旅する小林亜星

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島根男

2006-10-19 01:12:50 | 旅人
味噌男が実家の島根に帰って
高校の日本史教師になったのは6年前だ。

大田市駅で待ち合わせした島根男は
10キロ太って野球部顧問という仕事のせいで日焼けしてた。

細くてひょろひょろしてて青白いところが好きだったのに。

彼の車で出雲大社→日御岬→松江城と案内してもらう。

10月は神無月というけれど
日本中の神さまは出雲大社に来てるから「神がいない月」、
島根には神さまが集まってるから神在月ということや

御神殿を支えてたはずの太い柱が最近見つかって
それによって昔の御神殿の大きさが証明されそな話や

この建物は八百万の神さまが滞在するためのものであるとか

日本史教師の解説を聞きながら
出雲大社を観光するとこんなにおもしろいのかと思った。

東京弁から出雲弁にスイッチした島根男は
島根の男という感じだった。

県東のひとはネチネチしてて陰険で
県西のひとは広島系で口は悪いけどさっぱりしてる、
という比較も興味深い。

彼の相変わらずのはっきりしない恋愛話も
呆れを通り越して懐かしかった。

彼に別れを告げてから
あたしのかつての想いについて気づいていたかどうかメールで聞いてみたら
島根男は動揺したらしく

「全く気付いてなかった。
 今も友達でいてくれてありがとう。」
という返事を寄越した。

次に会うのはまた何年も後かもしれないけれど
銀三であたしが彼に一目惚れしたのは
やはり縁だと思う。

出雲大社は縁結びの神さまだし。
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味噌男

2006-10-19 00:51:56 | 旅人
味噌男と出会ったのは10年前の銀座三越。
年末1週間だけ鈴廣の蒲鉾を売るという割りのいいバイト中だった。

味噌屋で働いてた、あたし好みの眼鏡をかけた白衣姿の彼に一目惚れした。

大学一年だったあたしは
声をかけて連絡先を聞くというよな術も知らず
ただ彼が台車で商品を品出しする様を眺めて
毎日恋焦がれるだけだった。

大学三年になった年末、
再びそのバイトで銀三に赴くと
味噌男はまだ働いていた。

運命だと思った。

蒲鉾の向かいで魚屋を営んでる男と
味噌男が仲いいらしい現場を目撃したのを機に

休憩室で魚屋男が喫煙してるのを突撃して
味噌男が大学院生で彼女はいないという情報を手に入れた。

その年の晦日には
魚屋男と味噌男とオールで飲みに行くのに成功。

恋は盲目と言うけれど
あたしは味噌男に盲目だった。

電話して甘く囁いてみたり
映画を見にいってみたり
浅草のCASAでひと晩を明かしたこともあった。

恋は盲目だったのが盲目じゃなくなったころ
あたしはひとつの事実に気がついた。

味噌男はおもしろくないということ。
そしてあたしとは話が合わないということ。

味噌男にはずっと好きなひとがいたが
うじうじしてるばかりでずっとひきずっていた。

あるとき
あたしは思いを告げてもないのに
彼に対する興味をなくしたのだった。

記憶にある限り
彼はあたしが一目惚れした最後の男だ。

彼のおかげであたしは面食いではなくなった。
どんなに顔に恋をしても
おもしろくなければ好きな気持ちは続かない。

そいう点で彼への想いはいい通過点になった。
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