脳腫瘍の夫と共に

2010年4月グリオーマと診断された夫との手探りの日々…

元日に・・・

2016-01-11 21:32:09 | 私の思い 3
1月1日のこと

初詣をすませて
いただいた年賀状のお返事を投函するために
市街地まででかけた。
山の中の我が家から市街地の郵便局までは約15分。
途中
路線バスをみかけた。
夫がいなくなってから
当時勤めていたバス会社が撤退し
この付近の路線は地元のバス会社が引き継いだ。
夫が元気だったら
夫も会社を変わらなければならなかっただろう。

路線バスは当然のことだが
お盆もお正月も関係なく
年中無休だ。

夫は転職して1年8か月で発病した。
最初のお正月のことはあまり覚えていない。
2度目のお正月は
年末に「軽い脳梗塞」と診断され
仕事を休んでいた。
あのとき、夫の体内にはすでに病魔がいたのだ。
でも
そんなことも知らず
呑気にお正月を祝った。

でも
もし、健康でずっと勤めていたら
夫はお正月休みとは無縁になっていたことだろう。
元日の習わしとも無縁になっていたことだろう。
そうしたら
娘に伝える元日の風習は薄れてしまっていたことだろう。

元日に路線バスを見て
ふとそんな思いにかられ
元日の風習を娘に残せてよかった、
夫もそんな過酷な勤務から解放されてよかった、と
そんな思いが込み上げてきて涙があふれた。

19歳の年から
家族を養い
家長として
ずっと働き続けてきた夫
いまは
そんな重荷から解放されて
楽になったんだね、と思った
元日に働かなくてもよくなったんだね、と
その事実に
少しだけほっとした。