心の免疫力~書とことばから

もっと暮らしに書やARTを~
雲のように水のように あっけらかんと自在に生きるヒントを
求めて~ by 沙於里

自画自賛

2007-10-12 | つれづれ


母と書道教室を始めて来年で20年になる。
きっかけは、母が郵便局主催のカルチャー教室の講師を頼まれ、
あまりの応募者の多さに、助っ人として私も参加したことから。

私はまだ書を始めて間もない頃で、それでも書くことが好きで楽しくて
仕方がなかったから、臆することもなく、70人位を前に書いて見せたりしていた。
その頃の作品を今見ると、技術的には恥ずかしくてとても見られないものも
あるけれど、どこか生き生きとしていて、楽しそう。(これも自画自賛)

カルチャー修了後も続けたいという方々と始めた教室だったけれど、母と二人、
迷い、時には傷つきながらも、やっとここまできたという感慨もひとしお。

いわゆる伝統的な書風の母と比べて、私のは荒削りで一般的に書を学びたい人の
イメージからはかけ離れていたから、面と向かって「あなたのはどこがいいのか
わからないわ」と、よく言われたものだ。

そんな風に「叱咤激励」されても、不思議と悔しさや焦りはちっとも感じなかった。
「いいの、いいのよん」って、心はニコニコしていた。
それはきっと、自分が好きな世界がはっきりとあって、それを信じていたからかな。

謙虚が美徳の日本人からしたら、半紙のお手本を書きながら「いい感じ!」って
自画自賛する私の姿は、なんとも滑稽に見えていたかもしれない。

でも、夢中になれる、ということは最大の才能であり、たとえ他人から見たら
理解できないことであっても、本人にしたら何よりもの喜びなのだ。

「我ながら、なかなかいいんでない?」と、自分を褒めて自分に惚れる、
そして好きなことを信じて、やり通して生きていけたら、しあわせっ。

20年かかったけれど、今は私と一緒に自分らしい表現を探している人が
ちょっとだけ増えて、うれしい。
コメント (2)
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