東京新聞の安田英昭記者によるコラム【【私説・論説室から】失われた古里】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2019022002000156.html)と、
井上能行記者によるコラム【【私説・論説室から】福島の声に耳を傾けて】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2019022502000136.html)。
《エネルギー資源を求めた戦争のあげくに広島、長崎を経験し、その原子エネルギーを資源にと試みて大切な古里を失った》。
《住民らは二〇一六年に記録誌「もどれない故郷 ながどろ」を出版した…杉下さんは原発事故のせいとも、放射能のせいとも語っていないが、故郷を離れ、避難生活を送ることの厳しさを感じた》。
『●「怒りの塊…袋の数は九百万超。黒い袋が
そこかしこに墳墓のごとく積み上げられている異様さ」(筆洗)』
『●核発電《ゼロへ》でなければならない…
「心に刻まれたのは「あまりにも罪深い」という強い痛みだった」』
《豊田直巳さん…豊かだったふるさとを失った村人の苦悩、
それでもふるさとを愛し、懸命に生きる村人の希望である》。
《東日本大震災から七年。原発事故の現場、時間が止まったままの
帰還困難区域を取材して心に刻まれたのは「あまりにも罪深い」
という強い痛みだった》。
「「《本来は恵みをもたらす田畑の土》、その内在的価値も含めて、
東電は完全に補償し、原状回復して見せたのか?
核発電「麻薬」中毒患者のうち、誰か一人でも責任をとったのか?」
失われた内在的価値は計り知れない。核発電「麻薬」中毒患者の
皆さんは《「あまりにも罪深い」という強い痛み》…なんて感じることも
ないのだろう。即刻、全て廃炉へ…
それしかないはずだというのに、アベ様らときたら…」
《失われた古里》、《もどれない故郷》、失われた《本来は恵みをもたらす田畑の土》…原状回復して見せたのか? 誰か一人でも責任をとったのか?
それでも経済産業省は核発電の《維持推進を掲げる》…東京電力核発電人災から8年なのに、この体たらくだ。核発電「麻薬」中毒患者達は、経済性から核発電輸出からは撤退しようとしているが、(経済性の論理矛盾も甚だしいけれども)国内では、核発電所を再稼働し、新規建設をしたくてしょうがない訳だ。3.11の核発電人災の反省など一切なし。
『●お見舞い申し上げます・・・』
『●あの3・11原発人災から1年: 松下竜一さん「暗闇の思想」を想う』
『●3.11東京原発人災から2年が過ぎて』
『●「福島原発事故の今」
『週刊金曜日』(2014年3月7日号、982号)について』
『●3.11東京電力原発人災から4年:
虚しき「地球にやさしいエネルギー原子力 人にやさしい大熊町」』
『●東電核発電人災から5年: 「今や世界の笑い者…
政権批判をいとわないキャスターの首を差し出した」』
『●東電核発電人災から6年: 4つの「生」+「命」「活」「業」「態」…
どれか一つでも原状回復できたか?』
『●東電核発電人災から7年:
「村の生活は百年余りにわたり、人生そのもの」…「やっぱりここにいたいべ」』
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2019022002000156.html】
【私説・論説室から】
失われた古里
2019年2月20日
福島の大事故からまもなく八年。次の扉を開こうとする音かもしれない-と耳をそばだてた発言が経済人から続いた。
一人は原発メーカー日立製作所の会長でもある中西宏明経団連会長。
「国民が反対するものはつくれない」
「全員が反対するものを…無理やりにつくるということは、民主国家ではない」
年初のインタビューでそう述べて原発、エネルギー政策に国民的な討論を求めた。
そして経済同友会、小林喜光代表幹事の二月初めの記者会見。
「あの時点からテクノロジー、経済性という意味で相当変化してきた。(原発の発電コストは)一キロワット五円などといわれたが、気が付いてみると十円を超えている。一方で太陽光は十円以下という国もある」
「原子力を使わないにしろ、原子炉は四十基以上ある。廃炉産業は人類にとって重要で、次の産業として成り立つ」
エネルギー資源を求めた戦争のあげくに広島、長崎を経験し、その原子エネルギーを資源にと試みて大切な古里を失った。
あれから八年。デジタル革命で世界は未知の領域にある。多くの国民が反対する原発に拘泥して次の扉を開けなければ、産業も経済も立ちゆかなくなる。二人の発言は局面変化の証しと思いたい。もしそうなら、脱原発はそこまできているのかもしれない。(安田英昭)
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2019022502000136.html】
【私説・論説室から】
福島の声に耳を傾けて
2019年2月25日
阿武隈山地の中にある福島県飯舘村。日本で最も美しい村連合にも入っている自然豊かな村だ。東日本大震災後、福島県で勤務し、何度も訪ねた。
観光地でよく見る撮影スポットを示す標識はない。「村全体が美しいから」と元村民に聞いたことがある。全村避難だったので、夜は暗かった。冬空に数え切れない星がまたたいているのに気付いたときは、車から出て寒さも忘れて見とれた。
一昨年から帰還が始まった。だが、福島第一原発にもっとも近い長泥地区は帰還困難区域で、帰村がかなわない。
住民らは二〇一六年に記録誌「もどれない故郷 ながどろ」を出版した。先日、久しぶりに手に取った。「福島は語る」という映画を見たからだ。土井敏邦監督が福島県民ら十四人にインタビューした記録映画である。そこに杉下初男さんが出ていた。
杉下さんは石材業を営み、本の中では、飯舘の白御影石は安くて色がブルーなので東京で人気だった、と書いてある。映画で杉下家の本当の悲劇は、事故の何年も後だったと知った。杉下さんは原発事故のせいとも、放射能のせいとも語っていないが、故郷を離れ、避難生活を送ることの厳しさを感じた。
三月二日から新宿K’s cinemaで、九日から渋谷ユーロスペースと横浜シネマジャック&ベティで上映の予定。 (井上能行)
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