心の免疫力~書とことばから

もっと暮らしに書やARTを~
雲のように水のように あっけらかんと自在に生きるヒントを
求めて~ by 沙於里

道法自然

2007-10-05 | 禅語・般若心経


中国の思想家、老子の
「人法地、地法天、天法道、道法自然」の最後の句。
「人は地に、地は天に、天は道に、道は自然に法る
(のっとる=手本)とす」
つまり人は地に従うもの、地は天に従うもの、天は道に従うもの、
そして道は自然に従うもの、という意味。

破綻した夕張総合病院を、立て直そうとしている医師たちがいる。
その中心は、村上智彦医師。「夕張希望の杜」としてスタートした。

なぜ破綻をきたしたのか、その原因は。
村上医師は言う。
「病院は病気だけを見て、患者の生活を見なかった」

経営優先するばかりに必要ない薬や検査を受けさせたことで
個人、市町村の負担が増え、高齢者は長期入院により
体力、気力が落ちて、要介護者が増えてしまう。
また市民も安易に病院を頼り、何でもかんでも救急車を呼ぶことで
医師の少ない病院の負担も増えてしまう。

そこで、まずは薬を最低限に減らした。
人はたくさんの薬を飲んでいるとそれだけで安心して、自分自身で
治そうと努力をしなくなるものらしい。

高齢者や認知症の患者さんは、寝たきりの一人ぼっちにしないで、
常に話しかけ、参加させ、自分でできることを増やしていく診療をする。
そうすることで要介護者にならず、また自宅に戻れるようになる。

若い頃炭鉱で働いていたという一人の男性が、長期入院でほとんど
人と話すことがなく、ことばを失い認知症となった。
けれど、希望の杜で人と接し体を動かすことで、みるみる回復し、
歌を歌い、人と話す姿を見た。

人は、もともと生きる力をもっているんだなあって思った。
けれど何かに甘えると、それさえも忘れてしまうことがあるのかも。

誰かに甘えたい時もある。私も怪我や病気にめっぽう弱い。
でも全てに甘えてしまうと、誰にも助けられない時もある。

「人は地に、地は天に、天は道に、そして道は自然に従う」

「従う」とは、「従順」という他力な意味ではなくて、
それぞれに生命力を携えて、しゃんと前を向いて歩いて行くことなのかな。







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