心の免疫力~書とことばから

もっと暮らしに書やARTを~
雲のように水のように あっけらかんと自在に生きるヒントを
求めて~ by 沙於里

母と書

2007-10-23 | つれづれ
                  写真:母の作品~五言絶句


 
私が小学校の頃、学校から帰ると、母はよく食卓で書のお稽古をしていた。
専業主婦だった母は、倹約して半紙ではなく新聞広告の裏に何度も何度も
同じ字を練習していた。 その姿は今でもはっきりと覚えている。
楽しいのかなぁと横目で見ながら、どこかひとごとだった。

母は子供の頃から書が好きだったらしく、もう半世紀超以上・・に渡って、
子育ての合間をぬい、幾多の出来事も乗り越え、書と向き合ってきたことになる。
素直に、その才能はすばらしいと思う。
ずっとひとつことを、こつこつと飽きもせず続けられる人はそうたくさんはいない。

私はそんな母の姿を、どこかで見て感じていたのだと思う。
その証拠に、今こうして表現の違いはあっても、一緒に肩を並べて書を学んでいる。

ありがたいなぁ。 母のお蔭で今の自分がある。
この場を借りて・・母よありがとう。

母は私と違って、謙虚で努力家、勉強家。
意外と傷つき易いのに、作品はどちらかと言うと男性的で
力強く闊達でおおらか、そしてほのかに中平先生の匂いがする。

母は何度言っても信じてくれないけれど、私は母の書が大好き。
作品には母そのものが宿っているから。

けれど人も書も生きているから、日々変化していくもの。
残してきた作品はもう過去の自分。
悔やんでも、惜しんでも変わらぬ過去。

母よ、これからもお互い日々前を見て、信じて、刺激し合いながら
新しい自分を探しに行こうではありませぬか。

私たちには飽きることのない、ゴールのない書があるんだもの。


コメント (2)
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