心の免疫力~書とことばから

もっと暮らしに書やARTを~
雲のように水のように あっけらかんと自在に生きるヒントを
求めて~ by 沙於里

天寿

2007-10-02 | つれづれ


天寿とは、天から授かった寿命、自然の寿命。

先日、スウェーデンの高齢者福祉と介護の現状を紹介する番組を見た。
認知症や介護が必要となる80歳以上の高齢者率が5.2%に達している
スウェーデンでの様々な試みは、興味深かった。

中でも日本在住のスウェーデン人、グスタフ・ストレンデル氏の活動に、感動した。
彼は日本のグループホームなどを訪れ、タクティール・ケアというものを行っている。

このタクティール・ケアとは。
タクティールとは、ラテン語で「触れる=タッチ」という意味。
オリーブオイルを使って、主に手足、背中、あるいは全身をやさしく手で触れ、
興奮状態や不安感、痛みなどを緩和するという方法のこと。

実際に、情緒不安定な認知症の患者さんにこのケアを行うと、
5分後、その方は涙を流されていた。
「なんで涙が出たんですか?」と聞くと、「やさしくされて、うれしかった」と。

「触れること」の大切さを、改めて認識した。
そしてグスタフさんは言う。
「このケアは薬を使わない、医療ではない、副作用もない、やり方さえ
わかれば、誰でもその場でできる」

うちの2匹の猫でさえ、争って撫でて~とからだを押し付けてくる。
順番に撫でている時の片やすねている顔と、他方至福の寝顔は、
人と同じ心境なのだろう。
そして至福の顔を見ている私もまた、無償の愛をもらって心安らぐのである。

天寿をまっとうするに必要なものは、何よりもこの「触れる」ことなのかもしれない。
コメント
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