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やまぐち建築設計室ホームページ
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※二世帯住宅設計間取り事例
暮らしのテイストやカタチには
様々な選択肢がありますよね。
暮らす場所、暮らし方、暮らしの種類・・・etc。
例えば選択肢の一つとして
2世帯(二世帯住宅)。
家族みんなが一緒で幸せに暮らせる、
とても素敵な暮らし方ですよね。
※建物断面プラン図
少子高齢化社会の今、
それが実現できるなら、
とても幸せなことだと言えるかも知れません。
ただし、「二世帯住宅を造れば幸せになれる」
と考えるのは大間違い。
「こんなはずじゃなかった」と悩む人、
「結局別居した」人がいるのも事実です。
そんな事になるくらいなら、
別の家で暮らすほうがはるかに幸せですよね。
では、どうすると失敗してしまうのか?
という事を情報として
考えておく事も大切だと思いますよ。
幸せな2世帯住宅(二世帯住宅)を計画するために。
「二世帯住宅」という言葉の出現と
「家族」の形の変化は昭和の中ごろ・・・・・・
それまで、
二世帯以上で暮らすのは、
特別なことではありませんでした。
「同居」という形です。
子供のうちの誰かが結婚後に
親と暮らすのは「当然のこと」と考えられていました。
「家」という言葉は建物ではなく、
「家系」を意味していたところが大きいところ。
「家長」が一番で、
その後に家族が続いていたイメージ。
子供が結婚して一緒に住んでも、
基本的には「一世帯」。
では「二世帯住宅」という言葉はどういうことなのか?
調べてみると(1975年 昭和50年)頃。
この時期は、日本が高度成長期から安定成長期に代わる頃で
その頃には核家族化が進み、
親世帯と子世帯は
別々の家で暮らすようになっていました。
「家族の形」が激変した時代。
その後、土地価格が高騰し、
共働きが増え、高齢化社会となり、
諸々の条件が合わさって
便宜上「二世帯住宅」が増えていきました。
二世帯住宅を選ぶ理由を考えてみると、
以下のようなものが上がってきます。
親世帯側から見ると、
子育ての力になってあげたい・・・・・。
大家族で暮らすほうがなにかと安心・・・・・。
逆に子世帯側から見ると、
子供にとってよい・・・・・。
広い家に住める・・・・・。
親世帯、子世帯共に
経済的である・・・・・。
あとは、いざという時安心
家が大きいからリフォームすれば二世帯で住める
家が古いので建て変えるなら二世帯もありかも?
ということろ。
二世帯住宅(2世帯住宅)を
選ぶ理由は、どれもよいものばかりです。
親は子を、子は親を、思いながら
考えています。
多くの人はそう思っています。
でも、親にも子にも、それぞれ「本音」があります。
例えば、
子世帯の本音として・・・・・。
親の家に住む(家を建て替える)なら、
土地代がかからなくて済む
保育園に送り迎えしてもらえる
子供が病気など緊急の場合にはみてもらえる
大きな家だから見た目もいい
なにかと援助してもらえそう・・・etc。
親世帯の本音として・・・・・。
孫がそばにいてうれしい
自分では無理だけど子供が家を新しくしてくれる
若い人がそばにいるから安心
体が悪くなった時にはみてもらえる・・・etc。
上記は、あくまで想定ですけど。
二世帯住宅を考える人が皆、
こんなことを考えているという訳ではありません。
でも、そういう視野を持っているという事です。
そして、そこから、
うまくいかなくなる理由では、
二世帯住宅で出てきやすい不満点。
生活音がうるさい。
生活の時間帯が違うので音が気になる。
子世帯、親世帯共にある内容も多いかも知れませんが
親が子供を甘やかす(子世帯)
お金の負担が不満(親世帯・子世帯)
余計な干渉をされる(親世帯・子世帯)
価値観が違うのに無理やり勧める(親世帯・子世帯)
うちのやり方はこうだからと押し付ける(親世帯・子世帯)
自分達の都合で子供のことを押し付ける(親世帯の不満)
顔も出さない(親世帯の不満)
実際には・・・・もっともっとあると思います。
本音と合わせて
共通しているのは何かわかりますか?
それは「自分視点」もしくは「自分都合」で考えている、
ということです。
家ができるまでは、
親も子も、自分にとっての
楽しみな生活を思い描いています。
でも、「二世帯住宅」の暮らしが始まってみると、
自分以外の人の暮らしが
「そこにある」現実に気付きます。
そして「こんなはずじゃなかった」と思い始めます。
いったい何がいけないのか・・・・・。
「二世帯住宅」は「二つの世帯」が一緒に住みます。
「二つの世帯」とは「別々の世帯」。
はっきり言えば、「別々の家族」なんですよね。
親と子ではあるけれど「別」なんです。
子供(夫婦)の家族は「自分達の暮らし」を作ってきました。
子世帯には、子世帯の暮らし方があります。
一方、親は、子供達が家を出た後、
「夫婦の暮らし方」をある意味
試行錯誤しながら作ってきた状態。
子供がいた時とはもう「違う暮らし」なのです。
二世帯住宅での同居を考える時、
親も子供も、別々に暮らすようになってからの期間。
その重要な期間の事をすっとばし、
以前の「家族の形」を
繋げてしまうことがあります。
親は、子供を、独立する以前通りの
子供としてみています。
「親の自分が正しい」、
「自分の言う通りにすればうまくいく」、
「自分達はこうしてきた」。
ついつい、このように
思い込んでしまうことがあります。
失礼があるかも知れませんが、
子供は子供で、
親に甘える気持ちがあります。
「親なんだからしてくれて当然」と
思ってしまったりするのです。
二世帯住宅(2世帯住宅)が
うまくいかなくなる根本原因は、
親と子が「別々の世帯」だということを
理解していない点にあるんです。
二世帯住宅の考え方とは、
別々の暮らし方をしてきた二つの家族が、
同じ家で生活するのだと
考えたほうがよいのです。
当たり前の事なのですが
ついつい本人たちにしてみれば
忘れがちな部分・・・・。
極端な言い方をすれば「知らない家族」と
一緒に住むつもりで考えなければいけません。
親も子も、それぞれが独立した別の世帯であることを、
理解し、尊重し、認め合うことが必要です。
また、何ごとも相手に依存せず、
当然と思ってはいけません。
相手には都合があることを踏まえるべきです。
そして、協力はするけれど、
自分を犠牲にしないように・・・・・。
「自分の家(土地)に住まわせてやる」
「一緒に住んでやっている」、
「お金を出してるのは自分だ」などと
考えていたのでは、
理解も尊重もなく「反感」が生まれます。
「具合が悪くなったらみてほしい」(親)、
「仕事でどうしてもダメな時は子供をみてほしい」(子)。
これはお互い様ですよね。
「してくれて当然」という態度では
腹が立ちます。
相手にも都合があるのに「してくれる」のです。
「ありがたい」と思わなければ
良い意味での関係が続きません。
基本は、それぞれの家族が
自立して暮らしていくことです。
でも、思いやることをせず、
手助けもしてあげない状態だとしたら、
「二世帯住宅」である意味がありません。
二世帯住宅で暮らす話が持ち上がった場合、
やってはいけないことをあげてみます。
覚悟がないのに二世帯で住むことを決めるという事。
「親に言われたから、一緒に住む」という状況です。
二つの自立した家族が助け合わないといけないのに、
自分自身が(精神的に)自立してないことになります。
それではなかなかうまくいきません。
子世帯夫婦が、夫婦間で納得できてないのに、
強引に話を進める夫、妻、
どちらの親と暮らすことになるにせよ
相手には覚悟が必要です。
それまでの気ままな暮らしではなくなるからです。
場合によっては、
子供の学校や環境が変わりますし、
共働きであれば
通勤が大変になることもあります。
それは思っているよりも
大変な問題です。
それらを含めて納得するのがとっても重要です。
お互い相手の気持ちを聞き
思いやることが必要です。
やるべきことは話し合う事。
親と子、それぞれの夫婦でこうしたいな
という気持ちを遠慮しない事
そして、相手のことを決め付けない事。
暮らし方のルールを決める事。
お金について分担をはっきりさせる事。
親子だからこそ場合によっては
容赦なく感情をぶつけ合うことがあります。
相手を思うからこそ
強い言葉も出てしまう事も有ると思います。
冷静な会話ができないと「本当の気持ち」を
理解し合うことが困難になることがあります。
ここで書いたことが、
すべて家族にも当てはまるわけではありません。
親子の関係がぎくしゃくしていても、
なんとなく納まっている家もあります。
話し合うことは絶対に必要ですが、
話し合うのも簡単ではありません。
世の中に、
完璧なマニュアルはありません。
完璧を求めず、
ひとつひとつ考えながら丁寧に
その環境を作り上げていくしかありません。
ただ、絶対に「考えて欲しい事」があります。
それは、お互いが
「自立した家族」であることを認めること。
親は、子供のために生きているのではなく、
自分の人生を生きています。
子供は、いつまでも小さい頃のままではなく、
社会の中で自分の家族とともに生きています。
それをお互い「認める」ことなくして、
理解は生まれないと思いますよ・・・・・。
二世帯住宅を作れるという状況は、
とても恵まれています。
「一緒に住める」のは本当に
幸せなことです。
ぜひ、笑顔で暮らせるよい家を作ってください。