタイミングで流せば、後継者のなり手もいなくなり福島の漁業は衰退する」。

 相馬原釜魚市場買受人協同組合長の佐藤喜成さん(68)は「今でも福島県の魚は価格が低い。10年たっても年収は半分にも満たない。風評被害は絶対に起きる。補償するなら漁業者だけでなく、仲買人や小売業者の補償もすべきだ」と訴えた。「流せば生きている間、そして息子の代もずっと影響を受ける。これだけ反対の声が上がっているのに、国は一方的に強引に流すというのか」

 市民団体「これ以上海を汚すな!市民会議」の三春町の大河原さきさん(69)は、福島の多くの市町村が海洋放出に反対か慎重な判断を求めていることに言及。「県民の意見を聞く場を求めたが、ほとんど開かれなかった。影響は福島だけではなく、全国的な議論をすべきだ民意を無視して、強行して決めるのは許されない」とくぎを刺した。


◆茨城県内からも「絶対に困る」

 福島県境に近い大津漁協(茨城県北茨城市)の60代漁師は、菅首相が全漁連の岸宏会長との面会で海洋放出への理解をあらためて求めたことについて「絶対に困る」と語気を強めた。

 「震災から10年たった今でも、大津の魚は(県内でも南に位置する)大洗や久慈より安い」と嘆き、海洋放出が決まった場合の補償に対する不安も訴えた。

 別の50代漁師も「死ぬまで漁師をするつもりだった。せっかく魚が売れるようになったのに、また10年前のように騒ぎになってしまう」と風評被害の再燃を懸念した。(保坂千裕)
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●東電核発電人災汚染水放流に反対…(筆洗)《取り除くべきは放射性物質に加えて、地元の心配であり、悩みである。簡単には水に流せぬ》

2020年11月01日 00時00分09秒 | Weblog


東京新聞のコラム【筆洗/店先に不思議な看板が出ていた。「どんな水でも、ご用意いたし…】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/62616?rct=hissen)。

 《▼漁業関係者が納得できる風評被害対策をまずは具体的に示すべきだろう。取り除くべきは放射性物質に加えて、地元の心配であり、悩みである簡単には水に流せぬ》。

 正に《簡単には水に流せぬ》。アベ様曰く《アンダーコントロール》なんでしょ? 元・最低の官房長官も「汚染水の『影響』は完全にブロック」と仰っているのでしょ? では、東電と国の方で、そのまま制御し続けてください。それを公約に、金(カネ)色の五つの輪を東京に招致したのですから、復興五輪と嘯いて。いまさら〝処理〟水を、なんで海洋放出》《海に放出する必要があるの? ブログ主は実害が出ると思いますが、風評だと仰るのなら、東京湾や(お維もお望みのようですから)大阪湾に放流すればいい。ブログ主は《X年後》を恐れます。

   『●東京電力原発人災、
     今頃公開されたわずかな捏造・改竄映像からでも分かったこと
   『●東京電力原発人災、汚染水問題は続く
    「しかし、海に放出を検討なんて、無責任にもほどがある。
     今も地下水を汚染し続けていると思うけれども、「ほとんどの種類の
     放射性物質を法定濃度未満になるまで除去」するなんて本当にできる
     のかどうか眉唾であり、それを海に放出するなんて許されるのか?」

   『●トリチウム、使用済み吸着剤の処理・処分、…
         再稼働や輸出なんてやっている場合か?
   『●屁理屈にもなっていない…
     菅義偉官房長官「汚染水の『影響』は完全にブロック」
   『●「暴走するゾウ、ゴジラを解き放とうという「愚」」な
           東電をどのように「信頼」すればよいのか?
    《原子力規制委員会は二〇一七年以降に海洋へ放出すべきだとして
     いるが、全国漁業協同組合連合会(全漁連)は反発を強めている。
     水産関係者にとっては死活問題だけに、当然だ。
     米スリーマイル島原発事故の際にも、約六千トンのトリチウム汚染水が
     残された。米原子力規制委は、河川への放出など九通りの選択肢を
     地元住民に提示した。そうして選ばれたのが、ボイラーで少しずつ
     大気中に蒸発させるという方法で、処理には十年をかけた。福島とは
     量が違う。廃炉は早く進めたい。
     しかし、トップダウンで決めるべきではない》

   『●東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も
     3基で計約880トン》…1個のデブリを僅かに持ち上げた?
    《汚染水を浄化した後に残る放射性物質トリチウムを含んだ水の扱いも
     異なる。TMIでは近くの川への放出が検討されたが、下流域の住民が
     反発。91年から93年に約9000トンを蒸発させ大気中に放出処分
     した。一方、第一原発では貯蔵量が既に100万トンを超えて増え続け、
     政府が海洋放出などの処分方法を検討しているが、結論は出ていない》

   『●《安倍晋三首相は…「まったく問題はない。
     汚染水の影響は、港湾内で完全にブロックされている」と強調した》
    《交代直前に、薄めに薄めた“希釈した”表現で次の内閣に宿題を
     言い放った環境相・原田義昭の発言の重みと衝撃をどうとらえるかは
     内閣の大きなテーマとなる。 ★それは10日の閣議後の記者会見で、
     東京電力福島第1原発から出る放射性物質を含んだ汚染水
     「思い切って(海に)放出して希釈するしか方法がない」という発言だ。
     「海に放出する」となれば、ストロンチウムなどの放射性物質の
     基準値を超えた汚染水を海に垂れ流すことになり、
     「アンダーコントロール」発言を世界が蒸し返すだろう。ことに
     韓国や中国などは強い反応を示す可能性があり、新環境大臣となる
     小泉進次郎の発言が極めて重要となる》

   『●むき出しの「言論弾圧政党」は《人材の宝庫》…
     《この内閣の水準の低さ…自民党は…国民の気持ちを第一に考えな》い
    《経産の決定を環境相として真っ向から挑んでいくのが仕事ではないのか
     政治家としても閣僚としても2人の発言は憲政史上まれに見るお粗末さだ
     閣僚の発言は官房長官や首相の責任でもあることを付記しておく》

   『●三浦英之記者の質問「今でも『アンダーコントロール』だとお考えで
     しょうか」? アベ様のお答え「…その中で正確な発信をした…」!?
    《元東京都小金井市長の佐藤和雄事務局長は会見で「国が進める
     核燃料サイクルは、既に破綻している」と述べた。佐藤事務局長らは、
     運転開始から四十年を超えた原発は再稼働するべきではないとも指摘。
     東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ
     水を、海洋放出の方が確実に処理できると強調した提言案を
     政府小委員会が一月に大筋で了承したことを受け、
     放出せずに長期保管するよう求めた

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/62616?rct=hissen

筆洗
店先に不思議な看板が出ていた。「どんな水でも、ご用意いたし…
2020年10月18日 07時31分

 店先に不思議な看板が出ていた。「どんな水でも、ご用意いたします」−。それを見た男がこんな注文をする。「丸い水をくれ」▼店主は一杯の水を差し出す。「なにゆえ、これが丸い水なのか」「へえ、角(すみ)切って(澄みきって)おります」▼江戸時代のあまり出来の良くないシャレだが、そのニュースの水が誰も角を立てぬ「丸い水」であればとため息をつく。東京電力福島第一原子力発電所の放射性物質を含んだ処理水である。政府は近く、処理水を海に放出する方針を決定する▼原子炉への注水などで発生した処理水は今なお一日平均百四十トン増えているという。タンクで保管してきたが、それも限界が迫っている。やむなく処理水を三十年程度かけて海に流したいという▼地元の漁業関係者は反対している。当然である。処理水からはトリチウム以外のほとんどの放射性物質を除去する。除去できぬトリチウムについては海水で薄めて、国の排出基準の四十分の一程度にする。そう言われても、「丸い水」でない以上、風評被害は間違いなく出る。原発事故から九年。少しずつ立ち直りつつあった地元の漁業には再びの大打撃になりかねない海洋放出である▼漁業関係者が納得できる風評被害対策をまずは具体的に示すべきだろう。取り除くべきは放射性物質に加えて、地元の心配であり、悩みである簡単には水に流せぬ
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●【2012年3月11日 原発の町・佐賀県玄海町で開かれた「会」】、「明るい未来への道筋 原発興国論!」…核発電「麻薬」中毒

2020年03月15日 00時00分57秒 | Weblog

[※ 関電金品受領問題と玄海町長への現金提供東京新聞 2020年01月23日)↑]



毎日新聞の記事【2012年3月11日 原発の町・佐賀県玄海町で開かれた「会」】(https://mainichi.jp/articles/20200311/k00/00m/040/078000c)の抜粋。
九電やらせメール事件や九電-玄海町ズブズブ関係その他について、2011年12月30日付の西日本新聞の2つの記事【【九電 九州考】(1)の1 やらせ後も「関係」不変】(https://www.nishinippon.co.jp/item/o/16371/)と、
【【九電 九電考】(1)の2 「全戸に100万円配れ」】(https://www.nishinippon.co.jp/item/o/16395/)。

 《東日本大震災から1年となる2012年3月11日九州電力 玄海原発が立地する佐賀県玄海町で、当時の町長を支援する有力者らの定例会が開かれていた。会が始まったのは震災発生時間(午後2時46分)に近い午後3時半。歴代の原発所長らの姿もあり原発推進の資料も配られた。震災から1年のその日は日本全体が追悼ムードに包まれる中、原発の町で定例会はなぜ開かれたのだろうか》。

   『●原発安全神話の「結果」と「未来」
   『●ババをつかまされた!?
   『●第二の突破口
   『●こうしてどんどんと原発廃止・脱原発の外堀が埋められていく
   『●原発関連交付金・固定資産税などで「財政豊かな」玄海町で、
                3.11東京電力原発人災後初の町長選
    《■玄海町長選の顔ぶれ(届け出順)
       岸本英雄 61 〈元〉県議     無現
       中山敏夫 59 〈元〉町議     無新
       山口徳信 63 飲食店経営     無新
          ◇
     〈玄海町と原発マネー〉 町の今年度一般会計予算(歳入)
      約100億円のうち、約7割を玄海原発関連の交付金や
      固定資産税などが占める。町は、財政が豊かなため1995年度から
      地方交付税交付金を受けない、全国でも数少ない自治体
      (不交付団体)になっている…》

   『●「豊かな玄海町」へ: 「原子力郷土の発展豊かな未来」
               「原子力正しい理解で豊かな暮らし」
    「【再稼働積極派の現職が3選 佐賀・玄海町長選】…、
     【佐賀)再稼働推進候補と「ツーツー」 県議会特委委員長】…
     【玄海町長に岸本氏3選 原発論戦は低調】」

   『●核発電所からの「死の灰」最終処分場をどうするのか?、
         を今ごろ考えている「麻薬」中毒患者たちの無責任
   『●濁流…《塩浜工業…高浜をはじめ全国の原発で安全対策などの
      工事を受注。玄海での実績は…確認できない》そうだけれど…
    「岸本英雄氏が3期務めたのち、2018年7月29日に脇山伸太郎氏が
     玄海町長に…」

 原子力郷土の発展豊かな未来」「原子力明るい未来のエネルギー」「原子力正しい理解で豊かな暮らしを崇拝しているような「豊かな玄海町」、原発関連交付金・固定資産税などで「財政豊かな」玄海町、《国策の町》(毎日新聞)。3.11東京電力核発電人災に際しても、揺ぎ無い核発電信奉。あぁ、「心 夢みる アトムの町」玄海町。《仕込み質問》《やらせメール》など、何も体質の変わらない九州電力とズブズブ《ツーツー》でいいの?
 そのわずか1年後、【2012年3月11日 原発の町・佐賀県玄海町で開かれた「会」】にて「明るい未来への道筋 原発興国論!」だったそうですよ。核発電「麻薬」中毒者の救いようのなさ。《それでも、九電と玄海町は変わらない。何事もなかったように-。》(西日本新聞)。

   『●カマトト「九電原発再開賛成やらせメール事件」
   『●ババをつかまされた!?
   『●玄海原発プルサーマル賛成派質問者8人中7人が仕込みだった!
   『●九州電力指定の第三者委員会の報告を否定して、自社の立場を危うく?
   『●なめられたものだし、だらしのないマスコミ報道陣
   『●原発推進やらせ・仕込み: 誤誘導した事実をひっくり返す訳でもなし
   『●九電「原発やらせメ-ル事件」後日譚
   『●自公議員投票の大罪: 「九電元幹部は
       「政治家側から支援を頼んでくるのが昔からの伝統」」
   『●核発電所「地元」としてマトモな反応…九州電力玄海原発
          「再稼働反対は民意。市民の声を代弁している」

 先日の《九州電力玄海原発がある佐賀県玄海町脇山伸太郎町長(63)が初当選直後の二〇一八年七月、福井県敦賀市の建設会社「塩浜工業」側から現金百万円を受け取っていたことが分かった》というニュースに接し、「核発電マネーの濁流の一端が垣間見えます。玄海町長への「お祝い金100万円」ですので、九州電力管内ということになります。九電は「クリーン」なイメージのままいれるでしょうかね?」…という感慨を抱きました。《核発電マネーの濁流の一端》は、東京電力核発電人災後も脈々と。
 毎日新聞の記事【国策の町 玄海原発との半世紀 信念持ち、故郷守る闘い/佐賀】(https://mainichi.jp/articles/20200302/ddl/k41/040/127000c)によると、《「難しいよ、その答えは」。九州電力玄海原発が立地する玄海町で半世紀以上、反原発運動を続けてきた元住職の仲秋喜道(90)は珍しく返答に迷った。町長の脇山伸太郎(63)が福井県敦賀市の建設会社から現金100万円を受領し、記者会見で謝罪した翌日の1月24日。町役場1階ロビーで、「このような問題が起きる玄海町とはどういう町か」と尋ねた時だった。仲秋はすぐに続けた。「複雑怪奇な町ですよ。原発もそうだけど、分からないことだらけですよ。だって隠したり嘘(うそ)を言ったりするんだから、本当難しいですよ」》。
 もう一つの記事【玄海町、新年度当初予算案 総額72億8500万円/佐賀】(https://mainichi.jp/articles/20200307/ddl/k41/010/225000c)によると、《玄海町は6日、総額72億8500万円の2020年度一般会計当初予算案を発表した。町内に立地する九州電力玄海原発で稼働に必要な安全対策などにより固定資産税収入が約30億円前年度比約10億増)となる見通しで、一般会計の総額は19年度比13・6%増。歳入のうち電源立地地域対策交付金など原発関係が占める割合は約62%となる。予算案や条例案など29議案を9日開会の定例町議会に提出する。新規事業では、町内の薬草園で栽培する甘草などの商品を販売する「地域総合商社」を設立する設計費に約3700万円を計上した。20年度中には株式会社として商品販売を始めたいとしている》。
 《九州最初の「原子の火」がともった1975年以来、玄海町に注がれた「原発マネー」は国の電源立地交付金だけで計265億円。さらに九電は独自にカネも人も費やし、地元対策に膨大なエネルギーを注いできた》(西日本新聞)。

   『●自公議員投票の大罪: 「九電元幹部は「政治家側から
                支援を頼んでくるのが昔からの伝統」」
   『●核発電は「金のなる巨大木」…《自民党の最近のルールは
      「返せば問題ない」と、なかったことにできるというもの》
    「《還流》だけでなく、自民党やお維のセンセ方への「濁流」も、
     各党で調べた方がよくはないのかな? 他の電力会社も、特に
     九州電力は「クリーン」なのでしょうかね? ウルトラ差別主義者
     副首相と浅からぬ関係ですけど。

   『●《稲田朋美…世耕弘成…安倍側近が…関電受注企業から献金…
        証人喚問を含め、国会の場で徹底的に調査するほかない》
   『●「桜を見る会」税金接待というアベ様模倣犯・世耕弘成経産相
         …関西電力〝濁流〟問題でも《関電受注企業から献金》

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https://mainichi.jp/articles/20200311/k00/00m/040/078000c

2012年3月11日 原発の町・佐賀県玄海町で開かれた「会」
会員限定有料記事 毎日新聞 2020年3月11日 12時00分(最終更新 3月11日 12時13分)

     (九州電力玄海原発=佐賀県玄海町で2016年11月6日、
      本社ヘリから津村豊和撮影)

 東日本大震災から1年となる2012年3月11日九州電力 玄海原発が立地する佐賀県玄海町で、当時の町長を支援する有力者らの定例会が開かれていた。会が始まったのは震災発生時間(午後2時46分)に近い午後3時半。歴代の原発所長らの姿もあり原発推進の資料も配られた。震災から1年のその日は日本全体が追悼ムードに包まれる中、原発の町で定例会はなぜ開かれたのだろうか。

 2枚の写真がある。1枚目には、スーツ姿の男性18人が前後2列に並ぶ。10人並んだ後列の右から4人目には当時の玄海町長、岸本英雄さん(66)が笑顔を見せていた。後方の横断幕には「平成24年3月 11日会 第500回記念大会」と書かれている。写真は、岸本さんを父親の代から応援する町の有力者が毎月集う「11日会」が、500回目を迎えたことを記念する大会の様子だった。

 写真は参加者のうちの一人から入手した。複数の出席者によると、記念大会は町民会館で午後3時半~同5時まで開かれたという。同じ日の午前中には元住職の仲秋喜道さん(90)らが参加した原発反対集会が町内であった。それとは対照的に、講演会などがあった記念大会には町の商工会や漁業、旅館関係者らが集まり「明るい未来への道筋 原発興国論!」と題する資料が配られたという。

 「覚えていない」。岸本さんをはじめ、写真に写る県職員や歴代の玄海原発所長らは記念大会のことを聞くと口を閉ざ………。
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https://www.nishinippon.co.jp/item/o/16371/

【九電 九州考】(1)の1 やらせ後も「関係」不変
2012/7/4 2:02

     (町内にさしかかる場所に立つ佐賀県玄海町の標識。
      「心 夢みる アトムの町」とある)

 窓から唐津湾に浮かぶ島々の明かりが見える。

 佐賀県唐津市の海沿い、唐津城近くにある武家屋敷風の老舗割烹(かっぽう)。昼の会席料理でさえ5千円以上という高級店で開かれる忘年会に、今年もほぼ同じ顔触れが集まった。


 「ご迷惑をおかけしております」

 頭を下げたのは九州電力玄海原子力発電所の所長。目の前には、玄海町の岸本英雄町長らがいた。22日夜。九電の真部利応社長が辞任の意向を表明する4日前のことだ。

 出席者は、九電側が玄海原発所長、次長ら幹部玄海町側は町長、副町長のほか、町議のほぼ全員が顔をそろえた

 「(原発が)全部停止したら、ヒマになるやろ」「いやいや、忙しいんですよ」。そんな軽口が飛ぶ。2階の座敷には、玄界灘の海の幸をふんだんに使った和食や酒が運ばれた。

 支払いについて出席した町議の一人は「九電持ちだった」。町幹部は取材に「自分はよく分からない」と言葉を濁した。

 東北地方を大地震と大津波が襲い、福島第1原発事故が起きた。九州では「やらせメール」問題が発覚し、原発再稼働の是非を判断する立地先自治体と、電力会社の「不透明な関係」が列島中から痛烈に批判された。

 それでも、九電と玄海町は変わらない何事もなかったように-。町幹部は淡々と話した。「意見交換は大事だし、毎年恒例ですから」

 九州最初の「原子の火」がともった1975年以来、玄海町に注がれた「原発マネー」は国の電源立地交付金だけで計265億円。さらに九電は独自にカネも人も費やし、地元対策に膨大なエネルギーを注いできた。

 その「原点」は30年ほど前にさかのぼる。

 玄海原発に3、4号機を増設したい-。78年末、九電は佐賀県と玄海町に正式に申し入れた。

 出稼ぎ者が年間500人に上り、「陸の孤島」とも呼ばれた玄海町にとって原発は地域浮揚の切り札だった。だが79年の米スリーマイルアイランド原発事故を機に一気に空気が変わる。反対する農協青年部を中心に町を二分する町長リコール運動に発展し、九電は「一大危機に立たされた」(『九州電力三十年史』より)。

 反対派が集めた署名は29人分足りず、リコールは不発に終わる。が、九電の永倉三郎社長(当時)は「一から出直す」と宣言したという。

 リコールに署名した農業男性は思い返す。「あの反対運動が転機。九電は、町のすみずみまで目配りが必要と感じたんじゃないか」

 そのころについて取材するうちに、驚くべき事実を語る町幹部に出会った。反対運動を抑えるために、地権者や漁業者への補償とは別に、全世帯にくまなく100万円をばらまく-。そんな計画が画策されたというのだ。「当時の町長と九電が相談して決めた話です」と町幹部は証言する。

 1戸100万円ずつもらえるらしか」「よかったねぇ」-。80年代初頭、20代だった町民の男性は、そんな会話が交わされたのを覚えている。「九電のカネという意識はなかったけどね」

   *   *

 地域に独占的に電気を供給し、九州経済に大きな力を振るってきた九州電力が、やらせ問題で揺れている。九電、そして九州は今後、どう変わるべきなのか考える。

=2011/12/30付 西日本新聞朝刊=
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https://www.nishinippon.co.jp/item/o/16395/

【九電 九電考】(1)の2 「全戸に100万円配れ」
2012/7/3 20:44

     (玄海原発にほど近い値賀神社。本堂そばの改築記念碑には
      無病息災、家内安全と並び、「原発の安定安全運転を願い」
      と記されている 佐賀県玄海町)

 全世帯に100万円ずつ配る-。1970年代末、動きだした九州電力玄海原子力発電所の3、4号機増設計画をめぐり、佐賀県玄海町内の反対運動を封じるために浮上した前代未聞のもくろみは、実現はしなかった。「町民に直接配ると7割以上が税金にとられる。それでは町民に実益がないから」(町幹部)という理由からだった。

 九電は代わりに町に計30億円を寄付する。83年に20億円、84年に10億円。町はこのうち町役場建設費10億円などを除いた17億円を基金に積み立てた。1戸100万円換算で26の自治会に割り振り、今も公民館建設や自治会費に使われている

 反対運動という洗礼を浴びた九電は震災後も、地元対策に余念がない

 10月16日午後、玄海原発に近い値賀神社の境内にカラオケの歌声が響いた。約200人が集まった例祭に、発電所幹部ら九電社員の姿もあった。

 「九電の方から『参加させてくれ』と言ってきて以来、春秋の祭りには必ず来る」(地区の住民)。宮司が唱える祝詞には「原発の安全祈願」も含まれている。社員は午前中の神事から参加。境内にござを敷いて行われた宴会では、酔った社員が立ちあがって踊った。

 今春、町議の一人は知人から就職先について相談を受け、九電社員に電話をかけた。「履歴書を用意してください」。社員はほどなく書類を受け取りに現れた。試験を受けた上、知人が希望した九電のグループ会社の内定が出た。

 「現場の社員は一生懸命だ」。多くの町民が話す。

 それでも九電は警戒を緩めていない。

 地元対策に関わってきた九電社員は、地元の飲み屋に通う。社名は明かさず、カウンターで隣り合った客と雑談する。「欲しいのは情報議員の背後に誰がいるか、地域の人間関係はどうか…

 玄海原発が仮に来年再稼働すれば、2014年にも、使用済み燃料の貯蔵量が満杯になる。九電にとって中間貯蔵施設の確保は喫緊の課題だ。昨春、真部利応社長は「今後1、2年後には方向性を出す」と述べている。

 福島第1原発事故で、立地自治体が危険にさらされる様を目の当たりにした。町内に「原発は怖い」という声がないわけではない。だが、町幹部は「中間貯蔵施設は『貸倉庫』みたいなもの。いずれ時期が来れば…」と将来の誘致をほのめかす

 震災後も、揺るぎない九電と地域の関係。それは九電が長年の地元対策で築き上げた成果なのだろう。しかし、過信もにじむ。やらせ問題とその後の迷走は、自分たちは大抵のことをやっても、地域はきっと理解してくれるというおごりが招いたのではないか。

 盤石に見える九電と地域にほころびも透ける。

 2005年末。佐賀県唐津市のホテルでプルサーマルに関する討論会が開かれた。玄海原発の関連会社に勤めていた町民男性は、顔なじみの九電社員が挙手し、素人のような顔で仕込み質問」するのを目の前で見た。

 当時は「サクラや」と笑って済ませた。その後やらせメールまで発覚し、けじめをつけられない経営陣を見せつけられた今は違う。「ごまかしはいかん。やっぱ九電は変わってもらわな」

=2011/12/30付 西日本新聞朝刊=
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●東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も3基で計約880トン》…1個のデブリを僅かに持ち上げた?

2019年04月15日 00時00分56秒 | Weblog


東京新聞のルポ【スリーマイル島事故40年 原発延命論 不安続く】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201903/CK2019032702000136.html)。

 《一九七九年三月二十八日、2号機で核燃料が半分近く溶融するメルトダウンが発生。放射性物質が外部に漏れ、周辺住民十四万人以上が避難した。八六年の旧ソ連のチェルノブイリ原発、二〇一一年の東京電力福島第一原発の事故より前に、原発災害の脅威が現実のものとなった事故から四十年がたつ…◆日本、廃炉の参考 デブリ総量、福島は7倍》。

   『●福島県双葉町「原子力明るい未来のエネルギー」
                   ……いま、その〝少年〟は?
    「記事は、「原発事故で故郷を奪われることが二度とあってはならない。
     日本に原発はいらない」という〝少年〟の言葉で結ばれている」

   『●消えゆく「事故を思い出して原発を議論するきっかけになるもの」
                     ~「原子力 破滅 未来のエネルギー」~
    「原発を再稼働したい「地元」はよく噛みしめるべきだ。川内、高浜、大飯、
     大間、玄海……「地元」の人たちは、本当にこのままで良いと思っているのか?」

   『●原発PR看板撤去=「間違った過去と向き合わない行為」
                 …「人間の愚かさ」にさらなる恥の上塗り
    「「負の遺産として保存し、人間の愚かさを後世に伝えるべきだ」と撤去反対」

   『●「私たちは被ばく船員を見捨ててきたと痛感」
              …2011年から「X年後」を怖れる
   『●東電原発人災から『X年後』:「自分が壮大なできごとの参加者だ
                       ということがわかっているのだろうか」?
   『●「マンハッタン計画」の核開発拠点となったハンフォードと
               東京電力核発電人災、それぞれの『X年後』…

 東電原発人災の福島第一核発電所の膨大なデブリ…。東電は、ちっぽけな1個のデブリを〝マジックハンド〟で僅かに持ち上げたからと言って、大喜び。だから、何だというのでしょう? 何をバカ騒ぎ? どろどろに溶けて固着した高濃度の放射線を帯びたデブリを、如何に完璧に取り除くのか? もともとそんなことは可能なのか? 取り除けたとして、どこで、どのように安全に保管するの?
 要は、東電原発人災は、何一つ解決していない。誰も責任をとらない。原状回復できていない(そもそも原状回復しようもない)。
 核発電所再稼働なんてやっている場合なのだろうか?

   『●《ニコニコ》の山下俊一《先生も小児の甲状腺被ばくは
         深刻なレベルに達する可能性があるとの見解です》

   『●《県がこのまま原発を進めれば地域破壊がさらに進み、
          住民を苦しめ続ける。権力がそこまでしていいのか》
   『●《失われた古里》、失われた《本来は恵みをもたらす田畑の土》 
                …原状回復して見せたのか? 誰か責任は?
    「《失われた古里》、《もどれない故郷》、失われた
     《本来は恵みをもたらす田畑の土》…原状回復して見せたのか? 
     誰か一人でも責任をとったのか?
     それでも経済産業省は核発電の《維持推進を掲げる》…
     東京電力核発電人災から8年なのに、この体たらくだ
     核発電「麻薬」中毒患者達は、経済性から核発電輸出からは撤退しよう
     としているが、…国内では、核発電所を再稼働し、新規建設をしたくて
     しょうがない訳だ。3.11の核発電人災の反省など一切なし」
    《「福島は語る」という映画…土井敏邦監督が福島県民ら十四人に
     インタビューした記録映画である。そこに杉下初男さんが出ていた。
     杉下さんは石材業を営み、本の中では、飯舘の白御影石は安くて色が
     ブルーなので東京で人気だった、と書いてある。
     映画で杉下家の本当の悲劇は、事故の何年も後だったと知った。
     杉下さんは原発事故のせいとも、放射能のせいとも語っていないが、
     故郷を離れ、避難生活を送ることの厳しさを感じた》

   『●四十年廃炉ルール無視、特例中の特例のはずが…
        日本原電は東海第二原発の再稼働をしたいらしい…
   『●東電核発電人災から8年: 《11日の夜9時すぎには、
           東電の社員も家族もだれ一人双葉町に残って…》
   ●核発電「麻薬」中毒患者・中西宏明経団連会長自ら、
        ニッポンは《民主国家ではない》ことを立証して見せた
   『●武藤類子さん《沖縄で闘っている人の言葉…
      「国を相手にケンカしたって勝てない。でも、おれはやるんだ」》
   『●東電は《企業版ふるさと納税制度を利用し、
     子育て支援事業などにおよそ4億円を寄付》って、酷い冗談!?

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201903/CK2019032702000136.html

スリーマイル島事故40年 原発延命論 不安続く
2019年3月27日 朝刊

     (スリーマイルアイランド原発2号機。
      右の円筒形の建物が原子炉建屋=14日(共同))

 【スリーマイルアイランド(米ペンシルベニア州)=共同】 鏡のように穏やかな川面を輝かせる米東部ペンシルベニア州サスケハナ川。その中州に鼓形の巨大な四つの建造物がそびえる。スリーマイルアイランド原発の冷却塔だ。二つは1号機の運転に伴う水蒸気を発するが、2号機用の残り二つは静けさが漂う。

 一九七九年三月二十八日、2号機で核燃料が半分近く溶融するメルトダウンが発生。放射性物質が外部に漏れ、周辺住民十四万人以上が避難した。八六年の旧ソ連のチェルノブイリ原発、二〇一一年の東京電力福島第一原発の事故より前に、原発災害の脅威が現実のものとなった事故から四十年がたつ。

 午前四時ごろ、タービンを動かす蒸気を作るための給水系統のトラブルで原子炉が緊急停止。この時に開いた炉心冷却水の圧力調整用の弁が自動で閉じなかったことに運転員が気付かず、冷却水が施設内へ流れ出し水位が下がり続けた。冷却機能を運転員が止めるミスもあり、数時間後に回復するまでに炉心の三分の二が露出、過熱して45%が溶融した。

 米原子力規制委員会(NRC)などさまざまな組織が原因を調査し、機器の故障や複雑で誤解しやすい計器類、運転員のミスによる複合要因と結論付けた。設備の安全対策の強化や運転員の教育訓練、緊急対応計画の改革につながった。溶融核燃料(デブリ)の取り出しと搬出が完了したのは十年余りたった九〇年。発生した汚染水の処分も九三年に終わり、外観をとどめたまま監視が続く。

     (事故で2号機圧力容器の下方にたまった燃料デブリ)

 事故後、米国では三十年以上、原発の新規着工が敬遠された。最近ではシェールガス革命に伴う火力発電や、太陽光や風力などの再生可能エネルギーによる発電が安価で、競争力を失った原発は廃炉が相次ぐ。ピークの九〇年代に百十基余りあった米国内の原発は九十八基に。事故以来と期待された四基の新設計画のうち二基は頓挫した。

 隣接する1号機も例外でない。二〇三四年まで運転が認められているが、事業者の米電力大手エクセロンは一七年、前倒しで一九年九月末までに閉鎖すると発表した。2号機の解体は1号機と並行して進む予定だ。

 だがここに来て、1号機の運転を引き延ばす可能性が浮上している。地球温暖化対策として、二酸化炭素を出さない原発を再生可能エネルギーと同様に優遇することを州議会が検討。実現すれば1号機は補助金により延命され、2号機の解体も影響を受けるとみられる。連邦議会でも原子力の新技術開発には党派を超えた支持があり、推進する法律が成立している。

 地元では今も事故が影を落とす。健康への不安などを語り合うウェブ上の交流サイトは参加者が四千人近くに上る。原発から約五キロの場所に住むパティー・ロングネッカーさん(75)は「近所では白血病などのがんで亡くなる人がいて、事故の影響だと考えてきた。私にとって、四十年前に始まった懸念は決して終わることがない」と話した。

     (1985年、燃料デブリを取り出す作業員ら
      =いずれも米ペンシルベニア州で(米原子力規制委員会
      /アイダホ国立研究所提供・共同)


◆日本、廃炉の参考 デブリ総量、福島は7倍

 炉心溶融を起こし、デブリを取り出したスリーマイルアイランド(TMI)原発のケースは「先行事例」として東京電力福島第一原発の廃炉作業の参考となっている。3基で炉心溶融が起きた第一原発では2019年度内にデブリ取り出し初号機を決めるが、TMI事故とは相違点も多く、今後の困難さが際立つ

 1979年のTMI事故で炉心溶融が起きたのは2号機の1基で、燃料の半分近くが溶融した。カメラによる内部調査などを経て、デブリ取り出し開始は事故6年後の85年。大きな損傷は免れた原子炉圧力容器を水で満たして放射線を遮り、水中でデブリを砕く作業を繰り返したデブリは極めて硬く、場所により硬さや形状も異なるため、同時並行で工具を開発。先端部に人工ダイヤモンドを含む掘削用ボーリング機器などが使われた。

 90年までに約130トンに上るデブリを取り出し大半は3000キロ以上離れた米アイダホ国立研究所に鉄道輸送された。ただ1トンほどのデブリは取り切れず、原子炉内に残されている

 事故を起こした2号機に隣接する1号機は現在も稼働中のため、解体と残りのデブリ取り出しは1号機の運転終了後に同時に行う。このため2号機は40年前とほぼ同じ状態で置かれている。

 これに対し、福島第一原発は3基同時に炉心溶融が起き、デブリは圧力容器を突き破って原子炉格納容器に達している。事故で損傷した原子炉の修理は困難で、格納容器を水で満たさずに取り出す「気中工法」で着手することが検討されている。デブリの総量も3基で計約880トンと推計され、TMIの7倍近くだ。

 汚染水を浄化した後に残る放射性物質トリチウムを含んだ水の扱いも異なる。TMIでは近くの川への放出が検討されたが、下流域の住民が反発。91年から93年に約9000トンを蒸発させ大気中に放出処分した。一方、第一原発では貯蔵量が既に100万トンを超えて増え続け、政府が海洋放出などの処分方法を検討しているが、結論は出ていない。


<スリーマイルアイランド原発> 米東部ペンシルベニア州にある原発。1号機と2号機の2基あり、いずれも米メーカーのバブコック&ウィルコックス製の加圧水型軽水炉。1号機は1974年、2号機は78年に稼働した。2号機では79年3月28日早朝に部分的なメルトダウン(炉心溶融)事故が発生。商業運転開始から3カ月しかたっていなかった。 (ワシントン・共同)
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●砂上にペラペラの壁を造ってまでも再稼働したくなる浜岡原発という「金のなる巨大木」

2016年05月12日 00時00分47秒 | Weblog


東京新聞の3つの記事、森本智之記者による【「中部電、浜岡地元に30億円」 住民組織にも原発マネー】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201605/CK2016051102000132.html)、
小沢慧一:森本智之・勝間田秀樹記者による【浜岡地元に30億円 住民側リーダーの故鴨川源吉さん 原発受け入れ晩年まで自問】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201605/CK2016051102000135.html)、
夏目貴史記者によるインタビュー【浜岡原発停止5年 御前崎前市長・石原茂雄さん「金なる木 甘えあった」】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201605/CK2016051102000146.html)。

   『●浜岡原発と大飯原発: 「当面」「いったん」が
                       ポイント、「一切」「永久に」ではない
   『●浜岡原発〝一時〟停止のみでいいのか?

   『●浜岡原発: 元原発技術者の叫び
   『●まずは第一歩目かな・・・??
   『●浜岡原発: 安全対策工事という
         砂上の楼閣に期待する人たち
    「安全対策工事後って、物理的にも砂上の楼閣が
     出来たからと言って、何なんでしょうか?? 
     何の役に立つというのでしょう?? 東京電力人災の
     教訓が全く活かされていません」

   『●浜岡原発という凶器:  
      砂上にペラペラの壁を造って、な~にが「安全」なのか?

 《中部電力浜岡原発静岡県御前崎市)1~4号機を建設するのに伴い、地元の住民組織に総額三十億七千九百万円余りが渡っていたとする文書が見つかった…電力会社が原発の立地自治体に行う寄付は、なれ合いを生むなどとして批判されてきたが、浜岡原発の場合は一住民組織にまで継続的に行われていたことになる》。
 《地域の振興と引き換えに原発を受け入れてきた。それが正しかったのか、晩年まで自身に問い続けた》。
 《原発はお金がなる木だった》。

 地元の住民組織にまで「麻薬」が配られていたそうです。中部電力と「なれ合って」いた訳です。おカネは何に使われて、どこに消えたのでしょうね。唖然とします。
 核発電所立地の地元民までが、砂上にペラペラの壁を造ってまでも再稼働したくなる訳です。核発電「麻薬」中毒患者が実り、3.11人災のような、そして、地域の分断のような「悲劇」が実る「金のなる巨大木」だったようです。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201605/CK2016051102000132.html

「中部電、浜岡地元に30億円」 住民組織にも原発マネー
2016年5月11日 07時02分

 中部電力が浜岡原発(静岡県御前崎市)1~4号機を建設するのに伴い、地元の住民組織に総額三十億七千九百万円余りが渡っていたとする文書が見つかった。組織の代表者を務めた男性(故人)の自筆メモで、関係者から提供を受けた一連の資料とともに、立教大共生社会研究センターが十日、公開を始めた。

 電力会社が原発の立地自治体に行う寄付は、なれ合いを生むなどとして批判されてきたが、浜岡原発の場合は一住民組織にまで継続的に行われていたことになる。こうした資料が明らかになるのは異例だ。

 男性は旧浜岡町議の鴨川源吉氏。原発の建設用地の地権者の一人でもあり、中部電が1号機の受け入れを町に打診した翌年の一九六八年、地権者らの代表組織として「佐倉地区対策協議会(佐対協)」が発足すると、理事に就任した。

 その後、原子炉増設の際には佐対協の同意が不可欠となるなど原発運営に強い影響力を持つようになった。鴨川氏は3~4号機を受け入れた七八~九〇年には会長を務め、九九年に八十四歳で亡くなった。

 資料は「中電協力金集計表」と題され、日付は「(平成)元年8月31日現在調査」とある。

 資料によると、協力金は原子炉増設のたび支払われた浜岡原発の真下を想定震源域とする東海地震説が発表(七六年)されたり、米スリーマイル島原発事故(七九年)が起きたりし、受け入れ交渉が難航した3号機増設の際には、総額の六割強に当たる十九億円余りに達したとみられる。

 旧浜岡町は従来、中部電からの寄付金を人口などに応じて町内六地区に平等に分配していた。だが3号機増設の際には、中部電との直接取引を指すとみられる「中電直入」の金が計十三億四千万円生じている。「中電直入」は4号機分でも五億円ある。

 鴨川氏が会長を務めた当時幹部の男性は、資料について「知らない。知っていてもお金のことは言えないし、墓場まで持って行く話」と答えた。同時期に町長だった鴨川義郎氏(88)は「佐対協は中電と直接、補償交渉をしていた。金額までは分からないが、三十億円くらいはもらっているかもしれない」と話した。

 鴨川源吉氏はこの資料のほか佐対協の議事録や自筆メモなど大量の資料を残しており、立教大で公開されるのは計約五百六十点に上る。資料は、立教大共生社会研究センター(東京都豊島区西池袋三)へ申請し、許可が得られれば閲覧が可能。


◆「振興の手伝い」中部電コメント

 中部電力広報部は取材に「地元の振興を手伝いたいとの考えから、協力金を支払うことがある。個別の協力内容は相手方もあることから差し控える」とコメントした。


「地区の同意」に巨費

<解説> 今回明らかになった文書からうかがえるのは、地震大国・日本で原発を建設することの難しさだ

 原発の立地、建設を円滑に進めるために電力会社は多額の寄付金を地元自治体に落としてきた。旧浜岡町も一九七〇~八〇年代、中部電から少なくとも百十四億円を受け取っていたことが本紙の過去の報道で明らかになっている。今回のケースではこれに加え、人口三千~四千人規模だった一地区にまで、巨費が投じられていたことになる。

 浜岡原発は東海地震や南海トラフ地震で大きな被害が想定されるエリアにあり、「世界一危険な原発」と呼ばれる。手厚い地元対策の背景には、地震や過酷事故への住民の懸念があったはずだ。ところが、「立地交渉は、ブラックボックス。社内でも担当部署以外は事情を知らされない」(中部電の元役員)というようにその実態はほとんどベールに包まれてきた。

 東日本大震災を経験し、地震や津波対策は日本中の原発に突きつけられた共通の課題になった。日本で原発を建設し、運営するにはどれだけの費用がかかるのか。そして、これまでどんな交渉が行われてきたのか。電力を消費し、電気料金を払い続ける国民にとって、今回公開された大量の資料は、現在の原発政策を考える上でも大きな示唆に富むはずだ。(森本智之


 <佐倉地区対策協議会(佐対協)> 中部電の浜岡原発建設予定地に土地を持つ佐倉の地主たちを中心に1968年に発足した。当時の地主は約300人。現在の佐倉地区は1927世帯、4746人(3月末現在)。中部電の寄付金で建てられた旧公民館内に事務所がある。他の原発立地自治体視察などの事業をしている。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201605/CK2016051102000135.html

浜岡地元に30億円 住民側リーダーの故鴨川源吉さん 原発受け入れ晩年まで自問
2016年5月11日 朝刊

     (1960年代後半、浜岡原発建設の申し入れが
       あったころの鴨川源吉さん(右))

 「喜び、悲しみ、苦しみ」。中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の建設をめぐり、地元佐倉地区の故鴨川源吉さんが残した資料には、手書きでそんな対義語が記されている。原発増設の際、住民組織「佐倉地区対策協議会(佐対協)」の中心人物として中部電と交渉し、地域の振興と引き換えに原発を受け入れてきた。それが正しかったのか、晩年まで自身に問い続けた。 (小沢慧一、森本智之、勝間田秀樹)

 浜岡原発1号機が建つとき「泥田に鶴が舞い降りた」と言われるほど産業に乏しかった佐倉地区。鴨川さんはここで育った。公開された自筆のメモのほとんどは、ノートなどを使わず、新聞チラシの裏に細かい字でびっしりと書き込まれている。立教大によると、資料を収めたファイルは紙製で、日焼けやシミができていたが、中身はきちんと整頓されていた。

 一九一五年生まれ。四〇年に農業技術者として旧満州の会社に就職し、四五年の終戦三カ月前、中国の黒竜江省牡丹江市に出征した。戦後はシベリアに二年間抑留された。四七年に帰郷を果たすと農業に従事し、後に原発用地となる土地でミカンやウメ、茶を栽培した。親分気質で住民の信頼も厚く、六七年から旧浜岡町議を四期務めた。佐対協の会長だったのは七八年から十二年間。九九年に八十四歳で世を去った。

 普段は温厚だが、中部電との交渉には「地元のため」と、厳しい姿勢で臨み、自宅応接間で中部電の担当者と大声でやり合うこともあった。

 メモ魔の一面もあり、中部電との交渉や佐対協の議事録などを細かく記録。書斎の壁一面に作った本棚を、テーマ別に並ぶファイルが埋めた。その資料を頼って、中部電の幹部も過去の経緯を調べにたびたび来たという。

 暮らしぶりは質素で、あるとき、袖口が破れ、尻の部分がすり減った背広を見て、妻が新調を勧めた。だが、源吉さんは「そんなもので人は決まらない」と聞かず、家族が無理やりスーツ量販店に連れて行ったこともあった。

 資料には、七九年の米スリーマイル島原発事故を受け「地域へのメリットがあるならと推進してきた。しかし起きないと言った事が起きたと困惑を吐露したり、八六年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故では「4号機増設了解を撤回し(東海地震説で想定されていた)マグニチュード8以上の地震を乗り切って、判断すべきではないか」と後悔をつづったり。

 当時町長だった鴨川義郎さん(88)は「原発受け入れ判断の重圧は、大きかっただろう」と述懐する。

 源吉さんは会長から退くと、「5号機はもういらんな」と話していたという。ある日のこと、長女が「原発同意したことをどう思っているの」と尋ねた。「そうだな…」としばらく考え「豊かになっただけ、よかったんだろう」と窓の外を見つめた。1号機から一キロの自宅から見る風景に、かつて手塩にかけたミカンの木はもう見えなかった。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201605/CK2016051102000146.html

浜岡原発停止5年 御前崎前市長・石原茂雄さん「金なる木 甘えあった」
2016年5月11日 朝刊

     (市長時代を振り返る前市長の石原茂雄さん
                  =静岡県御前崎市役所で)

 「原発はお金がなる木だった」。中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の全炉の運転が、政府の要請で停止してから十四日で五年。全国の原発停止の発端となったものの、その後の国内の原発を巡る動きは迷走している。浜岡原発に携わってきた同市の石原茂雄前市長(69)に思いを聞いた。 


 -浜岡原発停止から五年間を振り返って。

 東日本大震災後の二〇一一年五月五日朝、中電から海江田万里経済産業相(当時)が原発を視察すると突然の連絡が入った。視察に立ち会ったが、安全対策に問題ないと判断した印象を受けた。ところが翌六日夜、総理官邸から、菅直人首相(当時)が浜岡の停止について発表する、との電話を受けた。あまりに唐突で、なぜ浜岡だけが危険なのかと思った。国策として応援してきたのに、浜岡だけを止めるのは納得できなかった。かなり興奮し、関係機関に暴言を吐いた。東京のために一番近くの浜岡を止めるのかと疑った。

 冷静に考えると震災以降、原発の安全神話は完全に崩れた。国は、国民の生命や財産を守ろうと判断し、浜岡を止めたと思う。そのおかげで浜岡の安全対策が進んだ。首相の判断は重要だったと感じている。


 -市長として、どう原発と向き合ってきたか。

 この五年間、原発問題の取り組みには進展がなかったと言わざるを得ない。中電は対策を進めたが、行政は常に受け身だった。将来を考えて新エネルギーや企業誘致などに努力したが、原発の安全神話が崩れて市のイメージが最悪になった。何をするにしても難しく、中電に対して本社を浜岡に移転しろと文句を言ったこともある。


 -原発施策でやり残したことは。

 安全性のチェック体制を整え、中電のミスなどをもっと指摘するべきだった。原発に頼らない徹底した行政改革も必要だった。原発交付金で造った公共施設の維持についても見直していく必要がある。中電の安全対策に対しては評価するが、百パーセントの安全はなく、評価しない人も多いと思う。


 -原発の存在とは。

 多くの先人が言うように、原発は「お金がなる木」だった。市長就任時、周りから財政豊かで市政運営が楽だとうらやましがられた。確かに原発のおかげで恵まれていた。今となっては、その甘え体質をなくさないといけない。予算の無駄遣いなどが目立ち、新たなアイデアを生み出すことも少ない。旧浜岡町時代からの悪癖として続いている。自分も甘えていたかもしれないと反省している。


 -再稼働の判断は。これからも原発は必要か。

 再稼働は、活断層の調査や安全対策を確認し、まず原子力規制委員会が判断する。その後は、県や国が納得できる説明責任を果たす義務がある。最終決定は市民に託されるが、住民投票で白黒付けることなく、じっくりと話し合うことが大切だと考えている。原発はずっと存在する。新市長は再稼働推進の立場だが、課題は山積しており、厳しい判断が迫られる。

  (聞き手・夏目貴史)


 <いしはら・しげお> 静岡県旧浜岡町議を経て、2004年の同町と旧御前崎町の合併で誕生した御前崎市の初代市長に就任。3期12年間の任期を務め、今年4月に退任した。
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●3.11東電人災の5年、王様・アベ様からして核発電「麻薬」中毒患者という哀しい国ニッポン

2016年03月12日 00時00分56秒 | Weblog


東京新聞の記事【高浜再稼働は変わらず 首相、原発の必要性強調】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201603/CK2016031102000117.html)。

   『●大津地裁山本善彦裁判長、
      高浜原発3、4号機の運転を差し止める仮処分決定!

 《大津地裁が運転を差し止める仮処分決定をした関西電力 高浜原発3、4号機は、原子力規制委員会の新規制基準に適合したとして、再稼働させる考えを示した。「世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると判断した原発のみ再稼働を進めるのが政府の一貫した方針であり、変わりはない」と述べた》。

 呆れる記事です、一つ一つが。3.11東電人災の5年目を前にしたその日に、起きているのに、まだ寝言を言っている王様・アベ様からして核発電「麻薬」中毒患者という哀しい国ニッポン。《資源に乏しいわが国が経済性気候変動の問題に配慮をしつつ》…「経済性」=「経済神話」や「気候変動の問題」=「海暖め装置」に未だにすがりつくアベ様。

   『●お見舞い申し上げます・・・
     「東日本の巨大地震、遠い地からお見舞いすることしかできない・・・。
       大地震に加えて、場所によっては7mを越える大津波に言葉を失う。
       さらには、原発でのメルトダウン。最悪である。昨日の新聞では、
      ECCSも機能しなかったとの報告がある。続報でも、実際に
      機能しなかったことは事実のようである。
       スリーマイルの教訓があったはずなのに、なんで・・・。
      原発の関係者の話を聞いていてむなしさと非常な怒りを感じる。
       TVマスコミでは、原子力資料情報室(CNIC;
      Citizens' Nuclear Information Center)の記者会見について
      全く触れていないことはどういうことでしょうか? 
      この期に及んで何をしているのでしょうか!」 

   『●あの3・11原発人災から1年: 松下竜一さん「暗闇の思想」を想う
     「あの3・11から1年。あの時、個人的な事情もあり、こと(原発人災)の
      重大さに全く気付いていなかったし、ブログにも何も書いていない。
      2日後からようやく、それについて書き始めている。刻一刻と人災の
      側面が浮き彫りになり、いまに至っても、解決したと言える側面は
      ほとんど無いといって過言ではない。メルトダウンした原子炉に
      ついても、冷温停止「状態」という言葉遊びで糊塗している。
      原発内部の状況はつかめていないし、知ることもできないのに。
      何が一体事故「収束」宣言なのか。ストレステストという計算ごっこで
      お茶を濁し、その〝計算された〟結果を易々と受け入れる
      原子力ムラお抱えの委員会。マスコミやネット、市民が騒ぎ過ぎる、
      不安を煽りすぎるという大御所〝ジャーナリスト〟子供にとっては
      20倍のリスクでは収まらないであろう年間20ミリシーベルトどころか、
      笑っていれば100でもオッケーと嘯く学者。市民、特に、罪なき子供達の
      側に立とうともしない司法。ジャーナリズムの根本としての批判精神なき
      マスコミ。その結果として、原子力ムラの望む原発再稼働・
      原発建設再開原発輸出に向けて着々と進んでいる。
       小出裕章さんの云う「たかが電気のために・・・」をよく考えるべきである。
      この1年目の節目に再度、松下竜一さんの「暗闇の思想」を想う。」

   『●3.11東京原発人災から2年が過ぎて
     「「何もなかったかのように、原発回帰に向かう安倍政権の姿勢が
      鮮明になってきた。地震列島に五十基を超える原発を造ってきた
      のは自民党政権
だ。その自覚のなさに驚くしかない」・・・・・・全く同感。
      自公に手を貸す人の「自覚のなさ」にも」

   『●「福島原発事故の今」
        『週刊金曜日』(2014年3月7日号、982号)について

     「2011年3月11日から今日で3年が経ち、4年目を迎えた。
      民主党政権は冷温停止「状態」を宣言し、民意を無視して関電
      結託して大飯原発を再稼働。アベ自公政権は、原子力「推進」委員会
      (核推進委員会)とともにあの東京電力柏崎刈羽原発さへも
      再稼働しかねない勢いで、原発輸出という恥さらしなことも強行しそうだ。
      ネズミモグラエレファント等々が走り回る東京電力原発人災の現場を
      「コントロール」「完璧にブロック」と世界に向けて宣言し、
      ウラアリな東京五輪でオモテナシするそうだ・・・・・・。
       この3年間は一体何だったのでしょう?」

   『●3.11東京電力原発人災から4年:
     虚しき「地球にやさしいエネルギー原子力 人にやさしい大熊町」
     「3.11東京電力原発人災から4年が経過しました。
      4号機の核燃料プールからの取出し完了ぐらいが改善の兆しの
      見えるニュースでしょうか? それ以外は酷いモノです。
      「原因不明、責任不在」での原発再稼働、大間原発などの
      建設継続・・・・・・恥ずかしくてしょうがない。「環境倫理」上も、
      大変な失政。それを許す「眠り猫」の皆さんや自公支持者
      ・翼賛野党支持者

   『●東電核発電人災から5年: 「今や世界の笑い者…
       政権批判をいとわないキャスターの首を差し出した」


 さて、大津地裁山本善彦裁判長メッセージを理解できなかった原子力「寄生」委員会。司法をコケにした報いです。この「仮処分」が効果を発揮する期間は、おそらくそれほど長くは無いと、残念ながら、思います。でも、核発電所を止めた、という強烈なメッセージを発揮し続けることは確かです。

 東京新聞の記事【高浜3号機 司法判断で初停止】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201603/CK2016031102000115.html)には、「異議や執行停止の申し立てが認められない限り、関電は二基を再稼働できない」とあります。

 「昨年行われた高浜原発の運転差し止め仮処分申請は、同じ裁判官が却下したそうです」(http://plaza.rakuten.co.jp/intisol/diary/201603090000/)…大津地裁山本善彦裁判長のメッセージは以下のようなものでした。

=============
 東京新聞の記事【大飯、高浜再稼働 「早急な容認考えがたい」】には、「大津地裁(山本善彦裁判長)は二十七日、「現時点で差し止める必要性はない」として、却下する決定・・・決定文では、差し止めの必要性がないとした理由を原発の安全性の観点からではなく「原子力規制委員会が、いたずらに早急に、再稼働を容認するとは到底考えがたい」からとした」」

=============

 当初、失望しました。でも、いま、考え直してみると、原子力「寄生」委員会の田中俊一委員長や、アベ様らへの強力な警告だったのではないかと思えてきます。川内原発や高浜原発、伊方原発の動きを見てみると、その警告を彼らは舐めていたように感じます。
 「仮処分」を出し、「配置換え?」されてしまった元福井地裁・樋口英明裁判官と同様、今後、大津地裁・山本善彦裁判官への強烈な「風当り」が心配です。

 東京新聞の記事【原発再稼働なくても余力 節電定着、夏の需要13%減】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201603/CK2016031102000120.html)によると、《原発の危険性が再認識され、全国の原発は次々と停止。九日には大津地裁が関西電力高浜原発3、4号機の運転差し止め仮処分を決定し、十日に稼働中の原発が停止した。…利用者の節電意識の高まりや発電所の増強で、最近二年間は原発の稼働がなくても余力を確保できている》、だそうです。
 3.11東電人災の5年目を前に、王様からして核発電「麻薬」中毒患者という哀しい国ニッポン、全く救いようがありません。

 これも、東京新聞の記事【東日本大震災、発生から5年 犠牲者2万1千人、復興途上】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016031101001001.html)で、《警察庁によると10日現在、震災の死者は全国で1万5894人、行方不明者は2561人。厳しい避難生活やストレスが原因となった震災関連死は3410人にまで増えた》。さらに、同氏の記事【避難いまも17万4471人 死者・不明・関連死2万1865人】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201603/CK2016031102000116.html)では、《東日本大震災と東京電力福島第一原発事故による全国の避難者は、なお十七万四千四百七十一人に上る》とあります。

 いま、思い出すべき東京電力核発電人災の教訓は「原発さえなければ…」です。原発関連死は1368人にも上りますし、まだ増え続けています (東京新聞の記事【原発関連死1368人に 本紙集計 1年で136人増】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201603/CK2016030602000127.html))。
 そして、子どもたちのX年後…。

   『●東京電力原発人災から『X年後』・・・・・・ 
       取り返しのつかないことが現実化してはいまいか?
   『●「私たちは被ばく船員を見捨ててきたと痛感」
              ・・・2011年から「X年後」を怖れる
   『●東電原発人災から『X年後』:「自分が壮大なできごとの 
          参加者だということがわかっているのだろうか」?
   『●黙殺される東電原発人災『X年後』: 
     「100万人に2~3人という日本の全国平均を大きく上回ったもの」
   『●星北斗座長「甲状腺がんは放射線の影響とは考えにくい」 
            …では、何が原因なのか?、を説明して下さい!
   『●2011年の『X年後』:星北斗座長「現時点で 
     放射線影響は考えにくい」…なんて気安く発言して大丈夫?

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201603/CK2016031102000117.html

高浜再稼働は変わらず 首相、原発の必要性強調
2016年3月11日 朝刊

 安倍晋三首相は十日、東日本大震災から五年を迎えるのを前に首相官邸で記者会見した。大津地裁が運転を差し止める仮処分決定をした関西電力高浜原発3、4号機は、原子力規制委員会の新規制基準に適合したとして、再稼働させる考えを示した。「世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると判断した原発のみ再稼働を進めるのが政府の一貫した方針であり、変わりはない」と述べた。 =会見詳報<6>面

 仮処分決定を受けた今後の対応について「関電がさらに安全性に関する説明を尽くすことを期待する。政府もそのように指導する」と述べた。

 原発の必要性については「資源に乏しいわが国が経済性気候変動の問題に配慮をしつつ、エネルギー供給の安定性を確保するには、原子力は欠かすことができない」と説明。再稼働に向けては「安全性の確保が最優先で、国民の信頼回復が何よりも重要だ」と指摘した。

 大津地裁が決定で、地方自治体が作る原発事故時の避難計画を国主導とするよう求めたことについては「国が前面に立って自治体をしっかり支援する体制により、これまで同様万全の対応を行う」と説明。すでに作られた避難計画も検証を重ね、原子力災害対策を強化するとした。
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●今中哲二さん「被災した人々にもたらされた災難の大きさは、放射線測定器で測ることはできない」

2016年03月04日 00時00分14秒 | Weblog


毎日新聞の大島秀利記者による記事【京大原子炉“6人の侍”の軌跡 原発の危険性、訴えて行動】(http://mainichi.jp/articles/20160224/ddf/012/100/009000c)。

 《チェルノブイリ災害研究の第一人者とも言われる今中さんは、20年以上にわたる調査から教訓を次のように語っていた。「原発で大事故が起きると、周辺の人々が突然に家を追われ、村や町がなくなり、地域社会がまるごと消滅する。そして、被災した人々にもたらされた災難の大きさは、放射線測定器で測ることはできない」》。
 《最後に今中さんは「今、原発はほとんど動いておらず、やめるのにはいい機会。若い人には何が本当に大事なのかもう一度考えてもらいたい」と呼びかけた》。

 最後の「熊取6人組」、今中哲二さんも京都大学原子炉実験所を退職…良い記事なのでコピペさせて頂きました。「熊取6人組」の経緯が書かれていて、ニッポンに蔓延る核発電「麻薬」患者の暴走を押し止めるための、引き続きの今後のご活躍が祈念されます。

   『●熊取6人組
   『●小出裕章さんが京都大原子炉実験所を退職
   『●今中哲二さんも京都大学原子炉実験所を退職
    「2016年3月末に、今中哲二さんも京都大学原子炉実験所
     退職されます。市民に情報を発信し続け、原子力の専門家
     として「原発をやめるための研究」を行う「熊取6人組」の
     最後の御一人でした。小出裕章さんも、昨年度末に
     退職しておられ、いよいよ最後の今中さんもご退職です。
     京大原子炉実験所の行く末が心配ですが、今中さんと
     小出さんには、ニッポンの核発電「麻薬」患者の暴走
     止めるための多大な貢献に期待しています」

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http://mainichi.jp/articles/20160224/ddf/012/100/009000c

特集ワイド・ニュースアップ
京大原子炉“6人の侍”の軌跡 原発の危険性、訴えて行動=社会部・大島秀利
毎日新聞2016年2月24日 大阪夕刊

   (京大原子炉の6人組。左から小林圭二元講師、
    今中哲二助教、小出裕章元助教、川野真治元助教授、
    海老沢徹元助教授=大阪府熊取町の京大原子炉実験所
    2016年2月10日、大島秀利撮影


スリーマイル、チェルノブイリ、福島 最後の現役 今中助教も定年

 京都大学原子炉実験所(大阪府熊取町)に原発の危険性を指摘し続けたグループ「熊取6人組」がある地方に原発が押しつけられることに義憤を感じた人たち。故黒澤明監督の名作映画にちなんで「6人の侍と呼ぶ方がふさわしい。その最後の現役、今中哲二助教(65)が来月で定年退職する。折しも福島第1原発事故から5年、4月は旧ソ連・チェルノブイリ原発事故から30年。双方に詳しい今中さんを軸に6人の軌跡をみていく。


住民運動、敢然と支援

 今中さんは広島市出身。祖母が原爆で死亡し、母親も被爆した被爆2世だが、「それとは関係なく、当時は最先端技術とされ面白そうだったから」と大阪大学の原子力工学科に進学した。他の5人も、科学技術の進歩に夢を抱いて大学に入った。

 阪大から東京工業大大学院に進んだころに今中さんは原子力開発のあり方に疑問を持ち始め、1976年に京大原子炉実験所の助手(現助教)になった。そこに5人がいた。64〜69年入所の海老沢徹元助教授(77)=中性子光学▽小林圭二元講師(76)=原子炉物理▽川野真治元助教授(74)=物性物理▽故瀬尾健助手=原子核物理−−と、今中さんの2年前に入所の小出裕章元助教(66)=原子核工学=だ。

 「最後に入ってきた小出さん、今中さんは私たちに鮮烈な影響を与えた」と年長の3人は口をそろえる。2人は学生時代から原発の技術的な問題だけでなく、原子力開発が抱える社会的な問題に目を向けてきたからという。

 実は、2人とも公募の採用試験を受け、原子力委員会の専門委員も務めた教授(故人)が仕切る放射性廃棄物の管理部門に入った。

 なぜなのか。海老沢さんは「あの教授は2人が原発に批判的だったことは知っていたはずだが、能力のある人を採ったのだと思う。2人もその期待に仕事で応えた」と話す。

 かくして“京大原子炉6人の侍”がそろった。

 そのころ、愛媛県伊方町の四国電力伊方原発の地元住民が国を相手に設置許可取り消しを求めて松山地裁で訴訟中だった。6人は敢然と原告支援に回り有利に法廷論争が進んでいた。しかし、結審直前に裁判長が交代となる不自然な経過を経て、住民側敗訴の判決が78年4月に出た(最高裁で敗訴確定)。

 翌79年の3月、今から考えれば、福島事故の発生を警告するかのような事故が起きた。米国のスリーマイル島(TMI)原発で、原子炉に水が供給されなくなって核燃料が溶け出すメルトダウン(炉心溶融)が起きたのだ。今中さんは「それまでは、事故が起こるかどうかは机の上の議論だったが、TMIから、原発の大事故は起きると断言できるようになった。問題はどれくらい危険なのかに移った」と振り返る。


80年から自主講座112回

 6人は80年、実験所内で市民が参加できる自主講座「原子力安全問題ゼミ」を始めた。ゲストも含め専門家が最新の原発情報などを提供した。国内外で事故が起こると、その影響や実態を調べて報告して議論を交わす。

 86年4月26日、ゼミで何度もテーマとなるチェルノブイリ原発事故が起きた。多数の人が死亡し、飛び散った放射能(放射性物質)によって200キロ以上離れた場所にも居住不能地域が出現した。

 瀬尾さんと今中さんは90年に現地入りした。瀬尾さんは94年に病死するが、ロシア語が堪能な今中さんは以降20回以上訪れて、深刻な汚染が広がったウクライナ、ベラルーシ、ロシアの研究者と情報を交換しながら調査を続ける。今ではチェルノブイリ災害研究の第一人者とも言われる今中さんは、20年以上にわたる調査から教訓を次のように語っていた。「原発で大事故が起きると、周辺の人々が突然に家を追われ、村や町がなくなり、地域社会がまるごと消滅する。そして、被災した人々にもたらされた災難の大きさは、放射線測定器で測ることはできない

 だが、日本ではTMIやチェルノブイリが無視されるかのように安全神話が拡大し、54基もの原発が建っていった。

 2011年3月11日、福島第1原発で、炉心に水を供給できなくなり、1〜3号機が次々とメルトダウンを起こした。中でも2号機で、外部への放射能漏れを防ぐ最後の壁「原子炉格納容器」が破損したと政府が発表したとき、今中さんは「チェルノブイリ級の事故になった」と確信し、ぼうぜんとした。東北や関東を中心に無視できないほどの放射能で汚染され、十数万人が避難を余儀なくされた。今も約10万人が避難生活を続け、「地域社会がまるごと消滅する」事態が国内で起きてしまった

 大変深刻なはずなのに、政府から十分な情報が出てこない住民避難の指示も的確とは思えない。今中さんは、事故があった3月に、避難指示がないが、深刻な放射能の情報があった福島県飯舘村に他大学の研究者と入り、調査を開始した。避難が必要な放射能汚染が村全体に広がっていることが判明した。飯舘村は、ようやく翌月に「計画的避難区域」として避難対象となる。

 今中さんは「文書上の原子力防災対策はうまくできていたが、実際に担う官僚機構が中央から末端まで混乱し、三つの原子炉と同じように原子力防災システムそのものがメルトダウンして、まったく機能しなかった」とみる。その上で「原子力ムラの人々は、何がなんでもといった感じで再稼働を進めるが、事故が起きたらまた同じことが起きるのではないか」と危惧する。


汚染地域の現実、研究継続を宣言

 2月10日、約150人が参加して第112回安全問題ゼミが開かれた。ウクライナの研究者と今中さんがチェルノブイリと福島を語った。

 伊方訴訟のころから一緒に行動してきた荻野晃也・元京大工学部講師は「6人がいなかったら、推進派の思い通りに原発がもっと建設され、大変なことになっていただろう」と指摘した。会場から「専門家と社会をつなぐこんな場が重要」と声が上がったが、昨年退職した司会役の小出さんは「基本的に安全問題ゼミは今回で最終回になるはず」と話した。

 だが、福島事故の過酷な現実がある。小出さんは「仙人になりたいが、当面なれそうにない」。今中さんは「余計な被ばくはしない方がいい。同時に汚染地域で暮らすとある程度の被ばくは避けられない。この相反する二つにどう折り合いをつけるか。できるだけ確かな知識と情報を提供して、汚染に向き合って判断するお手伝いをしたい」と福島とのかかわりの中で研究を続けることを宣言した。

 最後に今中さんは「今、原発はほとんど動いておらず、やめるのにはいい機会。若い人には何が本当に大事なのかもう一度考えてもらいたい」と呼びかけた。
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●今中哲二さんも京都大学原子炉実験所を退職

2016年02月13日 00時00分22秒 | Weblog


東京新聞の記事【熊取6人衆 最後の原子力ゼミ 今中氏「定年後も福島に関わる」】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201602/CK2016021102000137.html)。

 《大阪府熊取(くまとり)町にある京都大原子炉実験所で反原発の立場を取ってきた研究者集団「熊取六人衆」の、最年少で最後の現職、今中哲二助教(65)が三月に定年退職する。十日には、六人衆が一九八〇年から開く市民向け講座が百十二回で幕を閉じた》。

 2016年3月末に、今中哲二さんも京都大学原子炉実験所を退職されます。市民に情報を発信し続け、原子力の専門家として「原発をやめるための研究」を行う「熊取6人組」の最後の御一人でした。小出裕章さんも、昨年度末に退職しておられ、いよいよ最後の今中さんもご退職です。京大原子炉実験所の行く末が心配ですが、今中さんと小出さんには、ニッポンの核発電「麻薬」患者の暴走を止めるための多大な貢献に期待しています。

   『●小出裕章さんが京都大原子炉実験所を退職

   『●熊取6人組
    「そのTV番組は「なぜ警告を続けるのか〜京大原子炉実験所・
     ”異端”の研究者たち〜」(…)です。市民に情報を発信し続け、
     原子力の専門家として「原発をやめるための研究」を行う
     「熊取6人組」(…)の一人、小出さんのような真摯な原子力研究者が
     蔑ろにされ、先の電話アンケート結果からも分かるように、
     FUKUSIMA後も状況は変わらないと思われます。
     四国電力 伊方原発の設置許可取り消し訴訟に際して
     (中国の4人組になぞらえて?)「熊取6人組」と云われる
     ようになったようです。今中哲二小出裕章小林圭二川野眞治
     海老沢徹瀬尾健さんの面々」

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201602/CK2016021102000137.html

熊取6人衆 最後の原子力ゼミ 今中氏「定年後も福島に関わる」
2016年2月11日 朝刊

     (講演する京大原子炉実験所の今中哲二助教
           =10日、大阪府熊取町の同実験所で)


 大阪府熊取(くまとり)町にある京都大原子炉実験所で反原発の立場を取ってきた研究者集団「熊取六人衆」の、最年少で最後の現職、今中哲二助教(65)が三月に定年退職する。十日には、六人衆が一九八〇年から開く市民向け講座が百十二回で幕を閉じた。

 最終回のテーマは「福島原発事故から五年」。今中さんは「地震がある国にこれだけの原発を造った。その間違いを認めることもなく、なぜまた動かすのか」と、再稼働を急ぐ国や電力会社に疑問を投げ掛けた。 今中さんは五〇年に広島市で生まれた。祖母は原爆の犠牲となり、母は被爆者だった。

 原発を疑問視するようになったのは大学院生の時。新潟県の柏崎刈羽原発の建設予定地で、住民から「国は『事故は起きない』という原発を、なぜ都会でなく田舎に造るのか」という声を聞いたことがきっかけだった。七九年の米スリーマイル島の原発事故では、六人衆の一人、瀬尾健さんと放射能放出量を評価する仕事に取り組んだ。八六年のチェルノブイリ原発事故後でも現地に入った。

 十日の講座には市民ら百五十人が詰め掛け、六人衆も九四年に亡くなった瀬尾さんを除く四人が見守った。

 今中さんは「チェルノブイリは人ごとだったが、福島では同じ日本語で気持ちが通じ合えるおじいさんや子どもらが被災した。日本が放射能汚染に五十年、百年と向かい合う時代になった」と語り「福島にはかかわっていくし、私がまだ役に立つことはあると思う」との思いを明かした。

(相坂穣)
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●年1ミリシーベルト=「『反放射能派』…が騒いだ中で、何の科学的根拠もなく時の環境大臣が決めた」

2016年02月11日 00時00分29秒 | Weblog


信毎webの記事【丸川環境相「何の根拠もなく」 原発事故、松本で講演】(http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20160208/KT160207ATI090036000.php)。
 CMLの記事【[CML 041881] 丸川環境相「( 1mSv は)何の根拠もなく」】(http://list.jca.apc.org/public/cml/2016-February/041983.html)で知りました。

 《基準となる年間被ばく量を1ミリシーベルトとしている点について、「『反放射能派』と言うと変ですが、どれだけ下げても心配だと言う人は世の中にいる。そういう人たちが騒いだ中で、何の科学的根拠もなく時の環境大臣が決めた」などと述べた》。

   『●内部被爆がもっと語られるべき
   『●スリーマイル、チェルノブイリに学べないNIPPON
   『●内部被ばくについての鎌仲ひとみ監督新作
   『●子供にとっての年間20ミリシーベルト
   『●年20ミリシーベルトでOK!?: 20倍にアップ、
       そして「自己責任」に逃げた原子力「推進」委員会

 丸川珠代環境相、正気でしょうか? クサっても「環境」大臣が…。子どもには「1ミリシーベルト」でさえ問題という議論があるというのに。

   『●田中正造さんと自公議員を
        比較しても仕方のないことだけれども・・・
    《丸川と直接対決できなかったことは池上も残念だったようで、
     「丸川さんにはぜひ、6年前の出馬の時に選挙人名簿に
     自分の名前がなかった件について聞きたかった」とコメント。
     これは丸川がテレビ朝日時代に、ニューヨーク勤務から帰国後
     約3年間転入届を提出しておらず、投票権が消滅した状態だった
     ことを指す。このことにより、05年9月の衆院選も07年4月の
     都知事選も投票に行っていないことが判明したのだった》

   『●「もんじゅ」の尻拭い・後始末も出来ない
             日本原子力研究開発機構が・・・・・・
    《全国的には六十五議席を獲得した自民党の「圧勝」が報じられるが、
     東京選挙区では改選数五のうち、原発「容認」派は自民党の丸川珠代
     武見両氏の二人にすぎない

 ニッポンの環境大臣がこれでは、東電核発電人災の被害者は救われない。

   『●自身の家族を説得し、そこに住まわし得るのか? 
      『X年後』に何の影響も全くないと言い得る根拠は何か?
    「原子力ムラ住民の彼らの頭には、核発電を再稼働したいとか、
     核発電や兵器を輸出したいとか、プルトニウムをため込みたいとか、
     東京五輪でカネ儲けしたいとか、「インフラ輸出」したいとか……
     そのためには、東京電力原発人災は「終わった」「解決した」
     ということを少しでも喧伝したいがための、住民帰還「演出」
     ではないのですか? ニッポン国を信じろ、無責任なアベ様や
     スガ殿を信じろ、と言われてもね。
     「汚染水の『影響』は完全にブロック」なんて言ってんですよ」

 東京新聞の記事【丸川氏「言葉足らず」と釈明 「被ばく上限に根拠なし」発言】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016020901001560.html)によると、《趣旨はそうではない。誤解を与えるようであれば、言葉足らずであったことはおわび申し上げたい…(講演の)記録も取っておらず、こういう言い回しをしたという記憶もない》そうだ。
 釈明に懸命のようですが、録音か何かが出てきたらどうするのでしょうか? 「発言」内容を訂正するの?

 東京新聞の記事【丸川環境相「被ばく上限、根拠ない」 国会追及で陳謝】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201602/CK2016020902000243.html)では、《誤解を与えたなら、言葉足らずだったことはおわびする》と謝罪モードに。
 「誤解」? 一体どの部分が、どの様に? 1ミリシーベルトという「法」を認めたのかね?

 もっと野党も追及すべき。
 東京新聞の記事【丸川環境相、被ばく上限「根拠なし」 野党「被災者の心を害する」】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201602/CK2016021002000124.html)には、《予算委では民主党の緒方林太郎氏が「放射能の問題に苦しむ被災地の人たちをやゆする表現で気持ちを著しく害している」と批判》。


 さて、これも東京新聞の記事【島尻沖縄北方相「歯舞(はぼまい)群島」読めず】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201602/CK2016021002000125.html)。《島尻安伊子沖縄北方担当相が九日の記者会見で、北方領土の一つである「歯舞(はぼまい)群島」を読めず、発言をストップさせる場面があった。島尻氏は北方領土返還に向けた啓発活動を担当》。
 「歯舞」沖縄北方担当相「アンチ『反放射能派』」環境大臣「電波な」総務相「甘い利を得た」経済再生相パンツ&ストーカー復興相……アベ様の取り巻きはスゴイね。25%の自公支持者が支持し、50%の「眠り猫」の皆様方が投票にも行かなかった結果がこのザマです。

   『●素晴らしき道徳観:ドリルだろうが、 
     パンツ&ストーカーだろうが、「言論弾圧」だろうが、何でも許す!?
   『●「自席(自責じゃない)発言」を繰り返して
     「息吐く様に嘘つく」ような人がいちいち「反省」する訳がない
   『●アベ様らによる辺野古破壊・沖縄差別、
        「対立激化で県民にケガ人が相次ぐ異常事態」
   『●「甘い利」を得た「収賄=犯罪」の「構図は、単純だ」
   『●東電核発電人災、「だれひとり刑事罰を問われなくていいのか」?
                            「市民の正義」無き国ニッポン
   『●自公議員は、TPP問題だけは「信頼」できるし、
       「責任」を持つって? 救いようのない○○です
   『●『ヒトラー選挙戦略』へ推薦文を書ける高市早苗氏は「公平」とか、
                          「倫理」「法」とか口にできるのか?

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http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20160208/KT160207ATI090036000.php

丸川環境相「何の根拠もなく」 原発事故、松本で講演

     (松本市内で講演する丸川環境相=7日)

 丸川珠代環境相は7日、松本市内で講演し、東京電力福島第1原発事故を受けて国が原発周辺などで行っている除染で、基準となる年間被ばく量を1ミリシーベルトとしている点について、「『反放射能派』と言うと変ですが、どれだけ下げても心配だと言う人は世の中にいる。そういう人たちが騒いだ中で、何の科学的根拠もなく時の環境大臣が決めた」などと述べた。

 国際放射線防護委員会(ICRP)は、一般人の通常時の被ばく量を年間1ミリシーベルトと勧告している。民主党政権は事故当時、この勧告を基に、国が行う除染の基準を1ミリシーベルトに定めた。

 丸川氏は、国が行う除染の基準は厳し過ぎるとし「(除染が終わらないため)帰れるはずの所にいまだに帰れない人がいる」とも主張した。

(2月8日)
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●星北斗座長「甲状腺がんは放射線の影響とは考えにくい」…では、何が原因なのか?、を説明して下さい!

2015年12月02日 00時00分03秒 | Weblog


東京新聞の記事【福島の子2巡目検査 15人がん】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201512/CK2015120102000138.html)。
asahi.comの記事【福島の11人、新たに甲状腺がんと診断 合計115人に】(http://www.asahi.com/articles/ASHCZ61VFHCZUGTB00P.html?iref=comtop_list_api_n01)。

 《昨年四月からの二巡目の検査でがんと確定した子どもが、今年八月に開かれた前回会議での報告から九人増え十五人…がんの疑いは十九人から二十四人》、
 《当時18歳以下だった約38万人を対象に実施している甲状腺検査で、今年7月から9月末までの3カ月間に11人が新たにがんと診断されたと発表した。甲状腺がんが確定したのは合計115人》。

 《星北斗座長…は「放射線の影響で起きたがんとは考えにくい」》、《…放射線の影響とは考えにくい》……この異常な発癌率をどう説明するのか? 黙殺される東電原発人災『X年後』をいつまで続けるのだろう……。星座長は何の躊躇も無く、この発言をしているのだろうか? 津田敏秀教授の警告に耳を傾けるべきではないのか。

   『●内部被爆がもっと語られるべき
   『●スリーマイル、チェルノブイリに学べないNIPPON
   『●内部被ばくについての鎌仲ひとみ監督新作
   『●年20ミリシーベルトでOK!?: 20倍にアップ、
       そして「自己責任」に逃げた原子力「推進」委員会
   『●『DAYS JAPAN』(2014,JUN,
       Vol.11,No.6)の最新号についてのつぶやき
   『●東京電力原発人災から『X年後』・・・・・・
       取り返しのつかないことが現実化してはいまいか?
   『●「私たちは被ばく船員を見捨ててきたと痛感」
              ・・・2011年から「X年後」を怖れる
   『●東電原発人災から『X年後』:「自分が壮大なできごとの
          参加者だということがわかっているのだろうか」?
   『●黙殺される東電原発人災『X年後』:
     「100万人に2~3人という日本の全国平均を大きく上回ったもの」
    「《チェルノブイリ事故では甲状腺がんは5年目に激増した。
     来年、事故後5年目に突入する福島県の子供たちのためにも、
     正確な情報とその理解と対策が一刻も必要だ》。マスコミや政府、
     電力会社はなぜ沈黙を守るのか?」

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201512/CK2015120102000138.html

福島の子2巡目検査 15人がん
2015年12月1日 朝刊 

 東京電力福島第一原発事故による健康影響を調べる福島県の「県民健康調査」の検討委員会が三十日、福島市で開かれた。

 県内の全ての子どもが対象の甲状腺検査について、昨年四月からの二巡目の検査でがんと確定した子どもが、今年八月に開かれた前回会議での報告から九人増え十五人となった。がんの疑いは十九人から二十四人となった。確定と疑いの計三十九人は、事故から三年までの一巡目検査でほとんどが「問題ない」と判断されていた。

 委員会後の記者会見で星北斗座長(福島県医師会副会長)は「放射線の影響で起きたがんとは考えにくい」と、従来の見解をあらためて示した。
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http://www.asahi.com/articles/ASHCZ61VFHCZUGTB00P.html?iref=comtop_list_api_n01

福島の11人、新たに甲状腺がんと診断 合計115人に
大岩ゆり 2015年11月30日20時45分

 福島県は30日、東京電力福島第一原発事故当時18歳以下だった約38万人を対象に実施している甲状腺検査で、今年7月から9月末までの3カ月間に11人が新たにがんと診断されたと発表した。甲状腺がんが確定したのは合計115人になった。

 昨年3月末までの1巡目検査でがんの疑いがあると診断され、手術を受けた2人と、昨年4月以降の2巡目検査でがんの疑いが見つかり手術を受けた9人が新たにがんと確定した。1巡目検査の2人は、本人の都合で確定診断に必要な手術がこの時期になった。

 これで、がんが確定したか疑いがあるとされた人は1巡目114人、2巡目39人で計153人になった。2巡目でがんや疑いがあると診断された39人のうち、2人は、1巡目検査で一定の大きさ以上のしこり(結節)があり、それががん化したとみられるという。19人は1巡目検査では「何もない」とされており、新たにがんが発生したと考えられるという。

 県検討委員会の星北斗座長は「分かる範囲では、推定される福島県民の甲状腺の内部被曝(ひばく)線量はチェルノブイリの住民より低く、放射線の影響を受けやすい乳幼児にがんが発生していないことから、今見つかっている甲状腺がんは放射線の影響とは考えにくい」と述べた。(大岩ゆり
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●「そこでこそ人間の知性は試される」・・・ニッポンの核発電所再稼働、「知性のかけらもない判断」

2015年07月14日 00時00分04秒 | Weblog


asahi.comの記事【原発は倫理的存在か】(http://www.asahi.com/articles/ASH775W3CH77UEHF018.html?iref=comtop_list_pol_f01)。

 「筆者は、深刻な福島第一原発事故を経験した日本は、ほかの国とは異なる条件を自覚し、原発の管理について特別の倫理的な役割を果たすべきだと考えている。それゆえ、原発の再稼働はしても新設はせず(リプレース含む)、自然全廃を受け入れるとともに、他方で原子力の研究にはいっそうの力を入れ、新設なしでの研究者と技術者の養成を試みるべきだと思う」。

 ブログ主は、この「異なる条件」をもっと厳しくすべきだと思う・・・・・・でも、色々と考えさせられる記事。

   『●市民の命を危険にさらしてでも核発電を再開したい愚者
                ~耳をふさぐ原子力「ムラ寄生」委員会~

   『●核発電「事業の未来は明るい」のか?・・・
      「原子力とは、そういう本質的な脆弱性を内包した電源」


 「そこでこそ人間の知性は試される」・・・・・・ニッポンの核発電所再稼働、「知性のかけらもない判断である」と言わざるを得ない。

   『●火山の巨大噴火時の緊急核燃料輸送に
        何時間、何日間? 答えは「2年以上」!

   『●立ち止まるなら今・・・「原発政策を福島第一原発事故以前に
                    先祖返りさせたのが自民党安倍政権」

   『●「九州電力が「巨大噴火は予知できる」
      などと言っていますが、あれは大嘘なんです」


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http://www.asahi.com/articles/ASH775W3CH77UEHF018.html?iref=comtop_list_pol_f01

原発は倫理的存在か
2015年7月7日18時54分

     (サスケハナ川に浮かぶ米スリーマイル島。
      蒸気の出ていない手前の二つの冷却塔が
      炉心溶融事故を起こした2号機。今も解体されていない)

東浩紀(あずま・ひろき) 作家・思想家 1971年生。ゲンロン代表取締役。専門は現代思想、情報社会論、表象文化論。メディア出演多数。主著に『存在論的、郵便的』(1998、サントリー学芸賞受賞)『動物化するポストモダン』(2001)『クォンタム・ファミリーズ』(2009、三島由紀夫賞受賞)『一般意志2.0』(2011)。編著に『福島第一原発観光地化計画』(2013)など


■東浩紀(作家・思想家)

■原発は倫理的存在か

 原発をめぐる議論で「倫理」がなぜ問われるかといえば、それは使用済み核燃料の処理技術が確立されていないからである。「トイレのないマンション」とも揶揄(やゆ)されるように、現在の原発は、使用済み燃料の処理を、長期間保管しその危険性が自然に減衰するのを待つか、あるいは後世の技術開発の可能性に委ねることで成立している。いずれにせよ、いまここで処理できないものを、いつかだれかがなんとかしてくれるという「他人任せ」の態度のうえで成立しているのは疑問の余地がない。

 面倒なことは他人に任せ、自分だけが利得を得る。そのような態度が「よい」ことであるかどうか。原発の倫理的問題は結局はそこに集約される。日本では福島第一原発事故を機にはじめて関心を向けたひとが多いが(筆者自身もそのひとりだが)、この問題は本質的に事故の可能性とは関係ない。経済性とも関係がない。事故がなくても、いくら経済効率がよくても、使用済み核燃料は蓄積する一方であり、後世の自然環境と人間社会の負担は増える一方だからである。

 そしてそう考えると、上記の問いに肯定で答えることはきわめてむずかしい。面倒なことを他人に任せ、自分だけが利得を得る。そのような態度が、無責任で責められるべきものであることは、文化的な多様性とは無関係に、多くのひとが同意する価値観だと思われる。そうでなければ、そもそも人間社会は成立しない。

 つまり、原発は(少なくとも現在の技術水準での原発は)、そもそもが倫理に反する存在なのである。わたしたちは、原発を建設し、運用し、その果実を享受することで、日々倫理に反する行動を行っている。

 しかし、これは必ずしも原発の即時停止や全廃を意味しない。また、わたしたちすべてが深く反省し、罪の意識に沈殿すべきだということも意味しない。なぜなら、人間の行動は倫理のみで測られるわけではないからである。倫理に反する決定が、別の論理に基づいて支持されることはある。たとえば戦争時の殺人のように。あるいは、地球の裏側で何百万人もの飢えた子どもたちがおり、少額の寄付でその多くの命が救われることがわかっているにもかかわらず、ジャンクフードで日々膨大な食料と資金を浪費しているわたしたちの日常のように。

 それゆえ、わたしたちが考えるべきなのは、原理的には倫理に反するはずの原発が、それでもいまこの時代に存在が許される、そのときの「条件」とはなにかということである。それは便利だから許されているのか。儲(もう)かるから許されているのか。ほかに手段がないから許されるのか。議論はここから具体論に入り、哲学の手を離れる。

 最終的な結論はさまざまな要素に依存し、不安定な未来予測にも左右される。たとえば、もし近い将来に画期的な技術革新が生じ、使用済み燃料の危険性が安全かつすみやかに除去できるようになるとするならば、たとえいま原発が倫理に反するように見えたとしても、むしろ建設を推進し、革新の到来を早めたほうが倫理的だということになる。あるいは、多くの人文的問題と同じく、その議論もまた再帰的な構造をもつ。

 たとえば、もし仮に、ある国で原発が倫理に反するものであることを確認したうえで、それでも慎重な議論を経て稼働が不可避だと判断されたのだとしても、その事実そのものがほかの国で安易な建設を促進するのだとすれば、その副作用は議論の最初の前提を掘り崩してしまうことになる。原発そのものが素直に肯定できる存在ではない以上、わたしたちは、その是非について、未来や他者の視線も考慮しながら総合的に判断しなければならない。

 以上、原発と倫理の関係について私見を述べた。ではそんなふうに言うおまえは具体的にどう考えているのかと問われれば、筆者は、深刻な福島第一原発事故を経験した日本は、ほかの国とは異なる条件を自覚し、原発の管理について特別の倫理的な役割を果たすべきだと考えている。それゆえ、原発の再稼働はしても新設はせず(リプレース含む)、自然全廃を受け入れるとともに、他方で原子力の研究にはいっそうの力を入れ、新設なしでの研究者と技術者の養成を試みるべきだと思う。しかし、その根拠について記すのは、また別の機会に譲りたい。

 いずれにせよ、わたしたちが忘れてはならないのは、原発というのは、21世紀初頭の現時点での技術水準においては、そもそも倫理に反する存在、つまり「存在しないほうがいい存在」であり、それゆえ稼働や新設をめぐっては慎重な議論が求められるということである。わたしたちは、すべての議論を、まずこの認識から始めなければならない。

 さきほども記したように、わたしたちはつねに倫理を守る必要はない。しかし、倫理を破るには、つねにそれなりの「言い訳」が必要になる。そして、その言い訳をどれだけ精緻(せいち)に、説得力あるかたちで、そして普遍的な論理に基づいて作ることができるか、そこでこそ人間の知性は試される。その点で言えば、立地自治体と経済界が望むので新設します、というのは、知性のかけらもない判断である。
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