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●本当に賢明な判断だった…珠洲核発電所《建設を阻止したのは、住民らの長年にわたる根強い反対運動だった…無言電話や不買運動に耐えた阻止活動》

2024年02月14日 00時00分17秒 | Weblog

[↑ ※「地震列島の原発安全性に警告」(週刊金曜日 1457号、2024年01月26日号)]


/ (2024年02月03日[土])
(長周新聞)《能登町や珠洲市は30㌔圏外だが、半島の先端にあるため、原発災害のさいは原発に向かって逃げることをよぎなくされる》、《さらに地震直後、珠洲市長は「市内の6000世帯のうち9割が全壊またはほぼ全壊だ」と災害対策本部会議で窮状を訴えた。この時点で防災指針にある「屋内退避は机上の空論であり、このような原発事故の防災指針・「避難計画」は現実とかけ離れていることが浮き彫りになっている。自治体が膨大な時間と労力をかける計画策定や避難訓練などもアリバイに過ぎず、「安全神話」醸成のためのパフォーマンスに過ぎなかった》。
 核発電「麻薬中毒」患者・「原発ゾンビ」の皆さん、「想定外」と言う勿れ…能登半島地震珠洲核発電所建設計画凍結断層の上に建つ志賀核発電所。これまでの教訓は何処に? 今回も、志賀原発が再稼働していなかったという幸運が重なったに過ぎない。大島堅一さん《「日本は世界にも稀(まれ)な地震、自然災害大国現行の規制基準に重大な欠陥があり、避難態勢にも実効性がない現在稼働する全ての原発をただちに停止させるべきだ」と語った》…この常識が、3.11東京電力福島核発電所人災、そして、2024年1月1日以降も根付かない、狂気なニッポン。次も幸運に恵まれるとは思えないのだが…。

 そして、珠洲核発電所建設計画の凍結、本当に賢明な判断だった…珠洲核発電所《建設を阻止したのは、住民らの長年にわたる根強い反対運動だった…無言電話や不買運動に耐えた阻止活動28年》。本当に頭の下がる思いだ。《今回の能登半島地震で珠洲原発の予定地だった高屋地区の海岸線は数メートル隆起した。もし原発があったら大打撃を受けた可能性もあった。前出の井上さんは「原発事故が起きたら、能登はなくなっとったかもしれんね」。塚本さんは淡々と語る。「言葉を尽くすより、あの様子を見て想像がつくでしょうやっぱり日本に原発を造れるところなんてどこにもないね、と」》(こちら特報部)。
 岸本拓也記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/珠洲原発を止めて「本当によかった」 無言電話や不買運動に耐えた阻止活動28年の感慨】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/304462?rct=tokuhou)。《能登半島地震の震源地近くに建設が計画されていた「珠洲(すず)原発」。建設予定地だった石川県珠洲市高屋町は、今回の地震で住宅の大半が壊れ、陸路も海路も閉ざされて孤立状態に陥った。もし原発が実現していたら、重大事故が起きて住民の避難がより困難になった可能性もあった建設を阻止したのは、住民らの長年にわたる根強い反対運動だった。どのような思いで止めたのか。(岸本拓也)》。

   『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
      …「悪夢のような民主党政権」と比較して、今のキシダメ政権の無残さ
   『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
      …それでも再稼働・新規建設したいという核発電〝麻薬〟中毒患者ら
   『●【能登を襲った巨大地震/狙撃兵】《役立たずかと思うほど鈍くさい動き
     に、思わずこの連中に「人の心」は宿っているのだろうかと思うほどである》
   『●「想定外」!? 【震度5強の志賀原発で「想定外」続々…なのに規制委は
     動かない 「安全上影響ない」「一定の時間かかる」とは?】(東京新聞)
   『●斎藤貴男さん《日本列島は地震の巣なのに、原子力の利用を「国の責務」と
     うたうGX(グリーントランスフォーメーション)法案にかまけて》いた…
   『●これまでの教訓は何処に? 決して「想定外」と言う勿れ…能登半島地震
      と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ北陸電力志賀核発電所

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/304462?rct=tokuhou

こちら特報部
珠洲原発を止めて「本当によかった」 無言電話や不買運動に耐えた阻止活動28年の感慨
2024年1月23日 12時00分

 能登半島地震の震源地近くに建設が計画されていた「珠洲(すず)原発」。建設予定地だった石川県珠洲市高屋町は、今回の地震で住宅の大半が壊れ、陸路も海路も閉ざされて孤立状態に陥った。もし原発が実現していたら、重大事故が起きて住民の避難がより困難になった可能性もあった建設を阻止したのは、住民らの長年にわたる根強い反対運動だった。どのような思いで止めたのか。(岸本拓也


◆あと1年続いてたら僕らがつぶれていた

 「どこで何があるか分からん。本当に珠洲原発を止めて良かった

     (珠洲原発の反対運動のリーダー的な存在だった
      塚本真如さん=17日、石川県加賀市で)

 今回の地震で被災した高屋地区にある円龍寺の住職・塚本真如さん(78)は今月中旬、同県加賀市にある2次避難先のホテルで「こちら特報部」の取材にほっとした様子で語った。

 珠洲原発計画の反対運動で中心的な存在だった塚本さん。1975年に持ち上がった計画は、住民の反対運動と、それを切り崩す電力会社側との28年に及ぶ「闘争」の末、2003年12月に凍結された。塚本さんは「あと1年粘られたら、つぶれとったのは僕らの方やった」とかつての日々を振り返る。


◆関電は飲食や視察旅行で懐柔を図る

 関西、中部、北陸の3電力は1976年に正式に原発計画を公表した。しかし、関電が建設計画を進めた高屋地区では当初、住民のほとんどが反対していたという。そこへ関電側が住民の懐柔に動いた。「タダで飲み食いさせたり、原発視察名目の接待旅行に何度も招いたり芸能人を呼んだ住民向けのコンサートも開かれた。僕は一度も行かなかったけど、最後は住民が飽きて視察に参加しなくなるほどだった」

     (かつて珠洲原発反対派の拠点となった円龍寺も、地震で
      大きな被害を受けた=石川県珠洲市で(塚本さん提供))

 関電から、地域の祭りで使う奉灯「キリコ」の収納庫や農作物の保冷庫などを建てるための多額の寄付もあった。原発予定地の土地を貸して、億単位の賃貸料を得た住民もいたという。「カネ力の前に、一人また一人と賛成に回り地域は分断されていった


◆「安全はウソ」 学ぶほど疑念は確信に

 計画が持ち上がった当初、塚本さんは原発に賛成でも反対でもなかった。しかし、「推進、反対の本を100冊は読んだ。学ぶほど、安全はウソで固められていると疑うようになった。放射能と人間は共存できんなと」。米スリーマイル島旧ソ連チェルノブイリでの原発事故もあり、疑念は確信に。反対運動へ深く関与していった。

     (珠洲市役所で座り込みをした反対住民らの動きを
      報じる1989年5月23日付の北陸中日新聞記事)

 転機となったのが、関電が高屋地区での原発建設に向けた現地調査に乗り出した89年5月。塚本さんを含めた住民たちは調査に入ろうとする関電の車列を阻止し、市役所で約40日間にわたる座り込み抗議を始めた。円龍寺は反対運動の拠点となった。

 「それまで表に出ないようにしていたが、このときは大声を上げた。行動しないと何もならんと。知らん間にリーダー的な存在に祭り上げられていた」と塚本さん。住民らは念仏を唱えて道路に座り込んだ。調査を中断に追い込んだ


◆「絶対に推進派の個人攻撃だけはするな」

 この頃から原発を巡る対立は激しくなっていく。高屋地区では住民の賛否が分かれる中で、毎年秋の住民運動会が中止された。生活雑貨店を営み、原発に反対した井上伸造さん(76)は「『反対派の店で物を買うな不買運動も起きた」と明かす。

 塚本さんへの圧力も強まった。自宅では連日、無言電話が鳴り、電話が盗聴されたとしか思えない内容が書かれた手紙などが届いた嫌がらせは、計画が凍結されるまで10年以上続いた推進派に包丁を突きつけられたこともあった。しかし、「絶対に推進派の個人攻撃だけはするなと周囲に何度も言い続けた


◆住民のわだかまりは「もう過去のこと」

 反対派で建設予定地の土地を共有化したり、関電株を買って計画撤回の株主提案をするなどして手を尽くした。原発に反対する政治家を増やそうと、県議選や市長選などにも関わった。「強い者の味方をしたら坊主じゃない」という父の教えが行動を後押しした。

     (珠洲原発反対派の会合で、「凍結」に涙を浮かべる
      女性たち=2003年12月5日、石川県珠洲市で)

 塚本さんらの反対もあり、3電力側は2003年12月ついに計画凍結を発表した。11年の東京電力福島第1原発事故の後には「珠洲に原発はなくて良かったと、推進派だった住民が塚本さんに話しかけてきたことも。だが、今では原発が住民の話題に上ることもない。住民同士のわだかまりは「もう過去のこと」だという。

 今回の能登半島地震で珠洲原発の予定地だった高屋地区の海岸線は数メートル隆起した。もし原発があったら大打撃を受けた可能性もあった。前出の井上さんは「原発事故が起きたら、能登はなくなっとったかもしれんね」。塚本さんは淡々と語る。「言葉を尽くすより、あの様子を見て想像がつくでしょうやっぱり日本に原発を造れるところなんてどこにもないね、と」


   


◆事業者による活断層評価は「明らかに過小」

     (高屋地区につながる峠道は激しく損傷し、車の通行が
      困難になった=石川県珠洲市で(吉田華子さん提供))

 東京電力福島第1原発事故後、市民の立場で脱原発を求める発信・提言を続けている「原子力市民委員会」は、今回の能登半島地震で、地震や津波が頻発する日本の原発の危険性があらためて浮き彫りになったとして、18日にオンラインシンポジウムを開いた。

 「事業者による活断層評価は明らかに過小評価だった。数メートルに及ぶ地盤の隆起や変異原発の安全設計に組み込むことはできない」「社会インフラが機能不全に陥った原発事故発生時に避難や機材、人員の増強は不可能だと分かった」

 座長を務める龍谷大の大島堅一教授(環境経済学)が、今回の震災で浮き彫りになった、志賀原発の問題点を列挙した。


◆地割れが隆起が起きたら、原発は持たない

 「原発にとって脅威なのは、想定していない揺れが起こること」と「想定外」の地震の怖さをあらためて訴えたのは、元東芝原発設計技術者の後藤政志氏。志賀原発1号機の直下には活断層が走っていると一時は評価されたが昨年、覆った。「この断層を元に地震が起きると強く主張するわけではない。他で大きな地震が起きた時に連動して揺れ、原発に影響を与えるんじゃないか、という心配をしている」。その上で、「地割れや隆起が起きれば、原発は持たない。原発を断層のない安定した地盤の上に設置することは最低限必要能登半島地震は原発の危険性を突きつけている」と訴えた。

 原子力資料情報室松久保肇事務局長は使用済み核燃料(SF)について言及した。北陸電は仮に全電源が喪失した場合、SF冷却プールが100度に達するのは1号機で17日間、2号機で29日間と推定している。だが、松久保氏は「志賀原発は長時間停止しており、SFの発熱量がかなり下がっているからこれだけ時間がかかる。停止直後ならこんなに余裕はなかった、ということになるだろう」と話す。津波についても「今回は原発に3メートルの津波が来たとされているが、3メートル以上来たらどうなるか海水ポンプも壊れていたのではないか」と危惧する。


◆徒歩も自動車も、屋内退避もままならない

     (地盤の隆起で海底がむき出しになった
      珠洲市の沿岸=9日)

 一方、環境経済研究所の上岡直見代表は、石川県が策定した避難計画で指定する道路の多くが寸断されたとし、「原発避難は30キロ、数十キロ移動する。徒歩は考えられない。自動車で移動するのかといったら駄目ということ」と断じた。

 今回は、多くの家屋が倒壊しており、屋内退避もままならない。上岡氏は「仮に倒壊しなくても、ライフラインが途絶すれば屋内退避はできない」とする。さらに、避難時に放射性物質が衣服や体に付着していないか調べる場所「スクリーニングポイントの開設や、ヨウ素剤の配布も困難だと指摘した。

 大島氏は「日本は世界にも稀(まれ)な地震、自然災害大国現行の規制基準に重大な欠陥があり、避難態勢にも実効性がない現在稼働する全ての原発をただちに停止させるべきだ」と語った。(宮畑譲


◆デスクメモ

 10年前、大飯原発の運転差し止め命令を出した樋口英明元福井地裁裁判長は13日、「当時の人たちのおかげと、珠洲原発を止めた塚本さんらに感謝した(16日東京新聞茨城版)。その感謝の輪に、関電も加わるべきだ。珠洲原発が実現していたら、何が起きたか想像もつかないのだから。(歩)


【関連記事】「珠洲原発があったら…もっと悲惨だった」 能登半島地震で孤立した集落、原発反対を訴えた僧侶の実感
【関連記事】志賀原発「異常なし」から考えた 運転中だったら?「珠洲原発」だったら? 震度7の地震は想定内なのか
【関連記事】かつて原発計画、能登地震の震源 「珠洲」凍結 住民に感謝 元裁判長・樋口さん、つくばで講演
【関連記事】石川県「能登でM8.1」試算を知りながら防災計画は「M7.0」想定 知事は「震災少ない」と企業誘致に熱
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●環境経済研究所・上岡直見所長《「核施設の保有自体が相手側から軍事利用の意図ありと見なされ、攻撃の口実を与える」と懸念する》

2022年04月23日 00時00分14秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


(2022年04月10日[日])
宮尾幹成記者による、東京新聞の記事【もし東海再処理施設が攻撃されたら…廃液20%放出で死者40万人と試算 ウクライナで原発リスクが現実に】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/166319)。

 《日本原子力研究開発機構の東海再処理施設(東海村、廃止措置中)が武力攻撃を受け、保管されている高レベル放射性廃液の一部が外部に放出された場合、首都圏を中心に最悪で40万人の死者が出ると試算したリポートを、環境経済研究所(東京都千代田区)所長の上岡(かみおか)直見・法政大非常勤講師が公表した。本県を含む広い範囲が立ち入り禁止や強制移住の対象になる恐れも指摘し、原子力施設が潜在的に抱える安全保障上のリスクに警鐘を鳴らしている。(宮尾幹成)》。

 《今さらながら54基もつくったバカさ加減》…《火事場ドロボー》《好戦的にオラついているバカ》どもが蠢く哀しい国・ニッポン。
 《火事場ドロボー》1号2号の《こうした主張に対し、上岡氏は「現状が既に逆シェアリングで、対立国家の核兵器をわざわざ国内に誘致しているのと同じ」と疑問視。「本質的な安全保障の第一歩は、脱原発と核物質の撤去だ」と訴える》。正論。マトモな人ならば、《日本国内に米国の核兵器を配備して日米で共同運用する「核シェアリング(共有)」の議論を求める声》など上げはしない。自公お維コミに投票した結果がこのザマだ。

 《これはとんだ大嘘だ。というのも、政府は過去に原発が武力攻撃を受けた際の被害予測を報告書にまとめていたからだ。しかも、その被害予測は凄まじい内容だった》《格納容器が破壊されれば最大約2万人もの市民が急性死亡し、原子炉が破壊された場合は想像を絶する事態になる──》(リテラ)。
 再度引用。東京新聞の記事【被ばく死 最悪1.8万人 原発攻撃被害 84年に極秘研究】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015040890070728.html)。《原子炉格納容器が破壊され、大量の放射性物質が漏れ出した場合、最悪のシナリオとして急性被ばくで一万八千人が亡くなり原発の約八十六キロ圏が居住不能になると試算》……。ずいぶんと甘い見積では? いつの時代も、原発を稼働させるためなら何でもやる、といった感じかな?

   『●絶対に安全なので安心せよ!、公表義務な~し!!:
         「原発攻撃被害報告書 「福島」に生かされず…」

 絶対に安全なので安心せよ!、公表義務な~し!! 「原発攻撃被害報告書 「福島」に生かされず…」。そして今、東京電力核発電人災の《最大の戦犯》である《火事場ドロボー》1号達が狂気の暴走。《ロシア侵攻の危機に乗じて自民党の安倍晋三元首相らが「核共有」の議論を持ち出している。原発事故の当時国の首相経験者として無責任極まりない日本は核廃絶、脱原発の先頭に立つべきだ》(東京新聞)。

   『●台湾有事を煽り《ロシアのウクライナ侵攻のような軍事衝突にまで
     エスカレートさせてはならない…外交による対話を強めなければならない》
   『●誰が壊憲を望んでいる? COVID19禍のドサクサ、ロシア侵略の
     火事場ドロボー1号、2号、3号…らによる壊憲など許されるはずもない
   『●《思考力あるならば殺し合わずに済む方法…、政治力を持って開戦に
     至らない道を見つける事だ。ところがその政治家本人が核武装を…
   『●《当事者でない他の国が声をあげ、国際世論をつくり出すことが、理不尽
       な状況の抑止につながるというのは、国際社会の常識ではないか》!
   『●経済産業省資源エネルギー庁「復興のあと押しはまず知ることから」?
       「復興のあと押しはまず〝原状回復してみせる〟ことから」です
   『●東電核発電人災から11年: 《原発事故は終わっていません。
      政府が復興の名のもとに困難に陥った人たちをさらに追い詰める…》
   『●《やっぱりここさ帰りたい。親が開拓して受け継いだ土地。次の世代に
      残してやりたい。汚したら、きれいにして返すのが当然じゃないか》
   『●小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です…
     つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能》、石棺しかない
   『●《政府は過去に原発が武力攻撃を受けた際の被害予測を報告書に
     まとめていたからだ。しかも、その被害予測は凄まじい内容だった…》
   『●《【原発耕論…】福島事故で被ばくしたこどもたちに、不安なく過ごせる
         未来を!(311子ども甲状腺がん裁判)》(デモクラシータイムス)
   『●《政府機関の地震予測「長期評価」に基づく試算から原発への大津波の
      到来は予見できた…対策の先送りを許した国…国に重大な法的責任》
   『●《武藤類子さん…が講演し、今も続く過酷な被害を訴えた。ロシアに
     よるウクライナの原発攻撃にも触れ「胸がふさがれる思い」と語った》
   『●《ひとたび制御を失った原発が、後世にどれだけの重荷を残すのか。
     …廃炉作業が遅々として進まぬ現実が、原発の巨大なリスク》を顕在化
   『●東電核発電人災…《あまりに切ない一枚です。…犬。…鎖につながれた
     まま…取り残されたわが家で、何を思いながら力尽きたことでしょう》
   『●斎藤貴男さん《ロシア軍のウクライナ侵攻をダシにした、帝国主義への
     妄執と言うべきか…日本の対米従属度が、いっそう高められるだろう》
   『●《火事場ドロボー》1号、2号、3号…を支持し、投票する人々に、
     壊憲して戦争する国になる自覚はあるのか? 予想されるその結果は?
   『●《それは「お花畑」などといって茶化される話ではなく、日本社会の
       将来を決定づける超現実的な選択なのである》(コラム 狙撃兵)
   『●「失敗から学べ」? 《火事場ドロボー》1号がよくもまぁ…《自分が
     プーチンを増長させた張本人であるという事実を消し去ろうとしている》
   『●火事場ドロボー…《このような状況で便乗型の様々なショック・ドクト
     リンが出てきている…その一つが安倍晋三元首相による「核の共有論」》
   『●「あほか」…3.11から11年、ウクライナへのロシア侵略に乗じて
     《火事場ドロボー》らがウヨウヨ、ワラワラと湧いてくる始末なニッポン
   『●《「ストップ・プーチン」に動く気が岸田にあるのなら、あらゆる
     アベ案件から直ちに撤退しなければおかしい。二枚舌は通用しない》
   『●《火事場ドロボー》ぶりがとみに異常さを増してる? 前から正気では
     ないと思っていはいたが、酷過ぎる…まずは数多のアベ様案件の清算を

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/166319

もし東海再処理施設が攻撃されたら…廃液20%放出で死者40万人と試算 ウクライナで原発リスクが現実に
2022年3月18日 07時40分

 日本原子力研究開発機構の東海再処理施設(東海村、廃止措置中)が武力攻撃を受け、保管されている高レベル放射性廃液の一部が外部に放出された場合、首都圏を中心に最悪で40万人の死者が出ると試算したリポートを、環境経済研究所(東京都千代田区)所長の上岡(かみおか)直見・法政大非常勤講師が公表した。本県を含む広い範囲が立ち入り禁止や強制移住の対象になる恐れも指摘し、原子力施設が潜在的に抱える安全保障上のリスクに警鐘を鳴らしている。(宮尾幹成

【関連記事】<Q&A>ウクライナのチェルノブイリ原発をロシアはなぜ制圧したのか?

     (東海再処理施設の高レベル放射性廃液の20%が外部に
      放出された場合のシミュレーション。1個で死者20人を示す
      ■は、実際には無数に重なり合っている(上岡直見氏作成))


◆原発制圧

 リポートは、ロシア軍のウクライナ侵攻により、一九八六年に未曽有の原子力災害を起こしたチェルノブイリ原発や、六基の大型原子炉を持つザポロジエ原発が制圧された事態を受けて作成。再処理施設の高レベル廃液貯槽は、原発の原子炉はもちろん、使用済み核燃料プールと比べても構造的に弱いとして、武力攻撃で廃液が外部に漏れるシナリオを分析した。

 東海再処理施設には、使用済み核燃料を再処理して核燃料物質(プルトニウムとウラン)を分離した残りかすの核分裂生成物(セシウムなど)を高濃度で含む廃液が大量にある。放射能は人間が近づけば即死するほど高い。

     (日本原子力研究開発機構の東海再処理施設。高レベル放射性
      廃液貯槽がある建屋は、左側に見える赤白の排気筒2本の手前
      =東海村で(本社ヘリ「おおづる」から)

 上岡氏は、廃液貯槽自体が武力攻撃で破損して人間による応急対応が不可能になり、十日間にわたって廃液の漏えいが続くと仮定。原子力規制庁が東海再処理施設のリスクを調査した二〇一三年の報告書に基づき、廃液中の放射性物質を四二〇京ベクレル(京は兆の一万倍)とし、セシウムなどが全体の20%(八四京ベクレル)放出されるケースをシミュレーションした。

 この放出量は、東京電力福島第一原発事故由来で現在も環境中に残る放射性セシウムの二十五倍ほどに相当するとみられる。

 なお、再処理施設にはプルトニウム溶液の貯槽もあるが、プルトニウムは非常に質量が大きい(重い)ため、溶液が漏れても飛散しないものと見なした。


◆最悪ケース

 試算では、これだけの放射性物質が北東から東京方面に吹く風でまき散らされる「最悪ケース」(上岡氏)を想定。拡散状況を、原子力委員会が策定した原発の安全解析のための気象指針に準拠して計算した。

 その結果を、チェルノブイリ事故後にウクライナで定められた放射能汚染地域の区分(チェルノブイリ基準)に当てはめると、茨城、栃木、千葉各県の広い範囲が強制移住(年間の予想被ばく量が五ミリシーベルト以上など)の対象に。被ばくによる人体への確率的影響の評価では、死者数の推計は人口の多い東京都心やその近郊を中心に四十万人となった。このほか、死亡に至らない健康被害も起きる。

 上岡氏は、ウクライナの原発を制圧したロシアの狙いが、自国も被災しかねない原発の破壊ではなくウクライナによる核物質の軍事利用への警戒にあるとの見方が出ているのを踏まえ、「核施設の保有自体が相手側から軍事利用の意図ありと見なされ、攻撃の口実を与える」と懸念する。

 武力攻撃の態様については、ミサイル攻撃よりも特殊部隊が携行兵器で原子力施設を狙うリスクの方が高いと指摘。仮に自衛隊などが警備を強化したとしても、相手を排除する過程で交戦が起こり、施設の破壊を招きかねないとの見解を示す。


◆逆「核共有」

 ウクライナ危機を巡っては、ロシアのプーチン大統領が核兵器の使用も辞さない構えを見せていることから、日本国内に米国の核兵器を配備して日米で共同運用する「核シェアリング(共有)」の議論を求める声が、自民党の安倍晋三元首相や日本維新の会の松井一郎代表(大阪市長)らから上がっている。

 こうした主張に対し、上岡氏は「現状が既に逆シェアリングで、対立国家の核兵器をわざわざ国内に誘致しているのと同じ」と疑問視。「本質的な安全保障の第一歩は、脱原発と核物質の撤去だ」と訴える。

 上岡氏の試算について、原子力機構は本紙の取材に「仮定の事象についてのリポートなので、コメントする立場にない」と回答した。

 リポートの題名は「ウクライナ原発危機と日本の原発リスク評価解説」。東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)と中国電力島根原発(島根県)の使用済み核燃料プールが武力攻撃を受けた場合の被害も試算している。全文を読みたい読者は、上岡氏にメール(sustran-japan@nifty.ne.jp)で問い合わせを。


東海再処理施設と高レベル放射性廃液 使用済み核燃料からプルトニウムや燃え残りのウランを分離する再処理の実証プラントとして、動力炉・核燃料開発事業団(現日本原子力研究開発機構)が建設。1977〜2007年に新型転換炉「ふげん」(福井県、廃炉中)や原発の使用済み核燃料1140トン(金属ウラン換算)を再処理し、18年6月に廃止措置計画が認可された。再処理に伴い発生した高レベル放射性廃液には、貯槽の冷却機能喪失による漏えい事故などのリスクがあるため、原子力機構は28年度までに全量をガラス固化処理する計画だが、ガラスを溶かして廃液と混ぜる溶融炉のトラブルで作業は繰り返し中断。現在も停止しており、再開は6月の予定だ。廃液の保管量は21年3月現在、358立方メートル。このほか、今後行われる設備本体の洗浄で追加的に60立方メートルの発生が見込まれる。
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●原子力「推進」委員会であり、「規制」委でもなく、「寄生」委員会(2/2)

2014年03月30日 00時00分02秒 | Weblog


原子力「推進」委員会であり、「規制」委でもなく、「寄生」委員会』(1/2)からつづき)

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http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_pickup_p

原発政策―問題先送りを続けるな
2014年3月12日(水)付

 風だけが吹き抜ける商店街。崩れた家。はびこる雑草。ある日突然、人が消えた町は異様な静けさにつつまれている。

 原発事故から3年。住民避難が続く福島県双葉郡の現実だ。

 福島第一原発では汚染水との闘いに明け暮れている。日々、約4千人が目に見えない放射線と向き合いながら、作業に従事する。


■浜岡は避難に6日?

 私たちは11年7月の社説特集で、「原発ゼロ社会」を提言した。老朽化した原子炉や巨大地震の想定震源域にある原発は閉め、代替電源への切り替えを急ぎ、できるだけ早く原発をなくそうと呼びかけた。

 いまも、その考えは変わらない。むしろ、原発全廃までの期間はずっと短くできる見通しが立ったといえる。

 最も心配した電力不足の問題が、広域融通や節電の定着で夏・冬ともに、おおむね解消できることが立証されたからだ。

 ところが、安倍政権は一定量の原発を「重要なベースロード電源」として今後も使い続ける方針を掲げる。

 原子力規制委員会の審査に適合した原発は動かすことを決めている。「原発依存度を低減させる」といいながら、再稼働への前のめり姿勢は明らかだ。

 はたして安倍政権は、福島での事故であらわになった「原発リスク」に十分、手を打ってきただろうか。

 ひとつは防災・避難計画だ。

 事故の際、双葉郡では予定したバスが放射線の影響で来なかったり、避難の車が渋滞したりして大混乱が生じた。

 その後、防災計画の策定が義務づけられる自治体は、原発から30キロ圏内の135市町村へと拡大された。政府の指針やマニュアルも改定された。

 だが、中身は項目の列挙にとどまる。これまでに具体的な避難計画をまとめた自治体は5割に満たない。

 民間団体「環境経済研究所」の上岡直見代表が全国17原発を対象に全住民の避難にかかる時間を計算したところ、高速道路が使えても、最短の大飯(福井県)で8時間。最長の浜岡(静岡県)は63時間かかり、国道のみだと6日を要するという。

 あくまで試算だが、一部の道府県が公表している詳細シミュレーションでも同じ傾向が見てとれる。

 規制委や国の原子力防災会議事務局が計画策定の支援に乗り出しているものの、現実問題として避難が可能なのか、客観的に判断する仕組みはない。

 福島の経験を重くみるなら、たとえば交通の専門家らによる「避難計画検証委員会」を設けてはどうか。

 各自治体の計画の妥当性を調べ、30キロ圏内の住民が情報を共有する。そのうえで、周辺自治体が再稼働の可否に関与できる制度を整えるべきだ。


■総量規制も検討せず

 放射性廃棄物も、原発が抱える大きなリスクである。

 原発を動かせば、それだけ使用済み核燃料が増えるのに、各原発にある燃料プールの容量は限界に近づいている。

 政府が描くのは、使用済み燃料を青森県六ケ所村にある再処理工場に持ち込み、再び燃料として利用する核燃料サイクル事業だ。

 しかし、再処理には巨額のコストがかかるうえ、新たにできる燃料を使える原発は現時点で3基しかない。仮に工場がうまく動いても、危険なプルトニウムを増やすだけだ。再処理の過程で出る高レベル放射性廃棄物の処分場もまだない。

 こうした原発ごみの処分の難しさは以前からわかっていた。事故後、日本学術会議は原発から出る放射性廃棄物の総量に上限を設ける規制を提言したが、安倍政権がそれを真剣に検討した節はない。


■「国富流出」論の本質

 そもそも、なぜ再稼働が必要なのか。

 政府は「国富流出」を言い募るが、本質は電力会社の経営問題である。原発の停止に円安があいまって、火力発電用の化石燃料の輸入コストが急増し、各社の収益は悪化している。これまでに6社が値上げした。

 確かに電気料金が家計や企業活動に与える影響は、注意深く見守る必要がある。原発が動けば、電力会社の経営が目先、好転するのも事実だ。

 しかし、廃棄物の処理や事故リスクを考えれば、原発のコストがずっと大きいことを政府はきちんと認めるべきだ。

 原発再稼働を最優先に考える電力会社は、古くて効率の悪い火力発電所の建て替えや増強に二の足を踏む。自然エネルギー電源との接続にも言を左右にする。代替電源の確保にさまざまな手を打つべき政権が、それを黙認するなら、国民への背信行為になるだろう。

 福島での事故は、原発が抱える根源的な問題を見て見ぬふりをしてきた末に起きた。

 もう先送りは許されない。
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http://peacephilosophy.blogspot.jp/2014/03/blog-post_7.html

Friday, March 07, 2014
原子力規制委「帰還に向けた考え方」にある4つの重大な問題点: 反核医師会より抗議声明

昨年11月20日に発表された原子力規制委員会による「帰還に向けた安全・安心対策に関する基本的考え方」に対し、「反核医師の会」(1987年設立)が、12月18日に抗議声明を出した。プレス資料をマスコミ各社に送ったようだが一切報道されなかったそうである。以下紹介する。

このブログで先日紹介した、日本科学者会議の汚染水・除染についての深刻な提言も全国メディアにはおしなべて無視されたようだ。科学者団体による提言は、汚染や被爆の度合いを少なく見せ、原発を引き続き推進したい人々にとっての大きな脅威であることがうかがい知れる。科学者会議は環境の被曝、反核医師会は人体の被曝を扱った警告で二者の声明は補完的なものと言えるであろう。

この声明の英語版も2月28日に発表された。リンクはここ。
http://no-nukes.doc-net.or.jp/activity/seimei/140304kisei-i.pdf 

拡散してください。@PeacePhilosophy


原子力規制委員会への抗議声明
「帰還に向けた考え方」にある4つの重大な問題点
2013年12月18日

核戦争に反対する医師の会(反核医師の会・英文略称"PANW")
(東京都渋谷区代々木2-5-5 全国保険医団体連合会内)

2013年11月20日、原子力規制委員会から、福島第一原発事故による汚染地域への「帰還に向けた安全・安心対策に関する基本的考え方(線量水準に応じた防護措置の具体化のために)」(以下、『考え方』と略)が発表された。

我々「核戦争に反対する医師の会」は、核兵器の廃絶を望み被ばく者を支援してきた医師・医学者の団体として、原発事故後の地域住民の生活や健康維持について、これまでも重大な関心を持ってきた。我々は、今回の『考え方』には放射線防護の点から、また住民主権という人権の観点からも大きな問題点があり、断じて認めるわけにはいかないとの結論に至ったので、ここに抗議声明を発表するものである。


1,100ミリシーベルト以下の被ばくでも健康被害の可能性を認めるのが、現在の国際的動向である

今回の規制委員会の『考え方』の基本にある医学的認識は、低線量被ばくの評価に関する最近の国際的理解からは、明らかな誤謬を犯しており、医師・医学者としてとうてい容認できるものではない。100ミリシーベルト以下の被ばくでは「疫学的に健康リスクの増加を証明するのは困難とするのが国際的合意」と、事故以来繰り返されてきた見解は、最近発表された複数の大規模疫学調査により大きく修正を迫られている1),2)。10万人以上を対象とした大規模な疫学調査では、100ミリシーベルト以下でも「明らかな線量依存性の健康リスクの増加」が認められ、過剰な放射線被ばくは「少なければ少ない程よい」という原則を再確認することとなった。

今年3月に福島事故と関連してWHOが発表した報告でも、「福島県外も含む広い範囲の住民で、生涯の発がんリスク増加の可能性を否定できない」とされたのは、低線量被ばくと健康リスクに関する国際的動向に配慮したものと思われる3)。しかし、今回、原子力規制委員会が出した「考え方」は、このような国際的動向に全く注意を払っておらず、繰り返し表明してきた「100ミリシーベルト以下は安全」とする恣意的な認識に拘泥し続けている。

我々は、『考え方』が基本にする“100ミリシーベルト以下安全”論に、強く抗議する。


2,ICRPの勧告でも、積極的な住民参加による意思決定や健康管理の充実を強調している

今回の原発事故に伴う住民避難の基準は、ICRPによる2007年と2009年の一般勧告、及び2011年に福島事故後に出された文書によるところが大きい4)-6)。その中で事故収束後に汚染が残る地域での居住を選択した場合「1~20ミリシーベルトに抑えるべき」とされており、長期間にわたる可能性があるならば、「その幅の中でも可能な限り低い基準を設定し、線量低減のための最大限の努力の継続が前提」と明記されている。このように年間20ミリシーベルトは「緊急対応時の一時的指標」でしかなく、「帰還可能な汚染水準として示されてきたものではない」。

さらに、比較的線量が高い地域での居住では、「地域住民の健康管理体制の充実が不可欠」で、方針決定への住民参加とともに最終的には各個人の決断が重要であることも強調されている。福島事故後に政府や関係諸機関がとった実際の対応は、人権保護の観点からも厳しい国際的批判にさらされている。2012年10月に日本で行った調査にもとづく「国連人権理事会からの特別報告」(以下「グローバー報告」)は、原発に関する情報が国民に共有されない制度の不備と、事故後の政策決定への住民参加の不足について警鐘を鳴らし、社会的弱者も積極的に参加できるシステムの整備を求めている7)。

今後、地域住民の間で低線量被ばくに関する情報を共有し、帰還の条件についても住民が議論に積極的に参加できる場が形成され、的確に政策決定に反映されるシステムが確保されねばならない。今回の『考え方』では、住民参加の保障が全く不十分である。

我々は、ICRP勧告よりも大きく後退した“年間20ミリシーベルト迄を帰還可能水準”と緩和する『考え方』に強く抗議する。


3,個人線量計による計測結果を重視することで、被ばくに対する個人責任や新たな社会的問題を生み出す危険がある

今回の『考え方』では、空間線量から予測される被ばく線量ではなく、個人線量計を用いた各々の計測結果を、個人の生活設計や管理にも用いるという考え方が示された。線量計による被ばく管理は、仕事上やむをえない被ばくで利得を得る労働者や放射線取扱者にとっては、必須の要件である。しかしながら、個人線量計の測定が被ばくの実態を調査する一手段ではあっても、過剰な被ばくが利得どころかリスク増加にしかならない地域住民にとって、被ばくの多寡が個人責任に転嫁される恐れもある。

また、ガラスバッジ等の個人線量計による計測では、α線やβ線による内部被ばくは計測されず、γ線についても、計測は線量計の前方からの線量が中心で、その使われ方によっては被ばく量が過小評価されかねない結果に陥る恐れが多分にある。

さらに個人に被ばく管理を押し付ける線量計の利用は「被ばくした個人」を特定することにもなり、人権を守る上で新たな社会的影響をもたらしかねない。特に屋外活動による被ばくを避けたい小児や妊婦にとってその行動を必要以上に制約することにつながりかねず、新たな風評被害や社会的差別を防ぐ面からも、住民全体に適用するにはあまりにも問題点が多い方法と考える。個人線量計による計測結果は、その人個人のデーターであり、決して帰還基準などに使用すべきでない。住み続ける地域環境の規定である規準汚染度は、その地域の汚染度を客観的に表す「空間線量」(ICRP基準)や「土壌汚染」(ウクライナ基準)を使用した基準値でなければならない。

我々は、『考え方』の“個人線量計による計測結果を重視する”基準値設定に強く抗議する。


4,健康相談員による相談だけでは、住民に安全・安心の健康管理は不可能である

さらに、帰還の前提条件としては、住民の健康管理体制の整備が不可欠だが、今回の『考え方』では、健康相談員の活動と支援する拠点の整備があげられているだけで、公的な健診体制の整備や拡充、及び診療体制の充実についての具体的な記述が欠落している。前段3にあげた「グローバー報告」では、1ミリシーベルト以上の年間過剰被ばくが推定される地域全体で、「無料の健康診断や医療サービスの提供」が勧告されている7)にも拘わらず、それを全く無視したものとなっている。ちなみに、今年3月6日の原子力規制委員会からの提言では、1999年の茨城県那珂郡東海村のJCO臨界事故後に行われている健康管理(事故により1ミリシーベルト以上の過剰被ばくが疑われる住民に対する無料の健診)について記載されていたにもかかわらず、今回の『考え方』ではそれが削除されており、意図的な変更を疑わざるを得ない内容となっている8),9)。

我々は、住民の健康管理を、JCO事故後の健康管理体制から大きく後退させ、“健康相談員による相談だけに限定”する『考え方』に、強く抗議する。


以上のように、今回の『考え方』は、低線量被ばくに関する最近の医学的知見や国際的動向を無視するばかりか、一部では、同委員会より3月6日に出された「東京電力福島第一原子力発電所の事故に関連する健康管理のあり方について(提言)」より後退した内容となっており、加害企業や公的機関の責任を曖昧にしたものになってしまっている。また、事故の規模の違いと、費用負担の増大を心配してJCO事故後の対応等の健康管理体制からの後退を、福島に押し付けようとしているとすれは、けっして許されるものではない。この意図的な二重基準を許してしまえば、JCO事故後の健康管理体制をも後退させる危険性をも指摘せざるを得ないだろう。

我々は、国民の健康管理に携わる医師・医学者の団体として、今回出された『考え方』の内容と方向性について強く抗議するものである。そして、医学的知見や国際的動向が、理解されやすく整理して呈示され、各家庭や個人が自律した意思決定を行えることは、住民主体に政策決定する民主主義の根幹であることを再度強調して、以下の項目を提案し、必ずや実行に移されるべきであると要求する。


1 “100ミリシーベルト以下安全”論を撤回し、低線量被ばくの健康影響についての最新の知見、国際的動向を重視し、その情報についても住民に隠さず伝えること。

2 “年間20ミリシーベルト迄を帰還可能水準”と許容する提示は撤回し、帰還できる条件について住民との間で十分な情報提供による協議の場を設け、政策決定に反映させること。

3 “個人線量計による計測結果を重視する”基準値設定と被ばく管理の住民押し付けをやめること。

4 1ミリシーベルト以上の過剰被ばくが疑われる地域の住民に、無料の健康診断サービスを、国と東電の責任で提供し、医療体制の充実を図ること。

 以上、要求するものである。

参考  (略) ・・・・・・・・・

投稿者 Peace Philosopher 時刻: 3:42 pm
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