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●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》

2020年03月16日 00時00分23秒 | Weblog

[※ 『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版(https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=21028)↑]



東京新聞の二つの記事。宮尾幹成記者によるインタビュー記事【<東海第二原発 再考再稼動>(1)耐震性と老朽化に問題 元福井地裁裁判長・樋口英明さん】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201911/CK2019112802000166.html)と、
松村真一郎記者によるインタビュー記事【台風被害は復興できる でも、原発事故は… <東海第二原発 再考再稼働>】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201911/CK2019112802100030.html)。

 《営業運転開始から28日で41年となる首都圏唯一の原発をこのまま再稼働させていいの か》。
 《二十八日は東海第二原発が営業運転を始めてから四十一年。老朽化が進む一方で、再稼働に向けた手続きは止まらない。首都圏唯一の原発の再稼働に疑問を持つロックバンド「BRAHMAN(ブラフマン)」のボーカルTOSHI-LOWさんに聞いた》。

 東京新聞の記事【署名6万人分 原電、初の受け取り 東海第二再稼働反対】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201911/CK2019112802000140.html)によると、《茨城県東海村にある東海第二原発の再稼働に反対し、廃炉を求めている市民団体が二十七日、原発を保有する日本原子力発電(原電)の本店(東京都台東区)を訪れ、六万三千三百二十八人分の署名を提出した。原電は昨年六月から署名の受け取りを拒否してきたが、初めて受け取った》。

 四十年廃炉ルール無視、特例中の特例のはずが…日本原電は東海第二原発の再稼働をしたいらしい…。正気じゃないね。《日本の国策は「安全な原発を動かす」》…《安全》な《原発》というのは、形容矛盾だと思います。

   『●四十年廃炉ルール無視、特例中の特例のはずが…
      日本原電は東海第二原発の再稼働をしたいらしい…
    《日本原電は、来年四十年の運転期限を迎える東海第二原発
     二十年延命を、原子力規制委員会に申請した。3・11後の
     安全強化で、原発はもはや割に合わなくなった。老朽化が進めば、
     なおさらだ…3・11後、安全対策のハードルは高くなり、
     四十年廃炉のルールもできた。延長は、本来例外的に認められるが、
     さらに特別な対策が必要とされている》。

 政府や自公お維はどうしても発電機能付き「海暖め装置」を動かしたくて仕方ないらしい。「たかが電気のために」。地球温暖化対策の切り札とでも嘯きながら。よほど美味しいおカネの「濁流」があるようだ。

   『●核発電は「金のなる巨大木」…《自民党の最近のルールは
     「返せば問題ない」と、なかったことにできるというもの》
   『●《稲田朋美…世耕弘成…安倍側近が…関電受注企業から献金
     証人喚問を含め、国会の場で徹底的に調査するほかない》
   『●「桜を見る会」税金接待というアベ様模倣犯・世耕弘成経産相
         …関西電力〝濁流〟問題でも《関電受注企業から献金》

 相も変わらず原子力規制委員会はデタラメ。最後の砦の司法に訴えても、裁判所も役に立たない…。再エネへの切り替えに乗り遅れ、救いようのない国に堕ちていくニッポン。この自公政権のままではダメです。元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》と仰っています。そんな簡単なことが分からないとはねぇ。

   『●「上告断念は、最高裁への抗議と不信任「最高裁には
      もはや何も期待できない」」…アベ様支配の最「低」裁
   『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、
     その下で電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201911/CK2019112802000166.html

<東海第二原発 再考再稼動>(1)耐震性と老朽化に問題 元福井地裁裁判長・樋口英明さん
2019年11月28日

 東海村の日本原子力発電東海第二原発の再稼働の是非を巡り、「中立」を掲げていた山田修村長が雑誌で容認と受け取れる発言をして、波紋を広げた。再稼働に向けた資金のめどがつき、事故対策工事も着々と進む。営業運転開始から28日で41年となる首都圏唯一の原発をこのまま再稼働させていいのか。有識者や文化人に考えを聞き、随時掲載していく。

 二〇一四年五月に福井地裁の裁判長として、関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の運転差し止め判決を出した。今も自分が正しいと確信を持っている

 大飯原発の基準地震動(耐震設計上の想定の揺れ)は七〇〇ガル(揺れの勢いを示す加速度の単位)で、重大事故につながる限界点は一・八倍の一二六〇ガルだと関電は主張していた。

 私は裁判前は、三〇〇〇ガルのような強い揺れに原発が耐えられるかどうかが争点になると予想していた。ところがふたを開けてみれば、一二六〇ガルが来たらおしまいだというのは争いがなかった。主な争点は「敷地内に一二六〇ガルを超える地震は来ない」という関電の主張の信用性だった。

 それが争点なら難しい工学的判断は不要で、理性と良識があれば簡単に解ける問題となる。地震大国の日本では、原発で基準地震動を超える地震が頻発しており、大飯もロシアンルーレット状態だった。

 日本の国策は「安全な原発を動かす」であって、「何が何でも動かす」ではない。私の「極めて危険だから動かしてはいけない」という判断は、国策にも忠実だったと思っている。

 仮に私が日本原子力発電(原電)東海第二原発の差し止め訴訟を指揮するなら、ポイントは三つあると思う。一つは、基準地震動を超える地震が来ないと言えるかどうか。これは他の原発と共通の問題だ。

 東海第二の建設当初の基準地震動は二七〇ガルだが、東京電力福島第一原発事故後に原電が約一〇〇〇ガルに引き上げ、新規制基準の審査も通った。だが、耐震補強工事をしたところで、四倍も耐震性を上げることは可能だろうか。例えば八〇〇ガルの地震に本当に耐えられるのか。これがもう一つの問題になる。

 三つめは、既に原則四十年の運転期限を超えていること。自動車や家電なら老朽化で突然止まっても、その後は安全だ。だが、原発は止まった後がとてつもなく危ない。きちんと冷やすことができなくなれば、四~五時間でメルトダウンする。

 これ以上に争点を広げると、裁判官の能力を超えてしまう。この三つに絞れば誰にでも理解できるし、反論が極めて難しい

 東海第二の周辺人口が他の原発より多いのは事実だが、人口が多くても少なくても原発事故の深刻な被害に変わりはない地震大国の日本には、北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない

 東海第二のように、再稼働の事前同意対象を立地自治体の周辺にも広げる運動は、原発を止める手段としては、裁判による差し止め以外では最も有効だ。

 (聞き手・宮尾幹成


<ひぐち・ひであき> 1952年、三重県鈴鹿市生まれ、京都大法学部卒。83年、判事任官。静岡、名古屋などの地裁・家裁、大阪高裁などを経て、2014年5月に福井地裁で大飯原発差し止め判決、15年4月に高浜原発再稼働差し止めの仮処分決定を出した。17年8月、名古屋家裁を最後に定年退官した。

<東海第二原発> 日本原子力発電が1978年11月に営業運転開始。出力は110万キロワットで、電気を東京電力や東北電力に供給していた。東日本大震災時は外部電源を失い、冷温停止まで3日半かかった。都心に最も近い原発で、都庁までの距離は福島第一からの半分程度の約120キロ。重大事故が起きた場合、首都圏全域に甚大な被害を及ぼす可能性がある。

 2018年11月に原子力規制委員会が最長20年の運転延長を認めた。再稼働の対策工事は21年3月までかかる見込みで、資金支援のため、東京電力などが約3500億円を拠出する構図も固まった。再稼働には、東海村や水戸市など6市村の同意が必要で、首長がどう判断するかが焦点になる。
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201911/CK2019112802100030.html

台風被害は復興できる でも、原発事故は… <東海第二原発 再考再稼働>
2019年11月28日

 茨城県東海村の日本原子力発電東海第二原発の再稼働を巡り、「中立」を掲げていた山田修村長が雑誌の取材で再稼働容認とも受け取れる発言をし、波紋を広げた。二十八日は東海第二原発が営業運転を始めてから四十一年。老朽化が進む一方で、再稼働に向けた手続きは止まらない。首都圏唯一の原発の再稼働に疑問を持つロックバンド「BRAHMAN(ブラフマン)」のボーカルTOSHI-LOWさんに聞いた。

     (ふるさとへの思いを語るBRAHMANの
      ボーカルTOSHI-LOWさん=東京都渋谷区で)

 東京電力福島第一原発事故で、茨城県産のホウレンソウが出荷できなくなった。水戸市の実家が営む冷凍食品会社はホウレンソウが主力商品だったので、大ダメージを受けた。関西圏への出荷分は全部だめになり、何年も続いた。原発問題はエネルギーではなく生活の問題だと認識した。

 自分は若い頃に東京に出て、ふるさとを捨てた人間だと思っていた。でも福島の事故が起きたことで、ふるさとって大事なんだという郷土愛に気付いた

 茨城県だって住めなくなるんだ、地元を喪失するかもしれないんだ、と現実味を帯びて感じた。ふるさとがなくなっていいとは思えなかった。

 それ以来、原発反対の声を上げている。アーティストだからではない。アーティストである前に国民であり、親であり、人間。おかしいことはおかしいと言う。

 ファンは非日常を求めてライブに来るから、嫌がる人もいる。だけど、何を歌うかなんて自分たちの自由だと思っている。

 曲作りでは、聴く人の心に描かれる風景が、自分の訴えたいことと合っていればいい。「鼎(かなえ)の問」という曲では、原発事故をイメージしながら、自分が大事にしているものが失われていく情景を書いた。大事なものが何か、考えるきっかけになってほしい。

 ライブで原発の話をすることもある。「気付くのも気付かないのも自分次第。でも、気付いたら何かしなければならない」と伝えている。

 十月の台風19号では実家も被災した。ボランティアで、県内の被災地で災害ごみの片付けなどを手伝った。台風のような災害は片付けたら復興できる。でも、原発事故はそれができない

 原発事故は起こらないと言われていたのに起きてしまった。東海第二でも起こり得る。福島の事故はなぜ起きたか。答えが出ないまま、東海第二を再稼働させる理由は一つもない

 再稼働を判断した時の首長は、何かあった時に責任を取ってくれるのか。これからは事故が起きたら、再稼働を容認した人に責任を取ってもらうようにしたらいい。「それでも再稼働しますか」と問いたい。

 二十~三十年後、自分の曲を聴いた人に「原発なんてものがあったんだ」と思ってもらえる世の中になってほしい。(聞き手・松村真一郎)


 <トシロウ> 本名・宮田俊郎。水戸市出身。15歳でバンドを始める。1995年に結成したロックバンド「BRAHMAN(ブラフマン)」でボーカルを担当し、国内外で活動。甲子園の応援で使われる曲もある。東日本大震災後にNPO法人「幡ケ谷再生大学復興再生部」をつくり、被災地の復興支援に取り組む。

 <東海第二原発> 日本原子力発電が1978年11月に営業運転開始。出力110万キロワットで、電気を東京電力や東北電力に供給。東日本大震災時は外部電源を失い、冷温停止まで3日半かかった。都心に最も近い原発で、都庁までの距離は福島第一からの半分程度の約120キロ。重大事故が起きた場合、首都圏全域に甚大な被害を及ぼす可能性がある。2018年11月に原子力規制委員会が最長20年の運転延長を認めた。対策工事は21年3月までかかる見込み。再稼働には東海村や水戸市など六市村の同意が必要で、首長がどう判断するかが焦点になる。
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