心の免疫力~書とことばから

もっと暮らしに書やARTを~
雲のように水のように あっけらかんと自在に生きるヒントを
求めて~ by 沙於里

一念通天

2007-10-17 | つれづれ


ただひたすらに、祈る心を持っている人が羨ましいと思うことがある。
人の目を気にせず手を合わせ、何かのために、誰かのために、
真摯に信じて祈る姿は美しいなぁ・・。

以前、縁あってだるま市のお手伝いをさせて頂いたことがあった。
縁起物のだるまを買うと、魂を入れる儀式として火打ち石でお清めしながら
威勢良く「よよよいっ よよよいっ よよよいよいっ」と声をかけてくれる。

師走のある日、その日もだるまを求める人でにぎわっていた。
一人の年配の男性が小さなだるまを買って、代金を渡してすぐに
おつりをお財布に入れる間もなく、その儀式が始まった。

すると男性は大慌てで被っていた帽子を脱ぎ、おつりを持ったまま
大事そうにだるまを抱え、頭を下げてじっと何かを祈っていた。

人々の喧騒の中、ふと目にしたその光景に、思わず涙が出ちゃった。
人間がいとおしいと思った瞬間だった。

それまで私は、真摯に手を合わせる姿を見られるのが、どこか照れくさかった。
それはたぶん、心がざわついていて自分から離れていたからだと思った。

一念通天。
なんて美しいことば。
そしてなんて清々しい心なんだろう。

十月も中旬、今頃だるま屋さんは年末年始に向けて大忙しの季節に突入だ。
誰かの祈りや願いを見守るだるまさんにも感謝をしつつ、
それぞれに一念通天を信じませう。

コメント
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