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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【さんま漁・2航海目】!

2020年09月05日 | モバイル
8月28日、水揚げ・燃料補給後の朝8時 花咲出港凪良く公海向け…!

29日の昼頃には領海ラインを越えて公海に…

しかし、続いていた良い凪も午後になってからは、うねりを伴い北風が吹き始めた…。

沖合いの海は、風力の割に波が高くなる…
久しぶりに大きなローリング(横揺れ)を繰り返しながら沖へ…

30日昼過ぎ、次第に風は弱まったが、うねりが残る公海
微速で沖へ…

近年、秋刀魚漁船の新鋭化が進み 能力が格段に進歩、特に速力が向上したが
漁獲量減少によって公海上の遠い漁場にサンマを追う事になった。
このタイミングが不思議に思えるのは私だけか…

サンマ漁船の操業海区が遠くなり、沖出し・帰港の航走時間が長い今の時期、
ある意味 神様が学ぶ時間を提供してくれていると考える事ができる。

特に若人達はこの時間を有効に使う事で、
5年後10年後に活きてくる事が少なくない…!

現にそういう時間を貪欲に利用し、5年も待たずして
素晴らしく成長した若人を私は知っている!

勿体ない時間にせず、利用できる価値ある時間にしてほしいと私は思う…。
大漁時には多忙で、学びたくても携われない事が多いのだから…

30日・16時S/B。
一旦弱まった風が西側に回って強まった…
日没前の夕陽の方角から吹く風が、8月末だというのに
まるで11月末の季節風のようで
季節感と体内のサーモスタットがバグりそうな感覚になる公海上の北緯45°…

外国籍船が増えて、見渡す洋上の光景は激戦区のような雰囲気の日没…

その外国籍船の付近航走中、漁灯の間にイカ釣りの巻き上げ機が目視できる。
二刀流だな…。

外国籍船団、日本のサンマ漁船団、入り乱れての調査も
サンマは見えず…



19時頃からは沖よりに調査しながら航走…!

次第に風は弱まったものの波は高く、
付近操業中の大型外国籍船の揺れ方が大迫力である…!

サンマは見えず、イワシが漁灯の明かりの下を泳ぐ…

イワシを嫌って各船が北よりに調査航走…

本船は逆に南よりに調査航走…

にしても、探照灯の光の先で目視できるサンマの跳ね方が例年とは異なる…
個体数がまばらで、泳ぐ勢いそのものが弱い…

まだ群れる前の段階なのかもしれない…。

僅かな漁獲で夜が明けた…。

31日16時・S/B。
良い凪となった…。

…他船のエンジントラブルの情報が聞こえてきた…

同じエンジン・知り合いの機関長・そういう話が聞こえてくると、心苦しくなる…

遠い漁場に簿漁、漁模様が悪いと、氷や冷水の滅菌保冷、
入魚予定魚艙の冷却等が空回りとなり、
連日日暮れまでに準備を整えるのに時間を費やす。

そんな中でのトラブルは恐ろしい…。

17時少し前に日没を迎え、付近を調査。



外国籍船の隻数が更に増えた…

共にサンマを追い、時にニアミスもする…
例年なら網に入ったサンマはフィッシュポンプで吸い上げるが
今期はまだ1度しか使用していない…
それほど網にサンマが入っていない…
そういう群れとは云えないようなサンマをやむ得なく漁獲している状況である…。

そんなサンマを追って、外国籍船は操業中の網のすぐ傍まで寄せてくる…



特異な漁模様、公海上でのサンマ漁リアルがそこにある…!

操業回数が増えても漁獲は伸びない…
僅かな漁獲で夜明けとなり漂泊。

あっという間にSeptember…
例年の走り(解禁間際)とは相当異なる漁模様
月が変わってサンマの回遊が進む事を期待したい!

9月1日・16時S/B。

薄いながらもサンマが見える範囲があるが、その範囲が狭く、
そこから離れて調査航走しても操業できるサンマには当たらず、
記録的不漁だった昨年より更に、
これまでの「サンマの群れを探す」 から「サンマを探す」と
例えた方がいいレベルで解禁から10日が過ぎて、走りの時期を逸した!

9月2日・16時S/B。
今夜こそ と思いながら…!

日暮れから付近を調査もサンマは見えず、沖よりに…

沖の空の満月が、サンマ漁船の漁り火と共に海面に水彩画のような色を描く…。

外国籍船団も広い範囲に離れ、夜の水平線上の空に赤色を広げる…。

沖への調査もサンマが見えず、22時過ぎから反転 西へ…
次第に南西側へと調査範囲を拡げながら…

しかし、サンマは見えない…

23時頃から探照灯を固定、調査しながら陸よりに。

夜明けまで操業できるサンマには当たらず、帰途航走花咲向け…!

サンマの回遊を願いながら、5日朝4時頃の入港予定。