心の免疫力~書とことばから

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求めて~ by 沙於里

最後を見届ける華道

2008-07-25 | 前衛・抽象
                   書 中川幸夫   芸術の広場HPより拝借



おとといの月下美人→アラーキーの花→のつながりで、ふと思い出した
前衛華道家・芸術家の 中川幸夫さん

2002年の野外現代美術展で、舞踏家とのコラボで20万本のチューリップの花びらを
ヘリコプターから放つ「活け花」を行った模様がNHKで紹介されていて、釘付けになった。

香川県丸亀市生まれの今年90歳。
3歳のとき事故がもとで脊椎カリエスにかかり、身体が不自由になる。
23歳のとき、叔母が属していた池坊の活け花と出会い、才能を開花。
33歳のとき、白菜を生けた「ブルース」という作品がきっかけで破門になり、
九州で活け花の家元だった後の奥様、半田唄子さんと地位も何もかも捨てて東京へ。

一切弟子も取らず、キャバレーや喫茶店に花を生ける仕事だけで貧困を極めつつ創作を続ける。
キャバレーでは大体1000本のカーネーションを使うのだけど、3日でしなびてしまう。

その花を見て「この花はまだ死んでない。へたっているだけだ!」と言って、
1000本もの花をビニールに入れて背負って帰ってきて、奥さんと二人安アパートでしばし眺める。

このことをきっかけに、中川幸夫の世界が広がってゆく。

彼は、この花の命を最後まで見届けようと思ったわけ。
1週間、ビニールを密閉しておくとだんだん腐ってきて、赤い汁(血)が流れてくる。

それをあのシュールレアリスト詩人の 滝口修造 の前で、奥さんと二人で実演した作品が
「花坊主」という作品。 かなりシュール・・。えぐい。。




つまり、彼は、死に行く、血を流す、そして花の最後を見届ける華道というのを始めた人。


この写真だけを見ると、あまりのどぎつさに女性は目をそらすかもしれない。
でも、概念を崩すことで、作家のえぐるような思いを知ると、生きること、死することへの
オマージュ(敬意・献辞・賛辞)を感じる。

自分の中にも流れる、ドドドド~っていう血の流れを感じてくる。
ものすごいエネルギーを感じてくる。。

目をそらしちゃうと、感じないものもあるんだなぁ。。
ま、なにごとも選ぶのは自分ってことでんがな~ 





興味を持たれた方は、いくつかHPご紹介しま~す。

桑沢デザイン塾

「茶室 鏡の中の鏡の鏡」

作品集「花人中川幸夫の写真・ガラス・書/いのちのかたち」

あーとらんどギャラリー

アートスケープ

コメント (8)
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