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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【29航海目・切り揚げ】!

2016年12月08日 | モバイル
12月5日朝5時、女川入港水揚げ。

氷を積み込み、8時30分・女川出港、気仙沼廻航
時化休み…

6日は朝から漁具倉庫の準備、凍結室の保冷と機関室内の整理…


外は寒く、午後には気仙沼港接岸中の船に雪が舞った…。
寒さが厳しくなってくると停泊中の船では
生活清水の配管の凍結が心配になる…

船橋・操舵室・甲板への清水配管は外に露出している為、
外気温度の影響をモロに受ける…

鉄の塊である船は冷える…!

7日朝5時30分・気仙沼出港、微速で南下

南三陸沿岸沿いの山々にもついに初冠雪…
冬将軍の到来だ…!

15時 S/B。
塩屋崎近海から調査開始。

秋刀魚の群れは薄く、南西側に調査航走…
日立沿岸で薄群れを、数回操業も僅かな漁獲…。

更に南下、時折雨がパラつくも凪は良く、巻き網船の漁り火も見える…

日付けが変わり、反転北上!

朝4時、漁撈長の声がスピーカー越しに響く…!

「御苦労様・切り揚げるから」…

ついに今期の秋刀魚漁の終漁、今年の本船の漁の終わりをむかえた…。

漁の終わりと共に、季節風が吹き荒れた…
微速で北上中も金華山を通過する頃には季節風が止み
良い凪となった。



15時・気仙沼入港、網揚げ…

残念ながら、目標には届かなかったが
来期への宿題としておこうと、気持ちを切り替えて…

乗組員みんなが無事に最後まで漁に携えた事を良しとして
明日からの、漁具解体作業をこなしていきます。

今期も応援してくださった方々、ありがとうございました!!

【28航海目】!

2016年12月05日 | モバイル
12月2日・朝8時、水揚げを終えて女川出港!

金華山瀬戸を通り、僚船と共に微速で南下。
季節風強し…

15時 S/B。
依然季節風が吹き荒れる塩屋崎近海…

陸よりに調査…
17時頃からやや纏まった群れを操業…。

漁期間中に数回しかない程の強風の中での操業となった…

もうすぐ終わる…
と云う雰囲気の中、集中力を維持するのはなかなか大変だが…

それでも、事故につながらないように、大声で注意しなければならない時がある…

特に、時化海操業時は、気を抜いてはならない…!

多くの若人は、気持ちの半分が帰宅しているようだが、終が肝心なのだ…!

確かに、旅から来ている若人逹の気持ちは、
自分も旅の船に乗船した経験があるので解るけど…

それでも集中力を切らしてはダメなのだ…。

出来る限り、モチベーションを高めるような会話を心掛けているつもりでも…

年齢差で、上手く伝わらない事もあるだろう…

若人が多い船は、若人逹の中に一人のキーパーソンが必要だと思っている…

限られた船内は、共同作業の場であり、ある期間内を団体生活で過ごす…!

怪我やトラブルは少ないにこしたことはない。

気を引き締めるように、スピーカー越しに漁撈長の声も響く…

20時頃から、季節風は更に強まった…

塩屋崎沿岸、灯台の明かりが近い

付近には本船を含め14隻…
その14隻が、1哩から2哩圏内で操業…!

季節風による白波の波間から秋刀魚が跳ねて来る…

すぐ近くの船の探照灯が照す海面でも跳ねる秋刀魚が見える…

日付けが変わる頃から、季節風が弱まってきたが

秋刀魚が見えなくなり、各船が散らばった…

北よりに調査し、若干纏まった群れを操業…。

しかし、夜明け近くになってまたも季節風が強まり、秋刀魚は見えなくなった…

嬉しい誤算の漁模様となって夜明けをむかえたが、
冷水も氷も不足する事を想定して、小名浜港へ…。







氷の積み込みの傍ら、新に冷水を造りながら、
12月3日、8時30分・小名浜出港。

2時間程航走し、漂泊…。

15時30分 S/B。
良い凪となった塩屋崎沿岸沿いを調査…

…一転…
秋刀魚が見えない…!

各船が散らばって南よりに調査…

前夜の秋刀魚に踊らされた格好となった…。

18時過ぎに薄群れを操業も、前夜とはうって変わって、魚体組成が悪くなった…

なんとなく、声が出ず…
操業中も普段の活気がなく、
・・・静まりかえった船上…

薄群れを回数操業となるも、漁獲は伸びない…

夜明け近くに北上し、塩屋崎沿岸で漂泊…。

4日、15時 S/B。
凪良し…。

やはり、秋刀魚が見えない…

薄群れを1回操業も、その後は調査のみ…

22時、漁灯を仕舞い北上帰途航走
女川向け。

5日朝5時頃の入港予定!

【27航海目】!

2016年12月01日 | モバイル
11月28日朝8時、気仙沼入港。

29日、水揚げ後、時化休みとなった…

今期の秋刀魚漁も、多くの船が切り揚げたようですが
本船は、30日朝5時40分・気仙沼出港!

寒さ厳しい南三陸沿岸沿いを僚船3隻と共に南下、15時 S/B。

塩屋崎沖から調査も、海水温の分布が変わり、高水の範囲が広がった…

秋刀魚が見えなくなった…

西よりに調査、日立近海で薄群れを操業…
南下…



付近には10数隻の秋刀魚漁船、南西よりに調査…

20時頃から小雨がパラツキ始めた…

止んでは降るを繰り返す雨の中、調査は続き
常磐近海を北上、塩屋崎沿岸沿いでやや纏まった群れを操業。

日付けが変わり、いよいよ暦がラスト1枚・師走となった…
漁期間はまだ残るものの、切り揚げ船も多くなって、
今期の秋刀魚漁も終漁ムードである…

そんな中、本船の12月の漁は、雨で始まった…

しかし、夜明け近くに探照灯が照す海面に跳ねる秋刀魚が見え始めた…

その頃には、雨が豪雨となって船の周りの海面は真っ白…

秋刀魚が跳ねているのも、わからないような海面となった…

…船の付近が明るくなったのは6時半を過ぎた頃だった…

豪雨の中、漁灯を仕舞い終える間際
15年以上、漁中の船上で風雨に耐えたヘルメットが海に…

・・・・今、共に乗船しているボースン(甲板長)と以前、共に乗船していて、同時期に
テープで色分けして被り始め、
幾多の大時化にも耐えさせてもらったヘルメットである…!

愛着感いっぱいだっただけに…

船は微速で北上帰途航走、女川向け!

12月1日・14時頃の入港予定。