カメレオンの独り言

当分は漫ろ言の漫ろ歩き、頭に浮かんだ事柄を挿絵と写真と下手な文で綴ります。色々と間違い多いですがご容赦を。

カメレオンの独り言-1067 『映画 戦場の十字架 タイム・オブ・ウォー Passchendaele』

2014年03月04日 | 日記







 明日(3/4)の分です。









 『パッシュンベールの戦い』









A TIME OF WAR 『タイム・オブ・ウォー 戦場の十字架』 2008年度 カナダ映画とは珍しい。

ツタヤなんかで戦争もののDVDを区分けして未公開の作品を並べてる棚があるね。

観たら、騙されたなんてのが多いんだけど、オレは、第一次世界大戦を背景にしてる映画に手が伸びるんだね。






此の映画も、勝手に手が伸びて借りたの。まだ、近代的な武器が揃っておらず、肉弾戦が主な戦いとなる時代だね。古きよき時代と云うんかね?

貴族出身の高級将校と兵卒の境遇が歴然とした格差の臭う時代背景、後ろに向って発射したろかと、思ってしまう戦場だね。

突撃したら面白いようにコロコロ撃たれて死んでいくんだね。堵殺場だよ。






戦場の雨にぬかるむ泥の中に自分の人生の物語とともに命を落として還らぬ人たちの無念はいかばかりかね。

敵も味方も人間同士、オリンピックだったら手を取り合って笑顔の交流ができる仲なのにね。それは見せ掛けなのか、本心のなせる業なのかね?

愛情と憎しみが短絡な仲なのだろうかね? つまり、互いが奥底まで理解できない浅く広くの仲で成り立っているんだろうね。

































機銃掃射を受けて仲間が弾き飛ばされる。身動きできない状況に軍曹は白旗を銃に縛って歩み出る。

武装解除をする部下が手榴弾を手にしたことから機銃掃射を受けて跳ね飛ばされる。生き残った軍曹は、手榴弾で敵の銃座を破壊して突撃する。

銃座には、敵の若者が負傷して生き残っている。銃剣を突きつけられて若者がなにか話しかける。仲間がボロボロに殺された。












































カナダ映画もなかなかのもんだね。描写力も相当のもんだね。役者さんは、流石に馴染みはないけど芸もしかっりしてるよ。

殺さなければ殺される。仲間を殺した奴を殺す。殺されたから殺し返す。恨みの連鎖だね。

笑い合える仲でも引き金一つで憎しみ合う仲となる。信頼の喪失だね。戦争の戦争たる初っ端は、此れだろうかね?










































この戦いは多くのカナダ軍犠牲者を出したことでも知られている。物語は、あるカナダ人軍曹と野戦病院看護師の恋愛を描いてんだね。

郷里の風景の中、二人が語り合うシーンは、美しく描かれていたね。

軍曹の恋人は、ドイツ系移民で郷里で差別的迫害を受けている。その弟は、カナダ人として義務を果たすべく出征する。







軍曹は、恋人に弟は自分が守ると約束するんだね。







第一次世界大戦の西部戦線 "パッシェンデールの戦い" が舞台になってる。1917年7月末から同年11月まで続いた。

戦闘はイギリス、カナダ、南アフリカ等からなる連合国軍対ドイツ軍の間で戦われた。戦場となった地域の大部分は元は沼沢地で雨が無くともぬかるんでいた。

此の映画では、当時の戦場となった沼地を広大にリアルに再現している。







イギリス軍による極めて大規模な砲撃は、この脆弱な地表を引き裂き、8月以降の大雨と相俟って、当時発明されたばかりの戦車ですら

通行不能な底無し沼を至る所に作り出した。このために無数の兵士を溺死させることになった。

これに対しドイツ軍は、連合国軍の砲撃にもよく耐える整備された塹壕と、相互に連携したトーチカ群に拠って防衛戦を維持できた。







最終的にパッシェンデールはカナダ軍により占拠されたが、連合国軍の損害は約45万人に及び、一方、ドイツ側の損害は26万人であった。

本作の原題は、この戦場の名を使ってるね。オランダ語で『パッシェンデール Passchendaele』となっている。

















此の映画を観てから、だいぶん時間が経ってしまったので底儚い記憶を頼りに書いている。「それがどないしてん?」 ちょっと自信がない。

「好きな第一次世界大戦の映画やねんやろ? 覚えとけよ」 すまん。自信をもって記憶が危ない。

しかしながら、本作は、パッシェンデールの戦いをリアルに再現していることは認めてもいいよ。


















































この作戦の全期間を通じて地表状態は最悪だったらしい。絶え間のない砲撃は排水用の用水路を破壊して季節外れの大雨と重なって、

付近一帯は泥濘(でいねい)と満水の砲弾孔(炸裂してできた大穴)で覆い尽くされた。危険と判断された地帯には泥の上に通行用の板が渡されるなどしたが、

当時の兵士が帯びた装備は約45kgにもなり、足を滑らせて砲弾孔にでも落ちればそのまま溺死する危険があった。本作にも見受けられたね。






辺りの樹木は葉も枝も吹き飛ばされて幹のみとなり、埋葬された戦死者の遺体は雨や砲撃で掘り返されてしばしば地表に露出したという。





























昔、『ブルーマックス』って映画があったね。ドイツの撃墜王(ジョージ・ペパード)を描いていたんだけど、空から地上部隊を支援するシーンがあった。

僅かに挿入された地上戦のシーンだったけど広大な戦場を突撃するドイツ軍を捉えてリアルだったね。

本作は、未公開ながら軽薄に流れることなく、手を抜くことなく戦争映画を完成させているよ。










































相応が、泥沼の中で白兵戦で戦うシーンも壮絶だね。実際、小銃と機関銃は泥で作動不良を起こして白兵戦に至ることがしばしばあったという。

弾丸に任せて相手を倒すのと違い、我が手で相手を殺した実感は恐怖だろうし、故に狂うような自分が其処に居るだろうね。

殺して殺して殺しまくらねば、自分が殺される番がくる。狂気以外存在しない時間だね。




































恋人の弟が、戦場を突っ走り過ぎて敵の塹壕に飛び込んでしまう。敵の将校が銃を向けた瞬間、砲弾が炸裂する。























弟は、破裂でまくれ上がった床の板と鉄条網に絡まって、あたかも十字架に貼り付けられたよう姿で戦場の沼地に掲げ上げられる。

軍曹は、携帯する装備を解き外し単身飛び出して行く。ドイツ軍の射撃の中、ドイツ塹壕のまじかで胸を撃たれて倒れるが渾身の力で起き上がる。

ドイツ将校が射撃を制止し、部下に十字架を抜き取る手伝いを指示する。
















負傷した身体で、恋人の弟が絡まったままの十字架を背負い味方の前線に向って戻る軍曹の姿は、

人間の愚かを一身に背負いゴルゴダの丘に十字架を背負って登るキリストの姿とダブるね。泥沼の戦場が、一時、静寂に戻るんだね。




























実戦に参加した従軍兵士が、戦場で、このような十字架に張り付いた死体を見たと云う多くの証言から構想したらしいね。




























野戦病院に運ばれた軍曹は、看護婦の恋人と再会、弟の無事を告げて息を引き取る。












『タイム・オブ・ウォー 戦場の十字架』 予告篇












西部戦線 パッシェンデールの戦い ドイツ VS イギリス Battle of Passchendaele













1917年11月10日、パッシェンデールは連合軍の手に落ちた。









 『実際のパッシェンデールの戦場』









しかしながら、1918年3月21日、ドイツ軍による大攻勢であるミヒャエル作戦が始まり、

ドイツ軍は、約9.6km前進し、連合軍がパッシェンデールで獲得した土地をほぼ全て奪回した。

これは、連合軍が450,000人の損害と5ヶ月の時間を費やして得た土地が、僅か3日で失われたことになる。











『実際のイギリス軍による爆破作戦で破壊されたドイツ側陣地』







此のパッシェンデールの在るイーペル突出部は、元々「大作戦を仕掛けるほど戦略的に重要な地域ではなかった」と、多くの歴史家達が指摘しているんだね。

泥沼を走り、這い進み、血と涙の混じった泥水に沈んで死んだ45万人の人々は、どう、納得すればいいんだろうかね?



































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