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●そもそも東京電力に核発電所を稼働する能力、そして、倫理的に見てその資格はあるのか? 人災を被った福島を「原状回復」して見せてほしい

2024年04月26日 00時00分13秒 | Weblog

[※ 「3.11から12年 脱原発の約束はどこに」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]


(2024年04月21日[日])
東京電力にも、原子力「推進」委員会にも、狂気しか感じない。よく恥ずかしげもなく、東京電力はアノ柏崎刈羽核発電所の再稼働したいなどと、口にできるものだ。「恥」の概念などないのかね? さっさと、福島を「原状回復」して見せてくれよ。

   『●柏崎刈羽核発電、新潟《県民の多数は再稼働を拒絶》ではなかったのか?
         なのに、こんな知事を選んでしまうから、こんな結果になる…

 渡辺聖子荒井六貴両記者による、東京新聞の記事【核燃料セット、順調アピールするはずが…電源トラブルで16時間中断 柏崎刈羽原発7号機をメディアに公開】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/322119)。《東京電力は18日、福島第1原発事故後、東京電力として初めての再稼働を目指す柏崎刈羽原発7号機(新潟県)で進む核燃料の装塡作業を報道陣に公開した。作業が順調に進んでいることをアピールするはずの場だったが、作業が中断するトラブルが相次ぎ、長期停止による機器の不具合などの課題を浮き彫りにした》。

 宮尾幹成記者による、東京新聞の心太ビュー記事【米山隆一氏、再稼働の意思確認は「住民投票でやるべきだ」 判断材料まだ不足 東京電力・柏崎刈羽原発】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/321822)。《<再稼働を問う 新潟県知事経験者インタビュー㊤> 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を巡り、政府は立地自治体の新潟県に同意を要請ており、花角英世知事の対応が焦点となっている。一連の動きをどう見るか。原発と向き合ってきた新潟県知事経験者の衆院議員2人のうち、まずは米山隆一氏(立憲民主党、新潟5区)に聞いた。(宮尾幹成)》。

   『●発言に人格が現れ、呼ばれ方に
          人間性が表れる: 「石原元「ト」知事」と「栄佐久さん」
   『●安孫子亘監督映画「『知事抹殺』の真実」の 
      佐藤栄佐久元知事冤罪…泉田裕彦新潟県知事「事件」の背景に?
   『●よりによって自民党から出馬…「反東電ですが、
       反原発ではありません」な泉田裕彦前新潟県知事…
   『●米山隆一新潟県知事は「県に運転停止の権限」、
           「私は、根拠のない“ケンカ”はしません」と…
   『●「新潟の野党勢力は今こそ、踏ん張り時」!
       東京電力に柏崎刈羽核発電所を再稼働させるなんて狂気な凶器
    「日刊ゲンダイの記事【米山知事辞職で状況急変 小躍りする自民と
     原子力マフィア】… 《米山知事は「県政の混乱を招いた責任を取った
     県民の信頼を裏切り、心よりおわびしたい」と語ったが、この突然の辞職に
     小躍りして喜んでいるのが自民党と原子力マフィアだろう》。
     大変に残念なニュース…大喜びする核発電「麻薬」中毒患者達
     《…自民県連の関係者は次の棚ボタ選挙は楽勝なんて喜んで…》
     …悔しいなぁ、何やってんだ一体もぅ…。泉田裕彦新潟元県知事
     ダークサイドに堕ち核発電「麻薬」中毒患者達は柏崎刈羽核発電所再稼働に
     向けて、遮二無二突進するでしょうね。新潟県民の皆さん、何とか踏ん張って
     ほしいい。《新潟の野党勢力は今こそ、踏ん張り時だ》!」

   『●新潟県知事選: 「中央の紐付き忖度官僚候補
      VS再稼働反対の民意に寄り添う県議候補」という与野党激突
   『●花角英世新潟県新知事…「柳瀬氏同様、安倍政権下で
       出世してきた元官僚」…女性差別発言隠蔽は体質の体現
    「リテラの記事【横田一「ニッポン抑圧と腐敗の現場」38/新潟県知事選
     “女性差別発言”問題で花角候補を直撃! 隣にいたのに
     「よく覚えていない」と“柳瀬元首相秘書官”状態】」

   『●「事実無根のデマ」…「もしこれが立件されれば、
       長谷川氏逮捕や花角新知事辞任の事態もありうるだろう」
   『●新潟《県民の多数は再稼働を拒絶》なので、再稼働反対派の
            少なからずの方々が…「騙されることの責任」
    《花角知事は、国会議員への説明会で「当然ありうる」と発言した
     同じ15日に、経産省内で世耕弘成経産相と面談。花角知事は
     再稼働問題について具体的な議論はしなかったとしているが、
     会談後には記者団に対し「まったく動かさないから、
     100%動かすまですべてあり得る」と述べたという》
    「新潟《県民の多数は再稼働を拒絶している》はずなので、
     再稼働反対派の少なからずの方々が、自公候補者だった
     花角英世氏に投票してしまった訳だ。その結果が、
     《ところが、いや、やっぱりと言うべきか。その花角新知事が、
     はやくも馬脚を現したらしい。選挙戦中の発言から一転、
     原発再稼働を「当然ありうる」と言い出した》…。」

 ダークサイドに堕ちた元新潟県知事に言われても説得力に欠けるなぁ。いまや、核発電〝命〟な「利権」「裏金」「脱税」党にズッポリで、よくも言えるものだね。キシダメ独裁政権やキシダメ「利権」「裏金」「脱税」党総裁に、再稼働反対論をぶたないのか?
 宮尾幹成記者による、東京新聞の心太ビュー記事【泉田裕彦氏、知事在任中に出くわした東京電力の「ウソ」 再稼働の判断に必要なことがある 柏崎刈羽原発】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/322122)。《<再稼働を問う 新潟県知事経験者インタビュー㊦> 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に向けた動きについて、新潟県知事を経験した衆院議員2人に聞く連続インタビュー。2回目は泉田裕彦氏(自民党、比例北陸信越)に語ってもらった。(宮尾幹成)》。

   『●杜撰・隠蔽・欺瞞だらけな廃液飛散事故…《人の命にもかかわる重大事故を
     起こしても、いまだ終始一貫して舐めた態度で会見をおこなっている東電》
    「欺瞞・杜撰だらけな東京電力福島原発廃液飛散事件…何もかも
     杜撰だった東電、飛散量・ホース・責任者不在…ホースって、
     東海村JCO事故を彷彿。」

   『●《子どもたちに、原発が安全なエネルギーと思ってほしくない。同じ
     過ちを繰り返さないため、声を上げられなかった人たちの分まで…》
   『●東電核発電人災から13年: 汚染水海洋投棄を強行し、柏崎刈羽核発電所
     を再稼働したい東電…3.11の教訓は? 能登半島地震の「警告」を無視…
   『●3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに? 能登半島地震の警告は?
     正気だろうか? 東電に核発電所を運転する資格や能力は在るのかね?
   『●東電《小早川智明社長…「…は『(事故収束に)覚悟を持って取り組む』
      とよく言うけど、覚悟の『か』の字も見えない」(蜂須賀礼子氏)…
   『●老朽原発を含む関電美浜・高浜核発電所の運転差し止め訴訟、基準地震動
       は妥当で、《老朽化対策も合理的》と福井地裁・加藤靖裁判長は判断
   『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
      …それでも再稼働・新規建設したいという核発電〝麻薬〟中毒患者ら
   『●小出裕章さん《今回一番学ばなければいけないことは、志賀原発が止まっ
     ていてよかったということ。…原発が1年間稼働すれば、広島原爆が…》
    「能登半島地震の「警告」を無視し続ける気らしい、キシダメ首相
     らは。正気だろうか。この間も、愛媛県で地震があり、震源は
     アノ伊方原発の極近傍。10kmほどの位置だったそうだ。
     さらに、千葉県沖でも、地震が続いているようだ。」

   『●3.11東京電力核発電所人災から13年、《原状回復》に何の責任も果た
     さない東京電力にアノ柏崎刈羽核発電所を再稼働する資格など全くない
   『●《原子力規制委員長「慎重にやっていただきたい」》《花角英世知事、核燃
     料セットは「検査の一つの過程」》…委員長も県知事も何を言っているの?
    「《◆原子力規制委員長「慎重にやっていただきたい」》、
     《◆花角英世知事、核燃料セットは「検査の一つの過程」》…
     核発電「寄生」委員会=原子力「推進」委員会山中伸介委員長、
     花角英世新潟県知事、一体何を言っているのだろうか?
     寝言は、寝てから言ってほしい。」

   『●加藤靖裁判長《「避難が必要になるような事態が起きる危険性は立証されて
     おらず、避難計画の不備については判断するまでもない」と住民の訴え》一蹴
   『●“日本一避難しにくい原発”伊方原発…大島堅一さん「エネルギー政策で、
     インフラが不十分で逃げにくい場所を選び、差別的にリスクを押し付け」

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/322119

核燃料セット、順調アピールするはずが…電源トラブルで16時間中断 柏崎刈羽原発7号機をメディアに公開
2024年4月18日 22時08分

 東京電力は18日、福島第1原発事故後、東京電力として初めての再稼働を目指す柏崎刈羽原発7号機(新潟県)で進む核燃料の装塡作業を報道陣に公開した。作業が順調に進んでいることをアピールするはずの場だったが、作業が中断するトラブルが相次ぎ、長期停止による機器の不具合などの課題を浮き彫りにした


◆長期停止の弊害か、作業員の経験不足&機器不具合

     (東京電力柏崎刈羽原発7号機で報道陣に公開された核燃料を
      装塡する作業=18日、東京電力柏崎刈羽原発7号機で)

 7号機原子炉建屋の最上階で窓ガラス越しに1時間ほど公開され、遠隔操作の機械で核燃料を燃料プールから圧力容器内に移動させている様子が確認できた。挿入位置はプログラミングされているものの、機械の上から作業員が双眼鏡で正しい位置かどうかをチェックしていた。核燃料1体を装塡するのにかかる時間は6〜7分という。

 東京電力は、再稼働に向けた検査の一環として15日に装塡を開始。核燃料全872体の装塡が完了すると点検に入る。7号機などを担当する菊川浩(ゆたか)ユニット所長は「確認作業はまだまだある」と話した。


◆2022年には冷却装置の配管が腐食、水漏れも…

 柏崎刈羽の停止が長期に及び、原発を稼働させたことがない運転員が増えた。6、7号機の運転員100人のうち、未経験者は約半数という。福島事故後、柏崎刈羽と同じ沸騰水型の原発は他社を含めて再稼働しておらず、経験を積めていないのが実態だ。東京電力は、火力発電所でタービンが回る現場を体感するなどの研修を実施して「力量を上げる」としている。

 さらに、今回のトラブルでも明らかになったように、長期停止で機器がうまく作動するのかも分からない。2022年10月には、冷却装置を11年ぶりに稼働させたところ、配管の穴から水漏れが発生腐食が進み穴が開いたとみられる。(渡辺聖子荒井六貴


  ◇   ◇


◆17日のトラブルの原因、現時点で「不明」

 柏崎刈羽原発7号機で17日午前から電源トラブルで中断していた核燃料の装塡(そうてん)作業について、東京電力は約16時間後の17日深夜に作業を再開したと発表した。原因は分かっておらず、不具合が起きたブレーカーを交換したという。

 東京電力によると、作業は17日午前7時すぎ、圧力容器に制御棒を挿入する装置を動かそうとしてブレーカーを入れたところ、装置が動く前に落ちて中断。ブレーカーなどの電源設備に問題は見つからなかったが、予備品と交換し、同日午後11時半ごろに作業を再開した。

 核燃料全872体の挿入完了までには約半月かかる見通しで、東京電力は中断による影響は出ないとしている。(渡辺聖子

【関連記事】「私たちの命を無視している」原発再稼働に突き進む東京電力に怒る地元 柏崎刈羽で後回しにされた課題とは
【関連記事】「核燃料」原子炉にセット 異例の強行 東京電力柏崎刈羽原発 再稼働の地元同意ないのに 許可出たその日
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/321822

米山隆一氏、再稼働の意思確認は「住民投票でやるべきだ」 判断材料まだ不足 東京電力・柏崎刈羽原発
2024年4月18日 06時00分

再稼働を問う 新潟県知事経験者インタビュー㊤

 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を巡り、政府は立地自治体の新潟県に同意を要請しており、花角英世知事の対応が焦点となっている。一連の動きをどう見るか。原発と向き合ってきた新潟県知事経験者の衆院議員2人のうち、まずは米山隆一氏(立憲民主党、新潟5区)に聞いた。(宮尾幹成


◆東京電力は「コストを払う」意思表示をうやむやにしている

     (東電柏崎刈羽原発の再稼働問題について話す前新潟県知事の
      米山隆一衆院議員=5日、東京・永田町の衆院第2議員会館で)

 —県が再稼働同意の可否を判断する機は熟しているのか。

 判断の材料を県も国も示していない。事故時の避難経路は相当程度に渋滞して、一定期間被ばくするのはほぼ確実。だから、そのシミュレーションを基にした避難計画をちゃんと作った上で、東京電力はそのコストを払うという合意があってしかるべきだ。それをうやむやにしている。


 —花角知事は、県民の意思確認について「信を問う」と、出直し知事選も示唆している。望ましい意思確認の方法は。

 住民投票でやるべきだ。出直し選挙は党派性や人格などが混じってしまい、実は原発再稼働を問うていないというようなことが起こる。今、出直し選挙をやったら再稼働反対派の野党系が勝つ確率が5、6割あるので、何ならやってもらってもいいが、原理原則では住民投票だ。


◆新潟県は「再稼働に都合のいい情報」だけ出している

 —国からの同意要請については、県議会の自民党からも「時期尚早だ」との声が上がっている。

 政局的なうがった見方をするなら、自民党が花角知事に知事選に打って出てほしくなくて、けん制する意味もあるのではないか。


 —原発事故について県独自の「三つの検証」を総括する有識者会議が花角知事と対立し、事実上休止した。県が報告書を取りまとめる事態となった。

 例えば避難道路の整備について、ただ道路を造るような話になっている。みんなが一斉に逃げた時に渋滞しない道路なんて無理なわけで、むしろ何時間か渋滞することを前提に考えないといけないのに、県の志が低い。再稼働という結論に向かって、都合のいい情報だけ示している


◆再稼働「選択の問題で、全否定するつもりはない」

 —超党派の地方議員グループに、再稼働の同意の対象を立地自治体だけでなく、避難計画の策定が義務づけられている30キロ圏の自治体まで広げるよう求める動きがある。

 実務的にちょっと難しいのではないか。今の行政の枠組みでは、広域自治体は県という形になっている。30キロ圏の人の声はちゃんと県が集約するという代表の仕方しかないと思う。


 —そもそも、柏崎刈羽の再稼働は必要なのか。

 選択の問題で、全否定するつもりはない。エネルギーコストを考えて再稼働を取るという選択はできるが、同時に大きなリスクと、リスクに対処するためのコストも伴う。それをきちんと示して選ぶべきだ。


 米山隆一(よねやま・りゅういち) 1967年、新潟県湯之谷村(現魚沼市)生まれ。医師、弁護士。2016年10月〜18年4月に新潟県知事。前任の泉田裕彦氏が福島第1原発事故を県独自に検証するために設置した有識者会議「原発の安全管理に関する技術委員会」に「原発事故による健康と生活影響に関する検証委員会」「原子力災害時の避難方法に関する検証委員会」と「検証総括委員会」を追加した。21年衆院選で初当選し、22年9月に立憲民主党入り。


  ◇    ◇


◆花角英世知事、再稼働同意の前に「信を問う」と明言

 柏崎刈羽原発7号機は原子炉内に核燃料全872体を入れ終えて、核燃料体から制御棒を引き抜けば、再稼働する。東京電力は地元の同意なしでは「制御棒を引き抜かない」とする。

 花角知事は同意の是非の判断に当たり「県民の信を問う方法が責任の取り方として最も明確であり、重い方法だ」と明言。2022年に再選した際には「『信を問う』との一般的な語感からすれば、存在をかけるという意味合いが強い。知事選も当然一つの形だ」と、任期途中での出直し知事選をほのめかした。一方で「議会の不信任や住民投票も、可能性としてはあるかもしれない」とも語った。

 同じ新潟県の旧巻町(新潟市西浦区)では、計画された東北電力巻原発の建設の是非を巡り、1996年に住民投票を実施。投票率は88.3%で住民の関心の高さを示した。建設反対(1万2478票)が賛成(7904票)を上回り、東北電力は計画断念に追い込まれた

 東京電力福島第1原発事故後に再稼働した6原発では、知事が同意を判断する際、県議会の同意を一つの根拠としてきた。知事選や住民投票を実施したケースはない。(荒井六貴

※インタビュー㊦は、後日掲載します。


【関連記事】核燃料セット中にトラブル相次ぐ 制御棒の装置電源オフ、監視装置に不具合…東京電力・柏崎刈羽原発
【関連記事】「核燃料」原子炉にセット 異例の強行 東京電力柏崎刈羽原発 再稼働の地元同意ないのに 許可出たその日
【関連記事】「私たちの命を無視している」原発再稼働に突き進む東京電力に怒る地元 柏崎刈羽で後回しにされた課題とは
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/322122

泉田裕彦氏、知事在任中に出くわした東京電力の「ウソ」 再稼働の判断に必要なことがある 柏崎刈羽原発
2024年4月19日 06時00分

再稼働を問う 新潟県知事経験者インタビュー㊦

 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に向けた動きについて、新潟県知事を経験した衆院議員2人に聞く連続インタビュー。2回目は泉田裕彦氏(自民党、比例北陸信越)に語ってもらった。(宮尾幹成

     (前新潟県知事の米山隆一衆院議員)

インタビュー 前回は
米山隆一氏、再稼働の意思確認は「住民投票でやるべきだ」 判断材料まだ不足


◆「30キロ圏には40万人の住民がいる」

 —政府が県に再稼働の同意を要請した。判断の機は熟しているか。

     (
柏崎刈羽原発再稼働に対する県民の意向確認について
      話す泉田裕彦元新潟県知事=東京・永田町の
      衆院第2議員会館で)

 熟していない。2007年の中越沖地震や11年の東日本大震災で明らかになった課題に対処できていない。やるべきことをやっていないのが今の段階だ。

 (自然災害と原発事故の)複合災害で屋内退避が行われた時に、電気・ガス・水道のどれか一つ止まれば煮炊きはできない。道路の復旧はどうするのか。雪が降っていたら誰が除雪するのか。こうしたことを全く決めていない。大混乱が生じるのは火を見るより明らかだ。

 (広域避難計画策定が義務づけられている)30キロ圏には40万人の住民がいる。何万人もの被災者への対応を自衛隊だけでできるというのは幻想で、民間との役割分担が必要だが、こういうことも考えていない。


◆やるべきことをやらないから「今、意思を問うたところで…」

 —知事が県民の意思を確認するのは、どんな方法が望ましいか。花角英世知事は「『信を問う』」と述べている。

 その議論をしたら一人歩きして、やるべきことがこんなにあるというメッセージが伝わらなくなる。事故になれば何が起きるかを県民に伝えた上で、どんな体制を組むかが先だ。今、意思を問うたところで、分からない人に聞くことになり、賛成する人も反対する人も不利益になる。


 —超党派の地方議員グループが、再稼働の事前同意の対象を、避難計画の策定が義務づけられている30キロ圏内の全自治体に広げるよう求めている。この動きをどう見るか。

 県がやるべきことをやらないで逃げているから、こういう声が出てくる。やるべきことをやった上で、市町村に負荷をかけないようにしていれば、また別の風景が見えるかもしれない。


 —東京電力の原発事業者としての信頼性は。

 ないゼロだ。福島第1原発事故で4号機が爆発して少し落ち着いた後に、柏崎刈羽の幹部に説明に来てもらったが、メルトダウン(炉心溶融)しているんでしょうねと聞いたら、していないと最初から分かっていたはずなのに、原発立地県の知事にこういううそをつく


 —そもそも、柏崎刈羽の再稼働は必要か。

 やるべきことをやっていないのだから、それも議論する段階にない。


 泉田裕彦(いずみだ・ひろひこ) 1962年、新潟県加茂市生まれ。通商産業省(現経済産業省)を経て、2004年10月〜16年10月に新潟県知事。13年2月に有識者会議「原発の安全管理に関する技術委員会」を設置し、東京電力福島第1原発事故について県独自の検証を始めた。17年衆院選に自民党公認で立候補し初当選。現在2期目。


  ◇    ◇


◆前提崩れた「屋内退避」…原発の避難計画の現状は

 原発30キロ圏内の自治体に義務付けられている避難計画には、深刻な事故が起きた際、自治体から住民への情報伝達、甲状腺被ばくを抑えるヨウ素剤の配布方法、避難先までのルートや交通手段、介護が必要な人への対応などが記される。新潟県柏崎市が公表する避難計画はA4判で120ページになる。

 自治体が避難計画を作るに当たっては、原子力規制委員会が示す原子力災害対策指針を参考にしている。

 指針は5キロ圏内は即時避難で、5〜30キロ圏はいったん屋内退避し放射線量を基に段階的に避難すると示す。

 ただ、能登半島地震では、水道や電気が止まり、住宅が倒壊すれば、屋内退避は困難であることが改めて浮き彫りになった。仮に、学校などに避難し屋内退避できたとしても、原発事故で水や食料などが十分に届くのかは分からない。

 規制委は2月、指針の見直しに着手する方針を示したが、「屋内退避できるとの前提で議論することとした。この見直し議論でも1年近くかかるとされる。

 柏崎刈羽でいえば、屋内退避の問題に加え、周辺が豪雪地帯で冬場の避難は困難を極めるとみられる。そうした対応が決まっておらず、内閣府は避難計画を最終的に了承していない。(荒井六貴


【関連記事】核燃料セット、順調アピールするはずが…電源トラブルで16時間中断 柏崎刈羽原発7号機をメディアに公開
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●本当に賢明な判断だった…珠洲核発電所《建設を阻止したのは、住民らの長年にわたる根強い反対運動だった…無言電話や不買運動に耐えた阻止活動》

2024年02月14日 00時00分17秒 | Weblog

[↑ ※「地震列島の原発安全性に警告」(週刊金曜日 1457号、2024年01月26日号)]


/ (2024年02月03日[土])
(長周新聞)《能登町や珠洲市は30㌔圏外だが、半島の先端にあるため、原発災害のさいは原発に向かって逃げることをよぎなくされる》、《さらに地震直後、珠洲市長は「市内の6000世帯のうち9割が全壊またはほぼ全壊だ」と災害対策本部会議で窮状を訴えた。この時点で防災指針にある「屋内退避は机上の空論であり、このような原発事故の防災指針・「避難計画」は現実とかけ離れていることが浮き彫りになっている。自治体が膨大な時間と労力をかける計画策定や避難訓練などもアリバイに過ぎず、「安全神話」醸成のためのパフォーマンスに過ぎなかった》。
 核発電「麻薬中毒」患者・「原発ゾンビ」の皆さん、「想定外」と言う勿れ…能登半島地震珠洲核発電所建設計画凍結断層の上に建つ志賀核発電所。これまでの教訓は何処に? 今回も、志賀原発が再稼働していなかったという幸運が重なったに過ぎない。大島堅一さん《「日本は世界にも稀(まれ)な地震、自然災害大国現行の規制基準に重大な欠陥があり、避難態勢にも実効性がない現在稼働する全ての原発をただちに停止させるべきだ」と語った》…この常識が、3.11東京電力福島核発電所人災、そして、2024年1月1日以降も根付かない、狂気なニッポン。次も幸運に恵まれるとは思えないのだが…。

 そして、珠洲核発電所建設計画の凍結、本当に賢明な判断だった…珠洲核発電所《建設を阻止したのは、住民らの長年にわたる根強い反対運動だった…無言電話や不買運動に耐えた阻止活動28年》。本当に頭の下がる思いだ。《今回の能登半島地震で珠洲原発の予定地だった高屋地区の海岸線は数メートル隆起した。もし原発があったら大打撃を受けた可能性もあった。前出の井上さんは「原発事故が起きたら、能登はなくなっとったかもしれんね」。塚本さんは淡々と語る。「言葉を尽くすより、あの様子を見て想像がつくでしょうやっぱり日本に原発を造れるところなんてどこにもないね、と」》(こちら特報部)。
 岸本拓也記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/珠洲原発を止めて「本当によかった」 無言電話や不買運動に耐えた阻止活動28年の感慨】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/304462?rct=tokuhou)。《能登半島地震の震源地近くに建設が計画されていた「珠洲(すず)原発」。建設予定地だった石川県珠洲市高屋町は、今回の地震で住宅の大半が壊れ、陸路も海路も閉ざされて孤立状態に陥った。もし原発が実現していたら、重大事故が起きて住民の避難がより困難になった可能性もあった建設を阻止したのは、住民らの長年にわたる根強い反対運動だった。どのような思いで止めたのか。(岸本拓也)》。

   『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
      …「悪夢のような民主党政権」と比較して、今のキシダメ政権の無残さ
   『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
      …それでも再稼働・新規建設したいという核発電〝麻薬〟中毒患者ら
   『●【能登を襲った巨大地震/狙撃兵】《役立たずかと思うほど鈍くさい動き
     に、思わずこの連中に「人の心」は宿っているのだろうかと思うほどである》
   『●「想定外」!? 【震度5強の志賀原発で「想定外」続々…なのに規制委は
     動かない 「安全上影響ない」「一定の時間かかる」とは?】(東京新聞)
   『●斎藤貴男さん《日本列島は地震の巣なのに、原子力の利用を「国の責務」と
     うたうGX(グリーントランスフォーメーション)法案にかまけて》いた…
   『●これまでの教訓は何処に? 決して「想定外」と言う勿れ…能登半島地震
      と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ北陸電力志賀核発電所

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/304462?rct=tokuhou

こちら特報部
珠洲原発を止めて「本当によかった」 無言電話や不買運動に耐えた阻止活動28年の感慨
2024年1月23日 12時00分

 能登半島地震の震源地近くに建設が計画されていた「珠洲(すず)原発」。建設予定地だった石川県珠洲市高屋町は、今回の地震で住宅の大半が壊れ、陸路も海路も閉ざされて孤立状態に陥った。もし原発が実現していたら、重大事故が起きて住民の避難がより困難になった可能性もあった建設を阻止したのは、住民らの長年にわたる根強い反対運動だった。どのような思いで止めたのか。(岸本拓也


◆あと1年続いてたら僕らがつぶれていた

 「どこで何があるか分からん。本当に珠洲原発を止めて良かった

     (珠洲原発の反対運動のリーダー的な存在だった
      塚本真如さん=17日、石川県加賀市で)

 今回の地震で被災した高屋地区にある円龍寺の住職・塚本真如さん(78)は今月中旬、同県加賀市にある2次避難先のホテルで「こちら特報部」の取材にほっとした様子で語った。

 珠洲原発計画の反対運動で中心的な存在だった塚本さん。1975年に持ち上がった計画は、住民の反対運動と、それを切り崩す電力会社側との28年に及ぶ「闘争」の末、2003年12月に凍結された。塚本さんは「あと1年粘られたら、つぶれとったのは僕らの方やった」とかつての日々を振り返る。


◆関電は飲食や視察旅行で懐柔を図る

 関西、中部、北陸の3電力は1976年に正式に原発計画を公表した。しかし、関電が建設計画を進めた高屋地区では当初、住民のほとんどが反対していたという。そこへ関電側が住民の懐柔に動いた。「タダで飲み食いさせたり、原発視察名目の接待旅行に何度も招いたり芸能人を呼んだ住民向けのコンサートも開かれた。僕は一度も行かなかったけど、最後は住民が飽きて視察に参加しなくなるほどだった」

     (かつて珠洲原発反対派の拠点となった円龍寺も、地震で
      大きな被害を受けた=石川県珠洲市で(塚本さん提供))

 関電から、地域の祭りで使う奉灯「キリコ」の収納庫や農作物の保冷庫などを建てるための多額の寄付もあった。原発予定地の土地を貸して、億単位の賃貸料を得た住民もいたという。「カネ力の前に、一人また一人と賛成に回り地域は分断されていった


◆「安全はウソ」 学ぶほど疑念は確信に

 計画が持ち上がった当初、塚本さんは原発に賛成でも反対でもなかった。しかし、「推進、反対の本を100冊は読んだ。学ぶほど、安全はウソで固められていると疑うようになった。放射能と人間は共存できんなと」。米スリーマイル島旧ソ連チェルノブイリでの原発事故もあり、疑念は確信に。反対運動へ深く関与していった。

     (珠洲市役所で座り込みをした反対住民らの動きを
      報じる1989年5月23日付の北陸中日新聞記事)

 転機となったのが、関電が高屋地区での原発建設に向けた現地調査に乗り出した89年5月。塚本さんを含めた住民たちは調査に入ろうとする関電の車列を阻止し、市役所で約40日間にわたる座り込み抗議を始めた。円龍寺は反対運動の拠点となった。

 「それまで表に出ないようにしていたが、このときは大声を上げた。行動しないと何もならんと。知らん間にリーダー的な存在に祭り上げられていた」と塚本さん。住民らは念仏を唱えて道路に座り込んだ。調査を中断に追い込んだ


◆「絶対に推進派の個人攻撃だけはするな」

 この頃から原発を巡る対立は激しくなっていく。高屋地区では住民の賛否が分かれる中で、毎年秋の住民運動会が中止された。生活雑貨店を営み、原発に反対した井上伸造さん(76)は「『反対派の店で物を買うな不買運動も起きた」と明かす。

 塚本さんへの圧力も強まった。自宅では連日、無言電話が鳴り、電話が盗聴されたとしか思えない内容が書かれた手紙などが届いた嫌がらせは、計画が凍結されるまで10年以上続いた推進派に包丁を突きつけられたこともあった。しかし、「絶対に推進派の個人攻撃だけはするなと周囲に何度も言い続けた


◆住民のわだかまりは「もう過去のこと」

 反対派で建設予定地の土地を共有化したり、関電株を買って計画撤回の株主提案をするなどして手を尽くした。原発に反対する政治家を増やそうと、県議選や市長選などにも関わった。「強い者の味方をしたら坊主じゃない」という父の教えが行動を後押しした。

     (珠洲原発反対派の会合で、「凍結」に涙を浮かべる
      女性たち=2003年12月5日、石川県珠洲市で)

 塚本さんらの反対もあり、3電力側は2003年12月ついに計画凍結を発表した。11年の東京電力福島第1原発事故の後には「珠洲に原発はなくて良かったと、推進派だった住民が塚本さんに話しかけてきたことも。だが、今では原発が住民の話題に上ることもない。住民同士のわだかまりは「もう過去のこと」だという。

 今回の能登半島地震で珠洲原発の予定地だった高屋地区の海岸線は数メートル隆起した。もし原発があったら大打撃を受けた可能性もあった。前出の井上さんは「原発事故が起きたら、能登はなくなっとったかもしれんね」。塚本さんは淡々と語る。「言葉を尽くすより、あの様子を見て想像がつくでしょうやっぱり日本に原発を造れるところなんてどこにもないね、と」


   


◆事業者による活断層評価は「明らかに過小」

     (高屋地区につながる峠道は激しく損傷し、車の通行が
      困難になった=石川県珠洲市で(吉田華子さん提供))

 東京電力福島第1原発事故後、市民の立場で脱原発を求める発信・提言を続けている「原子力市民委員会」は、今回の能登半島地震で、地震や津波が頻発する日本の原発の危険性があらためて浮き彫りになったとして、18日にオンラインシンポジウムを開いた。

 「事業者による活断層評価は明らかに過小評価だった。数メートルに及ぶ地盤の隆起や変異原発の安全設計に組み込むことはできない」「社会インフラが機能不全に陥った原発事故発生時に避難や機材、人員の増強は不可能だと分かった」

 座長を務める龍谷大の大島堅一教授(環境経済学)が、今回の震災で浮き彫りになった、志賀原発の問題点を列挙した。


◆地割れが隆起が起きたら、原発は持たない

 「原発にとって脅威なのは、想定していない揺れが起こること」と「想定外」の地震の怖さをあらためて訴えたのは、元東芝原発設計技術者の後藤政志氏。志賀原発1号機の直下には活断層が走っていると一時は評価されたが昨年、覆った。「この断層を元に地震が起きると強く主張するわけではない。他で大きな地震が起きた時に連動して揺れ、原発に影響を与えるんじゃないか、という心配をしている」。その上で、「地割れや隆起が起きれば、原発は持たない。原発を断層のない安定した地盤の上に設置することは最低限必要能登半島地震は原発の危険性を突きつけている」と訴えた。

 原子力資料情報室松久保肇事務局長は使用済み核燃料(SF)について言及した。北陸電は仮に全電源が喪失した場合、SF冷却プールが100度に達するのは1号機で17日間、2号機で29日間と推定している。だが、松久保氏は「志賀原発は長時間停止しており、SFの発熱量がかなり下がっているからこれだけ時間がかかる。停止直後ならこんなに余裕はなかった、ということになるだろう」と話す。津波についても「今回は原発に3メートルの津波が来たとされているが、3メートル以上来たらどうなるか海水ポンプも壊れていたのではないか」と危惧する。


◆徒歩も自動車も、屋内退避もままならない

     (地盤の隆起で海底がむき出しになった
      珠洲市の沿岸=9日)

 一方、環境経済研究所の上岡直見代表は、石川県が策定した避難計画で指定する道路の多くが寸断されたとし、「原発避難は30キロ、数十キロ移動する。徒歩は考えられない。自動車で移動するのかといったら駄目ということ」と断じた。

 今回は、多くの家屋が倒壊しており、屋内退避もままならない。上岡氏は「仮に倒壊しなくても、ライフラインが途絶すれば屋内退避はできない」とする。さらに、避難時に放射性物質が衣服や体に付着していないか調べる場所「スクリーニングポイントの開設や、ヨウ素剤の配布も困難だと指摘した。

 大島氏は「日本は世界にも稀(まれ)な地震、自然災害大国現行の規制基準に重大な欠陥があり、避難態勢にも実効性がない現在稼働する全ての原発をただちに停止させるべきだ」と語った。(宮畑譲


◆デスクメモ

 10年前、大飯原発の運転差し止め命令を出した樋口英明元福井地裁裁判長は13日、「当時の人たちのおかげと、珠洲原発を止めた塚本さんらに感謝した(16日東京新聞茨城版)。その感謝の輪に、関電も加わるべきだ。珠洲原発が実現していたら、何が起きたか想像もつかないのだから。(歩)


【関連記事】「珠洲原発があったら…もっと悲惨だった」 能登半島地震で孤立した集落、原発反対を訴えた僧侶の実感
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コメント
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●武藤類子さん《本来ならその人たちにとってもこの10年、まったく違った時間があったはず…原発事故は、その時間を奪ってしまった》

2021年04月05日 00時00分51秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


(20210320[])
マガジン9のインタビュー記事【この人に聞きたい 武藤類子さんに聞いた:原発事故から10年。東電刑事裁判と福島の今】(https://maga9.jp/210317-3/)。

 《「私たちはいま、静かに怒りを燃やす東北の鬼です」──2011年9月、福島第一原発事故から半年後の集会で読み上げられた武藤類子さんのスピーチは大きな反響を呼び、多くの人の心を揺さぶりました…。それからもうすぐ10年。原発事故と向き合い、東京電力の刑事責任を問う活動などを続けてきた武藤さんは何を思い、いまの日本をどう見ているのでしょうか。お話をうかがいました》。

   『●東京電力核発電人災の刑事裁判: 東京地裁永渕健一裁判長の判決は、
          あまりに酷い理由も含めて《司法犯罪とも言える不当判決》
    《被告人全員無罪! 2019年9月19日、福島第一原発事故刑事裁判
     判決が下された。司法犯罪とも言える不当判決の内容を弁護士・
     海渡雄一が徹底解説する、前作「東電刑事裁判 動かぬ証拠と原発事故」
     の改訂版。東京高等裁判所での控訴審を前に全国民必見の33分間!!》

   『●東京電力核発電人災後に《福島県から千葉県などに避難した住民ら
     43人が国と東電に損害賠償を求めた集団訴訟の控訴審》で逆転判決
   『●東電核発電人災から10年: あの人災から何の教訓を得ることもなく、
      何も変わらないニッポン…核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないまま
   『●希望の牧場・吉沢正巳さん「この牛たちを見て、命の扱い方とか、
     原発があるというのはどういうことかを考えるきっかけになってほしい」
   『●《「国に法的責任はある」−原発事故で千葉県に避難した人々が
     起こした訴訟での東京高裁の判断だ。規制権限の不行使を厳しく指弾した》
   『●《「知っている町はどこかに行ってしまいました。返してください!
     10年前を!」。故郷をめちゃくちゃにされたことへの怒りは深かった》

 《避難者の人たちだって、多分ほとんどの人は「叶うなら帰りたい」と思っているでしょう。でも、それはただ同じ場所に戻りたいということではなく、慣れ親しんだ、かつてのふるさとに帰りたいということ。「帰りなさい」と言いながら、復興予算がじゃぶじゃぶ投入されて知らない建物が次々に建ち、新しい住民ばかりが増えて、以前とはまったく違うふるさとになってしまっているというのは、大きな矛盾だと思います》。
 東電や国はさっさと「原状回復」して見せてほしい…10年も経ってしまったではないですか。下記CMLより、《ひとりひとりの市民が… 国と東電の責任を問い続けています。そして、原発はもういらないと声をあげています私たちは今、静かに怒りを燃やす東北の鬼です》。

   『●脱アクションウィーク、5万人集会
    「最後の福島の被災市民として武藤類子さんが
     訴えておられる映像がとても印象に残りました。
     その文章おこしされたものはCML
     (http://list.jca.apc.org/public/cml/2011-September/011909.html
     にありますので、一読して頂きたいです」

   『●再稼働・輸出問題に続いて、東京電力原発人災下の
              五輪招致騒動: 「あろうことか」、の連続
    《団長を務める武藤類子さん(60)は「抜本的な対策を取らない
     と大量な汚染水が出ることは、東電にとって想定内だったはず
     文書はそれを示す証拠だ。これまでのずさんな汚染水対策を見ると、
     私たち被災者の犠牲はなんだったのかと思う」と憤る》

   『●「東電元幹部の罪と罰」
     『週刊金曜日』(2014年9月19日、1008号)についてのつぶやき
    《武藤類子氏【これでも罪を問わないのか】。
     明石昇二郎さん【東電関係者の「不起訴」理由 検察は、いかに
     原子力ムラに丸め込まれたか】、「告発人として主任検事から
     詳細な説明を受けていた筆者が、その詳細を暴露する……
     御用電力学者の言い訳を鵜呑み……原子力ムラにしてやられた検察」》

   『●原状回復が損害賠償の基本: 東京電力原発人災で
             「ふるさとをなくした痛み」は全く癒えていない
    《「東京電力福島第一原発事故で国と東電の刑事責任を
     追及している福島原発告訴団の武藤類子団長は「原発事故が
     解決していない中での再稼働は信じ難い」と強調。川内原発建設
     反対連絡協議会の鳥原良子会長は「民意を反映しない
     鹿児島県や薩摩川内市の再稼働同意に住民は大きな怒りを
     感じている」と述べた》
    《原発事故被害者団体連絡会が設立された。被災者の悲しみ、
     怒りは、激しく、深く。共に訴え、助け合うため団結した。
     それは私たちとも無関係ではあり得ない。福島が求めている
     のは、当然そうあるべきことだけだ。謝罪と被害の完全賠償、
     暮らしと生業の回復、詳細な健康診断と医療保障、
     および被曝(ひばく)低減策、そして、事故の責任解明-》

   『●東電核発電人災、「だれひとり刑事罰を問われなくて
           いいのか」? 「市民の正義」無き国ニッポン
    《長い困難な裁判になるのだろうが、みんな裁判にかけている。
     団長の前いわき市議佐藤和良さんは「有罪に持ち込むため、
     スクラムを組もう」と訴えた。副団長の武藤類子さんも
     「最悪の事故を経験した大人として、未来に対して何ができるか」
     と問うた。私も、市民の正義を求める人びととともに
     「われらゆるがず」の歌声に連なりたい。 (佐藤直子)》

   『●武藤類子さん《沖縄で闘っている人の言葉…「国を相手に
        ケンカしたって勝てない。でも、おれはやるんだ」》
    「レイバーネットのコラム【●木下昌明の映画の部屋 250回/
     原発事故に翻弄された14人~土井敏邦監督『福島は語る』】
     …。《映画は、生活を根こそぎ奪われ、人生を翻弄された
     14人の被災者に焦点を当てている。…暮しの中から被災後の困難を
     浮かび上がらせているのが特徴だ》」
    《こういった人々の語りから「病めるフクシマ」という言葉がじわり
     と浮かんでくる。福島原発告訴団武藤類子団長が登場する章では、
     「自分たちは理不尽な被害者なのに、黙っていていいの?
     と問いかける武藤団長が、沖縄で闘っている人の言葉を紹介する。
     「国を相手にケンカしたって勝てない。でも、おれはやるんだ。
     それが尊厳なんだ。プライドなんだ」 胸に響く。》

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https://maga9.jp/210317-3/

この人に聞きたい
武藤類子さんに聞いた:原発事故から10年。東電刑事裁判と福島の今
By マガジン9編集部 2021年3月17日

私たちはいま、静かに怒りを燃やす東北の鬼です」──2011年9月、福島第一原発事故から半年後の集会で読み上げられた武藤類子さんのスピーチは大きな反響を呼び、多くの人の心を揺さぶりました(前回のマガ9でのインタビューはこちら)。それからもうすぐ10年。原発事故と向き合い、東京電力の刑事責任を問う活動などを続けてきた武藤さんは何を思い、いまの日本をどう見ているのでしょうか。お話をうかがいました。
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原発事故は「あったはずの時間」を奪ってしまった

──今年2月に出版された『10年後の福島からあなたへ』(大月書店)には、2012年1月に出版された前作『福島からあなたへ』の後、武藤さんが書いたり、話したりされてきた内容が収められています。本をつくる過程で東日本大震災と原発事故からの10年を振り返りながら、何を思いましたか。

武藤 とにかく、「どういう時間だったか」と振り返る時間もなく生きてきた10年だったな、と思いました。長かったのか短かったのかもよく分からない、そのくらい激変した人生を夢中で生きてきたという感じですね。
 改めて感じたのは、原発事故がなかったら私は今、まったく違う時間を生きていただろうということです。私だけではなく、あの原発事故は本当に多くの人の人生を変えてしまった。特に、自宅に住めなくなるなど大きな被害を受けた方たちは、根底から人生が覆ってしまったわけで。本来ならその人たちにとってもこの10年、まったく違った時間があったはずだった。原発事故は、その時間を奪ってしまったんだということを強く感じました。

──原発事故がなかったら、武藤さんは今も、福島県三春町のご自宅で開いていた里山カフェを続けていらしたでしょうか。

武藤 そうかもしれません。実際には、原発事故直後からカフェは休業、3年目に正式に廃業ということになりました。家の周りで採れた木の実なども料理に使うお店だったので、放射能の影響がある中での継続は難しいと考えたのです。
 その後は、東京電力幹部の刑事責任を問う「福島原発告訴団」の団長として活動しながら、地元で放射能の市民測定所をつくるための働きかけをしたり、被曝に関する専門家をお呼びして講演会を企画したり、いろんなことをやってきました。子どもたちを放射能から守るために何ができるだろうと模索しながらも、必死で両手にすくった砂が指の間からこぼれ落ちていってしまうようなもどかしさが常にありましたね。

──それはどうしてですか。

武藤 あれだけの事故があったにもかかわらず、原発による被害はなくなるどころか、形を変えて分かりにくくなりながら、むしろ広がっていっていると感じたからです。
 そもそも、福島第一原発の事故そのものがまだ収束したわけではありません。今年2月にも東日本大震災の余震で大きな地震があり、1・3号機の格納容器の水位が下がったと伝えられました。直接的な意味でも原発事故は終わっていなくて、この先も何があるのか分からない状態なんですよね。
 しかも、そこでは今もたくさんの人たちが被曝しながらの労働に従事している。よく「廃炉」作業といわれるけれど、実際には廃炉なんてまだまだ先の話で、その道のりさえ見えていません
 また、政府は原発から出た汚染水を浄化処理してもなお、放射性物質が残留する汚染水を海洋放出する方針を繰り返し示していますよね。加えて、除染作業で出た土が双葉町・大熊町の中間貯蔵施設に運び込まれていて、その量が1400万立方メートルにもなっているんですが、これも再利用資材として全国に拡散しようとしている。2045年には全量を県外に出すとまで言っています

──2014年に、「中間貯蔵施設での保管を始めてから30年以内に福島県外で最終処分する」ことを明記した法律(改正日本環境安全事業株式会社法)が成立しているんですね。

武藤 でも、今年環境省が実施したアンケートによれば、福島県外の人では8割以上が、そのことを「知らない」と答えていました。ほとんど知られていないままに、汚染土の拡散が進められようとしているわけです
 あと、除染作業やそこから出た廃棄物を処理する焼却事業、また木質バイオマス発電事業など、さまざまな形で原発関連企業の名前を見るようになっているのも気になります。かつて原発で利権を得ていた人たちが、「復興」に名を借りて再び福島で利権を取り戻そうとしているのではないでしょうか。
 そんなことばかりが続く状況に、理不尽さと怒りを強く感じながら、なんとか自分にできることを探し続けてきた日々だったような気がします。


実情と乖離したまま、喧伝される「福島の復興」

──2020年には福島県双葉町で、「東日本大震災と津波に伴う原子力災害を後世に伝える」ことを目的に掲げる「東日本大震災・原子力災害伝承館」がオープンしましたが、その内容については批判も多いようです。

武藤 私も3回訪れましたが、内容以前にそもそも立地が問題だと思いました。まだ事故が収束していない福島第一原発からわずか4キロ、周囲はすべて帰還困難区域に指定されているような場所です。しかも、東側はすぐ海で、東日本大震災のときのような大津波が来たら、水没する恐れがある。そんなところにたくさんの人が集まるものをつくるのはどうなのか。しかも福島県は、高校生の修学旅行を誘致するとも言っているんです。

──展示についてはどうでしたか。

武藤 それも、私たちが本当に伝承してほしいことがまったく描かれていない、という印象でした。
 原発事故が起きたときのこと、直後にみんなが避難せざるを得なくなって大変だったことなどは、映像も交えながらそれなりに詳しく描かれているのですが、避難先で子どもがいじめに遭ったとか、大事にしていた家畜やペットを置いたまま避難せざるを得なかったとか、そういうことはすっぽり抜け落ちてしまっている。事故後に子どもの被曝を予防するためのヨウ素剤配布が適切に行われなかったこと、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステムSPEEDI)による、放射性物質の拡散状況予測データが公表されず隠されていたこと、東電が津波についての試算をしていたのに対策しなかったことなどへの反省も見当たりませんでした。嘘は展示していないけれど、本当に伝えるべき大事なことがスルーされているという感じでしょうか。
 「伝承」の役割とは、起きたことを正確に検証し、反省して教訓を導き出すことだと思うのですが、それがまったくできていないと感じました。この伝承館だけでなく、原発の再稼働を進めようとする動きがあることなどを見ても、「同じような悲劇を二度と起こさないという視点が、今の政策からは抜け落ちている気がします。

──「復興五輪」の言葉などに象徴されるように、政府は事あるごとに東日本大震災被災地の、そして福島の「復興」を強調しようとしているように見えます。ずっとそこで暮らしている立場として、福島の状況をどう見ていますか。

武藤 事故から10年経って、なんとか生活が落ち着いてきたという人も多いとは思います。ただ全体としては、やはり「復興」ばかりが叫ばれることで、不安や苦しみをますます口にしづらくなっているところがあるのではないでしょうか。
 多くの人が、怒りや悲しみを心の中に押し込めて暮らしている。避難生活を続ける中で、鬱になってしまったといった話もよく聞きます。その結果が、2300人以上と他の被災県よりも圧倒的に多い「災害関連死」なのではないでしょうか。ある意味では「復興」という言葉が、人が抱えていて当然の痛みを外に出すのを邪魔してしまっているといえるかもしれません。

──避難生活を送っている人も、いまだ数万人にのぼるといわれます。

武藤 福島県の発表では、今年の初め時点で約3万6000人。ただ、これも正確に把握されているわけではなく、自治体や集計する機関によって「避難者」の定義が違うため、数はかなり違ってきます。県内の各自治自体が把握している避難者の数の合計は6万7000人以上と、3万人以上の開きがあるんです。

──2017年ごろからは、やはり「復興」を強調するためでしょうか、避難者への住宅支援を打ち切るなど、あからさまな「帰還政策」が取られてきました。

武藤 それでも、健康不安や生活基盤の問題から、帰らないという選択をする人は少なくありません。だから、補助金を出して新しい住民を呼び込み、それによって人口を増やして、見せかけの帰還率を上げている自治体もあります。「復興している」と宣伝されている福島の姿と、実際の状況とが、すごく乖離してしまっているんですね
 避難者の人たちだって、多分ほとんどの人は「叶うなら帰りたい」と思っているでしょう。でも、それはただ同じ場所に戻りたいということではなく、慣れ親しんだ、かつてのふるさとに帰りたいということ。「帰りなさい」と言いながら、復興予算がじゃぶじゃぶ投入されて知らない建物が次々に建ち、新しい住民ばかりが増えて、以前とはまったく違うふるさとになってしまっているというのは、大きな矛盾だと思います。


福島原発刑事訴訟が明らかにしたこと

──さて、武藤さんが告訴団長を務められていた、福島原発刑事訴訟についてもお聞きしたいと思います。福島第一原発事故に対する東電幹部などへの刑事責任追及を求める裁判ですが、武藤さんたち告訴人が検察に告訴状を提出したものの、当初の結論は「不起訴」。最終的には二度にわたる検察審査会の「起訴相当」という判断を受けて、2015年7月に東電幹部3人の強制起訴が決定しました。

武藤 不起訴になったときは「この国は、これだけ大きな事件であっても責任をきちんと問わないのか」という絶望感があったので、強制起訴になったときは、ようやく裁判が開かれるんだ、とほっとしましたね。
 2017年6月に初公判があり、そこから全部で38回の公判が開かれたので、私は全部傍聴しました。朝早くから並んで傍聴券を確保しないといけないのですが、告訴人や支援者などたくさんの人たちが協力してくれて。みんな毎回、始発電車に乗って集まってくれたんです。

──裁判の中では、それまで知られていなかった事実がいくつも明らかになったそうですね。

武藤 21人の方が証人として証言された他、メールや議事録などの証拠書類からもさまざまなことが見えてきました。すでに政府事故調査委員会の報告書なども出ていましたから、ある程度は推測がついていたこともあったのですが、中には驚くような新事実も出てきたんですね。
 たとえば、被告の一人であった事故当時の東電会長、勝俣恒久氏も出席していた会議──「御前会議」と呼ばれていたそうなんですが──で、事故前から福島第一原発での津波対策の必要性が議題に挙がっていたこと。東北電力や日本原電など、太平洋沿いに原発を所有している他の電力会社とも、東電がリーダーシップを取って津波対策についての協議をしていたこと。その後、東電は経営判断によって津波対策をやめてしまうのですが、対照的に日本原電は独自で東海原発の津波対策をして、その結果東日本大震災による津波の際にも、ぎりぎりのところで事故に至らなかったということも明らかになりました。

──津波対策の必要性がしっかりと東電社内でも認識されていて、それなのにやらなかった、ということですね。

武藤 なぜやらなかったのかについても、元社員の方が証言しています。2004年の新潟県中越地震のとき、東電が新潟県に所有する柏崎刈羽原発では、火災が起きて放射性物質が漏れ出るなど大きな被害が出ました。その修理のために一時運転が停止されるのですが、その結果として東電は28年ぶりの大赤字を出してしまった。福島第一原発でも津波対策をするとしたら莫大な費用がかかるし、対策をするにはいったん原発を止める必要があるから、そうしたらまた大損失になる。それを恐れて、対策は見送るという判断になったというのです。
 これは、明らかな東電の不作為です。危険性を認識していて、しかも対策をしようと思えばできたのに、やらなかった。裁判を傍聴しながら、これはどう考えても有罪だろうと確信していました。

──しかし、2019年9月に東京地裁が出した判決は「全員無罪」でした

武藤 最初に裁判長が「被告人はいずれも無罪」と読み上げ、その後判決要旨を述べたのですが、この内容もひどかったです。
 たとえば、東電が津波対策の必要性を認識する根拠の一つだった、文部科学省の地震調査研究推進本部が公表した「長期評価」を、「信頼に値しない」と切り捨て、だから東電が津波対策をしなかったことには妥当性がある、としている。でも、この長期評価は、国や東電の責任を問う他の民事訴訟でも、「東電が危険性を予測できた」ことの根拠として何度も認められているものです。また、裁判の中で出てきたさまざまな証言の取り扱いも、「この裁判長はいったい何を聞いていたんだろう」という感じで、まったく整合性がありませんでした。

──本当に、驚きとしかいいようのない判決でした。

武藤 裁判で検察官役を担当してくださった指定弁護士チームの方たちが、判決後の記者会見で「原子力行政に忖度した判決だ」と指摘されていて、「ああ、そういうことか」と思いました。
 もちろん納得できるはずはなく、昨年9月に控訴趣意書を裁判所に提出しました。まだ予定は決まっていませんが、おそらく今年中には被告人側の答弁書が出て、裁判が始まるだろうといわれています。司法は本当の意味で独立した、正義が行われる場であってほしいと思うので、その期待は捨てずにいたい。控訴審では正しい判決を出してください、裁判所は正義の砦であってくださいと、訴え続けようと思っています。

     (東電刑事裁判で明らかになった事実や、判決の問題点について
      分かりやすく解説した短編映画『東電刑事裁判 不当判決
      (監督:河合弘之、企画・監修:海渡雄一)が、
      福島原発刑事訴訟支援団のホームページで無料公開されています。)


福島で起きていることは「自分の身に起きていること」

──改めて、原発事故から10年です。武藤さんが、福島から今の日本を見ていて感じることはありますか。

武藤 強く感じるのは、一番大事にすべきもの──人の健康、人の命といったものが、まったく大事にされていなくて、二の次にされているということです。
 コロナ対応を見ていてもそれを強く感じます。去年、仲間たちと東京オリンピック開催に反対する「福島はオリンピックどごでねぇ!!」というアクションを立ち上げたのですが、今の状況は日本全体、世界全体がどう考えても「オリンピックどころじゃない」ですよね。それなのに、政府やオリンピックの組織委員会は、いまだに開催を強行しようとしている。まさに、人の命が二の次にされているんです。
 あるいは、今経済産業省が進めているエネルギー基本計画の見直し。原発の復権を盛り込もうとする動きがあるのを見ていると、この社会は命を大事にしないばかりか、「反省をすることができない社会」でもあるんだと感じます。何が起きたのかをしっかりと目をこらして見て、どこが悪かったのか反省をして、二度と同じことを起こさないための教訓を導き出す。そういう態度が抜け落ちているといえるのではないでしょうか。

──先ほどお話しいただいた伝承館にも、まさにそのことが表れているといえそうです。

武藤 そういう中で、福島で起きていることについても、多くの人たちに「遠くのどこかで起きていること」ではなくて、まさに今、自分たちの身に起きていることなんだという現実感を持って受け止めてほしい。そうでないと、気づかないうちにどこかに流されて、今度は自分自身が命を奪われるようなことになっていくんじゃないかと思います。

 人権や尊厳が無視され、奪われて踏みにじられる。そういう状況は、これから災害などが起こるごとにいろんなところで起きてくるんじゃないか。福島では、それが先行して起こっているだけなんじゃないか。そんな気がしています。

 

──『10年目の福島からあなたへ』のまえがきの最後には、絶望の中に「光を見出せると信じて」とあります。私たちが「光」を見出せるとしたら、それはどこにあると思われますか。

武藤 実は、この部分は最初は「希望を見出せると信じて」と書いていたんです。でも、あまりにもこの10年、「希望」という言葉が空々しく、本当の意味とは違う意味で使われ続けてきたような気がして、自分の中でもしっくり来なかった。それで「光」と書き換えたんですが、本当はやっぱり本来の意味の「希望」を見出すことができればいいなと思いますよね。
 そして、見出せるとすればそれは、若い人たちの存在にかな、と思います。これからの世代は、本当に大変な時代を生きていかなくてはなりません。福島だけではなく、世界中で核実験や原発から出てきた膨大な廃棄物を押しつけられ、気候変動やコロナのような感染症の問題と向き合い……私たちは原発事故の被害者ではあるけれど、同時に若い人や未来の世代に対する加害者でもあるという意識が、常にあります。
 それでも、その厳しい状況を生きていく若い人たちの賢さに、私は期待したい。どうか私たちの間違いを繰り返さずに新しい道を切り開いていってほしいし、そうなるように手助けができたらと思っています。

(取材・構成/仲藤里美)




むとう・るいこ ●1953年生まれ。福島県三春町在住。養護学校教員などを経て、2003年に開業した里山喫茶「燦(きらら)」を営みながら反原発運動に取り組む。3・11原発事故発生後、「さようなら原発5万人集会」でのスピーチが反響をよび『福島からあなたへ』(大月書店)として書籍化。2012年に結成した福島原発告訴団の団長として全国に告訴運動をよびかけ、以後も東京電力の責任を問う活動を継続している。原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)共同代表、3・11甲状腺がん子ども基金副代表理事。他の著書に『どんぐりの森から』(緑風出版)など。
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●「「過ちは繰り返しません」。広島の、福島の嘆きが胸に突き刺さ」らないとは…吉岡茂之裁判長

2017年04月06日 00時00分32秒 | Weblog


東京新聞の記事【伊方3号機の差し止め認めず 広島地裁決定】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201703/CK2017033102000139.html)と、
社説【伊方仮処分却下 何をそんなに急ぐのか】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017040102000181.html)。

 《四国電力 伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転を差し止めるよう瀬戸内海を挟んだ広島県の住民らが申し立てた仮処分について、広島地裁は三十日、却下する決定…吉岡茂之裁判長は東京電力福島第一原発事故後に策定された原発の新規制基準について、教訓を踏まえ最新の知見を反映しているとして「不合理とは言えない」と指摘》
 《目前に世界最大級の地震の海しか逃げ場がない人たち。それでも、四国電力伊方原発に差し迫った危険はないという。「過ちは繰り返しません」。広島の、福島の嘆きが胸に突き刺さる》。

   『●予想されたこととはいえ、大津地裁山本善彦裁判長の
         「国民の命を守る司法からの重いメッセージ」を破棄…
    《稼働中の原発を止めた全国初の司法判断は約一年で覆った…
     高裁の山下郁夫裁判長》。
    《「画期的な司法判断」は、またもすっかり覆された。関西電力
     高浜原発3、4号機を止めておく法の鎖は解き放たれた。
     3・11以前へのあと戻りを懸念する多くの住民の不安と不信を
     募らせて。「国民の命を守る司法からの重いメッセージ」 昨年三月、
     稼働中の原発を初めて止めた大津地裁の決定を、私たちはそう評価した》

 忖度に次ぐ、忖度。ニッポンは、忖度社会。核発電所再稼働関連の訴訟で、連敗。

   『●「原発さえなければ…」:  
       それでも川内原発や伊方原発を再稼働したいの?
   『●「伊方原発は、日本一細長いという佐田岬半島の
      付け根にあり、その西の海側には約五千人が暮らしている」
    「狂気としか言いようがない……《伊方原発は、日本一細長い
     という佐田岬半島の付け根にあり、その西の海側には
     約五千人が暮らしている》。こんなところで一体どんな
     避難計画を作り得るのか? そんな《住民避難計画を了承》した
     そうです。再稼働するためなら、何でもやる「麻薬」患者たち。
     カネの亡者。
      《安倍晋三首相は「万一事故があった場合は政府として責任を
     持って対処する」と強調》……このバカ発言を見て下さい! 
     東京電力原発人災に一切の「責任」を負わず、いまも無策・無責任に
     汚染水を垂れ流し続けているアベ様ら自公議員たちの酷さ。
     それを「信頼」したふりをする「地元」首長・議員たち。
     言っちゃぁ悪いが、頭の回路が切れているとしか思えません」

   『●今中哲二さん「被災した人々にもたらされた災難の大きさは、
                     放射線測定器で測ることはできない」
   『●熊本大地震…「「いつでも、どこでも、強大な地震は起こる」。
                    地震国日本では、これこそ社会通念」
   『●「専門家に「常識が通じない」と言わしめた地震」…
             いま、「減災」に向け立ち止まって考えるべき
   『●原子力「規制」委員会の田中俊一委員長、
       川内原発に「安全上の問題が起きるわけではない」…
   『●高浜「寿命核発電所」延命、「安全より経済優先の時代へと逆戻り」
                            …「規制緩和」委員会(©東新)
   『●「川内原発を地図からトリミング」というのは
       穿ち過ぎかと思ってたら、「アベ様の犬HK」ときたら…
   『●四国電力がそんな破滅的な思考をしていなければ 
      いいのですが…伊方1号機廃炉の代わりの3号機再稼働?
   『●熊本大分大地震の最中、
      伊方プルサーマル核発電所を再稼働…アタマオカシイ

 《伊方原発は、日本一細長いという佐田岬半島の付け根にあり、その西の海側には約五千人が暮らしている》…なのに、プルサーマル核発電所を再稼働。その運転停止の仮処分について、対岸の広島の市民の申し出は、あっさりと却下。地裁レベルで「司法判断」することなく、既にアベ様らに忖度し、「政治判断」。
 吉岡茂之裁判長も「ヒラメ」さんだったようです。大変に残念。《新規制基準について、教訓を踏まえ最新の知見を反映しているとして「不合理とは言えない」》…裁判長は、真面目に検討したのでしょうか? ヒロシマの地だからこそ、「原発は『プルトニウムをつくる装置』」を理解できるはずなのに。《「過ちは繰り返しません」。広島の、福島の嘆きが胸に突き刺さ》らなかった広島地裁吉岡茂之裁判長。《ヒロシマやフクシマの不安と嘆きを置き去りに、誰のため、何のために、今再稼働を急ぐのか》?

   『●吉永小百合さん、「核と人は共存できない」
            「ゲームやコミックスで知っている戦争ではないか?」』 

   『●「あれだけの事故を起こして被害を出して、
      だれか1人でも責任とってやめたか。申し訳ないと謝罪したか」
    「「原発さえなければ」「福島の百姓は終わりだ」…せめて、そんなことが
     二度と起きない「未来図」を描かないといけないでしょ!
     「核兵器と原発による核の被害」なき「未来図」、
     「人々が核兵器や原発に苦しまない」「未来図」が必要」
    「「陰謀論丸出し」でアベ様の取り巻きが攻撃を開始しても、
     怯まぬ吉永小百合さん。あらゆる核を否定し、
     「核なき世界」への願いを次世代」へ、と言う吉永さん。
     そういう「未来図」は可能だと信じる」

   『●肥田舜太郎さん「せめて未来の子どもたちのために、
         放射能の心配のない日本を残していけるよう…努力」を
    「「核兵器なき世界」ですら、デンデン王国「裸の王様」アベ様は
     ヤル気がないということが明白。ましてや、核発電「麻薬」中毒であり、
     「原発は『プルトニウムをつくる装置』」な訳で、
     「核なき世界」など全く眼中になし」

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201703/CK2017033102000139.html

伊方3号機の差し止め認めず 広島地裁決定
2017年3月31日 朝刊

     (四国電力伊方原発3号機の運転差し止めを求めた仮処分
      申し立てが却下され、掲げられた垂れ幕=30日午後3時5分、
      広島市中区の広島地裁前で(沢田将人撮影))

 四国電力 伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転を差し止めるよう瀬戸内海を挟んだ広島県の住民らが申し立てた仮処分について、広島地裁は三十日、却下する決定をした。住民側は広島高裁に即時抗告する方針。 

 同様の仮処分では、大阪高裁も二十八日、関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転を差し止めていた昨年三月の大津地裁決定を取り消しており、住民側には再び厳しい判断となった。

 吉岡茂之裁判長は東京電力福島第一原発事故後に策定された原発の新規制基準について、教訓を踏まえ最新の知見を反映しているとして「不合理とは言えない」と指摘。四国電は、安全の基準となる地震の揺れや津波を詳細な地盤調査をした上で不確かさも考慮しており、適正だと判断し「住民が放射線被ばくにより重大な被害を受ける具体的な危険はない」と結論付けた。

 一方、四国電による地震想定の合理性には慎重な検討を要する問題もあると言及。こうした問題を検証する際、地震学者や原子力規制委員会の関係者を通じて学説の状況や審査経緯などを調べるのは、仮処分手続きにはなじまないとした。

 四国電は「安全性が確保されているとの主張が認められ、妥当な決定」とコメントした。

 住民らは伊方原発が南海トラフ巨大地震の震源域にあり、基準地震動を過小評価していると訴えていた。


◆広島地裁決定骨子

▼原発の新規制基準の内容が不合理だとはいえない

▼四国電力は詳細な地盤構造などの調査を行い、安全性の基準となる地震の揺れや津波の規模を適正に定めている

▼これらを新基準に適合するとした原子力規制委員会の判断にも不合理な点はない

▼四国電は伊方原発の安全性を一定程度立証しており、住民らの人格権侵害の恐れはない



◆対岸に原発 被爆者「引き下がらぬ

 「このまま引き下がるわけにはいかない」。三十日、四国電力伊方原発3号機の仮処分で運転差し止めを認めなかった広島地裁決定。並行して地裁に係属する訴訟の原告団長を務める堀江壮(そう)さん(76)=広島市佐伯区=は、七十二年前の被爆体験を原動力として、仲間らの闘いを見守ってきた

 「自分たちのような原子力の被害者はもう出さない」との思いで裁判に参加。決定後の記者会見では「次の世代のために頑張りたい」と神妙な面持ちで話した。

 広島市で四歳の時に被爆。五十五歳で甲状腺腫を患い原爆症認定も受けた。今も影響を及ぼす原爆の恐ろしさを語ってきた。

 堀江さんを突き動かしたのは東京電力福島第一原発事故ひとたび事故が起きれば、長く被害が続く点は原爆と変わらないと感じる。「自分は放射能の恐ろしさを知っている原爆と原発はコインの裏と表だ。平和利用であっても核と人類は共存できない

 伊方原発の運転差し止めを目指して法的手段に打って出たのは、被爆者としての責任感からだ原爆を実体験として語れる最後の世代。「もしまた事故が起きたとき怖さを知っていたのに何もしなかったのかとは絶対に言われたくない」。堀江さんの闘いは続く。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017040102000181.html

【社説】
伊方仮処分却下 何をそんなに急ぐのか
2017年4月1日

 目前に世界最大級の地震の海しか逃げ場がない人たち。それでも、四国電力伊方原発に差し迫った危険はないという。「過ちは繰り返しません」。広島の、福島の嘆きが胸に突き刺さる。 

 あと戻りが加速する-

 「日本で最も動かしてはいけない原発」。伊方原発を、そう呼ぶ人は少なくない。

 世界最大級の断層帯である中央構造線が間近を走り、南海トラフ巨大地震の想定震源域にも近い。

 三月末で高知大防災推進センターを退任した岡村真・前特任教授は、中央構造線の活動性を指摘し「計算通りに地球は動かない」と警告した。

 地元愛媛新聞が先月までに実施した愛媛県民の世論調査では、再稼働に否定的な意見が七割近くに上る。六割以上が避難計画の実効性に疑問を感じ、過半数が放射線被ばくの不安を訴える。

 伊方原発は、日本一細長い佐田岬半島の付け根にある。半島唯一の国道197号は地滑りの危険地帯。つまり、逃げ場がない

 それでも広島地裁は、原子力規制委員会に地震動の過小評価はなく避難計画の是非は棚上げにして「住民が放射線被ばくにより重大な被害を受ける危険はないと結論づけた人格権も侵害されていないとして住民らの運転差し止めの申し立てを却下した。

 昨年十一月、愛媛県は重大事故を想定し、原発三十キロ圏内の住民ら二万三千人が参加する大規模な避難訓練を実施した。

 重大な被害の危険がないなら、このような訓練をしたり、安定ヨウ素剤を配布したりする必要もないではないか。

 「原子炉施設から放射性物質が放出されることのない安全性を確保することは、少なくとも今の科学技術では不可能だ。わが国の社会がどの程度の危険性であれば容認するかの社会通念を基準とするしかない」。昨年四月、九州電力川内原発1、2号機の運転差し止め請求を退けた、福岡高裁宮崎支部が提示した判断の枠組みだ。

 松山など三つの地裁に同様の請求がなされており、全国各地で原発運転差し止めの裁判が続く中、今回の決定は、現在唯一の高裁判断である福岡高裁の枠組みに従うべきだという考え方の上に立つ。

 電力事業者、政府、そして司法にも、あらためて問い直したい

 ヒロシマやフクシマの不安と嘆きを置き去りに、誰のため、何のために、今再稼働を急ぐのか
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●東電原発人災から『X年後』:「自分が壮大なできごとの参加者だということがわかっているのだろうか」?

2015年10月17日 00時00分30秒 | Weblog


東京新聞のコラム【筆洗】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2015101002000166.html)。
nikkan-gendaiの記事『福島の甲状腺がん発生率50倍…岡山大・津田教授が警告会見』(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/165762)。


 《おじいさんが諭す。…おじいさんに、少年は言う。「ぼくらみんな、もうすぐ死んじゃうから」。チェルノブイリ原発の事故後、現地ではこんな会話が聞かれたという…大戦と原発事故をともに経験したある医師は作家にこう問い掛けたそうだ。「人々は、自分が壮大なできごとの参加者だということがわかっているのだろうか」》。
 《「甲状腺がんの発生率がナント! 国内平均の「50~20倍」に達していた――という内容…「原発事故と甲状腺がんの因果関係は不明」とトボケ続けている政府と福島県の責任は重い》。

   『●映画『放射線を浴びた『X年後』』: 
      「こんな巨大な事件が、・・・日本人としての資質が問われる」
   『●米軍の「差別性の極み」:NNNドキュメント’14
        『続・放射線を浴びたX年後 日本に降り注いだ雨は今』

   『●東電原発人災の『X年後』:
       厚生省「1.68ミリシーベルト」 vs 研究者「1400ミリシーベルト」

   『●東京電力原発人災から『X年後』
       ・・・・・・取り返しのつかないことが現実化してはいまいか?

   『●「アベノミクス選挙という愚」
       『週刊金曜日』(2014年12月05日、1019号)について

    「【金曜日から】の「単行本『放射能を浴びたX年後』・・・
     その「ただちに」から「X年後」、我々は黒塗りの理由を知ることに
     なるのだろうか。(本田政昭)」」

   『●「私たちは被ばく船員を見捨ててきたと痛感」
            ・・・2011年から「X年後」を怖れる


 2011年3.11東京電力原発人災から「X年後」を怖れる…、いや、2011年から「X年後」を怖れていたのに…ニッポン政府や電力会社は腐ってる。
 自公議員や原発推進議員、その投票者、さらに、電力会社や原子力「ムラ寄生」委員会等々「は、自分が壮大なできごとの参加者だということがわかっているのだろうか」? 《本の副題は「未来の物語」とした▼だが、この副題は隠喩以上の意味を持つこととなった福島の事故を見て彼女は「私は過去についての本を書いていたのに、それは未来のことだったとは」と慨嘆したという》。

   『●終わらない原発人災の影響:「震災さえ」ではなく 「原発さえなければ・・・」
     「「震災さえ」ではなく、「原発さえなければ・・・」である。
      「原子力郷土の発展豊かな未来」「原子力明るい未来のエネルギー
      「原子力正しい理解で豊かなくらし」を信じ込ませた自民党議員や
      電力会社幹部といった東京電力原発人災の責任者・「罪人・犯罪者」は、
      誰一人として罰せられることもなく、まだのうのうと生活している」

   『●ドキュメンタリー映画『わすれない ふくしま』:
                 「震災さえ」ではなく 「原発さえなければ・・・」

   『●反省なき自民党を体現:
         「原発事故によって死亡者が出ている状況ではない」
   『●年20ミリシーベルトでOK!?:
      20倍にアップ、そして「自己責任」に逃げた原子力「推進」委員会


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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2015101002000166.html


【コラム】
筆洗
2015年10月10日

 バスの中で、お年寄りに席を譲ろうとしない男の子に、おじいさんが諭す。「きみが年をとったときにも、席を譲ってもらえないぞ」。「ぼくはぜったいに年をとらないもん」と言い返す男の子▼「なぜだね?」と聞くおじいさんに、少年は言う。「ぼくらみんな、もうすぐ死んじゃうから」。チェルノブイリ原発の事故後、現地ではこんな会話が聞かれたという▼今年のノーベル文学賞に選ばれたスベトラーナ・アレクシエービッチさんは、五百人もの被災者の声を聞き、それを刻み込むように『チェルノブイリの祈り』(松本妙子訳、岩波書店)を書いた▼この本の執筆時に彼女は、過去ではなく未来のことを書いているという感覚を持ったそうだ。原発事故は経済の効率や国家の強大さを追い求める価値観では、生き延びられぬ時代の到来を示したのではないか。そんな思いから、本の副題は「未来の物語」とした▼だが、この副題は隠喩以上の意味を持つこととなった福島の事故を見て彼女は「私は過去についての本を書いていたのに、それは未来のことだったとは」と慨嘆したという▼人類は核と共存しうるのか。常にそう問われる時代に私たちは生きている。大戦と原発事故をともに経験したある医師は作家にこう問い掛けたそうだ。「人々は、自分が壮大なできごとの参加者だということがわかっているのだろうか
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http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/165762

福島の甲状腺がん発生率50岡山大・津田教授が警告会見
2015年10月9日

     (外国特派員協会で会見した津田教授(C)日刊ゲンダイ)

 岡山大大学院の津田敏秀教授(生命環境学)が6日付の国際環境疫学会の医学専門誌「エピデミオロジー(疫学)」に発表した論文に衝撃が広がっている。福島県が福島原発事故当時に18歳以下だった県民を対象に実施している健康調査の結果を分析したところ、甲状腺がんの発生率がナント! 国内平均の「50~20倍」に達していた――という内容だ。

 8日、都内の外国特派員協会で会見した津田教授は「福島県では小児や青少年の甲状腺がんの過剰発生がすでに検出されている。多発は避けがたい」と強調した。

 福島県で原発事故と子どもの甲状腺がんの因果関係を指摘する声は多いが、権威ある医学専門誌に論文が掲載された意味は重い。国際的な専門家も事態を深刻に受け止めた証しだからだ。

 津田教授は会見であらためて論文の詳細を説明。原発事故から2014年末までに県が調査した約37万人を分析した結果、「二本松市」「本宮市」「三春町」「大玉村」の「福島中通り中部」で甲状腺がんの発生率が国内平均と比較して50倍に達したほか、「郡山市」で39倍などとなった。

 津田教授は、86年のチェルノブイリ原発事故では5~6年後から甲状腺がんの患者数が増えたことや、WHO(世界保健機関)が13年にまとめた福島のがん発生予測をすでに上回っている――として、今後、患者数が爆発的に増える可能性を示唆した。

 その上で、「チェルノブイリ原発事故の経験が生かされなかった」「事故直後に安定ヨウ素剤を飲ませておけば、これから起きる発生は半分くらいに防げた」と言い、当時の政府・自治体の対応を批判。チェルノブイリ事故と比べて放射性物質の放出量が「10分の1」と公表されたことについても「もっと大きな放出、被曝があったと考えざるを得ない」と指摘した。

 一方、公表した論文について「時期尚早」や「過剰診断の結果」との指摘が出ていることに対しては「やりとりしている海外の研究者で時期尚早と言う人は誰もいない。むしろ早く論文にしろという声が圧倒的だ」「過剰診断で増える発生率はどの程度なのか。(証拠の)論文を示してほしい」と真っ向から反論。「日本では(論文が)理解されず、何の準備もされていない。対策を早く考えるべき」と訴えた。

 「原発事故と甲状腺がんの因果関係は不明」とトボケ続けている政府と福島県の責任は重い
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●「九州電力が「巨大噴火は予知できる」などと言っていますが、あれは大嘘なんです」

2015年07月13日 00時00分36秒 | Weblog


nikkan-gendaiの記事【地球物理学者の島村英紀氏「火山・地震国の日本で原発は無謀」】(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/161349)。
東京新聞の社説【川内原発 なぜ説明できないの?】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015071002000126.html)。

 「いったい今、日本列島で何が起こっているのか。地震・火山研究の第一人者である地球物理学者の島村英紀氏に聞くと、「今が普通の状態」と、意外な答えが返ってきた」、 「避難計画のあいまいさ、予知不能の火山…。多くの不安や疑問を置き去りにしたままで、九州電力川内原発(鹿児島県)は再稼働へ突き進む。安全に自信があるなら、なぜ、説明に応じないのか」。

 地球物理学者の声も憲法学者の声も一切無視するアベ様ら。

   『●「超巨大噴火が、100年以内に起こり得るというのは大変なこと」:
                          九州電力川内原発再稼働という無謀


 「自信」も「責任感」もなし・・・・・・「火山の巨大噴火時の緊急核燃料輸送に何時間、何日間」?

   『●火山の巨大噴火時の緊急核燃料輸送に
        何時間、何日間? 答えは「2年以上」!

   『●市民の命を危険にさらしてでも核発電を再開したい愚者
                ~耳をふさぐ原子力「ムラ寄生」委員会~


 九電、アベ様、原子力「ムラ寄生」委員会、「川内原発 なぜ説明できないの?」、誰にも「説明する気」なんてなんにもなし。

   『●立ち止まるなら今・・・「原発政策を福島第一原発事故以前に
                    先祖返りさせたのが自民党安倍政権」


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http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/161349

地球物理学者の島村英紀氏「火山・地震国の日本で原発は無謀」
2015年7月6日

     (島村英紀氏は「今世紀中にあと4回大噴火も」と指摘(C)日刊ゲンダイ)

 日本全国で火山の噴火が頻発している。ここ1年ほどで、御嶽山、浅間山、口永良部島などが噴火し、警戒中の箱根山でも、先月末、ついに小規模噴火が起きた。いったい今、日本列島で何が起こっているのか。地震・火山研究の第一人者である地球物理学者の島村英紀氏に聞くと、「今が普通の状態」と、意外な答えが返ってきた。


――日本の火山が異常に活発化しているように見えます。何が起こっているのでしょうか。

 異常ではありません。むしろ、日本の火山も地震も普通に戻りつつある。今までが異常に噴火が少なくて、日本人は火山のことを忘れていただけです。だけど、忘れてはいけない。地震国、火山国に住んでいるということを、日本人は頭の隅っこにとどめておかないといけません。


――つまり、現在の状況が普通ということでしょうか。

 各地で噴火が起こっているのは通常の状況です。それよりも大きな「大噴火」がいつ起きてもおかしくありません。火山学者が言う「大噴火」とは、東京ドームで数えると約250杯分以上の噴出物があるものです。その大噴火は1914年の桜島、1929年の駒ケ岳を境になくなっています。それまでは100年の間に4~6回のペースで起こっていた。それがぱったりなくなっているのは非常に不思議で、普通はありえないことなんです。そうした噴火が21世紀中にあと4回くらい起きても決して驚かないというのが火山学者の間では通説となっています。


――普通に戻るきっかけは、やはり2011年3月の東日本大震災でしょうか。

 3.11だったと思います。あの大地震でプレートがずれて、地下にマグマができた。マグマは周りの岩より軽いものですから、岩の合間を上がってきて、火山の下にマグマだまりをつくる。そのマグマだまりの一番上がいっぱいになったり、揺すぶられると噴火するんです。


――不気味な動きを続けていた箱根山は、ついに6月30日、小規模噴火が起きました。

 箱根は昔、大変な噴火をした。3200年前に、山の上半分が吹っ飛ぶ噴火があって、その時に芦ノ湖や仙石原をつくった。火砕流は静岡県側まで到達しています。6万年前の大噴火では、50キロ離れた横浜まで火砕流が到達した記録がある。その時は人間は住んでいませんが、今起これば大変なことになる。そうした噴火の事実があり、同じことが今後は起こらないとは言えないんです。


――箱根山から約25キロしか離れていない富士山の動向も気になります。

 富士山は1707年の宝永噴火を最後に噴火していませんが、宝永噴火の時は首都圏に10~30センチの火山灰が積もった。今だったら大事件です。経済も電気もみんな止まります。交通機関では数ミリの火山灰で道路の破線が消えて、滑走路も消えるといいます。ミリの単位で影響が出るところに、火山灰が数センチも積もったらどうなるのでしょうか。しかも、火山灰は雪と違って時間とともに消えることがありませんから、大変なことになると思います。


富士山や箱根山は記録が少なく予知は困難

――噴火を予知することは難しいのでしょうか。


 富士山も箱根も一番困るのは、最後の噴火が起こる前の記録が残っていないことなんですね。宝永噴火の前の文書か記録があれば、火山性地震などの兆候がわかるのですが、それがわからない。今の段階では何が前兆であるかが、わからないんです。それにもかかわらず、箱根は年間2000万人が訪れる観光地ですし、富士山は夏は夜でも数千人が登っていて、昼間は何万人も登っています。そうした山がいきなり噴火したら、どうなるかは非常に恐ろしいことです。


――直前の記録がどれだけたくさんあるかで、予知や事前に取れる対策が変わってくる。

 富士山や箱根山と違って、浅間山や桜島は、これから何が起こるのかがかなりわかります。浅間山は最近100年間に50回噴火したことがわかっています。ですから、記録もある。大学の先生もついて観測している。地震計だけでも20個以上ある。富士山や箱根山とは桁違いの予知環境なんです。桜島も同じです。口永良部島はその中間ですが、地元の人が火山慣れしていたので、大事には至らなかった。


――火山ひとつひとつは全く別物なんですね。

 そうです。ですから、気象庁が2007年に導入した「噴火警戒レベル」は、一律に適用できないものなんです。火山はひとつひとつ違うのですから。気象庁はよせばいいのに、全国の火山をひとくくりにして「危なくなったら噴火警戒レベルを適用する」と言い出した。「俺たちが前に出るから、学者は後ろに下がっていて」と言っているようなもんです。この時、学者は「大丈夫だろうか、噴火レベルを決める根拠がない山がいっぱいあるんじゃないか」と、かなりいぶかったんです。実際、その通りになりました。


――昨年の御嶽山の噴火では被害を防げませんでした。

 気象庁としては、御嶽山で非常に手痛い失敗をした。噴火が起こる2週間前に、火山性地震があったにもかかわらず、警戒レベルが1のままだったんです。「1」というのは、山頂まで行ってもいいレベル。それで、戦後最悪の57人が亡くなってしまった。二度と失敗はできないということで、箱根山では強引に警戒レベルを上げた。非常に政治的な判断です。一方で、岩手山のように、あらゆる噴火の前兆があっても、噴火しなかった山もある。天気予報は“方程式”があって明日どうなるか計算できる。でも、火山や地震にそうした“方程式”はないんです。地震や噴火を機械で観測するようになって、せいぜい10~20年。日本列島に人が住み着いて1万年。でも、噴火や地震は数千万年単位で起きている。そのごく一部を知って全部わかった気になることは、かなり無理なことなんです。


――「大噴火」より規模の大きい、恐ろしい「カルデラ噴火」の可能性もありますか。

 「カルデラ噴火」は「大噴火」の400倍以上の大きな噴火です。日本では過去10万年で12回起きている。数千年に1度は起きる計算です。一番新しいのは7300年前で、九州の南方で起こっていて、そのマグマは東京ドーム10万杯分にもなった。数千年前に起きたから、あと1000年は大丈夫という保証はどこにもありません。もしかしたら来年起こるかもしれない。カルデラ噴火というのは、今のところ全く予知ができないんです。


――九州といえば、原発に対する火山の影響が気になります。桜島や口永良部島が噴火するなど火山活動が活発化していますし、阿蘇山では9万年前にカルデラ噴火も起きています。その阿蘇山や桜島などの火山に川内原発は囲まれているため、もしそれらが噴火したらどうなるのか、再稼働を危惧する声もあります。

 九州電力が「巨大噴火は予知できる」などと言っていますが、あれは大嘘なんです。火山学者のほとんどが「危ないに違いない。九州電力の言っていることはあてにならない」と反対している。カルデラ噴火の前兆をつかまえて、「数十年後、数年後にいよいよ起きるぞ」とわかったためしは一度もないんです。


――そうなると、そもそも火山・地震大国の日本が原発に頼ることにムリがある。

 原発のような危険なものを造ること自体、無謀だと思います。そうしたことを私は以前からさまざまな場面で発信していますが、政府は耳を貸しません。政府としては、まず「原発推進」という大方針がある。それは、反対の意見も聞かないで推し進められている今の安保法制と一緒です。今からでも原発の見直しは遅くないと思います。このままでは後世の人につけを残すことになるだけですから。


▽しまむら・ひでき 1941年、東京都生まれ。武蔵野学院大特任教授。東大理学部卒。同大学院修了。理学博士。北海道大教授、北海道大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所長などを歴任。専門は地球物理学。近著に「火山入門」。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015071002000126.html

【社説】
川内原発 なぜ説明できないの?
2015年7月10日

 避難計画のあいまいさ、予知不能の火山…。多くの不安や疑問を置き去りにしたままで、九州電力川内原発(鹿児島県)は再稼働へ突き進む。安全に自信があるなら、なぜ、説明に応じないのか

 聞く耳を持たぬとは、このことか。時代劇でも見るようだ。

 今年三月、鹿児島県内の百近い市民団体で組織した実行委員会が、約十万人の署名を携え、福岡市内の九州電力本店に、対話を求めて訪れた。

 住民側が要望したのは、次の三点だった。

 (1)3・11後に国の指針で避難計画の策定を義務付けられた川内原発三十キロ圏内の九自治体で、住民説明会を開催すること (2)再稼働について、九自治体の正式な議決を求めること (3)住民の要望があれば、三十キロ圏外でも、説明会を開催すること。不安に答えるに、無理な要求とは思えない。

 「頭から再稼働反対を訴えるつもりはない。対話を求めて落としどころを探りたい」という住民側の姿勢にもうなずける。

 しかしこれらは広報担当の段階で、ことごとく拒否された。

 屋久島や種子島など県内六市町の議会が求める住民説明会の開催にも、九電は応じていない。

 電力側がよって立つのは、3・11後の新規制基準に適合したという原子力規制委員会の判断だ。

 「あくまでも規制委の基準に沿って、再稼働を進めていく」と、人ごとのように繰り返すだけの政府が、後ろ盾になっている。

 ところが当の規制委は「安全を保証するものではない」とこちらも繰り返す。万一の責任は誰が取ってくれるのか。

 福祉の現場や専門家などからも、避難計画の不備や周りに多い火山対策の甘さを指摘する声が引きも切らない。ヨウ素剤配布や避難計画が必要になるものは、そもそも動かすべきではない。

 遠くない口永良部島の突然の噴火で、住民の不安は増した。

 広範囲の住民がより詳細な説明を求めるのは当然で、九電にはその責任があるはずだ。

 火山対策について、巨大噴火の兆候がもしあれば、原子炉を停止して核燃料を運び出せるという。

 川内原発1号機では核燃料の装填(そうてん)作業が完了した。二十四時間体制で三日がかりの作業になった。

 噴火の予測はかなうのか。核燃料を運び出す余裕はあるか…。素朴な疑問に十分な答えが出せない限り、再稼働は許されない。
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●東電原発人災の3.11を再び目前に: 「原発事故調書 原因不明、責任不在」でも再稼働できる神経を疑う

2015年03月10日 00時00分07秒 | Weblog


東京新聞の社説【週のはじめに考える 原因不明で動かせるか】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015030802000135.html)。

 「福島の原発事故から四年がたとうとしているが、事故原因は不明のままです。それで再稼働を急ごうとするところにそもそも無理があるのではないか。たとえば自動車が設計などの問題で事故を起こしたら、原因を突き止め、同種の車も直したうえで走らせるではありませんか。子どもでも分かることです」。
 「原発事故調書 原因不明、責任不在」・・・・・・原発再稼働なんてやっている場合でしょうか? 大間その他の建設なんてやっている場合でしょうか? 特に腹立たしいのは、自民党議員の誰ひとり責任をとらず、誰もその贖罪の意識も一切感じていない点。「眠り猫」の方々も含めて、そんな自公議員を平気で支持できる神経も理解不能。

   『●「原発事故調書 原因不明、責任不在」: 
         川内原発再稼働なんてやってる場合か!

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015030802000135.html

【社説】
週のはじめに考える 原因不明で動かせるか
2015年3月8日

 福島の原発事故から四年がたとうとしているが、事故原因は不明のままです。それで再稼働を急ごうとするところにそもそも無理があるのではないか。

 たとえば自動車が設計などの問題で事故を起こしたら、原因を突き止め、同種の車も直したうえで走らせるではありませんか。子どもでも分かることです。

 原因究明が不十分なままでは再稼働にかかわる議論に入れない、と言い続けているのは、新潟県の泉田裕彦知事です。

 県には東電・柏崎刈羽原発があります。七基が集中立地し、地盤がよくないため、四十メートルも掘り下げて建設されている。


◆原発取り巻く無責任

 知事の不安は、少なからぬ国民の不安でもあるでしょう。不安は二つに分けられそうです。

 第一は、原因不明とそれを許している無責任体制です。

 東電はもちろん、政治家も役人も、学者も、です

 東電は政治家と役人のかげに隠れ、政治家は東電と役人のせいにし、役人は審議会などの学者たちのせいにして結局だれも自分が悪かったとは言わない

 学者たちはさすがにばつが悪いのか、原子力学会地震学会は反省を述べましたが、だれが悪いのかはよく分からない。

 要するにみんな大津波のせいにして想定外」という言葉の中へ逃げ込んだのです。いやみを言えば、私はがんばったという人しか見当たらない。

 福島の被災者から見れば、これほど人をばかにした話はありません。古里は奪われたが、奪った者がだれか分からない。きちんと謝罪する者なく、怒りを向ける先もはっきりせず、土地を守ってきた祖先に申し訳のしようもない。


◆段差生じた柏崎刈羽

 大津波の想定を議論にのせながら無視した者たち、原子炉の設計上の危うさは米国からの内部告発で知りながら放置した者たち。事故後情報を持ちながら伝えなかった者たち。

 それとも原発という巨大すぎる科学は、飛行機や鉄道などと違って、人が過ちを犯しても破滅的結果には至らない、フェイルセーフという手法が使えないのか。

 これらの疑問が解けないのに、場所や機種が違うとはいえ、原発を再稼働してもいいのだろうか。

 百パーセントの安全は、事故後だれも言わなくなりました。だから避難計画づくりやヨウ素剤の配布も行われます。

 しかし事故原因が不明のままでは、本当はどれほど危険なのか、実際にどれほど防止可能なのか、見当のつくはずもありません。

 第二の不安は地震です。日本はあいにく地震国です。

 柏崎刈羽の地盤の悪さは先に書きました。辺りは古くからの油田地帯で液状化がおきやすい。

 二〇〇七年七月十六日、新潟県中越沖地震(震度6強)で、1号機の近くでは一メートルを超す段差ができ、3号機は地盤沈下のため変圧器が出火した。核燃料プールの水は全基であふれ出した。

 もしも、地震がさらに大きければ福島のようになっていたかもしれない。もちろん仮定の話ですが想像するだけで恐ろしくなる。

 福島の事故について国会事故調の報告書は、津波より前、地震直後の配管の亀裂破断を「断定はできないが…」という断り書き付きで大いに疑っています。動き始めたイソコン(非常用復水器)を止めたことで「炉圧の下がりが速いので、漏洩(ろうえい)を確かめたかった」という運転員の証言を得ています。

 ただ放射線量が高くて内部を調べられないので、確かめられないのです。

 しかし、そうならば事故原因としてあらゆる可能性、また最悪を想定するのが科学的態度というものです。新潟県知事の心配は、地震国日本ならどこでももちうる心配なのです。

 科学的に未知があるというのなら、しかし危険だけれど経済活動に不可欠だというのなら、科学的合理性の代わりに少なくとも社会的合意は必要なはずです。政治家でも役人でも電力会社でも学者でもなく、国民が主体的に決めることなのです。


国民に是非も聞かず

 一九七八年、米スリーマイル島原発事故の前年、オーストリアでは国民投票で過半数が反対し、スウェーデン、イタリアが続き、ドイツはメルケル政権より前の二〇〇〇年に政府と電力業界の合意で最初の脱原発方針を決めている。

 原因不明のまま、国民に是非も聞かないというところに、この国の政治家、役人たちの根源的な隠蔽(いんぺい)体質があると言っても過言ではないでしょう。国民に聞けないのは、世論調査結果がすでに非を述べているからでしょうか。もしそうならば、これほど国民をばかにした話はありません
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●原発再稼働という恥ずべき選択 ~「新基準は世界一」「世界最高レベル」ではなく、「世界一の無責任」~

2014年08月04日 00時00分01秒 | Weblog


福井新聞の社説【原発再稼働へ 国策の責任、覚悟が見えず】(http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/editorial/52692.html)と、
記事【原発再稼働の審査迅速化を提言 自民党議員連盟が政府に】(http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/npp_restart/52814.html)。

 「■新基準は世界一か■・・・・・・■弱者は置き去りか■・・・・・・■当事者意識あるか■・・・・・・浮き彫りになるのは責任の所在の不明確さ、国民不安への無理解と意識の乖離」・・・・・・。
 「新基準は世界一」「世界最高レベル」ではなく、アベ様をはじめとした自公議員や田中俊一委員長をはじめとした原子力「ムラ寄生」委員会委員等々の「世界一の無責任」さである。たとえ再稼働しなくても、「100,0000年問題」「核燃サイクル破綻問題」「五輪詐欺事件」「汚染水ダダ漏れ問題」「無主物まき散らし事件」などなど問題山積なのに、ましてや「再稼働」や「原発輸出」といった恥ずかしい行いをやって、第2の東京電力原発人災が発生してしまえば、取り返しのつかないことになりかねないことをどうして分からないのでしょう??

 また、自民党議員連盟の「提言では、原発停止による火力発電の燃料コスト増が年間約3・6兆円に達し経済に悪影響を与えているとして、原発の早期再稼働は「国家的急務」と指摘。規制委の安全審査を「効率的かつ迅速に行う必要がある」と審査のスピードアップを求めた」・・・・・・そうです。
 「自民党の電力安定供給推進議員連盟(細田博之会長)」て正気? アホ? 福島の現実が見えているのか? 福井地裁判決を熟読しなさい!!

   『●火山の巨大噴火時の緊急核燃料輸送に
          何時間、何日間? 答えは「2年以上」!
   『●原発推進国同士が手を携えて原発輸出、さらに「死の商人」へ:
                         どうやら「恥」という概念は無いらしい
   『●関西電力大飯原発再稼働差し止め、画期的勝訴:
               もし敗訴していたら大変なことに・・・・・・
   『●「上級審では国側が勝つこの国の裁判」・・・・・・
             今度こそ、福井地裁の名判決を活かしたい
   『●原子力ムラ復権阻止を! 今なら引き返せる!!


 過去の行いに全く罪の意識のない自民党議員たち。

   『●原発人災、犯罪者を追求すべし:
       なぜ自民党議員は口を閉ざし、マスコミは黙り込むのか?


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http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/editorial/52692.html

福井のニュース  論説
原発再稼働へ 国策の責任、覚悟が見えず
(2014年7月27日午前7時30分)

 原子力規制委員会は、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)の新規制基準適合を認める審査書案を示した。地震、津波リスクが小さく、国内12原発19基の先陣を切る形で事実上の審査合格である。10-11月にも再稼働の可能性がある。

 東京電力福島第1原発事故を教訓にした新基準の設定によりハード面は強化された。再稼働に弾みがつくとの期待もある。しかし、住民不安は解消されず国の責任も曖昧。再稼働の条件が満たされたとは言い難い。


 ■新基準は世界一か■

 安倍政権は「世界で一番厳しい基準」と強調するが、そうだろうか。目安となるのが国際原子力機関(IAEA)の安全対策「5層の防護」だ。「人と環境の防護」を基本安全目的に、1~3層が事故(拡大)防止、4層が過酷事故の悪化防止、5層が防災対策、住民を放射線被ばくから守る備えである。

 4、5層は1986年のチェルノブイリ原発事故で付加された。福島事故の教訓はこの「深層防護」思想をより強化するものでなければならないはずだ。

 だが4層目の放射性物質の拡散を防ぐフィルター付きベント(排気)や緊急時制御室などを備える特定安全施設は設置義務があるが、猶予され未整備状態。さらに5層目の緊急時対策でも、避難の詳細計画や安定ヨウ素剤配備など住民の安全対策に遅れが目立つ。放射性物質が大量拡散した福島事故は、避難段階で災害弱者の高齢者が多数犠牲になり、福島では今も13万人超が避難を強いられている。


 ■弱者は置き去りか■

 そもそも防災・避難計画の策定と実行は災害対策基本法で自治体に委ねられ、規制委の審査対象にも入らず再稼働の条件でもない。米国では避難計画を含めた緊急時計画が規制の対象。実効性に不備があれば米原子力規制委員会(NRC)が運転を許可しない仕組みである。

 政府は福島事故後、重点区域を8~10キロ圏から30キロ圏に拡大した。川内原発では周辺9市町が防災計画を策定したが、伊藤祐一郎鹿児島県知事は、要援護者対策は避難手段や受け入れ先の確保が困難で、10キロ圏内の計画策定で十分との認識。行政のご都合主義がまかり通る。

 また、周辺火山の巨大噴火による火砕流などの影響に関し、田中俊一委員長は「(稼働期間は)せいぜい30年とかそんなものでしょう。そういう間には噴火は起こらないだろう」と述べた。噴火の前兆監視で十分という考え方だが、予知を困難視する専門家もいる。こうした規制委の楽観は「13万~12万年前ルール」を重視する活断層の厳格審査と整合性が取れない。


 ■当事者意識あるか■

 安倍首相―「(規制委が)安全という結論が出れば立地自治体の理解をいただきながら再稼働を進めていきたい」

 田中委員長―「基準適合性を審査した。安全だとは申しません」「(再稼働は)私たちは関与しない。事業者と地域住民、政府の合意で行われる」

 茂木経産相―「原子炉等規制法に従ってやる」(安全、再稼働の責任は一義的に事業者に)

 全国知事会、薩摩川内市長-「国が責任を持つべき」

 成長戦略に不可欠のエネルギー確保へ再稼働を加速させたい政権。浮き彫りになるのは責任の所在の不明確さ、国民不安への無理解と意識の乖離(かいり)である。

 川内原発に続き関西電力高浜3、4号が視野に入ってくる。川内原発は意見公募、審査書決定、工事認可審査、設備検査、住民説明会、地元同意を経て再稼働の見通し。避難拡大に伴い「地元」の定義が揺らぐが、立地自治体が基本だろう。国は周辺自治体に理解を求め説明を尽くすことだ。課題は尽きない。拙速を避け、堅固な安全文化を再構築しなければ国民の合意形成など程遠い。(北島三男)
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http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/npp_restart/52814.html

原発再稼働の審査迅速化を提言 自民党議員連盟が政府に
(2014年7月31日午後5時19分)

    (茂木経産相(右)に原発再稼働審査の迅速化などを求める
     自民党電力安定供給推進議連のメンバー=31日、同省)

 自民党の電力安定供給推進議員連盟(細田博之会長)は31日、原子力規制委員会で原発の安全審査を迅速に進めることや、エネルギーのベストミックスを早期に策定することなどを求める提言書をまとめ、茂木敏充経済産業相に申し入れた。

 提言では、原発停止による火力発電の燃料コスト増が年間約3・6兆円に達し経済に悪影響を与えているとして、原発の早期再稼働は「国家的急務」と指摘。規制委の安全審査を「効率的かつ迅速に行う必要がある」と審査のスピードアップを求めた。エネルギーのベストミックスを早期に策定し、原発の新増設・リプレース(置き換え)の必要性を明確にすることや、高レベル放射性廃棄物の処分場を国が責任をもって具体化することも盛り込んだ。

 細田会長と高木毅事務局長らが経産省を訪れ、茂木大臣に提言書を手渡した。茂木大臣は「電力の安定供給、コスト低減などさまざまな要素をバランスよく組み合わせたエネルギーのベストミックスを、早急に策定する必要がある」との考えを示した。再稼働の迅速化については「安全性をきちんと早期に確認することがきわめて重要。審査の適正な進ちょくを図るよう、規制委や事業者に要請している」と述べた。

 同議連による政府への提言は3度目で、4月に国のエネルギー基本計画が策定されてからは初めて。高木事務局長は「原発は重要なベースロード電源と基本計画で位置付けられており、安全性が確認された原発は速やかに再稼働させることが重要だ。茂木大臣にも理解していただけたと思う」と述べた。

 この日は菅義偉官房長官にも提言書を提出した。近く原子力規制委員会にも申し入れる。
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●「原子力は血液」・・・・・・ではなく、「原子力=核」は「麻薬」

2014年07月25日 00時00分33秒 | Weblog


asahi.comの記事【(核リポート 原発銀座:3)影響はございません】(http://www.asahi.com/articles/ASG6Z5R1RG6ZPTIL01Q.html?iref=comtop_fbox_d2_04)。

 「出るわ、出るわ、だった。原発はトラブルの山――。国内最多の原発15基(廃炉作業中の新型転換炉「ふげん」含む)を抱える福井県・嶺南地域で取材した実感である・・・・・・環境に影響を与えるほどの放射性物質を外部に漏らしていない、職員、作業員は被曝(ひばく)していないことを意味している。この文言を聞くたび、憤りを感じた」・・・・・・。
 3.11東京電力原発人災以前に何とかすべきだった・・・・・・。「原子力は血液」・・・・・・ではなく、「原子力=核」は「麻薬」であることに早く気付くべきだった。いまこそ、川内原発再稼働に舵をきるこの国に、九州の「草の根」の勁き力を見せつける時だ。これ以上、世界に「恥」を曝さないために、世界を破滅させないために、今なら間に合う。「原子力は街の血液これなしには生きていけない」という禁断症状にゾッとする。

   『●有益どころか「危険・損・無意味」・・・最悪
    「==============
     【・・・・・・】
     [CML002840](九州) プルサーマル裁判準備集会 2月21日
      佐賀県の・・・です。我が国初のプルサーマルこと商業用
      プルトニウム核分裂発電が佐賀県で12月に始められてしまい
      ました。京都大学 原子炉実験所の小出裕章先生に言わせれば
      「技術的には
危険、経済的には、資源的には何の意味もない
      プルサーマルです。これをやめさせるべく九州電力 株式会社を
      相手に裁判を起こします。その準備集会のご案内です。・・・・・・
     ==============
       小出裕章さんの「「技術的には危険、経済的には
      資源的には
何の意味もない」プルサーマル」という言葉の意味を
      考えてもらいたい。有益どころか、危険・損・無意味・・・
      なんのためにやる必要があるのだろうか。かって「巨費を使えば
      使うほど
儲かるシステム」が公的電力企業にも認められていた
      訳だが、電力私企業に富をもたらす仕掛けが今も健在なのか?
      
松下竜一センセの云う「もう、もうけもほどほどにしましょうや」・
      「
ほどほどにとどめよう」、あるいは、内橋克人さんの唱える
      「
浪費なき成長」や「FEC」に素直に耳を傾けるべきではないのか。
      電力を使いつつも、開き直ってわれわれも
主張して良いのではないか。」

   『●『松下竜一未刊行著作集5/平和・反原発の方向』読了(前半)
   『●当事者能力がなくなっても原発を動かしたいという中毒症状


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http://www.asahi.com/articles/ASG5X51FLG5XPTIL018.html?

(核リポート 原発銀座:1)お父さん、放射線って何?
大阪社会部・室矢英樹 2014年6月12日18時17分

   (小学校の渡り廊下にあった放射線をはかる機械。
    「ほうしゃせん見守り隊」と記されていた=福井県敦賀市)
   (国内最多の原発15基の取材拠点となっている朝日新聞敦賀支局。
    コンクリートの壁で覆われている=福井県敦賀市)
   (交通標識は「原発」と表記しない。敦賀原発も「敦賀原電
    (Tsuruga Genden)」だ=福井県敦賀市)
   (核燃料サイクル政策の中核施設にあたる日本原子力研究開発機構の
    高速増殖原型炉「もんじゅ」=福井県敦賀市)
   (断層問題に直面する日本原子力発電敦賀原発1、2号機と、
    廃炉作業が進む日本原子力研究開発機構の新型転換炉
    「ふげん」(下)=福井県敦賀市)
   (関西電力美浜原発1~3号機。1、2号機は運転開始から40年を
    超えている=福井県美浜町)
   (関西電力大飯原発1~4号機。福島の原発事故後、3、4号機は
    国内の原発で初めて再稼働した=福井県おおい町)
   (関西電力高浜原発1~4号機。3、4号機(右下)はプルサーマル発電に
    よる再稼働の可能性が指摘されている=福井県高浜町)

 「お父さん、放射線って、なに?」。夕食のカレーライスを食べながら、小学生の息子が不思議な表情を浮かべている。新学期のこと。転校したばかりの小学校に、見たことのない大きな箱があるのだという。

 後日、授業参観日で学校を訪ねると、校舎をつなぐ渡り廊下にその箱はあった。放射線の線量率をみる測定器だった。「こんな所にもあるんだね」。妻が不安げに言った。

 2012年4月、記者は福井県にある敦賀支局に異動した。その2カ月前、当時の社会部長に「原発問題に取り組んでほしい」と内示を受けた。1年ほど前に起きた東京電力福島第一原発事故の記憶は生々しい。異動直前に福島の被災地を回り、軒先の洗濯物が干したままの光景を目の当たりにした。原発事故が起きたら……。そんな不安がある中での息子の質問だった。

     ◇

 福井県は、形がオタマジャクシに似ていると言われる。しっぽの部分にあたるのが若狭地方だ。嶺南地域とも呼ばれ、国内最多の原発15基(廃炉作業中の新型転換炉「ふげん」含む)が集中している。

 嶺南地域の中心都市・敦賀市は、江戸時代には北海道と関西を結ぶ北前船の中継港として栄えた。明治時代になると、敦賀―ウラジオストクの定期航路が開かれ、東京・新橋との間に欧亜国際連絡列車の運行が始まり、大陸の玄関港としても発展した。嶺南地域が面する日本海・若狭湾はサバやグジ(アマダイ)など京料理に欠かせない食材の宝庫でも知られる。

 そんな交易と漁業が盛んな地域は1960年代に変わる。62年9月、敦賀市議会が原発誘致を決議し、5年後、日本原子力発電が敦賀原発1号機を着工。70年3月に営業運転を始め、大阪・万博会場に「原子の灯」を送電した。

 以後、敦賀半島に敦賀原発1、2号機、日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」と新型転換炉「ふげん」、関西電力の美浜原発1~3号機が次々と建った。関電はおおい町に大飯原発1~4号機を、高浜町の高浜原発1~4号機をそれぞれつくった。日本原電はさらに敦賀半島に国内最大級の敦賀原発3、4号機の本体着工をもくろんでいる。

 国の機関や研究施設も数多い。原子力規制庁、文部科学省、資源エネルギー庁の現地事務所があり、絶えず原発の巡回、地元自治体との連絡に飛び回っている。警察も保安上の理由から常時警戒にあたっている。

 原発城下町にあって、敦賀支局は建物の造りからしてひと味違う。壁全体が分厚いコンクリートで覆われており、先輩記者からは「放射線を防ぐためだ」と教わった。1階に非常用ディーゼル発電機があり、2階の事務所には線量計、防護服やマスク、安定ヨウ素剤が配備されている。敦賀市役所が配布する防災ラジオも置いている。原発取材の最前線基地の位置づけなのだ。

 嶺南地域で車を走らせていると、交通標識の文字が目をひく。この地では、原発とは書かない。敦賀原発なら「敦賀原電」、美浜原発なら「美浜原電」と記されている。なぜ、原電なのか。敦賀市の河瀬一治市長に理由を聞いたことがある。「原発は、原爆の言葉の響きと似ている。これを避けている」。河瀬市長は原発を抱える自治体などでつくる全国原子力発電所所在市町村協議会の会長である。原発に対する世論の反発は身に染みてよく知っている。

 似たようなことは、電力会社の言葉遣いにも表れる。使用済み核燃料を再処理し、原発でもう一度使う「核燃料サイクル政策」。関電の八木誠社長は必ず「原子燃料サイクル」と呼ぶ。核は、核兵器の核に聞こえるから避けている、と電力会社の社員から聞いたことがある。文字・言葉一つとっても原発問題はデリケートなのだ。

 原発関連で働く人が多いことも実感した。息子が入っていたサッカークラブは、保護者が電力会社の社員だったり、原発の定期検査で全国から集まる作業員向けの民宿の経営者だったりした。2012年夏の大飯原発の再稼働時には、取材拠点となった旧原子力安全・保安院の現地事務所で、息子の同級生のお父さんにばったりと会った。関電社員、新聞記者と初めて分かり、互いに戸惑いながら「いつも子どもがお世話になっています」と頭を下げたこともあった。

 そんな街で住んでいると、電力会社のボーナスカットなどを聞くと、こうしたお父さん、お母さんたちの顔を思い浮かべた。住宅ローンは、教育費は、とひとごとには思えず心配したのも事実だ。

 多くの地方都市では、盆や年末年始になると、帰省客でにわかに街が活気づく。ところが、敦賀市の場合、普段でも少ない人通りがさらに減る。原発関連で働く人たちの多くが単身赴任だったり、数カ月の期間工だったりするからだ。この人たちが地元に帰る。

 敦賀市の人口は約6万8千人。全国転勤が多い敦賀海上保安部の幹部は「人口10万人以下の街で、これほど全国チェーンのお店が多い所は初めてだ」と驚いていた。幹線道を走ると、大手のレストラン、家電量販店、カー用品店が軒を連ねる。市役所は正確な数字を把握していないが、住民票を持たない人たちが千人規模でいるとみている。

 原発で取材する機会が多かったが、原子炉建屋など放射線管理区域で働く女性の姿はほとんど見たことがない。もんじゅの場合、放射線管理区域がある施設には女子トイレがない。同僚の女性記者と取材する際は、あらかじめ水分補給を控えるようにお願いしていた。男女共同参画が進む時代にあって、原発は男性仕様のマッチョな職場だった。

     ◇

 東京電力福島第一原発事故の1年後、原発報道の最前線の一つとなった福井県・嶺南地域。大飯原発の再稼働問題、敦賀原発の断層問題、高速増殖原型炉「もんじゅ」の不祥事……。ニュースの表舞台から見えにくい原発城下町の素顔をリポートします。次回は、原発マネーが行き渡る現場を紹介する予定です。

     ◇

 むろや・ひでき 1996年に入社。鳥取支局、大阪・西部社会部、大阪生活文化部に勤務し、警察や司法、教育、社会保障、調査報道などを担当。2012年4月~14年3月、敦賀支局長だった。それ以前は原発取材の経験がなかった。今年4月に大阪社会部に戻り、原発問題を担当している。43歳。(大阪社会部・室矢英樹)



http://www.asahi.com/articles/ASG5Y4288G5YPTIL00N.html?

(核リポート 原発銀座:2)原子力は街の血液
大阪社会部・室矢英樹 2014年6月18日17時40分

     (色鮮やかな球技場。向かいの半島に関西電力大飯原発がある
      =福井県おおい町)

 原発へのスタンスはともかく、「原発城下町」と言われる福井県敦賀市で暮らしてみると、原発から切り離された暮らしを送るのはほぼ困難ということを知った。

 子どもが風邪や歯の治療などで、何度も病院で診てもらったことがあった。窓口で医療費を支払い、後日、市役所から還付手続きの封筒が届いた。小学生の医療費は、原則として月に500円。これを超える額は戻ってくる仕組みになっていた。

 原資は「原発マネー」だった。

 原発があることを理由に、地元自治体が「地域振興」を主な名目に受け取るお金で、「迷惑料」との指摘もある。原発マネーは、電源三法交付金と呼ばれる国の交付金、県の核燃料税、電力会社の寄付金や原子力施設の固定資産税、法人住民税などだ。

 敦賀市には敦賀原発1、2号機と高速増殖原型炉「もんじゅ」、新型転換炉「ふげん」(廃炉作業中)がある。国の電源三法交付金は1974年に制度化され、市は2013年度までに522億円を得ている。

 市の14年度当初予算の一般会計は263億円。このうち電力関連は56億円と歳入の約2割を占める。内訳は電源三法交付金17億8830万円▽日本原子力発電など電力事業者の固定資産税37億606万円▽福井県の核燃料税交付金2億円。原発関連で働く市民の住民税や自宅などの固定資産税なども含めれば、原発関連が市財政に占める割合は大きい

 敦賀市では、電源三法交付金で子どもの医療費助成、お年寄り向けの介護タクシーのクーポン券が配布されたり、病院や図書館、保育園、公民館、清掃センターなど暮らしに直結する職場の人件費がまかなわれたりしている。

 「原子力は街の血液これなしには生きていけない」。原発で働く労働者の送迎をしているバス会社の社員の言葉である。



http://www.asahi.com/articles/ASG6Z5R1RG6ZPTIL01Q.html?iref=comtop_fbox_d2_04

(核リポート 原発銀座:3)影響はございません
大阪社会部・室矢英樹 2014年7月1日17時19分

     (高速増殖原型炉「もんじゅ」で発覚したトラブルについて
      説明する日本原子力研究開発機構の幹部職員
      =2013年6月、福井県敦賀市)

 出るわ、出るわ、だった。

 原発はトラブルの山――。国内最多の原発15基(廃炉作業中の新型転換炉「ふげん」含む)を抱える福井県・嶺南地域で取材した実感である。

 敦賀支局には2012年4月~14年3月の2年間勤務した。関西電力大飯原発3、4号機の再稼働など、全国から注目される大きなニュースもあったが、その陰で全国版に載らない様々な原発がらみのトラブル、不祥事の取材に追われた。

 例を挙げると――。(年月は発表時)

     ◇


◆高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)

2012年7月:ナトリウム漏れ警報機が誤作動→配管が近くのエアコンで冷やされ、結露した水がナトリウム検出器のフィルターに付着して警報が鳴る。配管に断熱材を巻き付けて対処

 同11月:協力会社の作業員が使用済み核燃料プールに腕章を過って落とす→別の職員が網ですくって回収

2013年5月:非常用ディーゼル発電機から黒煙→弁の閉め忘れが原因

 同6月:原子炉の温度などを国の防災ネットワーク機器へデータ送信する装置が送信不能に→装置の電源切れが原因

 同9月:核燃料の貯蔵タンクでナトリウム漏れ監視装置が計測不能に→ふだん開いているはずの装置内の弁が閉まっていたのが原因

2014年1月:中央制御室の当職職員のパソコン1台がウイルスに感染→原因調査中


◆新型転換炉「ふげん」(敦賀市)

2013年2月:補助ボイラーを解体作業中、吸気フィルターから発煙→バーナーで配管を切断していた際に火花が燃え移る

 同3月:放射性物質のトリチウムが外部に漏れる→原子炉補助建屋で放射性物質を含む重水から不純物を取り除く際、職員が蒸気を水に戻す装置のスイッチを入れ忘れる

 同7月:海水ポンプが故障し、使用済み核燃料プールと非常用ディーゼル発電機を冷やせなくなる→ポンプのモーターの軸部分が高温となったのが原因。モーター交換で対処


◆敦賀原発(敦賀市)

2012年5月:2号機の工事現場で協力会社の作業員が重傷→ダンプカーの荷台にかけたはしごから2メートル下に転落

 同7月:2号機近くに埋設された配管をくりぬく。配管は発電機のタービンを回した蒸気を冷やし、水に戻す復水器につながっていた→活断層の疑いが指摘される2号機直下の断層を掘削調査する際に過って穴を開けたのが原因

 同8月:協力会社の作業員が2号機で大けが→津波対策で通路に水密扉を取り付ける際、重さ510キロの扉の枠が倒れて下敷きに

2013年9月:1号機の放射線管理区域内にある廃棄物処理施設で浸水→大雨で排水が追いつかず

2014年3月:2号機の原子炉冷却水の水温計の一部が破損→金属疲労が原因


◆美浜原発(美浜町)

2013年2月:1号機の非常用ディーゼル発電機から黒煙→出力を上げる部品が破損


◆大飯原発(おおい町)

2012年8月:4号機の蒸気発生器に2次冷却水を送る主給水ポンプで異常→弁の部品が固定不十分で外れたのが原因

2013年9月:3号機の低圧タービンで火災を示す警報機が作動。水蒸気が漏れる→職員が手順書を守らなかったのが原因


◆高浜原発(高浜町)

2013年9月:1号機で作業員が線量計を着用せずに放射線管理区域に入る→休憩時に線量計を外し、机の上に置いたままに

     ◇

 こうした事例は一部に過ぎない。設備の故障もあるが、軽率な人為ミスが目立つ。トラブルが起きたとき、事業者の説明はこんな言葉から始まる。

 「影響はございません」

 「問題はございません」

 これは、環境に影響を与えるほどの放射性物質を外部に漏らしていない、職員、作業員は被曝(ひばく)していないことを意味している。この文言を聞くたび、憤りを感じた
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●「お金はいらない、この海の恵みを受けて暮らしたい」: 大間原発のあさこハウスと上関原発の祝島

2014年03月02日 00時00分38秒 | Weblog


asahi.comの社説【大間原発―うやむやで進めるのか】(http://www.asahi.com/paper/editorial2.html、2月17日)と、
記事【原発推進派が過半数 震災後初、山口・上関町議選】(http://www.asahi.com/articles/ASG2J4RLWG2JTZNB00B.html?iref=comtop_list_pol_n01)。
河北新報の記事【大間原発提訴へ/函館の危機感はまっとうだ】(http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2014/02/20140218s01.htm)と、
東京新聞の記事【再稼働審査で公聴会 規制委方針 公平性に危うさも】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014022002000120.html)。

 「フルMOXは使い道のないプルトニウムの大量消費という側面もあり、核燃料サイクル政策とも密接に絡む。さらに使用済みMOXの後始末も何ら具体化していない」・・・・・・メチャクチャ危険なフルMOXを「地元」の了解も得ずに、さらに、3.11の何の教訓も得ることなく、大間原発の建設を強行し続けるアホな者達。熊谷あさこさん祝島の人達は、ただただ「お金はいらない、この海の恵みを受けて暮らしたい」というだけなのに。

   『●あさましくないか!? 原発推進
  
    「「原発が出来ればこの海がよごれる。海の恩恵を受けて漁師の
     暮らしがダメになる」「お金はいらない、この海の恵みを受けて暮らしたいただ」と。
     結局電源開発は原子炉予定地の計画変更し建設を強引に進めている

 それにしても、常軌を逸した自公政権・・・・・・「「原発に依存しない社会」と言いながら、安倍政権はいっこうに具体策を示そうとしない。むしろ、東京都知事選では原発の争点外しに躍起となり、与党が推薦する舛添要一氏が当選すると、翌日から再稼働に意欲を見せるありさまだ今後の原発の新増設についても、言を左右にしている」。3.11で、「原発の建設や運転の是非に意見を出せる「地元」の範囲を一体どこで線引きするのかも問題」となり、日本中が、いや世界が「地元」であることが分かったはずなのに、この国の自公関係者や原子力ムラの住人は異常だ。

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http://www.asahi.com/paper/editorial2.html、2月17日

大間原発―うやむやで進めるのか
2014年2月17日(月)付

 青森県下北半島の北端に建設中の大間原発をめぐって、対岸の北海道函館市が事業者のJパワー(電源開発)と国を相手取り、建設差し止めを求める訴訟を起こす。

 これまでも住民による原発差し止め訴訟はあったが、自治体が原告となるのは初めてだ。

 過酷事故が起きれば、近隣の自治体も壊滅的な被害を免れない。それが福島での原発事故が突きつけた現実だ。

 このため、原発から30キロ圏内は防災対策の重点区域に指定され、避難計画の策定が義務づけられた。

 にもかかわらず、原発そのものの建設や稼働の是非には立地市町村と当該県以外、関与できないのはおかしい。函館市の提訴は、周辺自治体に共通するいらだちと危機感の表れだ。

 国も事業者も、重く受け止めなければならない。

 「原発に依存しない社会」と言いながら、安倍政権はいっこうに具体策を示そうとしない。むしろ、東京都知事選では原発の争点外しに躍起となり、与党が推薦する舛添要一氏が当選すると、翌日から再稼働に意欲を見せるありさまだ今後の原発の新増設についても、言を左右にしている

 東日本大震災の時点で着工済みだった原発は大間を含め、全国に3基あった。私たちは社説で建設中止を求めたが、自民党への政権交代の直前、東電が手がける原発以外は工事が再開され、なし崩し的に進んでいる

 大間原発をいったん運転してしまえば、最終処分のあてがない放射性廃棄物をまた増やすことにもなる。こうした根源的な問題を「脱原発依存」の観点からどう考えるのか。

 月内にも閣議決定するエネルギー基本計画では、原発推進に対する国民の反発を懸念し、当初案で予定していた原発の位置づけを少し弱める方向が検討されている。

 だが、政権が示さなければならないのは、そうした小手先の批判かわしではない。どのような条件や基準に基づいて廃炉を進めていくのか、放射性廃棄物の増加をどう抑制するのか、といった具体的な道筋だ。

 大間原発は、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムとウランを混ぜたMOX燃料だけを使う「フルMOX原発」として計画されている点も見逃せない。世界で初めてであり、その運転には一段と慎重な検討が必要なことは、原子力規制委員会も指摘している。

 うやむやにしたまま進めていいわけがない。
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http://www.asahi.com/articles/ASG2J4RLWG2JTZNB00B.html?iref=comtop_list_pol_n01

原発推進派が過半数 震災後初、山口・上関町議選
2014年2月16日22時58分

 中国電力が上関原発の建設を目指す山口県上関町の町議選(定数10)が16日、投開票された。原発推進派の8人が当選し、過半数を占めた。反対派の当選は2人だった。投票率は86・03%(前回90・24%)。

 1982年の原発計画浮上以来、町議選は今回が8回目で、2011年3月の福島での原発事故後は初の実施。過去7回もすべて推進派が過半数を占め、前回(定数12)は推進派9人、反対派3人だった。今回は定数が2削減され、13人が立候補。選挙戦では、推進派候補9人の大半が原発問題の争点化を避け、「高齢者福祉の充実」などを訴えの中心に据えた。一方、4人の候補は原発反対を前面に出した。

 09年に始まった上関原発の準備工事は、震災直後に中断し、再開のめどが立っていない。また、中国電力の公有水面埋め立て免許の延長申請に対し、山口県は昨年3月、当時の山本繁太郎知事が判断を1年程度先送りする考えを示している。
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http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2014/02/20140218s01.htm

大間原発提訴へ/函館の危機感はまっとう

 3年前、東京電力福島第1原発でメルトダウン(炉心溶融)が起きた時、放射性物質はどこまで飛来したのか。
 風で北西方向に流されて原発の30キロ圏をはるかに越え福島県飯舘村や川俣町、福島市、伊達市なども高濃度に汚染された。さらに県境を越えて宮城県の丸森町などにも広がった
 いったん環境に放出されてしまえば、風向きや降雨によって50キロ以上離れても深刻な汚染に見舞われてしまう予想を超えて放射能汚染が広がることは、福島原発事故によって初めて示された事実だ
 青森県大間町に建設中の大間原発(出力138万キロワット)について、北海道函館市が事業主体の電源開発と国を相手に建設差し止めを求めて提訴する方針を固めた。
 地方自治体が訴訟で原発建設に異議を唱えるのは前例がないが、函館市の置かれた状況を考えれば不思議はない。
 大間原発からの距離は津軽海峡を挟んで最短23キロ。しかも大間原発は世界で初めて、全燃料棒がプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料というタイプになる。
 法廷では広範に原発をめぐって主張を闘わせるべきだ。事故の際の避難や被ばく防護策はもちろんだし、原発の建設や運転の是非に意見を出せる「地元」の範囲を一体どこで線引きするのかも問題になる。
 さらにウランとプルトニウムとの核特性の違いや制御への影響といった技術的なポイントに関しても、できるだけ双方で主張を展開すべきだ。
 函館市は以前から大間原発の建設に批判的な考えを示していた。30キロ圏の「緊急防護措置区域」(UPZ)に含まれるのに、建設同意手続きなどで蚊帳の外に置かれていることへの不満があった。
 住民の被災が現実的に想定されてヨウ素剤配布の準備などが求められるにもかかわらず、電源開発や国に意見を出せないのは納得できないだろう
 原発建設ではこれまで、立地する市町村と県などが発言権を持っていたが、福島原発事故で状況は変わったはずだ。
 放射能の拡散を考えたら、例えば50キロ圏の市町村を全て同等に扱うのが筋ではないか。事故で被る影響を尺度にすれば、同じUPZ内の市町村を区別することに合理的な理由は見いだせない。
 大間原発の危険性についても函館市は不安を抱いている。プルトニウムはウランより中性子を吸収しやすく、その分制御棒の効き方が低下することが知られている。審査権限を持つ国は安全面について十分に説明しなければならない。
 フルMOXは使い道のないプルトニウムの大量消費という側面もあり、核燃料サイクル政策とも密接に絡む。さらに使用済みMOXの後始末も何ら具体化していない
 国内の原子力開発が抱える多くの問題点は、大間原発によっても浮き彫りになるはずだ。

2014年02月18日火曜日
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014022002000120.html

再稼働審査で公聴会 規制委方針 公平性に危うさも
2014年2月20日 朝刊

 原子力規制委員会は十九日の定例会合で、原発の新規制基準への適合審査について、審査が進む原発を絞って審査書案をつくり、地元自治体と公聴会を開く方針を決めた。ただ、意見を聴くのは技術的な内容に限られ、地元の要望がなければ公聴会は開かれない

 規制委は、来月上旬にも審査が進む原発を選び、新基準を満たしているかどうか結果を記した審査書を優先的に作成する。審査書を公開し、郵便やメールなどで意見を募るパブリックコメントを実施。地元自治体から求めがあれば、公聴会を開いて直接意見を聴くという。

 ただし、新基準そのものや再稼働の是非、住民の避難計画が十分かどうかなどは聞き取りの対象外とする方針。「審査についての科学技術的な意見」に限ることで、実質的に意見を言えるのは電力会社などの関係者に偏る恐れがある。

 公聴会は一回に限られる見込み。原発立地自治体は再稼働を推進、周辺自治体は反対というケースもみられ、「地元」の定によっては公聴会そのものが開かれないこともあり得る

 原発をめぐる意見聴取をめぐっては、九州電力が二〇一一年六月、国の説明会で、玄海原発(佐賀県)の再稼働に賛成するメールを送るよう子会社に指示するなどの問題も起きている。
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●大飯原発再稼働決定・・・アホにつける薬なし

2012年06月18日 01時15分28秒 | Weblog


東京新聞の記事3つ(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012061602000225.htmlhttp://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012061690140000.htmlhttp://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012061602000229.html)。

 このような愚かな結論・・・・・・、野田首相をはじめ西川一誠福井県知事、時岡忍おおい町長、その他大勢のそれを強行したアホな政治家ども・・・・・・、一体どう形容したらいいのか? 「愚か」「アホ」と云う以外、どんな形容の仕方があるだろうか。このような決断をするとは、哀しすぎる。将来に大きな禍根を残す愚かな行為である。一つ既成事実を作ってしまえば、あとは簡単。負の連鎖である。3.11以前の日常に、安全神話時代に逆戻り。神経は麻痺させられる。まったく、もうーッ!! FUKUSIMA人災の被災者の方々に顔向けできない。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012061602000225.html

福井県知事 国の支援を要求 同意表明、淡々と
2012年6月16日 夕刊

 西川一誠福井県知事は十六日午前十時すぎに始まった野田佳彦首相らとの会談で、「国の支援を約束いただいた。関西地域の生活と産業安定のため、同意する決意をしたい」と書類を読み上げ、重い結論を淡々と伝えた。
 政府が四月十三日に再稼働の方針を決定して以来、知事は国に対し原発の安全対策や必要性などを要求。「再稼働を人質に地域振興などの条件を引きだそうとしている」との批判をよそに、自身の判断に関して二カ月以上沈黙を守ってきた。
 この日は反対デモを横目に、車で官邸に到着。会談の冒頭十分間、安全対策の徹底や地元経済や雇用への配慮など八項目を要請した。「流れに任せず、明確なビジョンに基づいてリードしてほしい」と政府の覚悟を迫ると、野田首相から「いずれも重要な課題で重く受け止める」との言質を引き出した。
 会談後は枝野幸男経済産業相や藤村修官房長官と握手。報道陣に「この後、福井で会見しますから」と言い残して立ち去った。

◆知事要請の8項目
▽原発に対する国民や消費地の理解向上
▽原発の安全技術の向上と人材育成
▽将来のエネルギー政策の明確なビジョンの提示
▽原発立地自治体にとって原発が基幹産業ということへの理解
▽使用済み核燃料の中間貯蔵施設の整備など
▽原発立地自治体と政府の連携、協力関係の強化
▽日本海側の地震と津波対策の強化
▽福井県議会の要望への忠実な取り組み
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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012061690140000.html

大飯再稼働を決定 首相「安全」裏打ちなき強行
2012年6月16日 14時00分

 政府は十六日午前、野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相ら関係三閣僚による四者会合を開き、関西電力大飯(おおい)原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働を決めた。これに先立ち、福井県の西川一誠知事は官邸で首相と会談し、同意する考えを伝えた。政府は十分な安全対策を取らないまま、裏打ちのない首相の「安全宣言」によって再稼働を強行した。
 首相は四者会合で「立地自治体の理解が得られた今、再稼働を政府の最終的判断とする」と表明。「政権として、原子力行政と安全規制の信頼回復に向けさらなる取り組みを進める決意だ。新たな規制機関の一日も早い発足に向け、一丸となって努力を続けたい」と強調した。記者会見はしなかった。
 四者会合前の会談には、首相のほか、枝野氏ら関係三閣僚らも同席。西川知事は安全対策や使用済み燃料の中間貯蔵施設の整備など八項目を要望し「関西の人々の生活安定のため再稼働に同意したい」と述べた。
 枝野氏は八項目の要望について「重く受け止め、真摯(しんし)に対応する」と応じ、首相は「福井県の決断に深く感謝したい」と語った。
 関電は同日午後、機器の点検など再稼働に向けた作業に着手。二基の起動は順番に行い、それぞれ本格稼働に三週間程度が必要とされるため、フル稼働は早くても七月下旬になる。
 国内の原発五十基は北海道電力泊原発3号機(北海道泊村)が五月五日に定期検査入りして以降、すべて停止している。大飯原発3、4号機が再稼働すれば昨年の東京電力福島第一原発事故以来、定期検査後の原発が再稼働するのは初めてとなる。
 しかし、安全対策に盛り込まれた免震施設の建設や防潮堤の整備などは計画を示せば十分とされ、今回の再稼働には間に合っていない。事故で信頼を失った経産省原子力安全・保安院に代わる安全規制の新組織もまだできておらず、安全対策は万全とはいえない。
 大飯再稼働をめぐっては、政府が四月十三日に再稼働方針を決定。首相は今月八日の会見で「福島を襲ったような地震、津波が起きても事故を防止できる」と表明していた。

(東京新聞)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012061602000229.html

大飯原発「5層の防護」3層目まで 国際基準 程遠く
2012年6月16日 夕刊

 大飯原発3、4号機の再稼働が決まった。野田首相らはしきりに安全性が確保されたと強調するが、国際的な安全基準の一部しか満たしていないのが現状だ。このまま再稼働に踏み切れば、国際基準から逸脱した形になる。
 国際原子力機関(IAEA)は、原発の安全性を保つため「五層の防護」という考え方を示している。
 五層の防護とは、故障や誤作動を防ぎ、地震や津波などに襲われても炉心溶融のような重大事故にならないよう備えをするのが一~三層目。事故が起きてしまった場合、いかに事故の被害を最小限に食い止め、住民を被ばくから守るかの備えをするのが四、五層目となる。
 大飯原発はどうか。非常用電源の多様化や建屋が浸水しにくいなどの安全向上策はある程度はできたが、それは三層目までのこと。事故が起きた後に重要となる四、五層目の対応は空手形というのが現状だ。
 ベント(排気)時に放射性物質の放出を最小限にするフィルターの設置、事故収束に当たる作業員を放射線から守る免震施設の整備などが四層目に当たり、適切に住民を避難させたり、内部被ばくを防ぐヨウ素剤を配ったりするのが五層目。
 しかし、四層目が達成されそうなのは三年後で、五層目はいつになるか、めども立っていない。
 原発外で対策拠点となるオフサイトセンターは、いまだに見直し作業の最中。モニタリングポストなど広域に放射線量を監視する体制も整っておらず、福井県の避難計画も近隣の他府県との連携を考えない硬直化した内容のままだ。
 首相らは「福島のような津波と地震が襲っても事故は防げる」と胸を張るが、国際基準に照らせば、重要な対策がすっぽり抜け落ちている。 (福田真悟)
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