奈良県の建築家が日々思う設計事務所の家づくり日記、住まいの設計や住宅設計、注文住宅、注文建築、暮らしの事、収納の事

住宅の設計・リフォーム、暮らしのデザイン提案を家具や生活習慣まで丁寧に考えています。

暮らしを継ぐような家の存在、空き家の問題も色々な側面があります、古民家も大切な資産だし活用も考えるべきですが、街並みに存在する中古住宅という存在と暮らし、建築士・建築家の観点から。

2023年10月24日 | 家 住まい 間取り プラン

 

「中古住宅」という価値のゆくえ。

※リフォーム・リノベーション着手前(ビフォー)

 

※リフォーム・リノベーション着手後(アフター)

 

時代の潮目は

明らかに変わってきたと思います。

 

日本の人口は2008年を境に

減少し市場は停滞して、

もう右肩上がりでの

全体的な成長社会では

無いことは分かっている事。

※リフォーム・リノベーション着手前(ビフォー)

 

※リフォーム・リノベーション着手後(アフター)

 

住宅戸数も、

供給過多で随分前から

余剰住戸は増え続け、

空き家の数は年々増え、

いまや800万戸を超えています。

※リフォーム・リノベーション着手前(ビフォー)

 

※リフォーム・リノベーション着手後(アフター)

 

空き家についての

放置問題も

大きく取り上げられるようになりました。

 

しばしば指摘されるように

日本の住宅寿命は極めて短く、

住宅の築後

平均経過年数は30年程度といわれています。

 

そうではない家もあります

ですが・・・大半は。

 

日本経済が元気だった頃は

古くなったら

壊して新しい家を建てる事が

良いこと、

正しいことのようになってましたが

僕たちの目からみれば

そうではないのですがね・・・・・。

 

環境共棲時代の昨今、

今あるものを活かし、

長く使い続けることに

価値観を見出す時代が

やってきたのは

言うまでもありません。

 

でも、

リフォームや増改築、

リノベーションに対する考えや

意識はまだまだ過渡期であって、

建築家・建築士をはじめとした

クリエーター・技術者と

「建築業者」と住まい手の

思いや考え方には、

まだまだ隔たりがあるというのが

実情ではないでしょうか?

 

一方で古民家再生、

町家の利活用などというのは

一種のブームみたいな感があり、

それを自身の設計や施工(工事9の

ライフワークのように

位置づける設計者も多くいます。

 

古民家の再生や

町家利活用はもちろん、

とても大事なことです。

 

しかしながら皆が

古民家だ、町家だという建築の数は

やはり数少ないのです。

 

よく見かけ、

色々と見落とされているのは

そうではない、

いわゆる「中古住宅」。

※リフォーム・リノベーション着手前(ビフォー)

 

※リフォーム・リノベーション着手後(アフター)

 

これをどのように捉えるかが

重要なカギになるように

思えてなりません。

 

戦後、高度経済成長期に

床座から椅子座に変わり、

和室が減り洋室が増えたことと同義、

続き間が減って

個室が増えた時代に

多く建てられた家々。

 

それらの中には

どうしようも無いバラックや、

建てて売れたらハイOKというような

安易な建売り住宅もあるでしょうが、

多くの住宅は

その土地の大工さんをはじめとした職方が、

それぞれ身に付けた技能を発揮し

丁寧に手掛けた家であり、

まだまだたくさん残っているはずです。

 

ただ部屋並べをしただけの

でたらめな間取りでは無く、

きちっと軸組小屋組が組まれた

架構の中に

間取りが内包されている

住宅であれば、

多様で魅力的な改修や

コンバーションが可能になります。

 

このような中古住宅に光を当て、

新しい価値観を付加し、

愛着が持てるように

昇華しながら再生活用していくことが、

本当にこれからの時代に

必要なことのように思います。

 

ストック重視の住宅政策に

きちんとシフトできるよう、

なし崩し的なリフォーム・増改築では無く、

建築士など専門家による

現況検査(インスペクション)を行ったうえで

中古住宅の売買や

増改築などがクリーンに行われる事。

 

愛情を持って長く大切に

使われる住宅が増え、

そんな家々が集積した

街並みが

これから増えていくことを

願いたいです。

 

そのような価値からも

暮らしの事を

丁寧に考えてみませんか?

 

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やまぐち建築設計室 建築家 山口哲央

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