『捜索者』1956年製作、公開アメリカ映画 2016年2月23日
昨晩は、のんびり映画を観たよ、もう、何回観たかね? ジョン・ウェインの『捜索者』 ジョン・フォード監督作品だね。
奇岩のメサが聳(そび)える広大な西部、懐かしい古き良き時代の西部劇。この監督の映画独特だよ。
この映画のジョン・ウェインは、いつもの温厚な雰囲気の男じゃなく気性荒々しく執念深い男を演じて出色(しゅっしょく)だね。
尤も、ジョン・ウェイン自体が醸し出す人間性ってのは変わらない。いい男だね。
インディアンと白人娘との混血青年マーティンを演じてるジェフリー・ハンターがいい。何度か観たころから、いいねって思わせるよ。
映画の本筋からは、外れた役なんだけど、マーティンを幼い頃から慕ってる娘ローリー役のヴェラ・マイルズが華になってるね。
もう、この映画に出てる主だった人は、ヴェラ・マイルズを除き、皆、亡くなってるんだけど信じられないよ。みんな、オレより元気だよ。
『ジョン・ウェイン』
『ジェフリー・ハンター』
『ナタリー・ウッド』
『ワード・ボンド』
『ヴェラ・マイルズ』
1868年、南北戦争が終わって3年後のテキサス。南軍に従軍していたイーサン(ジョン・ウェイン)は数年ぶりに故郷の兄の家を訪れる。
兄のアーロン、兄嫁のマーサ、ルーシーとデビーの姉妹、長男のベンが迎える。
おしゃまなデビーを抱き上げて「おおきくなったね」って喜ぶイーサンは、長い戦争と放浪の日々の疲れを癒す。
『イーサンを迎えるマーサ』
『イーサンの兄の家族 左からデビー、マーサ、イーサン、アーロン、ルーシー、ベン』
『デビーとイーサン』
『イーサン、ルーシー、デビー』
皆が食卓を囲んでいる時、アーロンに家族同然に育てられたインディアンと白人娘との混血児マーティン(ジェフリー・ハンター)が
出先から帰ってくるんだけど、インディアンに強い憎しみを抱くイーサンは偏見の顔を隠さない。
程なくして、テキサス警備隊の牧師のクレイトン大尉(ワード・ボンド)が、牛泥棒の捜索に向かうのでアーロンに応援の要請に来る。
『イーサンと兄嫁のマーサは好き同士だったようだね』 牧師のクレイトン大尉は、それを薄っすらと感じ取ってる様子
『イーサン等を見送るマーサとデビー』
イーサンは「兄貴は家に居ろ、オレが行く」マーティンも同行、盗まれた牛の奪還に向かう。
警備隊は、40マイル(約64km)を進んだ処で殺されて放置された牛の死体を発見する。牛に突き刺さった槍は、コマンチ族のものだった。
彼らは、警備隊を遠くへおびき寄せるためのコマンチ族の罠だと悟って慌てるんだね、
牛を盗られた牧場主の家が標的なのか、アーロンの家か、いずれにしても危機が迫ってる。
クレイトン大尉は、まず、牛泥棒に遭った家へ向かって、その足でアーロン宅に廻ることを告げて引き戻す。
マーティンも我が家(アーロン宅)に急ごうって逸るが「40マイルも駆けて来た、馬を休めないともたない」 イーサンが制するのも聞かず
マーティンは一人引き戻すべく馬を駆る。気付くのが遅すぎた。イーサンは、嫌な胸騒ぎに襲われる。
アーロン宅に程ない処で、案の定、馬を失ったマーティンが鞍を引きずり歩き往くのを追い越してイーサンは全速で駆けていく。
丘の上に出て不安は的中していたんだね。彼方、アーロン宅から火が上がっている。ライフルカバーを払い落としてイーサンが丘を駆け下る。
『なんてことだっ、遅かったっ』
『イーサンは、ライフルの銃袋を払い落として丘を駆け下りて行く』
『マーサの着衣を手にイーサンは小屋を覗き見て呆然とする』
兄の家族はコマンチ族に襲われて虐殺され、生き残ったルーシーとデビーの姉妹も連れ去られてしまうんだね。
遅れて駆け付けたマーティンが家の中へ駆け入ろうとするんだけどイーサンが制止する。聞かないマーティンをぶん殴る。「見ちゃあいかん」
イーサンは、兄の家族の復讐のため、そしてコマンチ族に誘拐された姪たちを救出するために捜索の旅に出るのだった。
捜索の道中、残忍なコマンチ族が現れるんだね。この映画の見せ場だね。テキサス警備隊が進む両サイドを隊列を組んだコマンチ族が並行して進む。
イーサンの兄家族を虐殺した奴等だね。先頭のクレイトン大尉が「遅れるなよ、合図をしたら突っ走れ」
両サイドからじわじわと間合いを詰めて迫って来るんだね。もう、限界、「突っ走れっ」
激しい銃撃戦を交わしながら川向うに向かって警備隊は走る。猛追するコマンチ族。景観が凄いから、尚更、迫力あるね。
渡河して迎撃態勢をとり応戦する。河を挟むと馬のスピードが落ちて狙い撃ちの的だね。
劣勢になったコマンチ族が引き上げる。それでもイーサンは、狙い撃ちして射撃をやめない。「やめろっ」クレイトン大尉が制止する。
なんで止めるの? この時とばかりにオレでも撃ち倒して数減らしに没頭するけどね。追いかけられてる時なんかに撃ち返さない。
ただ只管(ひたすら)におもくそ逃げることに専念するよ。振り返って撃ってる間にスピードが落ちる。
向こうが不利な時に全力でやっつける。「なんか卑怯な感じやね」 そんなこと云ってるから調子に乗りよるんだよ。
イーサンも怒ってるよ。こんな時に人道的も糞もあるか。ゴキブリ殺しだよ。兄貴や義理姉、それに甥を惨殺されてんだぞ。
『ブラッド(ハリー・ケリー・ジュニア) マーティン(ジェフリー・ハンター) イーサン(ジョン・ウェイン)
イーサンは単独で捜索するって怒る。クレイトン大尉は、負傷者が出たので連れ帰らねばならない。
イーサンは、これ幸いと本隊と別れて、マーティンとさらわれたルーシーの婚約者ブラッドの三人でコマンチ族を追跡する。
やがて、コマンチ族が二手に分かれた足跡に出くわし、イーサンらも二手に別れて追跡するんだけど戻って来たイーサンの様子がおかしい。
「なにかあったのか?」マーティンやブラッドが気遣うが、「なにもない」 イーサンはとりあわずに追跡をはじめる。
実は、イーサンは、ルーシーの惨たらしい遺体を発見して、その亡き骸を自分のコートに包んでひっそりと埋めて来たんだね。
それから暫くして、コマンチの集落を偵察して帰った来たブラッドが、恋人の「ルーシーが居た」って、安堵してる。
マーティンが 「デビーはっ?」 「デビーは解らない、ルーシーの青い服を見た」 黙って聞いていたイーサンが 「それはルーシーじゃない」
「ルーシーは、もう、この世にはいない」 「でも、確かに青い服を」 「殺した奴が着てるんだろ」
ブラッドは、それを聞いて、「あの時、あんたは見たのか?」って絶望して自暴自棄になってコマンチ族のテントに突っ込んで行き撃たれて死ぬ。
イーサンはマーティンと共に何時果てるとも知れないデビー救出のための追跡の旅を続ける。それは長い旅の始まりだったんだね。
そして、年月は流れ6年後、コマンチ族に物資を売買する男の仲介でコマンチ族の酋長に出会う機会を得る。
闇売買の商人に身をやつしコマンチ族の集落に行った二人は、アローン家族を虐殺したあの酋長と対面する。
酋長のテントの中で大人になったデビー(ナタリー・ウッド)を見つけるが何も手出しが出来ない。しかし、デビーの生存を確認できた。
コマンチ族の集落から出て、仲介した男は、イーサンのただならぬ雰囲気に、今後は一切関わらぬと言って去って行った。
其処へデビーが砂丘の斜面を走り来て 「もう来ないで」と哀願する。
インディアンに染まったデビーにイーサンは逆上して殺そうとするがマーティンがそれを許さない。「やめろっ」
誰も助けに来なかったことで、すでにデビーはコマンチ族の娘として生きて行く覚悟をしていたのだった。
それがまたイーサンの怒りを買った。「もう、デビーは白人じゃない、インディアンだ」 その時、空を切って飛来した矢がイーサンを射抜く。
そこへ、酋長率いるコマンチ族が大挙して襲って来る。二人は、馬を駆って逃走、態勢的には有利な洞窟に身を伏せ迎撃、これを撃退する。
「デビーはインディアンだ」「それでも死んでるよりはいいっ」「酋長のテントでデビーが見せた槍に括られた頭髪の皮を見たか?」
「それがどうしたっ?」「おまえの産みの母親のだ」 マーティンは言葉を失う。やがてイーサンの傷が癒えた頃、二人は久しぶりに故郷に戻る。
長い間、待ちくたびれたマーティンの恋人ローリー(ヴェラ・マイルズ)が別の男性との結婚を決めて結婚式が開かれるところだった。
マーティンは呆然。花婿とマーティンは殴り合い。挙式の牧師を務めるクレイトン大尉が揉め事の間に入って収める。
そして花婿は、諦めて去って行った。男らしくてあっさりしてるね。ローリーは、自分を取り合い殴り合う二人を見て喜んでんだね。
この映画のローリーの存在がいいね。「どう、ええねん?」 怖い事件からかけ離れて、一人バラ色なんだよ。
『マーティンの下手な手紙が年に2回程届くだけで、6年の長い間、じっと待ち続けるローリー(ヴェラ・マイルズ)』
『マーティンの手紙の内容を誤解して打ち沈むローリーに、ギター弾きながら云い寄る気持ち悪い男』
式はご破算して一段落する。その時に騎兵隊からグリーヒル少尉(パトリック・ウェイン)が伝令としてやって来て、
コマンチ族の動向の情報が入り騎兵隊のコマンチ族掃討への協力要請を伝える。先程までの浮かれ気分が一気に緊張感に変わり、
取り急ぎイーサンもクレイトン大尉らも共に行動してコマンチ族のテントを騎兵隊と共に一気に急襲することとなった。
警備隊は、コマンチ族がテントを張る場所が見下ろせる崖の上に到着、しかし、合流すべき騎兵隊の到着が遅れているため
警備隊だけで急襲することになる。急襲を前に「デビーを救い出す」と云うマーティンに、「我々は、君を撃つかもしれないぞ」とクレイトン大尉。
「構わない」 引き下がらないマーティンは、単身、闇夜に乗じてコマンチ族のテント群の中に忍び込みデビーを見つける。
其処へ現れた酋長をマーティンは射殺する、間髪、イーサン、クレイトン大尉率いる警備隊が突入して来るんだね。夜襲に慌てるコマンチ族ども。
イーサンは、酋長のテントに馬ごと突入、死んでいる酋長の頭の皮を剥ぐ。「恨み深し野蛮人め」って、こんなのをするジョン・ウェインも野蛮人。
テントを出ると銃声鳴り響く混乱の中、デビーが逃げていくのを見て追いかける。「やめろっイーサン」って阻止するマーティンを蹴散らして行く。
インディアンを憎悪するイーサンは、馬を駆って、逃げ往くデビーを追う。「やめろっイーサン」マーティンが追う。
デビーは急斜面を転げるように逃げる、イーサンは、其処を騎馬のまま駆け下りる。追いつかれて倒れるデビーに下馬して歩み寄るイーサン。
イーサンが、昔、兄宅で喜び慕う少女だったデビーを抱き上げたように彼女を掲げ上げる。
身を固くして震え慄くデビーに、「Let's go home, Debbie. 」(家へ帰ろう」) デビーは、イーサンの胸に顔を埋めるんだね。
青空の下でイーサンの馬に乗ったデビーの姿を見て、故郷に帰ってきたことを喜ぶローリーの家族が彼女を暖かく迎える。
6年間一緒に行動したマーティンは、恋人ローリーと抱き合い家の中に入っていく。
皆が家の中に入って行くのを見送り、イーサンは、独り、去って行くんだね。
ジョン・フォード監督の映画は、何度観てもいいなあって思えるんだね。筋運びは単純なんだけど人の思いってのかね、
そんなのを深く感じさせてくれるんだね。心の機微を優しく紡いで映像化してるように思えるよ、
大西部に生きた人々の人生を謳いあげて、其処に眠る多くの魂を安らげてあげるような温かさを感じるようだよ。
ジョン・ウェインは永遠だね。
1979年6月11日、夕刻5時23分、ジョン・ウェインはこの世を去った、72歳。
人は、命尽きれば魂はあの世に召されるって云うけれど、ジョン・ウェインの魂は、昔懐かしい大西部に息づいてんじゃないかねえ?
The Searchers: John Wayne returns to his family's homestead.
Let's go home, Debbie.
『ヴェラ・マイルズ』
「久しぶりに貼りまくっちゃったね」 暇に飽かしてやっちゃったね。これが意外と時間も食うし疲れるんだよ。もうええわ。
見直しは、また今度、間違いはご容赦頂戴。「なんやねん」 しんどいねん。
後日、見直して間違ってるところを訂正してたけど、オレって、いつまで経っても「ジョン・ウエィン」って書いてしまうね。
ホントは、「ジョン・ウェイン」なんだね。
何十年間、同じ間違いを通して立派なもんだよ。「何処が立派やねん、恥ずかしいの~」 全然。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます